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J1第21節(7月15日)、厚別改装前最終戦は0−1で新潟に敗戦

23・07・19
 上写真/降りしきる雨の中、厚別公園競技場改装前最終戦が始まる。前列左からMFルーカス・フェルナンデス(7番)、FW浅野(18番)、MFスパチョーク、駒井(14番)、荒野、後列左からGK菅野(1番)、DF中村、田中駿、岡村、MF金子、宮澤。スパチョークは4戦連続先発で2試合連続ゴール中、金子はこのチームで戦うのが恐らく最後だろう

  (写真は7月15日、札幌厚別公園競技場、撮影・石井一弘)


 コンサドーレ聖地厚別に雨・雨・雨

  終日降った 7千人ずぶ濡れ 涙の改装前最終戦


 コンサドーレ札幌が発足当時、戦場とする札幌厚別公園競技場。ほかに室蘭市入江陸上競技場、函館市千代台公園競技場を会場にゲームが組まれてきた。   

 JFL時代から3競技場を「ホームグラウンド」として日程が組まれていた。2002年に札幌ドームがW杯の会場となり、ドームと厚別公園がJリーグの北海道コンサドーレ札幌の「ホームグラウンド」になった。

 その中で厚別を「聖地」としたのは、こじんまりとした「6、7千人の仲間のよりどころ」として、ファンクラブとは別の「グループ」が出来、試合も間近で見られ、「手と手」を触れ合える、さらに選手たちの意気込みが伝わる「聖地」として、高校、大学、社会人のチームと家族が「詰めかけられる場」として誕生した。

 あれから30有余年、改築の時期が来て、最後のJ1リーグを2023年7月15日にと決めて、その日を迎えた。

 朝から雨。この日、北海道コンサドーレ札幌とアルビレックス新潟とのJ1リーグ第21節。その昔、新潟県中越地震の時、「北のサッカーアンビシャス」の代表・筆者・カメラマンの3人が「お見舞い」に行き、懇親を深めた。今はコンサドにいる西大伍、藤田征也(現在はコンサドのアカデミーコーチ)、堀米悠斗らが、新潟を経て日本のサッカー界で活躍している。

 選手たちの雨あられが、この日も「叩きつけてきた」。さらに0−1で敗れた悲痛の涙雨。「一時解散だ」。改装後も「思い通りのサッカーの場」になるとは限らない。
 
 試合は13時03分キックオフ。審判団は上田益也主審(40、愛知県出身、J1ビッグマッチを担当、今年は飛躍の年)。副審=聳城巧、岩崎創一。第4の審判は塚越由貴。VAR笠原寛貴(主審格)、AVAR山岡良介(同)。

 入場者数は7千591人。気温21.1度、湿度85パーセント。雨はしとしと、グリーンとアンツーカを濡らし、何時間たっても「排水は完備」。風は西からの微風。札幌は決まって後半に「応援団方向にシュートする」(上空はかなり西風)を選ぶ。キャプテン宮澤裕樹がトスで「利」を得たよう。

 これまでの対戦成績は9勝4分け7敗で新潟が勝ち越す。今季は第3節アウエーで2−2の分け。何か日本海を挟んだ「友達同士みたい」。

 スタメンは札幌から、GK菅野孝憲、DF田中駿汰、岡村大八、中村桐耶、WB(右)金子拓郎、(左)ルーカス・フェルナンデス、MF(ボランチに)荒野拓馬、宮澤裕樹、TOP3人は駒井善成を中心に浅野雄也とスパチョーク。控えは、GK大谷幸輝、DF馬場晴也、福森晃斗、MF小林祐希、FWキム・ゴンヒ、菅大輝、出間思努。

 新潟のスタメンは、GK小島亨介、DF藤原奏哉、トーマス・デン、渡邊秦基、新井直人、MF松田詠太郎、高宇様、星雄次、小見洋太、FW鈴木孝司、三戸舜介。控えは、GK阿部航斗、DF長谷川巧、千葉和彦、田上大地、MF島田讓、秋山裕紀、FW太田修介。

