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J1第19節(7月1日)、アウエー神戸で1−1のドロー

23・07・04
 世界の イニエスタの美技 神戸に記す

  1995年の大震災の復興は宝 1−1


 神戸と言うと1995年1月17日の午前5時46分発生の「阪神・淡路大震災」の事をまず思い出す。次は2018年5月24日。スペインのアンドレス・イニエスタ選手(当時34)が、ヴィッセル神戸に入団したスポーツニュースだった。

 1995年は大地震の記憶と共にJリーグが10チームで産声を上げた3年目。この年Jリーグは14チームになっていた。筆者は北海道新聞社の「はいはい道新」などを扱う「読者センター」のチーフだった。なぜ大地震と新聞社をつなぎ合わせられたかと言うと、「震災の報道本部」が神戸新聞の中に設けられたから。お世話になったお礼は「夕張メロン」だったということも「お礼のメール」が届いたので思い出した。そんなことが「交流の始まりで」―「イニエスタの神戸チーム加入も、いち早く伝わった」。すでに新聞社も卒業、「北のサッカーアンビシャス」を発動していた。  

 イニエスタの契約金は「何十億」だったし、観客は増え、毎年、毎年「営業成績は増」。2023年の7月1日の入場者が2万7千630人と、大スターのさよなら試合は神戸を始め、北海道のファンも「イニエスタ・デー」だったろう。

 試合の方は7月1日19時03分、ノエビアスタジアム神戸で始まった。天候は曇り。気温24.7度。湿度77パーセントと蒸し暑い。審判団はJFA「審判交流プログラム」によりカタールから来日中のカミス・モハメド・アルマッリ主審(38、日本のJ1、J2の方も主審格)。副審は三原純、西村幹也。第4の審判は岡宏道。VARは飯田淳平(主審格)、AVAR聳城功。

 神戸の注目のスタメンは、GK前川黛也、DF酒井高徳、マテウス・トゥーレル、本多勇喜、初瀬亮、MF山口蛍、齊藤未月、ジェアン・パトリッキ、アンドレス・イニエスタ、汰木康也、FW武藤嘉紀。控えは、GK坪井湧也、DF大崎玲央、MF飯野七聖、佐々木大樹、泉佟耶、セルジ・サンペール、FW大迫勇也。

 札幌は、GK菅野孝憲、DF田中駿汰、岡村大八、菅大輝、WB(右)金子拓郎、(左)ルーカス・フェルナンデス、MF(ボランチ)宮澤裕樹、荒野拓馬、MF(シャドー)、駒井善成、スパチョーク、トップに浅野雄也。控えは、GKク・ソンユン、DF馬場晴也、福森晃斗、中村桐耶、MF深井一希、小林祐希、FWキム・ゴンヒ。
  
 前半は札幌がキックオフ。キャプテンマークは今季初のイニエスタ。札幌は宮澤。J1の100試合出場が本多(神戸)、浅野(札幌)。前節に200試合出場が札幌DF菅だったがC大阪に敗戦、今日こそは?。

 両者の対戦成績は、神戸が17勝5分け8敗。札幌はこのイニエスタ退団祭りに一勝を報いたいところ。やはり浮足立ったのは神戸。札幌はこの時ばかりはと左のルーカス。右の金子が仕掛ける。約20分間は「お見合い状態」。イニエスタにボールが入るとスタンドが湧く。

 札幌は24分、右のDF田中駿の浮き球が中央のスパチョークに入る。さらに駒井が加わるとパス回しが金子まで伸びる。

 26分、神戸ゴール前。ドリブルで持ち込んだ金子がクロスを上げる。一度はGK前川にはじかれるが、トップ下に入ったスパチョークにボールが当たり、右足でゴールに流し込んだ。スパチョークの得点は今季2点目。

 この日トップに入った札幌FW浅野は「特にマークがきつい」。良く走り、キックも出来るが定まらない。

 さて「相手のイニエスタは!」と見るとFK、CKはほとんど「主役」。左側からのドリブル&パス&突進は、ほとんど札幌DF陣に取り押さえられていた。アウエーの札幌1点リードで試合を折り返す。


