コンサドーレ札幌ピックアップ情報

一覧に戻る

J1第25節(8月26日)、アウエーで川崎Fに2−2のドロー

23・08・28
 故・石水勲会長の月命日2−2で分ける

  等々力の空に「赤黒の団旗」は舞ったが


 北海道コンサドーレ札幌が「あえいでいる」。9試合連続で「勝利なし」。ミハイロ・ペトロビッチ監督が就任した2018年、「よく来てくれた」と出迎えた、北の果て札幌で「白い恋人」の代名詞「コンサドーレ」をこよなく愛した男がいた。

 2019年、コンサドーレ悲願の「優勝のタイトル」に手がかかりかけた=JリーグYBCルヴァンカップ優勝旗を手にした相手が、川崎フロンターレだった。

 早いもんで「コンサドーレ」を「白い恋人」以上に「喜怒哀楽」の「勝負」に出た男。3年前、「白い恋人パーク」のグラウンド(練習場)を「聖地・厚別」と同じ「東西のグラウンドにしたい」と、心に「打ち明けて」亡くなってしまった「石水勲会長」。1944年5月4日生まれ。2021年9月26日(77歳没)。どこから見てるのかな!

 そんな神頼みの一戦は2023年8月26日19時03分、その幕は切って落とされた。川崎のホーム「等々力陸上競技場は、陸上トラックでぐるりと囲まれた競技場」。この日は1万9千257人の入場者。気温29,6度、湿度56パーセントの観客席は「物凄く暑い」。

 川崎は黒青、札幌は純白。スタンドは空色と、赤黒の勝負服は応援席に。審判団がイエロー。元国際審判のベテラン岡部拓人主審(41、福島県出身で通算200試合を目指すコンダクター)。副審は三原純、塩津祐介の2人。第4の審判は桜井大介。VARは上村篤史(主審格)、AVAR窪田陽輔(主審格)。

 川崎のスタメンから紹介しよう。GKチョン・ソンリョン、DF山根視来、大南拓磨、車屋紳太郎、佐々木旭、MFジョアン・シミッチ、橘田健人、脇坂泰斗、FW家長昭博、瀬川祐輔、小林悠。控えはGK上福元直人、MF瀬古樹、山村和也、FW遠野大弥、マルシ―ニョ、宮代大聖、レアンドロ・ダミアン。

 ビジターの札幌はGK高木駿、DF田中駿汰、岡村大八、福森晃斗、WB(右)ルーカス・フェルナンデス、(左)菅大輝、MF荒野拓馬、馬場晴也、シャドーに駒井善成、スパチョーク、TOPに浅野雄也。控えはGK大谷幸輝、MF宮澤裕樹、木戸柊摩、深井一希、小林祐希、FWキム・ゴンヒ、大森慎吾。

 今季は鬼木監督7年目、ミシャ監督6年目と「結果の出ない」リーグ後半戦を迎えている。両者の対戦では、川崎の25勝5分け3敗と、比較するのが恥ずかしい札幌。札幌は荒野が、川崎は橘田がキャプテンマーク。

 札幌キックオフで始まったゲーム。勢い的には札幌のパスまわしが上回り10分過ぎまでボールを支配している。15分、札幌MF浅野と駒井のパスと、押し上げる福森のシュートなど優位に展開。23分、飲水タイムに入る。

 25分、札幌FW浅野がペナルティーエリア外、右角あたりで倒されFKを得る。スタンバイが整い27分、福森の左足キックが、川崎DFの壁に当たりエリア外に跳ね返る。転々としたボールを中央のスパチョークが蹴り込み見事な先制点をあげた。

 札幌はさらにトップ3の浅野、スパチョーク、駒井らと荒野と組んだ馬場の中央の動きが冴えてチャンスを迎える。35分、馬場がペナルティーエリア手前から、左サイドのスパチョークへパス。スパチョークのフェイントからゴール正面にいた駒井に渡り、コースを変えたシュートが決まる。札幌が2得点目。

 48分、川崎MF脇坂に後ろから足をかけた荒野にイエローカード。前半のアディショナルタイムは3分。前半は2−0で札幌がリードし後半へ。


【監督のハーフタイムコメント】
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「守備のところは規律を守ってコンパクトに保っていこう」、「リードしているが相手のペースになりすぎないようにボールを保持していこう」