 キックオフは新潟9番FW鈴木。互いに早い球離れでパスを回し、局面は行ったり来たり。9分にスパチョークの顔面にボールが当たったが、治療を受けて復帰した。

 札幌は右側の金子を中心に展開、ゴール左側のポストを狙うシュートが、今一歩外側にずれる。札幌のトップを狙う浅野、駒井のパスが相手に見抜かれやすい。

 20分過ぎから、左DF中村のキックが鋭くゴールを狙う。ボールキープはほとんど札幌。だがタイミングが悪くシュートにならない。

 25分、新潟FW鈴木の背後からスライディングをした札幌MF荒野にイエローカード。しかしその後は、札幌の攻撃が晴れやかで、新潟は、ボール回しについていけない。

 今度は37分、新潟MF松田を後ろから押した札幌MF金子にイエローカード。札幌は繰り返し新潟ゴール前に展開するが、最後にシュート段階でつぶされるケースが多い。アディショナルタイム1分。前半は0−0で後半へ。


【監督のハーフタイムコメント】
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「このゲームは我慢が大事。落ち着いてプレーしよう」、「ボールを奪ってからの質をあげていこう」、「出し惜しみせず、最初から全力でプレーしよう」


■アルビレックス新潟の松橋力蔵監督のコメントはチーム発表なし

 
 札幌キックオフ。後半開始から両チーム選手交代。新潟が三戸OUT太田IN。札幌もスパチョークOUT菅IN。札幌の攻撃は金子、菅らが相手ゴール前にボールを入れるが、いずれもゴール前を横切るだけ。

 この間に新潟の攻撃に変化。8分、スローインの流れからMF高が右からセンタリング、ゴール前に走り込んで来た背番号9FW鈴木が合わせ、GK菅野は成すすべもなく、1点を献上した。

 札幌はエース・金子にボールを集め、右サイドから突破。14分、金子をタックルして倒した新潟DF新井の反則でイエローカード。さらにVARの結果、主審は新井にレッドカードを提示し直し退場の判定。新潟のフィールドプレーヤーは9人になった。

 18分から両軍の選手交代が始まる。新潟は松田OUT長谷川IN。鈴木OUT田上IN。19分から24分まで札幌が一方的な攻撃。金子、駒井、菅らがゴールを狙うが、リズムが合わない。

 24分札幌が選手交代。中村OUTキム・ゴンヒIN。荒野OUT小林IN。宮澤が残って大暴れ。相手ゴール前は「大混乱」。

 28分、新潟の星OUT島田IN。35分、札幌は駒井OUT福森IN。遅いぞ「ミシャ」。39分新潟DF長谷川を倒した宮澤にイエローカード。41分、新潟DF長谷川の足を引っかけたルーカスにイエローカード。焦るな札幌。

 逃げ切りを図る新潟は44分、小見OUT秋山IN。アディショナルタイム8分。とにかく1点だ、8分もあるぞ。だが相手はゴール前を死守。終了間際に得たCKは札幌。キッカーは背番号99小林。相手GKパンチングで終焉。厚別改装前の最終戦は0−1で敗戦。

 シュート数は、札11−4新、CK札3−2新、FK札15−17新、PK無し。

 札幌の次戦、天皇杯JFA第103回ラウンド16、柏レイソル対北海道コンサドーレ札幌戦は、8月2日午後7時から三協フロンティア柏スタジアムで行われる。

 明治安田生命J1リーグ第22節北海道コンサドーレ札幌対鹿島アントラーズ戦は、8月6日午後6時から県立カシマサッカースタジアムで行われる。


 上:上段写真/前半12分、札幌MFスパチョーク(左)はスローインの流れからゴール前をうかがう、右端FW浅野、その左新潟DF新井(2番)

 上:下段写真/前半17分、札幌MF荒野と新潟FW三戸が激しくボールを奪い合う、荒野が競り勝ったように見えたがファールをとられる、手前札幌MF駒井(14番)、左端DF田中駿(2番)、その右中村、右端新潟MF小見(16番)、後方札幌DF岡村


 上:上段写真/前半20分、札幌MF金子(中央)が新潟DF新井(左)と渡邊(右)に挟まれながら突破を図る

 上:下段写真/前半41分、札幌DF田中駿(中央)が右サイドを駆け上がる、49番はMFスパチョーク、その後方荒野、左端新潟MF小見(16番)


 上写真/後半8分、新潟右スローインの流れからDF藤原のクロスをFW鈴木(9番)が押し込んで先制ゴールを決める、その瞬間ネットの水滴が飛び散る。中央札幌GK菅野、右DF岡村(50番)


