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J1第15節(5月27日)、ホームで名古屋に1−2で敗戦

23・05・31
 上写真/前列左からFW小柏、MF菅、浅野(18番)、駒井(14番)、荒野(27番)、後列左からGK菅野、DF田中駿(2番)、福森、岡村、MF金子、宮澤(10番)、青木の存在がちょっと気になるところだが、この並びがベストメンバーと言っていいのかも知れない。前の試合でタンカのご厄介になった宮澤と田中駿が先発に名を連ね、ホッとしている

  (写真は5月27日、札幌ドーム、撮影・石井一弘)


 攻撃は 最大の防御は 大間違い

  ミシャ墓穴を掘り名古屋に1−2


 なぜ、絶好調の「コンサドーレに水を差す?」。ミハイロ・ペトロビッチ監督の独特の「癖が出てしまった」。5月の公式戦はホーム札幌ドームが多かった。5月3日の鹿島アントラーズ(0−1)までは、けが人やミスキャストと思われる「得点源の人選に苦労」して来た。先発はこの時点で5得点の浅野と小柏剛が2トップで「0点」に終わった。

 鹿島戦の次の5月6日FC東京戦(5−1)は、これまでJ1での対戦成績4勝4分け12敗の苦手に、5得点。この時はFWトップに小柏、シャドーに駒井善成と浅野雄也。WB(右)金子拓郎、(左)菅大輝。中央のボランチがキャプテン宮澤裕樹と荒野拓馬。DFラインは田中駿汰、岡村大八、福森晃斗。GK菅野孝憲。これがベスト・イレブンだ。控えに中村桐耶、ルーカス・フェルナンデス、馬場晴也の3人組が後半開始直後に「そろい踏み」した前後のゲーム(湘南ベルマーレ、京都サンガF.C.)戦当たりが「絶好調」だったに違いない。

 得点王争いでも28日現在、1位が大迫勇也(ヴィッセル神戸)11点、2位はアンデルソン・ロペス(横浜F・マリノス)9点、3位に浅野雄也8点(他2人)、6位の金子拓郎7点(他2人)がベスト10入りしている。この結果も札幌のJ1リーグ総点数が32は、5月28日現在、首位の神戸と並んでトップ。

 5月最終試合の方は、5月27日13時03分、札幌ドームに1万1千711人の有料観衆を入れキックオフ。室内気温23.5度。湿度53パーセント。熱の入ったサポーター応援席は札幌が5〜6千人。名古屋は応援席満席の500人。

 審判団は、池内明彦主審(39、広島県出身。毅然な態度で裁く)。副審は五十嵐泰之、西村幹也。第四の審判は野堀桂佑、VAR上村篤史(主審格)、AVAR熊谷幸剛。

 名古屋の監督は2年目の長谷川健太氏(57)。静岡県出身で、Jリーグ監督歴は清水−G大阪−FC東京から名古屋。G大阪では国内3冠、F東京ではルヴァンカップ制覇などがある。

 札幌のスタメンは、GK菅野孝憲、DF田中駿汰、岡村大八、福森晃斗、WB(右)金子拓郎、(左)菅大輝、MF荒野拓馬、宮澤裕樹、TOPに小柏剛、シャドーに浅野雄也と駒井善成。控えは、GKク・ソンユン、DF西野奨太、中村桐耶、MFスパチョーク、ルーカス・フェルナンデス、深井一希、FWミラン・トゥチッチ。

 名古屋は、GKランゲラック、DF丸山祐市、中谷進之介・藤井陽也、MF森下龍矢、米本拓司、稲垣祥、和泉竜司、FWマテウス・カストロ、永井謙佑、キャスパー・ユンカー。控えはGK武田洋平、DF野上結貴、MF甲田英將、内田宅哉、長澤和輝、FW貴田遼河、酒井宣福。

 札幌がキックオフ。と言うことは「逆攻めで自軍応援席に攻める」。フォーメーションは3−4−3でほぼ同じ。またドームは太陽光も風も関係なし。

 ―てなことを考えていたら、正確には30秒ぐらいか。札幌のパスの乱れからこぼれたボールを名古屋のベテラン永井が札幌ゴール前のスペースに出す。センターライン近くにいた相手FWユンカーが走っていく。背番号77のユンカーはデンマークから浦和に2年在籍、今季から名古屋に期限付き移籍中。オフサイドぎりぎりのスタートダッシュ。欧州サッカーの「ボーとしてんじゃないよ」。GK菅野も初めてだったろう。自陣には、DF福森と競り合うFWユンカー。ワントラップから打ったグラウンダーのボールは「ダレ触ることなくゴールイン」。ゲットタイムは測りようのない「1分」。あっという間に名古屋が先制した。

 この「知らぬが仏」の場面を見て、「呆れた展開を、自分自身では振り返れなかった」。ここまでは教え切れないサッカーを見たような気がするが、成り行きを指摘するまではいけなかった。

