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J1第6節(4月1日)、ホームで川崎に3−4と逆転負け

23・04・04
 上:上段写真/前列左からFW小柏、DF菅、MF浅野(18番)、青木(11番)、小林、荒野(27番)、後列左からGKク・ソンユン、MF福森、DF田中駿、岡村、MF金子、青木がけがから復帰して先発した

 上:下段写真/前半4分、川崎FW山田(20番)のボレーシュートを札幌GKク・ソンユンがセーブしたが、直前にオフサイドの判定、右札幌DF岡村(50番)

    (写真は4月1日、札幌ドーム、撮影・石井一弘)


 守備失敗 2件あったか 残念だ

  宿敵・川崎4−3札幌に訳あり?


 札幌にミハイロ・ペトロビッチ監督アリ。5年前に「雪の札幌に降りたった」。よく来てくれたと思った。2019年JリーグYBCルヴァンカップで札幌は「決勝に進出」、常勝軍団の川崎フロンターレを率いて3年目の鬼木達監督を相手にPK戦の末敗退し、「準優勝」した。

 その後、J1リーグで19年10位、20年12位、21年10位、22年10位で2023年を迎えている。今年は川崎のスタートダッシュが見えない。試合前14位。札幌は12位。「まだまだ、これから!」と期待も膨らむ一戦だった。

 これまでの対戦成績は川崎の24勝5分け3敗で、鬼木監督が就任した2017年からは、ベスト4キープの常連。しかし、昨季の札幌はホーム4−3で勝利、アウエーは2−5で川崎。何しろ「得点の入る」見せるサッカーの「面白味」をファン、サポーターに与える「好ゲーム」の「はしり」だった。

 試合の方は4月1日午後7時(19時03分)キックオフ。北海道コンサドーレ札幌対川崎フロンターレは札幌ドームで行われた。観衆は1万4千654人で、ビジターの川崎応援席は5千人が詰めかけていた。屋内は21・4度、湿度34パーセント。芝生は青々絶好のコンディション。

 審判団は山本雄大主審(40、京都府出身、欧州の審判を思わせる優雅な振る舞い)。副審は田中利幸、船橋昭次。第4の審判は眞鍋久大、VAR清水勇人(主審格)、AVAR田中玲匡(主審格)。

 札幌のキックオフで始まると、ホームの声援に後押しされるかのように前半7分、左CKを獲得し福森がキック。ボールは右サイドに流れ、川崎が外に出そうとしたが札幌MF金子が拾い、MF小林とのパス交換から金子が川崎ペナルティアエリア内に進入。ゴール前にクロスを上げ、待ち構えていたDF岡村のヘッドで先取点。札幌ドームを震わせるスタートを切った。

 この日(4月1日=エープリルフール)の札幌のスタメンはGKク・ソンユン、DF田中駿汰、岡村大八、菅大輝、WBの右に金子拓郎、左に青木亮太。ボランチは荒野拓馬と福森晃斗。宮澤はサブにもいない。トップグループは中央に小林祐希、2トップに小柏剛と復帰した浅野雄也。ミシャ監督「特選」の3人。控えはGK大谷幸輝、DF西大伍、馬場晴也、中村桐耶。FWキム・ゴンヒ、ミラン・トゥチッチ、中島大嘉=乞うご期待。

 川崎は、GKチョン・ソンリョン、DF山根視来、大南拓磨、田邉秀斗、登里享平、MF橘田健人、瀬古樹、遠野大弥、FW家長昭博、宮代大聖、山田新。控えはGK上福元直人、DF車屋紳太郎、MF脇坂泰斗、瀬川祐保輔、ジョアン・シミッチ、FW小林悠、レアンドロ・ダミアン。

 札幌が先取点を挙げた後、双方の攻撃が展開するが、札幌の小林が負傷しプレー続行が出来ない。23分、小林OUT馬場IN。

 その直後25分、今度は川崎の攻撃。GKチョンのロングキックに川崎FW山田が反応、大きくバウンドしたボールに山田が札幌MF福森とGKクを背に競り合ったが、こぼれ球をFW宮代がヘディングシュート。「がら空きの」ゴールに吸い込まれた。札幌の「攻守一体のバランス」がくずれ「失点」。ミシャ監督のベンチ前の「ひと踊り」と「落胆の色」が隠せない。1−1の同点とされる。

 選手は、この情景を横目に「さらに奮起」、27分、川崎陣内を走る青木がペナルティーエリアからゴール前に「浮き球」。走り込んだ浅野がヘディングシュートを決めた。札幌2−1でリード、前半の終盤を迎える。ここまでは、菅の左DF、荒野とコンビを組んだ福森、GKクの「スペースのケア」はまずまずだった。

 39分、川崎FW山田と札幌MF福森のバトル。福森のマークを振り切った山田は駆け上がったDF山根にラストパス。山根が決めて2−2の同点。札幌のキャプテンマークをした荒野が前線に出る「重責を担ったプレー」。44分、相手を引っ張りイエローカードをもらう。さらに小柏がこぼれ球を拾い突進、上がってきた札幌攻撃陣のパス連携のあと、荒野のシュートはブロックされる。

