コンサドーレ札幌ピックアップ情報

一覧に戻る

J1第24節(8月14日)、ホームでFC東京に3−2で逆転勝利

21・08・17
 上写真/前半開始早々の2分、東京FWアダイウトン(15番)が自陣から長いドリブルで持ち込み、いったん並走するレアンドロに出しその折り返しを持ち込んで先制ゴールを決める、前に出て来た札幌GK菅野(左下)と交錯しないよう大きくジャンプ、右MF菅(4番)

 (写真は8月14日、札幌ドーム、撮影・石井一弘)


 青木が2得点「逆転勝ち」で連勝

  FC東京に3−2の夢物語だ!


 ペトロビッチ監督の選手起用とシステムが「がらりと変わった」。先発のトップが3人。小柏剛・青木亮太・ベテラン駒井善成。3−4−3の「理想の得点型トッププラン」。相手はFC東京。現在日本人J1監督のトップの座にいる長谷川健太氏。立ち上がり2分に札幌のゴールをぶち抜いたFWアダイウトン(ブラジル2年目)の「あまりにも凄すぎる突進に」度肝を抜かれた。

 北海道コンサドーレ札幌が、宿敵・浦和レッズを2−1で破り「まだまだいける」。中4日で「予想だにしなかった」FC東京戦で「逆転勝ちした」。今季の対戦では4月7日アウエー戦で1−2で敗れている。愛称・ミシャの考えどころだった。その「成功した戦いぶり」を紐解いてみよう。

 試合は8月14日札幌ドームで行われた。午後2時3分、松尾一主審(48、大阪府出身=選手の扱いがソフト)の笛でF東京がキックオフ。ドームは気温24.9度、湿度42パーセントでスタート、7千437人が、激しい太鼓のリズムに合わせて「拍手」を送った。

 当初は「どうしたんだ」と言いたいくらい札幌は選手間の位置取りが「バラバラ」。札幌の布陣はGK菅野孝憲、DF田中駿汰・宮澤裕樹・福森晃斗。ボランチは荒野拓馬と深井一希。ウィングバックは右・金子拓郎と久々の先発左・菅大輝。得点源の3人は青木−小柏−駒井。このスタメンが「まごまご」している2分、F東京は東京五輪のサーフィンの波乗りの速さで中盤のMF東慶悟−青木拓也−FWアダイウトン−田川亨介らのパス回しから、ペナルティーエリアに走り込んだFWレアンドロがアダイウトンにパス、GK菅野と1対1になったが右足で「すれ違い」にボールを流し込んだ。

 札幌の新体制が「どのくらい」ポジション取りに「取り組んだか」疑問。F東京もここ5試合はアウエー戦が多く3勝1分け1敗。札幌は2勝1分け2敗。F東京の「先制」と勝率の割合は「約78パーセント」と聞き、またか―と「ミシャ作戦失敗」を覚悟した。

 勝機を探し出そうと、中央の荒野―深井の札幌コンビが動き回る。DFの3人はGK菅野を引き出しながらパス回し。全体が『しっくり』まとまりだした。16分落ち着いたかに見えたが、F東京・FW田川の突進を止めたDF福森にイエローカード。だが、金子、田中、菅らのFW陣へのパスが通りだした(26分飲水タイム)。

 札幌は見違えるようにパスのリズムが出てきた。荒野、深井に連れ、駒井、金子、田中らがFW3人組をターゲットに「チャンスを狙う」形が出来た。

 36分、札幌にCKのチャンス。率先して福森がキッカー。深井・田中が突っ込むが防がれる。さらに札幌にチャンス。41分、中盤で荒野が右サイドの金子へ。金子はペナルティーエリアの右から振り向いての左足のシュートを放つ。GK波多野豪にはじかれるが、GKの右側に走り込んだ小柏が「グッドタイミング」。頭で決めて1−1。

 しかし、45分。F東京が1点目と同様、レアンドローアダイウトンのコンビで、2点目。1−2とリードされてアディショナルタイムは3分で前半を終わった。


【監督のハーフタイムコメント】
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「2失点とももったい無かった」、「ボールの取られ方が悪いので気を付けていこう」、「ギアを上げていこう 2点取って逆転しよう」