 40分、アフターで札幌MF金子に接触した名古屋MF森下にイエローカード、43分、名古屋FWユンカーを引き倒した差札幌MF菅にもイエローカード。0−1のまま前半アディショナルタイム2分経過。


【監督のハーフタイムコメント】
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「相手の背後を狙う事」、「もう少しテンポを上げていく事」、「2、3点取る力はある。ギアをもう一段階上げていこう」

■名古屋グランパスの長谷川健太監督のコメントはチーム発表なし


 後半は札幌が選手交代から始まった。菅OUTルーカス・フェルナンデスIN。コンサドーレに「動揺は感じられなかった」が、FK、CKを蹴る福森には気合が入る。高ぶっているようだ。

 追いつきたかった札幌だったが10分、名古屋にやられた。スローインからパスをつなぎ、MF森下が札幌ペナルティーエリア中央へグラウンダーの速いパスを送る。マテウスがダイレクトで決めて0−2。

 12分、名古屋ユンカーOUT内田宅IN。13分、名古屋永井を倒しFK(名古屋からFC東京に6年居たが戻ってきた永井)。マテウスがFKを蹴るが「やはり」永井狙いだった。

 15分、福森OUT中村IN。16分、今度は札幌の攻撃場面になるが、荒野が「ふかす」。

 17分、名古屋の永井が札幌DF田中駿を倒しイエローカード。19分、今度は札幌DF田中駿が永井を倒しイエロー。20分には名古屋MF米本がルーカスへの危険なタックルでイエローカード。

 22分過ぎ、札幌にチャンス。宮澤、荒野、駒井が走りまわり「頭で、浮き球で、足で」狙うが「外れ」。

 25分、札幌の荒野OUTスパチョークIN。27分、名古屋の米本OUT長澤IN、永井OUT酒井IN。両チーム激しく競り合い「攻守が変わる」。

 30分台に入り、札幌、金子、ルーカス、小柏がボールコントロールして保持するが、シュートまではいかない。38分、岡村OUT深井IN。

 ホームの意地を見せたい札幌が一発勝負。40分、中央に走り込んだ小柏が、金子の足元へ。金子が左足でトラップ、右足のシュートがゴールポストに当たってゴールイン。主審がVARを見るが「変わらない」。1−2。

 40分台に入り、名古屋のマテウスOUT野上IN。アディショナルタイムは6分。札幌は田中駿、小柏、ルーカスの足は止まらない。復帰した深井も後押し。

 52分、名古屋のランゲラックが遅延行為でイエロー。「1分タイムオーバーだヨ?」。試合はこのまま1−2で名古屋勝利で終了。

 シュート数は、札13−3名、CK札7−2名、FK札18−16名、PKなし。

 2023明治安田生命J1第16戦柏レイソル対北海道コンサドーレ札幌戦は、6月3日午後7時から柏市の三協フロンテア柏スタジアムで行われる。


 上写真/前半1分、記録上はこの1分表記だが実は何と前半27秒、名古屋FWキャスパー・ユンカー(左)が永井のパスを受けて先制ゴールを決め、ゴール裏で遠来の名古屋サポーターにアピール、隣はMF和泉(7番)、右ガックリとボールを拾いあげる札幌GK菅野。

 この時、先発メンバーの写真を撮影して取材位置に戻ったが、ゴールシーンには間に合わない速さだった


 上:上段写真/前半13分、札幌左CKからDF岡村(右手前)がヘッドでシュート、名古屋GKランゲラックに阻止されるもののCKを得る、札幌の選手左はFW小柏、DF田中駿(2番)、名古屋の選手左MF森下(17番)、DF丸山(3番)

 上:中段写真/前半22分、名古屋の攻撃を防ぎビルドアップの起点となるパスを出す札幌GK菅野、左名古屋FWキャスパー・ユンカー

 上:下段写真/前半35分、札幌FW小柏(19番)が元日本代表で名古屋のキャプテンMF稲垣にチェックされ押し戻される、後方札幌MF駒井


 上:上段写真/前半39分、札幌MF浅野(右)が駒井の縦パスを受けようとするが、名古屋DF丸山に阻止される、左GKランゲラック(1番)

 上:中段写真/前半43分、札幌MF菅(4番)が名古屋FWキャスパー・ユンカーの突進を止めようと倒してしまいイエローカードをもらう、左金子

 上:下段写真/前半追加タイム1分、札幌右CKからの攻撃で名古屋のクリアボールをMF金子(右手前)がボレーで攻める、他の札幌の選手左からDF岡村、田中駿(2番)、FW小柏、MF浅野、右端荒野(27番)、スタンドの札幌サポーターはストレスがたまっている


 上:上段写真/後半5分、札幌FW小柏(19番)とMF金子が名古屋FW永井(18番)の突進を挟むように阻止する

 上:中段写真/後半7分、札幌DF田中駿(2番)がドリブルで前線に上がる、FW小柏が右へ走る、右端名古屋MF米本

 上:下段写真/後半8分、札幌左CKからの攻撃は名古屋FW永井(中央左)にクリアされる、その右札幌MFルーカス・フェルナンデス(7番)、左奥にMF浅野(18番)、宮澤(10番)