 アディショナルタイム3分。「どうにか持ってくれ!」。そんな状態の46分。川崎MF家長と札幌MF馬場の一騎打ち。馬場のトラップミスを見逃さなかった家長はボールを奪い、GKクが飛び出しているのを見て、「ふわりとしたシュート」。引きずり出されたのか、浮いたボールは「ネット」を揺らした。
 

【監督のハーフタイムコメント】
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「簡単なミスを無くそう」、「このままじゃ終わらないぞ。まずは1点返そう」


■川崎フロンターレの鬼木達監督のコメントはチーム発表無し

 
 後半は選手交代から。福森OUTキムIN。11分、小柏OUT西IN。西はトップグループの左側で中盤の「球さばき」。同点から、さらに「勝ち点を狙った」配置。13分、札幌DF菅を後ろから倒した川崎FW山田にイエローカード。札幌は菅と西の連携が目立つ。

 14分、来た来たFK。キッカーは浅野。左足でカーブを掛けたボールは、福森に代わって入ったキム・ゴンヒに。密集から頭一つ出たヘディングシュートが決まった。3−3の同点。ベンチは「小躍りして」讃え合った。

 22分、川崎が選手交代。宮代OUT小林IN。遠野OUT瀬川IN。23分、札幌MF金子の足を引っかけ倒した川崎DF山根にイエローカード。27分、川崎は橘田OUTシミッチIN。山田OUT車屋IN。

 36分、審判へ抗議した川崎DF車屋に車屋にイエローカード。38分、札幌に追加点のチャンス。菅から青木に渡り、中央へ送る。FWキムが反応したが、ボールは荒野の前にこぼれ、シュート。相手DFに当たりゴールならず。

 38分、家長OUTダミアンIN。41分、川崎に決定機。DF田邊の左からのセンタリングをMF瀬川が頭で合わせ、右ゴールネットを揺らす。川崎が大逆転の3−4。

 43分、札幌のDF田中駿、金子、浅野らが同点を目指し仕掛ける。アディショナルタイムは5分。46分に川崎の小林がピッチを離脱10人に(のちの発表はけが)。札幌はこのタイミングで選手交代。青木OUTトゥチッチIN。浅野OUT中島IN。しかし白熱のシーソーゲームは札幌3−4の逆転負けで試合終了。この結果、川崎フロンターレは10位、北海道コンサドーレ札幌は15位となった。

 シュート数は、札18−10川、CK札6―2川、FK札14―−10川。PKなし。

 JリーグYBCルヴァンカップ第3節横浜F・マリノス対北海道コンサドーレ札幌戦は、4月5日午後7時からニッパツ三ツ沢球技場で行われる。

 明治安田生命J1リーグ第7節北海道コンサドーレ札幌対セレッソ大阪戦は、4月9日午後2時からヨドコウ桜スタジアムで行われる。


 上:上段写真/前半7分、札幌左CKの流れからMF金子の右サイドからのクロスをDF岡村(左奥)がヘディングシュートを決めて先制する、手前川崎DF田邉(15番)、右奥FW宮代(33番)

 上:中段写真/前半7分、札幌DF岡村(右端)がMF金子のクロスを頭で合わせて先制ゴールを決めガッツポーズ、左へ悔しがる川崎FW宮代(33番)、DF山根(ピッチ上に伏せている)、大南(3番)、田邉(15番)

 上:下段写真/前半7分、先制ゴールを決めた札幌DF岡村(50番)がチームメイトから手荒い祝福を受ける、MF浅野が背中に飛び乗り川崎サポーターに向かって大声をあげる、小林(99番)が頭をなでる、左端DF田中駿


 上:上段写真/前半25分、川崎GKからのロングボールを札幌GKク・ソンユン(右)のクリアが中途半端になり、ふわりと上がったボールを走り込んだ川崎FW宮代(右から2人目)が頭で押し込んで同点ゴールを決める、左端札幌DF田中駿、その右馬場(3番)

 上:下段写真/前半25分、同点ゴールを決めた川崎FW宮代(左から2人目)とMF遠野(17番)、FW山田(右手前)が走り出す、天を仰ぐ札幌GKク・ソンユン(中央)と右へDF田中駿、馬場


 上写真/前半27分、再びリードのゴールを決め喜ぶ札幌MF浅野(18番)、右はぼうぜんとする川崎GKチョン・ソンリョン(ゴールシーンはTOP画面で)


■北海道コンサドーレ札幌の浅野雄也選手のコメント
 「今日の試合については、チームとしては良いサッカーができているという手ごたえは得ることができている。ただし、その中でミスから失点をしてしまったし、自分たちで与えてしまったような失点が続いてしまった。強くなっていくためには、そうした部分はしっかり改善していかなければいけない。次の試合に向けて、今後も努力していきたい。

自分の得点の場面は、スタジアムも盛り上がって高ぶるものがあった。あのときは最高の気分だった。だからこそ、そうした得点をしっかりチームの勝利につなげていけるようにしたい」


