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J1第37節(11月27日)、柏に3−1で勝利し今季ホーム最終戦を飾る

21・12・02
 上写真/試合に先立ち23日に亡くなった湘南のオリベイラ選手の冥福を祈ってスタンドのサポーターと一緒になって黙とうする選手たち、札幌の選手は左からMF宮澤、金子(9番)、小柏(35番)、DF田中(2番)、MF駒井(14番)、高嶺(6番)、GK菅野(1番)、柏DF古賀(4番)の影にFWミラン・トゥチッチ、MFチャナティップ(18番)、DF福森(5番)、MF菅(4番)、左端柏DF三丸(20番)


(写真は11月27日、札幌ドーム、撮影・石井一弘)


トランペットの響きが2発

  3バックはミシャ監督だ!


 金管4重奏のバンドの演奏会を聞いた。暗い新型コロナの世相のように北海道コンサドーレ札幌は、落ち込んでいた。試合前夜テレビの演奏会で金管楽器だけの演奏があった。トランペット、ホルン、チューバ、バスーンの4人の奏者が、見事な、個性のある響きを「絡み合わせていた」。なるほど「たった4人」オーケストラの一員から「抜け出した」「見せる・聞かせる・引き付ける」魅力を持っているんだ。

 迎えて11月27日、コンサドーレは札幌ドームの最終戦を迎えた。ペトロビッチ監督が「来季も札幌」を決定したが、この日の相手柏レイソルのネルシーニョ監督とは「在日外国人監督の滞在最長」を競う中。さらに3−4−2−1のミシャ監督に合わせた「ミラーゲーム」で挑んできた。

 ここで、演奏会のメンバーを思い出した。トップ下の「ツーシャドー」は、リード楽器のホルンとチューバ。さらにMFとDFのつなぎ役にバスーン。当然トランペットはワントップ。「できた―出来た」。コンサドーレのトップは、ミラン・トゥチッチで、柏のCFはクリスティアーノ。

 試合の方は、2021明治安田生命J1リーグ第37節北海道コンサドーレ札幌対柏レイソル戦でホームの札幌ドーム。1万3千768人の今季最高、アウエー席もほぼ満席(1席空けルール)。屋外はみぞれ。室内は気温21.2度、湿度36パーセント。絶好のコンディション。14時04分、小屋幸栄主審(40、兵庫県出身)のホイッスルで札幌がキックオフ。

 これまでの対戦成績はJ1、J2、Jリーグカップ合わせて札幌の10勝3分け15敗で、今季のアウエー戦は2−1で札幌が勝利している。

 札幌のスタメンは、前節から深井一希、青木亮太、荒野拓馬が外れ、けがが回復した宮澤裕樹、菅大樹、ミラン・トゥチッチが先発した。布陣はGK菅野孝憲、DF田中駿汰−宮澤祐樹−福森晃斗、WB右に金子拓郎、左は菅大輝、ボランチに駒井善成と高嶺朋樹。トップにミラン・トゥチッチを配し、シャドーに小柏剛とチャナティップ。

 柏は、武藤雄樹が控えに回り、上島拓巳が入った。先発は、GKキム・スンギュ、DFは高橋祐治−上島拓巳−古賀太陽、MFは中央に三原雅俊とドッジ、右ワイドに大南拓磨、左は三丸拡。シャドーにマテウス・サヴィオと仲間隼斗を従えて、背番号9クリスティアーノ。ネルシーニョ監督、「なるほどネ」。

 立ち上がりから札幌がボールキープ。1分にチャナティップからトップのトゥチッチに入れるが、柏3バックが「待ってました」とばかりに跳ね返した。6分にも駒井が持ち込み金子から小柏につなぎ、DF田中駿に回しシュートを試みるが、枠外。この後、柏の攻撃が続き、サヴィオの強烈なシュート浴びるがGK菅野が好セーブ。

 13分、札幌が先取点を奪う。チャナティップからの展開で、トップのトゥチッチに渡る。下向きの姿勢から顔を上げ左足を振り抜き、来日初得点。1万余の観衆から、祝福の拍手が鳴りやまない。主審はVAR判定に掛けるが「得点が認められた」。

 23分、柏のMF仲間にイエローカード。飲水タイム後に福森がキック。トゥチッチに入りヘディングシュートを放つが、GKにキャッチされる。柏は札幌FWトゥチッチに重点を置きマーク。この隙に札幌のもう一つの展開。28分、スローインからチャナティップがロングフィード。右シャドーの小柏が反応して「急加速」。DF陣を振り払い右足を振り抜き、追加点。この後、柏からチャナティップの「ハンド」の申し立てがあったが、主審は「認めず」。

