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J1第16節(6月3日)、アウエー柏に5−4で競り勝つ

23・06・06
 Jリーグの 波乗り越えて ミシャが行く

  ミシャ来日673試合 「柏ネルシーニョ」に別れ


 ミハイロ・ペトロビッチ監督の忘れられない宿敵、ネルシーニョ元監督(72、ブラジル出身、Jリーグでの試合数は通算657試合)が、5月17日に柏レイソル11年目の半ばで、井原正巳ヘッドコーチに「監督業」を任せて「退任した」。

 ペトロビッチ監督はまだ65歳。セルビアの戦乱からオーストリア国籍を得て、JAPANの監督でもあった「イビチャ・オシム氏」(故人)を「恩師」と仰いで来日した。サンフレッチェ広島が2006年6月から2011年12月。浦和レッズが2012年1月から2017年7月まで。札幌が2018年2月から2023年6月3日までで通算673試合を消化している。

 たぶん「正巳(マサミ)」の時代を夢見る柏のチームメートと市民、サポーター。そして筑波大の「先輩・後輩たち」。1998年JAPANのワールドカップ初出場の岡田武史監督、あらゆる日本サッカーの歴史に関係する「井原正巳」の登場を「日本サッカーの日の出」と、したいものだと「考えるのは私一人だろうか」。

 ゲームは6月3日19時03分、千葉県柏市の三協フロンテア柏スタジアムで、札幌のキックオフで始まった。柏のフォーメーションは4−2−3−1。札幌は3−4−2−1。これまでの対戦成績は、柏の18勝3分け12敗。キャプテンマークは柏が古賀、札幌は荒野。

 審判団は、笠原寛貴主審(34、福岡県出身、31歳でプロ契約、JFAから将来を嘱望されている)。副審は熊谷幸剛、道山悟至。第四の審判は高崎航地。VAR榎本一慶(主審格)、AVAR大川直也。

 観客は黄色の柏がゴール裏からメインを占領すれば、赤黒のコンサドーレはゴール裏からバックスタンドを埋め尽くし9千769人。天候は晴れ。気温20.7度。湿度78パーセント。

 札幌のスタメンは、GK菅野孝憲、DF田中駿汰、岡村大八、菅大輝、WB(左)金子拓郎、(右)ルーカス・フェルナンデス、MF荒野拓馬と中村桐耶(たぶん初)、トップ下に駒井善成と浅野雄也、トップに小柏剛。控えはGKク・ソンユン、DF福森晃斗、MF宮澤裕樹、スパチョーク、深井一希、FWキム・ゴンヒ、ミラン・トゥチッチ。

 柏のスタメンは、GK松本健太、DF川口尚紀、土屋巧、古賀太陽、片山瑛一、MF椎橋慧也、高嶺朋樹、戸嶋祥郎、FW小屋松知哉、細谷真大、フロート。控えは、GK佐々木雅士、DF三丸拡、田中隼人、MF山田康太、加藤匠人、FWドウグラス、武藤雄樹。

 立ち上がりから札幌が有利な戦い。CKを荒野が蹴ったり、周囲を動かす展開を見せる。10分、左の菅が柏ゴール前にクロスを入れる。相手がはじき返すが、札幌攻撃陣が拾い、チャンスを作る。中央の駒井がペナルティーエリアアーク付近にいた荒野にパス。右足を振り抜いた荒野のボールは、ゴール左に吸い込まれ、先取点。

 荒野がビルドアップするシーンが続く。しかし15分、柏の高嶺(元札幌)が札幌エリアにロングパス、戸嶋が札幌MF金子と競り合いながらシュート、これが決まり1−1の同点。

 今度は札幌。18分にGK菅野からのパスを受けた荒野が左サイドのルーカスへ。混戦を抜け出した駒井に渡し、ペナルティーエリア中央に進撃、細かいステップからのシュートでゴールゲット。即座に2−1のリードを付けた。

 さらに31分、札幌・小柏、浅野が柏ゴール前を占領する。浅野のシュートは柏GKがはじき、浮き上がったボールを小柏が押し込み3点目。3−1と差を広げる。

 しかし、シーソーゲームは続く。34分、柏は攻め気味の札幌の裏を突く。攻撃していた札幌のこぼれ球が柏の前方に。GK菅野の攻め上がりを見抜いた柏FW小屋松がドリブルで独走。GK菅野の頭を抜くループシュート。3−2で、前半が終わった。


【監督のハーフタイムコメント】
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「後半も前半のプレーを続けること。チャンスは決めていこう」、「前を向いた時のコンビネーションは非常に良い。あとはフィニッシュの精度を上げて決め切ろう」、「後半の入りから集中していこう」

■柏レイソルの井原正巳監督のコメントはチーム発表なし


 後半は柏のキックオフ。柏は推橋OUT三丸IN。2分、札幌FW小柏にタックルした柏MF高嶺にイエローカード。ここで柏は3バックにし、攻撃のチャンスを多くする組み換えをした。高嶺中心にゲームを運ぶ。7分柏にCK。高嶺が左も右もキックするが得点には結びつかない。