■川崎フロンターレの鬼木達監督のコメントはチーム発表なし
 

 後半は、川崎の選手交代から。瀬川OUTマルシーニョIN。シミッチOUT瀬古IN。川崎が少し落ち着いてきた。左に入ったマルシ―ニョの動きが激しい。6分、マルシーニョが左からドリブル突破、DF岡村がスライディングで止めに入った。マルシーニョはかわしたがバランスを崩し転倒。主審は手招きでVAR判定を選択。オンフィールドレビューの結果、岡村に「一発レッドカード」。札幌がリードしているが、数的不利な状況に。

 12分、札幌の交代は浅野OUT宮澤IN。ルーカスがプレー中に痛めたが手当てをすませて復帰。ドリブルでかき回すが効果なし。

 20分、札幌MFルーカスを突き飛ばした川崎DF佐々木にイエローカード。札幌は少し引き気味。22分、川崎にチャンス。マルシーニョが相手ミスパスを拾うと札幌ペナルティーエリアに進入、走り込んできたMF脇坂に横パス、ワントラップからシュートを決め1点差。

 23分の飲水タイム後も試合は川崎に有利。26分、またマルシーニョ。レッドカードで札幌DF岡村退場で薄くなったDF陣を突き、川崎DF山根が前線まで突っ込み地面にたたきつけるようなシュートを放つ。枠から外れたボールにDF佐々木が反応して2点目。2−2の同点とする。

 27分、川崎FWマルシーニョを後ろからチャージした札幌MFルーカスにイエローカード。28分、ルーカスを倒した川崎DF山根にもイエローカード。

 地元・川崎は「等々力の声援が広がる」。31分、佐々木OUT遠野IN。32分、反撃したい札幌はスパチョークが左足でシュートを放つもDFにブロックされ実らず。35分、川崎FW小林悠OUT宮代IN。札幌も荒野OUT大森IN。45分、しばらく選手交代が続く。川崎の家長OUTダミアンIN。札幌は菅OUT小林祐IN。さらに福森OUT深井IN。

 アディショナルタイムは11分。1人少ない札幌はルーカスを中心に得点を狙うが2−2でドローに終わった。

 シュート数は、川13−12札、CK川4−1札、FK川15−16札、PKなし。
                                 
 2023明治安田生命J1リーグ第26節北海道コンサドーレ札幌対ガンバ大阪戦は9月2日午後1時から札幌ドームで行われる。


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント(全文掲載)
 「札幌がアウエーの川崎で2−2の引き分けというのは、ある意味我々にとって良い成果と言っていいかもしれない。ただ、今日のゲームに関しては、内容も含めて、結果に対しては残念な思いがある。レッドカードで1人退場する前にはしっかりとゲームを支配していたし、リーグで最も技術の高い選手たちがマンツーマンの激しいプレスに対して打開策が見いだせない展開を作れていたと思います。

 1人少なくなった中で選手はしっかりと戦ってポイントを持ち帰ることが出来たが、川崎Fには選手層の厚さがあった。1人少ない中、気温、湿度の高い夏場で次々と交代選手が入り、際どいシーンがあり得点をされてもおかしくない場面があったが、体を張った守備で2失点で食い止めてくれた。

 こういう表現を皆さんに理解されるか分からないが、この世の中は貧しいものは残念ながら貧しいままというのが多い。お金があるところはお金を持ち続ける。川崎と札幌のクラブの大きさ、資金、予算の違いは大きいと思うし、その中で札幌は札幌であり続ける。川崎は川崎であり続ける。そういうことがふと頭によぎった。それが分かるかどうかは、皆さん自身が考えてほしいと思います」


■川崎フロンターレの鬼木達監督のコメント(一部抜粋)
 「まず、前半のところで非常にもったいないゲームをしたと思っています。そこでもう少し自分たちらしく前に進んでいければ良かったが、後ろ向きなプレーが多かった。結果的に追いつくことができたが、1人少なくなっていたので、追い越すところまでいかなくてはいけなかった。チャンスは最後にあったので。失点に関しては球際のところなど、やるべきことをやらなくてはならない。得点に関しては、最後にフリーな場面もあった。丁寧にしっかりとやり続けることが大事になる。多くのサポーターが駆けつけてくださったので、残念に思う。ここでしっかりと切り替えて、天皇杯に向かっていきたい」

池田淳