 アッという間に30分。今度は柏の攻撃が実る。右サイドからの攻撃で、大南―サヴィオにパスが回りトップのクリスティアーノ。右足の強烈なシュートを叩き込んだ。

 失点後の札幌は慌てることなく丁寧なパス回しで、ボールキープ。中央DFラインの調整役・宮澤キャプテンの指揮のもと2−1で前半を終了した。


【監督のハーフタイムコメント】
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「球際を強くいこう」、「ボールの動かし方を工夫していこう」、「後半の入り方が重要になってくる」、「アグレッシブに戦って勝つぞ」

■柏レイソルのネルシーニョ監督のコメント
 「後半もやるべきことは変わらない。チャンスを逃さないこと」、「危険な場面はしっかりつぶすこと」

 
 後半は、柏が早々と選手交代。仲間OUT神谷優太IN。サヴィオOUT武藤雄樹IN。ここでコンサドーレ攻撃陣がアップテンポのハーモニーを披露する。後半開始2分後の出来事。右側からの早いパス回しで駒井、小柏、チャナティップ、金子と流れるような展開で相手守備陣を翻弄。最後は、ゴール前にうまく走り込んだトゥチッチが左足を合わせて、2得点目。「ブラボー」とミシャが言ったか? 5試合ぶりの「先発」。8月に入団以来、「やっとチームに溶け込めた」。

 これで3−1とし、コンサドーレに「自信が見えた」。気になるFWジェイの「最後の登場」。札幌は飲水タイム過ぎまで「交代なし」。四方田修平ヘッドコーチ、通訳兼コーチの杉浦大輔コーチが、ミシャ監督に「接近」するが、ピッチの選手の「指示」に懸命。

 やっと動いたのは31分、宮澤OUT深井一希IN。チャナティップOUT青木亮太IN。駒井OUT荒野拓馬IN。ベンチにジェイの姿。39分にトゥチッチに代わって入った。今季で「契約満了」の彼は、1万余のサポーターに「迎えられ、終焉を味わった」だろう。まだおまけが、この日は続いた。新入団の西野奨太(17、札幌市出身、コンサドーレU−18)の初出場が後半46分、福森OUT西野INで達成された。

 ジェイ「さよなら」。西野「いらっしゃい」。トゥチッチ「2得点おめでとう」。ペトロビッチ監督「日本滞在J1・216勝」−ネルシーニョ監督「J1・200勝」。ミシャがリードしているが、まだ1試合残っているよ。

 シュート数は、札14−柏7、CK札5−柏0、FK札19−柏13、PKなし。

 最終節2021明治安田生命J1第38節横浜FC対北海道コンサドーレ札幌戦は12月4日午後2時から横浜市のニッパツ三ッ沢競技場で行われる。


 上:上段写真/前半13分、札幌陣内で札幌DF田中(左)とMF高嶺(6番)が柏MF三原と競り合いボールを奪い、この後田中、高嶺、MFチャナティップとつないでFWミラン・トゥチッチの先制ゴールの起点となった

 上:下段写真/前半13分、札幌FWミラン・トゥチッチ(中央)がMFチャナティップのスルーパスを受けてチームに合流して初となる先制ゴールを決める、右ピッチに伏して悔しがる柏DF上島、左札幌MF小柏


 上:上段写真/前半28分、札幌左スローインの流れからMFチャナティップ(右)が小柏のゴールを呼ぶ絶妙のスルーパスを出す、左柏MF三原(27番)

 上:下段写真/前半28分、札幌MFチャナティップのスルーパスを受け、柏DF古賀(4番)のマークをものともせず、追加点となるゴールを決めるMF小柏


 上:上段写真/前半30分、柏FWクリスティアーノ(9番)がMFマテウス・サヴィオのパスを受けてゴールを決め1点を返す

 上下段写真/前半30分、柏FWクリスティアーノにゴールを決められガックリの札幌DF宮澤(10番)とGK菅野、左はゴールのボールを拾いあげセンターサークルに急ぐ柏MF仲間(33番)


 上写真/けがから復帰して6試合ぶりに先発した札幌キャプテンDF宮澤(中央)が柏FWクリスティアーノ(9番)のボールに果敢に挑む、安定感がありチームをまとめた


 上:左側上段写真/後半2分、札幌は右スローインの流れからDF田中、MF小柏、金子、小柏、チャナティップとパスをつなぎ、最後に金子(左から3人目)が絶妙のクロスを入れ、3点目をアシストする

 上:左側下段写真/後半2分、札幌FWミラン・トゥチッチ(32番)が3点目を決めMF金子(9番)、高嶺(6番)、菅(4番)らに祝福を受ける、MFチャナティップ(18番)とハイタッチするキャプテンDF宮澤(右端)の表情が本当に嬉しそうだ