【監督のハーフタイムコメント】】
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「もう少し落ち着いてプレーしよう」、「集中力を上げていこう」、「後半の立ち上がりは、より集中力を高めて入ろう」


■ヴィッセル神戸の吉田孝行監督のコメントはチーム発表なし
 

 神戸が後半キックオフ。待ってましたとFW大迫投入。汰木OUT大迫IN。その後3分、札幌DF田中駿に悪質なチャージをした神戸MFパトリッキにイエローカード。12分、イニエスタが腕章を外した。イニエスタOUT佐々木IN。札幌も15分に宮澤OUT中村IN。

 両チームキャプテン交代。それぞれキャプテンマークを渡す。宮澤は荒野へ。イニエスタは山口へ。両チームのスタンドも「激しさを増す」。札幌アウエーユニホーム白。白はスタンドには無し。赤黒だ。

 スパチョークと浅野、菅らがゴールを狙うが「効果」無し。ミシャ監督らコーチ陣が選手交代を考えている動き。

 ホームで同点を狙う神戸は、26分にパトリッキOUT飯野IN。札幌のゴール前は大迫の頭を狙ってのセンタリング。GK菅野が「うまく」処理。攻めては駒井−金子が浅野、スパチョークに入れるが「疲労の色濃し」。

 30分を超え選手交代。神戸は齊藤OUT大崎IN。36分、札幌のスパチョークOUTキムゴンヒIN。

 39分、神戸に右CK。キッカーはDF初瀬。札幌ゴール前は白装束がズラリ。初瀬のボールは右からゴールポスト左前へ。ここに来た神戸DF186センチ、ブラジル出身の2年生マテウス・トゥーレルのへディングが決まって1−1。イニエスタらもベンチで喜んだ。

 42分、札幌のルーカスOUT深井IN。浅野OUT小林IN。アディショナルタイムは4分。48分に小林のクロスを岡村がシュート、クロスバーに当たり、ゴールならず。試合は1−1の引き分けに終わった。

 シュート数は、神10−20札、CK神2−4札、FK神17−5札 PK無し。

 試合終了後には、この試合を最後に退団するアンドレス・イニエスタのセレモニーが行われ、ヴィッセル神戸はじめ、関係者やサポーターに感謝の言葉を述べていた。

 札幌の次戦、2023明治安田生命J1第20節アビスパ福岡対北海道コンサドーレ札幌戦は、7月8日午後7時から福岡市のベスト電器スタジアムで行われる。


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント(全文掲載)
 「1−1という結果に関しては、やはり私自身は不満です。内容的には我々が勝利しておかしくないゲームが出来ていたなと思いますし、今日の引き分けという結果は満足できる結果ではなかった。

 やはり、日本ではなかなかクラブ間の予算の違いも把握しながらサッカーを見る視点があまりないのかなと思いますが、神戸のようなビッグクラブ、札幌のような小さいクラブ、違いがある中で戦っていること。そして、札幌のようなクラブもしっかりとボールをつなぎながら攻撃を仕掛けていくことが出来る。そして、我々札幌というクラブであってもしっかりとああいう内容の試合ができるということを、今日のゲームでも証明できたと思います。

 今日のゲームのあと、観客から拍手が起こりましたけど、あの拍手は札幌に送られたと私は思っています。もちろん、この試合に関して観客が送った拍手は神戸サポーターから神戸に送られたものだと思いますが、ヨーロッパで、例えばバイエルンがボーフムにホームで1−1で引き分けて内容も相手に上回られるようであれば、サポーターはブーイングするでしょうね。そういった厳しい目で見られるのがヨーロッパかなと思います。

 バイエルン・ミュンヘンの名前を出しましたけど、神戸は日本でいうバイエルンに近い。ミリオンを稼ぐ選手もたくさんいるチームです。札幌のような大学生を育てていくようなチームで我々は頑張っているが、それくらい違うチーム同士の戦いだった。だからこそ私自身は、今日の送られた拍手を我々に送られた拍手と勝手に思っています」


■ヴィッセル神戸の吉田孝行監督のコメント(一部抜粋)
 「勝点3を取らないといけないゲームでしたし、結果的には残念ですけど、選手たちはハードワークしてくれましたし、最後まで勝ちたい姿勢を見せてくれたと思います」

池田淳