 チャンスは柏に。8分、DF片山が相手―ルを奪取、そのままペナルティーエリア内にスルーパス。FW細谷が反応、右足を振り抜き「ゴール」。3−3の同点。

 16分、柏の小屋松OUT山田IN。突き放したい札幌は24分にCK獲得。キッカーは浅野。ゴール前の混戦。GKがパンチング、こぼれ球はペナルティーエリア外にいた札幌MF金子の前。左足を振り抜きゲット。4−3の札幌リード。

 この後、柏FW細谷の突進を足裏を見せて止めた札幌DF菅にイエローカード。29分から両軍の選手交代。札幌はルーカスOUT福森IN。32分、小柏OUTスパチョークIN。柏は32分、フロートOUT武藤IN、戸嶋OUT加藤IN。

 38分、札幌MF金子を手を使って引き倒した柏MF加藤にイエローカード。高嶺OUTドウグラスIN。43分、札幌の浅野OUT宮澤IN。金子OUT深井IN。アディショナルタイムは5分。

 諦めないホームの柏は46分にCK。キッカーMF加藤、ニアサイドでMF山田がボールを反らす。反応したFW武藤が右足でゲット。4−4の同点とする。

 直後の48分、解説者の声か、選評を書く識者の声か。さらにスタジアムのざわめきか。出ずっぱりの駒井がペナルティーエリアでDF田中からの浮き球パスを、右の宮澤にパス。中央にリターン。ゲットはDF田中駿汰。副審はフラッグを上げ「オフサイド」のアピール。ここで笠原主審がVARのチェック。宮澤のオフサイドは無いと判断、主審はセンターサークルを指し「ゴール」を宣言。5−4の乱打戦を制しコンサドーレが勝利した。

 シュート数は柏12―19札、CK柏4−4札、FK柏14−11札、PKなし。

 札幌の次戦は、第103回天皇杯の2回戦。6月7日午後7時から厚別公園競技場でSC相模原と対戦する。

 2023明治安田生命J1第17節サガン鳥栖対北海道コンサドーレ札幌戦は、6月10日午後7時から佐賀県鳥栖市の駅前不動産スタジアムで行われる。


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント(全文掲載)
 「柏レイソルは、今年自分たちが思ったようにポイントをなかなか積み重ねられない中、ここまで来ましたが、非常に素晴らしい選手がそろっていて、素晴らしいチームであることは変わりません。ただ、ここまでポイントを重ねられなかったことで監督さんを代え、新たなモチベーションでリーグ戦を戦う状況になったと思います。やはり、アウェイでの柏戦というのは、アウェイチームにとっては決して簡単ではない試合が非常に多いと思います。そして、我々札幌にとっても、今日は非常に難しい試合になったと思います。

 我々は立ち上がりからプレッシングを掛けて前向きにボールを奪い、ゴールに向かいました。どのチームに対しても同じ戦い方をしているわけですが、今日も我々はいつもどおりの戦い方で試合に臨みました。もちろん相手もいま言ったことを知っていた中で、前に起点となる選手を入れて、長いボールを入れる形で対抗してきたと思います。

 前半は選手たちが非常に素晴らしいプレーを見せる中、もしかしたらすべてのチャンスが決まっていれば、7点、8点入っていてもおかしくないくらいの前半だったと思います。我々の狙いが出せた前半だったと思いますし、選手たちも非常に良いプレーを見せてくれました。もしかしたら、私が札幌を率いてからベストな前半として数えられる、それくらいの前半だったと思います。

 我々札幌は失点が多いと言われると思いますが、この5年半私が札幌を率いてから、攻撃に特化したチームとして戦っています。リスクを負って攻撃を仕掛ける中で、1点でも多く相手より点を取って勝つことを目指しています。それだけリスクを負えば、点を取られることもある。失点が多いことは皆さんが指摘したいことだと思います。

 3−1でリードする中、我々は4点目を取りにいきました。それはCKのシーンでしたが、シュートを何回もブロックされながらも打ちに行った。その打ったボールが、不運なことに相手の14番の前に行って独走されてしまう、非常に不運な形もありました。その中でも、我々は後ろに1人置いておけば、その失点を防げたかもしれません。ただ、一番後ろの選手が打ちに行く、ゴールを狙う選択をした結果があの失点になったと思いますが、逆に言えばそれがゴールになったかもしれない。そこはたらればですが、我々はゴールを目指していく戦い方のもと、起こってしまった出来事だと思っています」


■柏レイソルの井原正巳監督のコメント(全文掲載)
 「札幌さんは攻撃の質が高く、得点力のあるチーム。そのストロングをしっかりと抑えつつ、我々の攻撃、また自分が就任してから得点というものが良い形でなかなか生まれていなかったので、そういう部分を今日のゲームで少しでも出していこうと試合に入りました。

 90分間を通して、最後まで勝利のために全員でハードワークしようというところも選手には毎日伝えている部分です。90分間勝利のために、全員がハードワークしてくれたと思っています。結果的に札幌さんのストロングの攻撃力を抑え切れず、残念な結果に終わってしまいましたが、我々も最後までビハインドから追いつこうという姿勢を見せてくれたと思っています。4点取れたことをポジティブに捉え、もう一度勝点を積み重ねられるよう、次に切り替えてやっていきたいと思います」

池田淳