 上:右側写真/後半2分、札幌FWミラン・トゥチッチ(32番)が自身この試合2点目となるゴールを決め両手を広げて走り出す、奥右でMF駒井も同様の格好をしている、左柏MFドッジ(22番)


■北海道コンサドーレ札幌のミラン・トゥチッチ選手のコメント
 「得点の場面は、1点目はチャナティップがすごく良いパスをくれた。私はフィニッシュをするだけでしたので、チャナティップに感謝したいと思う。2点目については、練習どおりの得点ですごくうれしかった。こちらもチームメートの良いプレーによるものが大きいので、こちらについてもやはり仲間に感謝したい。そして得点はもちろんうれしいが、今日一番うれしいのはチームが勝利をしたことです。これからもっともっとチームにフィットできるように頑張っていきたいと思う」


 上:上段写真/後半8分、後半はじめから途中出場した柏FW武藤(19番)の攻撃を、札幌DF福森(5番)が厳しい守りで押し返す、27番は柏MF三原、札幌の選手は左へMF高嶺(6番)、GK菅野、MF金子(9番)

 上:中段写真/後半8分、柏FWクリスティアーノのシュートを札幌GK菅野(1番)がファインセーブ、左DF福森(5番)

 上:下段写真/後半33分、札幌FWミラン・トゥチッチ(中央上)が自陣DF福森からのパスを、柏DF上島(左)ともつれながらポストプレーでボールをキープ、守備でも貢献する、後方右端MF深井(8番)とその左高嶺


 上:上段写真/後半追加タイム2分、直前に札幌史上最年少記録で起用されたDF西野(47番)が柏FW細谷(35番)とボールを奪い合う

 上:下段写真/後半追加タイム2分、札幌DF西野(47番)と柏FW細谷(その左)が奪い合ったボールのこぼれ球をDF田中(2番)がクリア、左端柏MF戸嶋(28番)


 上:上段写真/後半追加タイム3分、札幌FWジェイ(48番)がゴール前に迫るも、柏DF上島(右)にクリアされる、だがその迫力は満点だった。DF宮澤、福森とつないだキャプテンマークを巻き最後のゲームをまっとうした、後方MF青木

 上:下段写真/試合終了後のあいさつでMF荒野(27番)と抱き合うFWジェイ、その右にフレッシュな新人DF西野が・・・


■北海道コンサドーレ札幌のジェイ選手のコメント
 「最後の試合で勝利できたのはうれしい。サポーターの笑顔を見てイギリスに帰ることができて、それは非常にうれしい。スタンドに国旗のデザインを作り出してくれたことは、試合中には気づかなかったのだが、試合後の挨拶のときに気がついて涙が出そうになった。札幌のサポーターは最高で、言葉が出ないほどに感謝しています。彼らのサポートは常に感じていた。「ありがとうございます」と伝えたい。このチームでプレーできたことも誇りに思っている」


 上:左側写真/後半5分、大声で指示を出す札幌のペトロビッチ監督、後方に柏のネルシーニョ監督の顔がチラッと見える

 上:右側写真/前半30分、柏FWクリスティアーノのゴールで1点を返した直後、コーチと話し合うネルシーニョ監督


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント(一部抜粋)
 「我々が立ち上がりから主導権を握って得点を重ね、勝利に値した。相手のネルシーニョ監督は我々との対戦でシステムを合わせてくることが過去に何度かあったが、予想どおりそうした戦いをしてきた。そうして我々の選手も良い戦いをして、相手の守備からのカウンターを少ない回数にしてくれた。得点は1、2点目も素晴らしかったし、3点目も美しかった。攻守で良い戦いができた。失点は自分たちのミスから与えてしまったもので反省が必要だが、それ以上に気持ちのこもった、狙いのある戦いを選手たちは見せてくれたと思う」


■柏レイソルのネルシーニョ監督のコメント(一部抜粋)
 「今日のゲームというのは両者にとって非常にきっ抗した、オープンな展開が続いたゲーム内容だったんじゃないかなと。非常にテクニカルで、両者とも勝利を懸けてファイトしたゲームだったと思います。前半から相当数チャンスを作れていましたが、今日のゲームで決定的に違ったのは、作った決定機を仕留められたか、仕留められなかったか。札幌さんは作った決定機をほぼほぼ仕留めていたと思うんですけども、それに対してウチはなかなか決定機をモノにすることができず、最後までズルズルいって、それが尾を引いてしまった。そういった内容の試合だったと見ています」

池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影