■FC東京の長谷川健太監督のコメント
「良い形で点を取れている。次の1点を取りに行こう」、「攻守のバランスを意識してプレーしよう」


 後半は、札幌がいつになく「選手交代」が早い。荒野OUTジェイIN。深井OUT高嶺朋樹IN。ジェイが入り駒井がボランチに。

 札幌ベンチにはGK中野小次郎、DF柳貴博、岡村大八、MF小野伸二、FWドゥグラス・オリヴェイラが出番を待っている。

 早くも4分試合が動いた。札幌・青木のゴール。DF福森のロングフィードをセンターサークル付近から左足でペナルティエリア内の小柏にパス、これを小柏がダイレクトで中央に折り返し、青木が走り込んでゲット。2−2とする。

 10分、F東京の切リ札・永井謙佑投入(FW田川と交代)。FWレアンドロと永井のパス交換を察知、札幌MF高嶺がレアンドロを徹底マーク。これで札幌の守りが、固まってきた。FWに入ったジェイが、身を挺して「浮き球」を自群の選手に供給する。攻守両面に「体を張って」頑張っている。

 来たぞ!19分、右サイドの駒井がハーフウエーライン近くから逆サイドの菅に送り込む。大外から菅は福森に落とす。福森は左足ワンタッチでジェイを狙う。ゴール前のジェイは胸で落とす。走り込んだのは青木。「ふわっと浮かし」ゴールイン。大逆転。3−2の得点が意味するものは「多大」。F東京はすでに4人の選手交代(24分飲水タイム)。

 もはや流れは、コンサドーレへ。30分、金子OUT柳IN。2得点の青木OUTオリヴェイラIN。44分GK菅野「ヒヤリ」。レアンドロの縦パスをMF三田啓貴がシュート、GK菅野の好捕に遭う。45分小柏OUT岡村IN。

 アディショナルタイムは5分。F東京、最後の切り札・永井のドリブルに宮澤がタックル。イエローカード。さらにF東京が49分にCK。三田のキックはファーへ流れたが、こぼれ球を拾ったペナルティーエリア内のDF鈴木準弥がシュートするがGK菅野の好守で逃げ切る。終了の笛。勝ち点3を積み上げ、F東京と35で並んだが得失点差で+1で上回り8位に上がった。F東京は9位。

 シュート数は、札14−F東13、CK札5−F東6、FK札13−F東22、PKなし。
   
 次の2021明治安田生命J1リーグ第25節北海道コンサドーレ札幌対大分トリニータ戦は8月21日午後7時から、大分市の昭和電工ドーム大分で行われる。


 上写真/前半37分、東京FW田川(左から2人目)のシュートを札幌GK菅野が体を伸ばして防ぐ、右MF深井(8番)、左端東京DF小川(6番)


 上:上段写真/前半41分、札幌MF金子(中央)が東京DFバングーナガンデ佳史扶(左)をかわしてシュート、FW小柏(右手前)が反応してGK前に詰める、右奥東京MF安部

 上:下段写真/前半14分、札幌FW小柏(35番)が金子のシュートをGK波多野(右)がはじき前にこぼれたボールをヘッドで押し込み同点とし、そのボールを小脇に抱えてセンターサークル方向へ走る、波多野は「しまった」という表情で天を仰ぐ

■北海道コンサドーレ札幌の小柏剛選手のコメント(一部抜粋)
 「得点の場面は、金子(拓郎)選手がサイドに入ればクロスが入ってくると思っていたので、ああいう形は予想していた。押し込めて良かった。ボールがこぼれてきたのはラッキーだったが、相手CBのちょうど中間に立てていたし、こぼれ球への意識は常に持っていたので、そうした部分も生きたと思っている」


 上:上段写真/前半45分、札幌MF駒井(右)が東京DF森重(3番)と激しくボールを奪い合う、後方左東京MF安部と札幌MF金子(9番)

 上:下段写真/前半45分、東京FWアダイウトンに2点目を決められ「ヤラレター」といった感じの札幌の選手たち、左から手前MF荒野、奥DF福森、MF青木(28番)、菅、GK菅野


 上:上段写真/後半4分の同点場面(上・中・下段3枚連続)、札幌DF福森のロングフィードをFW小柏(手前)ワンタッチで落とし、(中段写真)MF青木のゴールをアシストする。左東京DF森重(3番)、右端渡辺剛(4番)、後半から出場した札幌FWジェイ(48番)もゴール前に走り込んでいる

 上:中段写真/後半4分、札幌MF青木(右奥)がFW小柏が落としたボールをシュート、同点となるJ1初ゴールを決める、東京GK波多野(13番)、中央DF小川、左渡辺剛(4番)