 上:上段写真/後半13分、札幌MF金子(9番)が新潟DF新井(2番)に倒され、上田主審がイエローカードを提示する、他の選手左から新潟DF渡邊(15番)、札幌FW浅野(18番)、MFルーカス・フェルナンデス(7番)、DF田中駿、新潟MF高、右端MF星

 上:中段写真/後半16分、VARで確認後、上田主審が判定を変更しレッドカードを提示した、左へ札幌MFルーカス・フェルナンデス(7番)、菅、宮澤、右端新潟MF松田(22番)

 上:下段写真/後半17分、札幌MF金子が倒されて得たFKは、駒井(左)がちょこっと動かしたボールを菅がシュートしたが決まらず、足元の水滴が跳ね、ボールが走る


 上:上段写真/後半21分、札幌MF駒井(左)がドリブルで駆け上がる、右懸命に追う新潟MF高

 上:下段写真/後半27分、札幌MFルーカス・フェルナンデスのクロスをFW浅野(右)がジャンプして合わせようとするが届かず、途中出場していた新潟DF田上(左端)にクリアされる、13番はこれも途中出場していた札幌FWキム・ゴンヒ


 上:上段写真/後半29分、左サイドを駆け上がる札幌FW浅野(右)とぴったりマークする新潟DFトーマス・デン(左)

 上:下段写真/後半29分、札幌MF宮澤(10番)が新潟DF藤原(25番)、MF小見、途中出場していたDF長谷川(右)に囲まれながらゴール前に迫る健闘を見せる


 上:上段写真/後半43分、札幌右サイドからの金子のクロスにDF岡村(50番・頭は見えない)がヘッドで合わせるがゴール左に外れる、その左MF菅(4番)、左FWキム・ゴンヒ(13番)

 上:下段写真/後半追加タイム5分、札幌MF金子の右サイドからのクロスに、FWキム・ゴンヒがジャンプして合わせようとするが届かず、オーバーしてゴールラインを割る、25番新潟DF藤原、左長谷川、右端札幌FW浅野(18番)


 上写真/雨中のアウエーで札幌を1−0と破りピッチに大の字になって喜びを表す新潟のキャプテンMF高と走り寄るDFトーマス・デン、スタンドの新潟サポーターは最高の歓喜、その間で途中出場していた札幌MF小林はぼう然と歩く


 上:左側写真/後半35分、大雨の中、これから投入する札幌DF福森(右端)に杉浦コーチ兼通訳を通して指示を出すペトロビッチ監督

 上:右側写真/後半30分、「あと少しだ、持ちこたえろ!」と言わんばかりに選手を鼓舞する新潟の松橋力蔵監督


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント(一部抜粋)
 「今日はなかなか我々本来の攻撃の形を出せないゲームだった。前半はボールを奪うけれど、それをしっかりつなぐことが出来なかったり、チャンスのクリエイトにつながらなかった。ボールの精度や、前の選手が比較的簡単にボールをロストしてしまった。その中で攻撃のリズムを作ることができなかった。

 お互い、前半はそれほどチャンスがなく、後半も同じような展開になってきた中で先に我々が失点し、リードを許す展開にしてしまった。その後、同点にすべく選手たちは攻撃を仕掛けてくれて、相手が退場者を出して、比較的長い時間を数的優位な形で、試合の終盤も押し込みながらチャンスを作るというところまではいけていた。

 攻撃のところは岡村(大八)、そしてキム(ゴンヒ)という高さのある選手を前に入れて、クロスで仕留めようとしたが、クロスの精度があまり良くなかった。あるいはボールを動かす中で我慢し切れずシュートをしてしまったりと、数的優位を生かす、あるいは高さを生かすという部分で相手を仕留めるところまでいかなかった。我々は決してチャンスがなかったわけではない。ただし、なかなか本来の力を出せなかった」


■アルビレックス新潟の松橋力蔵監督のコメント(一部抜粋)
 「この札幌の地まで、サポーターの皆さんがたくさん足を運んでくれた中で勝点3を取れたことを非常にうれしく思います。先制し、その後に退場者が出る難しい状況でしたが、最後まで同じ方向を見てやれたのではないかと思います」
池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影