 上:上段写真/後半10分、名古屋左サイドのMF森下のクロスにFWマテウス・カストロ(10番)が強烈なゴールを決めて追加点をあげる、札幌GK菅野(右奥)、札幌の他の選手、DF福森(左から2人目)、MFルーカス・フェルナンデス(7番)、右手前名古屋MF和泉(7番)

 上:下段写真/後半10分、追加点をあげガッツポーズの名古屋FWマテウス・カストロ(中央)と喜ぶFW永井(18番)、DF藤井(13番)、MF森下、札幌のDF福森(右)とMFルーカス・フェルナンデス(7番)はぼう然、奥にGK菅野(1番)


 上:上段写真/後半20分、札幌MFルーカス・フェルナンデス(左)が名古屋MF米本(下)の強烈なタックルに飛ばされる、米本にイエローカードが出る、後方MF稲垣

 上:中段写真/後半22分、ドリブルでゴールに向かう札幌MF浅野(18番)と、そうはさせじと懸命に並走する途中出場の名古屋MF内田(34番)

 上:下段写真/後半31分、ゴール前に迫る札幌MF駒井(中央)と田中駿(2番)、左端途中出場しているMFスパチョーク(49番)、右端名古屋FW永井に代わって途中出場している酒井(9番)


 上:上段写真/後半40分、札幌MF金子(9番)がFW小柏(左奥)のセンタリングを、名古屋DF藤井をかわしながらゴール左端に決め1点を返す、左GKランゲラック

 上:下段写真/札幌金子のゴールでさらに勢いづく札幌は後半43分、MF宮澤(10番)、FW小柏(その右)、MF駒井(右端)らが名古屋ゴール前に迫るが、MF稲垣(左)、途中出場のMF長澤(5番)らの堅い守りに得点を奪えず


 上写真/名古屋のMF稲垣(15番)、森下(17番)、長澤(5番)らが勝利を喜ぶ横で、ピッチで寝たまま顔を手で覆って悔しがる札幌のFW小柏、14番はMF駒井


 上:左側写真/後半7分、札幌MFルーカス・フェルナンデスの攻撃がCKになった時、気温が高くなったのか、自身が熱くなったのか、上着を脱いで杉浦コーチに手渡すペトロビッチ監督

 上:右側写真/後半10分に名古屋FWマテウス・カストロの追加点が入った後、12分にキャスパー・ユンカー(右)をお役御免とMF内田と代え出迎える長谷川健太監督


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント(全文掲載)
 「前半立ち上がりに失点をして、試合が難しくなった。加えてビルドアップがうまくいかない中でうまく攻撃の形を出せない前半だった。相手の狙いが、我々の攻撃を抑えていた内容だったと思う。後半は非常に良い形で入り、2点目を取られる前に同点にするチャンスがありました。だが、その中でサイドを突破され、失点をしてしまった。あの場面、素晴らしいシュートではあったが、人数は足りていたので、もっと寄せなければいけなかった。

 2点差の中でも選手たちは得点すべく落ち着いて進めてくれて、良い形も作れていた。そこから1点差とし、ハーフコートゲームを進めることができていたが、残念ながら同点には至らなかった。後半あれだけ出来ていたので、試合内容としては勝点1が取れていてもおかしくなかったが、今日はチャンスを決め切れず敗れてしまった。ただ、選手は最後まで戦ってくれた。悲観すべきものではない。これもサッカーだと思う。

 ボール支配率が勝敗を決めるわけではないが、我々は67%。シュートも上回った。札幌が相手を押し込んだことは見ている人には分かったと思う。だが、相手は少ないチャンスを決めた。そして最初の失点がやはり、我々の戦いを難しくした。そういう試合でした」


■名古屋グランパスの長谷川健太監督のコメント(一部抜粋)
 「今日は勝てて本当に良かったと思っています。水曜日の試合ではターンオーバーをして、今日は水曜日にまったく試合に出ていないメンバーが出場しました。とはいえ、札幌ドームは意外と湿度が高いというか。私もピッチサイドにいながらもけっこう汗だくになったので、この時期の札幌ドームというのはけっこう体力の消耗があるなと。ピッチも乾き気味で、慣れないとキツそうだなと感じましたし、最後はだいぶ押し込まれましたが、なんとか逃げ切ることができ、勝点3を持ち帰れることはうれしく思っています。

 選手もよく頑張ってくれました。水曜日に出たメンバーが頑張ってくれたからこそ、今回こういったメンバーでできたということもあります。クラブとしても前々日入りという部分で協力してくれました。もし昨日着いていて、13時からの試合だとなかなか良い形では出来なかったと思うので、いろいろな方の協力があって今日の勝点3があると思っています」

池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影