 上:下段写真/後半4分、札幌MF青木(右)が同点となるJ1初ゴールを決め、アシストしたFW小柏に走り寄って喜び合うMF金子(左)、右奥で東京DFバングーナガンデ佳史扶がうらめしそう


 上:下段写真/後半19分、札幌MF青木が逆転のゴールを決め、DF福森(左奥)からのロングフィードを絶妙の胸ワンタッチパスでアシストしたFWジェイ(右)と抱き合って喜ぶ、走り寄った小柏(35番)がジェイとハイタッチ、MF高嶺(6番)も笑顔、右奥で東京キャプテンMF東が頭に手をやりぶぜんといった感じ

■北海道コンサドーレ札幌の青木亮太選手のコメント(一部抜粋)
 「チームとしての良い形が出て、自分の2得点につながったと思っている。どちらもまず、福森(晃斗)選手のパスが良かったので、パスが出た瞬間に良い形で動き出すことができた。しっかり集中して、足で面を作って決め切ることができた。2点目の方は、相手GKがボールに向かってきていたので、それを冷静に見て、シュートを打てたのが良かったと感じている」


 上写真/後半21分、札幌DF福森(左)が東京DF渡辺剛(4番)にからむ、福森はこの試合、自身のゴールはならなかったが、青木の2本のゴールを正確なフィードでお膳立てした


 上:上段写真/後半29分、東京左CKからの攻撃でDF渡辺剛のシュートを札幌GK菅野(左)がスーパーセーブで東京の絶好機をしのぐ、札幌の選手DF宮澤(10番)、福森(5番)、MF青木(28番)、東京の選手、DF森重(3番)、鈴木(28番)、DF小川(6番)

 上:下段写真/後半追加タイム4分、東京左CKからDF森重(3番)の猛攻を札幌DF田中(その左)が防ぐ、札幌の選手左からGK菅野(1番)、DF宮澤(倒れて足を抑えている)、MF駒井(14番)、右端終盤出場したDF岡村


 上:上段写真/試合終了の瞬間、勝った方も負けた方も疲れ切った表情、左から左足を押えて座り込む札幌DF宮澤を気使うDF柳(奥)と岡村(50番)、ひざに手をやる東京MF安部、DF森重(3番)、札幌MF高嶺(6番)、東京MF三田(7番)、FWレアンドロ(20番)

 上:下段写真/激闘の末、勝ち点3をもぎ取りヤレヤレといった表情の札幌の選手たち、左からDF田中(2番)、その後方にDF岡村(50番)、福森(5番)、MF駒井(14番)、DF柳(3番)、宮澤(10番)、FWドゥグラス・オリヴェイラ(33番)、ジェイ(48番)、MF高嶺(6番)、菅、GK菅野


 上:上段写真/後半4分、札幌MF青木が同点となるJ1初ゴールを決めると、ペトロビッチ監督は何とも言いようもない表情を見せた、右は喜んで走り寄るMF菅(4番)

 上:下段写真/前半27分、1点リードの前半給水タイム、東京FW田川(右27番)に指示を出す長谷川健太監督、左はレアンドロ


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント(一部抜粋)
 「両チームの選手を称えたい。非常にテンポも強度も高い素晴らしいゲームでした。我々は入りがあまり良くない中で、出足に遅れて3分に失点して難しくなった。なかなかペースが握れなかったが、15分過ぎからチャンスを作ることができた。その中で同点にできたのは良かった。続けて支配して押し込む展開を作っていたが、ミスから前半最後に失点をした。相手のブラジル人選手の推進力、個の能力に手を焼いた前半でした。後半、何がなんでも勝つという思いが私も選手も強く、勢いを出すためにジェイと高嶺(朋樹)を入れました。そして、後半の入りから勢いがよく、意図する形から得点できたのは良かった。試合を通して東京も素晴らしかったですし、危ない場面もありました。その中で、何がなんでも勝利するという気持ちを選手たちが最後まで見せてくれました。勝利に値する試合を見せてくれたと思います」


■FC東京の長谷川健太監督のコメント(一部抜粋)
 「お互いの持ち味が出た試合だと思います。その中でホームの札幌が一枚上手だったと思います。ただ、選手たちは勝つために全力を出してくれましたし、点を取れていることはポジティブなことだと思いますので、良いところは継続しつつ、改善できるところは改善したい。防げる失点をいかに防いでいくかだと思うし、ここ数試合、失点がかさんできているので、反省すべきところ。そこは反省して、次の試合に向けて準備していきたいと思います」


池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影