 上写真/前半39分、川崎FW山田が左サイドで札幌MF福森をかわして出したクロスをDF山根(13番)が押し込んで再び同点とし、ボールを拾いあげてセンターサークルへ急ぐ、左端拍手で祝福するFW宮代(33番)、右端アシストしたFW山田、札幌の選手、左からDF岡村(50番)、菅、田中駿(2番)


 上:上段写真/前半追加タイム1分、札幌の攻撃でMF金子がシュート、クリアした川崎DF陣に札幌MF荒野(中央)、FW小柏(右)が猛然と突っ込む、川崎の選手左からMF瀬古(16番)、MF橘田、DF登里

 上:下段写真/前半追加タイム1分、川崎FW家長(左から3人目)が札幌のGKが前に出ているの見て絶妙のループシュートを決め逆転となるゴールを決める、左からDF山根(13番)、MF遠野(17番)、家長の右MF橘田(8番)、札幌の選手右端FW小柏、その左DF馬場(3番)


 上:上段写真/後半14分、札幌MF浅野の左からのFKに後半から出場したFWキム・ゴンヒ(右上の13番)がヘッドでゴール左へ決めて同点とする、右端川崎DF山根(13番)

 上:下段写真/後半14分、同点ゴールを決めた札幌FWキム・ゴンヒ(中央右)がベンチから飛び出して来た選手たちに囲まれてもみくちゃ、砂川コーチ(右端)も満面の笑顔


 上:上段写真/後半20分、ボールをキープして前線に駆け上がる札幌DF西、後半11分からFW小柏に代わって途中出場し、試合を落ち着かせた、右端FWキム・ゴンヒ、左端MF青木(11番)

 上:下段写真/後半39分、3−3の一進一退の攻防、けがから復帰して途中出場の“札幌キラー“川崎のエースFW小林(11番)を札幌DF馬場が押し返す


 上:上段写真/後半41分、川崎左サイドからのクロスに途中出場のMF瀬川(右端)がバックヘッドでゴールを決め、ベンチサイドに走り出す、札幌GKク・ソンユン(中央左)、DF岡村(その左)はガックリ、川崎MF瀬古(16番)がバンザイ、中央は札幌DF西(22番)

 上:中段写真/後半追加タイム2分、札幌左サイドのDF菅からのクロスにFW中島(右端)、ミラン・トゥチッチ(左端)、キム・ゴンヒの勢ぞろいしたFW陣が誰も触れず、川崎DF田邉(15番)にクリアされる

 上:下段写真/3−4と打ち合いの末敗れた札幌の選手は力尽きたかのようにガックリ、DF岡村(50番)、田中駿(その左)、FWミラン・トゥチッチ(奥)、左端川崎DF田邉(15番)、右端DF車屋(7番)も勝ったとはいえ疲れ切った感じだった、スタンドにはサポーター席に入り切れなかった川崎のサポーターが目立った


 上:左側写真/前半23分、思わぬ札幌MF小林の負傷退場で、キャプテンマークを巻いた荒野(右)に指示するペトロビッチ監督(中央)

 上:右側写真/試合開始早々の前半2分から、4試合ぶりの勝利を目指し全身を使って選手を鼓舞する川崎の鬼木達監督


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「やはり今日の敗戦は私自身そうですし、選手もガッカリした敗戦だと思います。勇気を持ってプレスを掛けて札幌の戦いは見せられた。その中で1−0でリードをした。そこまでは良かったと思います。しかし、1−1になったときの失点も自分たちで相手に与えてしまったもの。ロングボールを拾われてあっさり決められた。

 その後も自分たちで良い形で得点をして再リードしたが、そこからまた相手に得点をプレゼントするような形で追いつかれてしまった。3点目も自分たちが失った中で、相手の40メートルのシュートが入ってしまった。やはりあのようにリードしながらも、そこから逆転されたのはショックだったと思う。

 しかし、ハーフタイムに強い気持ちを取り戻して、3点目を取ることができたのは良かった。最終的には引き分けられていれば良かったが、残念ながら敗れてしまった。4点目を取られた後も全力を尽くして選手たちはやってくれた。

 やはりああいったミスを繰り返してしまったならば、相手が大学生だったとしても勝つのは難しいだろう。もったいない失点をしていた。自分たちの力を証明できなかった。応援してくれたサポーターには申し訳ない気持ち。だが、強い気持ちを持って次の試合に挑みたい」


■川崎フロンターレの鬼木達監督のコメント(一部抜粋)
 「アウエーにもかかわらず、たくさんの応援があったことで勝てたと思っています。試合のほうは先制点がなかなか取れない中で今日も最初に失点をした。ただ、そういった中でも我慢強く戦っていこうということを試合前から話をしていましたが、チームはそれを体現してくれたと思っています。

 もちろん先制点を取って、リードした形で進めたかったですけれど、我慢強く戦ったことで前半のうちにひっくり返したり、後半も同点にはされましたが、追い越すための努力をしてくれましたし、10人になっても最後までハードワークをした。それがすべてだと思っています」

池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影