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弊紙発刊の書籍がリニューアル版で絶賛販売中【一部抜粋し紹介】

24・12・11
 Amazon初登場時にカテゴリー別4位となった「100万円も借りられなかったNPOが、街クラブ日本一の施設を造った奇跡の物語」(出版元:北のサッカーアンビシャス)が、全国のサッカー関係者から注目を集め、「クラブ40周年記念誌同梱版」としてリニューアル発売となった。

 こちらの特装版は、現在Amazonで限定販売中。地域スポーツ関係者には関心の高いクラブ運営や、あっと驚く施設の作り方も実例を基に紹介。ご興味のある方は是非どうぞ。

 本紙では、本の中身を少しずつではあるが紹介している。今回は第十二の巻「土地の購入から、一気に人工芝グラウンドへ!」の章を抜粋し、紹介したい(登場人物の年齢、所属、役職などは2017年通常版出版時のものとなります)。


【以下書籍より一部抜粋】

第十二の巻「土地の購入から、一気に人工芝グラウンドへ!」
(中略)
 月日が流れた2012年12月。SSSがメインバンクからの借入金を元手にグラウンド用地の購入に至り、やっと人工芝導入の交渉に入る。交渉と言っても、スポーツ振興くじ助成の施設関連の対象事業では、公正かつ適正な価格で契約をするため、一般競争入札、指名落札入札、見積もり合わせ、プロポーザル方式のいずれかで施工会社を選択する必要がある。

 スポーツ振興くじ助成金を活用するにあたり、当然ではあるが一切の口利きなどは不可能で、他社メーカーとの3社以上による見積もり合わせでの施工請負業者選定が行われた。しかも、SSSが提示した条件は、土地購入で借入金が膨らんでいたこともあり、かなり厳しいものだった。その一因としては、土地の整地や暗渠(あんきょ。地下に埋設する水路の設置)を含めた土木工事を一から始めなければならないこともあった。

 費用的に厳しい条件の中、契約に至ったのは、倉口氏が率いるヨコハマ弾性舗装システム株式会社、土木工事を担当する株式会社橋本工業(札幌市。代表取締役橋本雄二氏)、土木設計を担当する株式会社スポーツビジネス研究所(札幌市。代表取締役今野一彦氏)のチーム体制だった。製品の質を下げずに、全体の工費で最安値を提示出来たのには理由があった。それは、真隣の土地で先に人工芝グラウンドの施工実績があり、地盤の調査や、土木工事の内容でもコストを下げる計算が出来たからである。

 倉口氏は語る。「価格競争をするからと言って、良いものを提供するためには、なんでもかんでも安くする訳にはいかない。今回の場合は、隣の高校さんの時も道内最初の導入例ということで、既に価格面で頑張っており、今回もその価格を基準にすることが出来た。当社としても隣同士に2面のストライプ式の最新型人工芝がそろうのは、全国的に見ても宣伝効果は非常に高い。その分どこにも負けない良いものが出来たと思う」――現場に立ち続ける職人としてのプライドものぞかせた。

 土木工事を担当した橋本代表は「正直価格的にも厳しいものがありましたが、子どもたちのためにと、私たちも社員一丸となって頑張らさせていただきました。他では難しかったと思いますが、ヨコハマ弾性舗装システムさんとの連携があって可能となった仕事だと思います」と、日焼けし引き締まった表情で振り返った。

 スポーツビジネスを研究のテーマとし、大型スポーツ施設の土木設計などを担当している今野氏は「NPO法人の資金力で、グラウンド用地を購入し、人工芝生化を図るのは簡単ではないと思います。SSSさんでは、難しいと思われていた時からしっかりとしたビジョンを持って取り組んでいたのが、その後の展開にも間違いなくつながっていると思いますし、私も北海道型の面白い事業が出来ると大いに期待していました」。

 最後に倉口氏は、「北海道の場合、本州での使用に比べて、約倍の期間対応出来るように人工芝を造って管理しているが、これは単純に冬期間の使用頻度が少ないからだけではありません。芝そのものの性能や、本数や密度も他社製品に比べ優位性を出しています。また雪国ならではの気候条件に負けない芝の耐久性、さらには地盤の凍上(とうじょう。地盤が凍って持ち上がる)という問題もあり、それもクリアーしなければならない。これも、上物の人工芝だけで考えるのでなく、橋本工業との連携もあり、土木工事からノウハウの積み重ねで出来ることです」。

 続けて「人工芝の製造はもちろん、施工から管理に至るまで全てのサービスを一貫して行えるのも当社だけの強み。人工芝専用の機械を道内で保有するなど、補修も含めたアフターサービスも評価されています。また、近年米国で問題提起されたリサイクルゴムチップの成分に対しても、当然ではありますが当社ではヨコハマタイヤで問題の無いものだけを厳選して導入しているので心配はありません。加えて国の最新調査でも問題無しとの検査結果が出ており、さらに信頼性が高まったと言えます」と、競合他社との違いに自信を見せた。

 柴田も、「気候条件の厳しい北海道で、長く使用するためのアフターサービスは重要。その点でもヨコハマ弾性舗装システムさんと、橋本工業さんの連携は安心しています。また、いろいろなノウハウを結集し、総工費を抑えていただくなど、このチーム体制が無ければ人工芝生化は不可能だったと思います」と改めて感謝していた。

 今後、人工芝の導入を検討している団体関係者には、それぞれの地域の気候条件や、地盤の特性(硬い地盤、粘土質、砂地なのか。凍上や地盤沈下の可能性)などを考慮した施工内容はもちろん、長く使用するためにも、単純な導入費用(イニシャルコスト)での比較だけではなく、管理、補修を含めたアフターサービスも重視することをお薦めする。人工芝とはいえ、しっかりとした管理と長く使用する分、それに伴うランニングコスト(維持するための費用。人工芝の部分補修やゴムチップの補充など)も計算しなければならない。

 上:上段写真/グラウンドの土木工事の様子。暗渠(あんきょ)排水の整備を地面下にしっかりと行うことで、大雨でも水たまりの出来ない、水はけの良いグラウンドとなっている(2013年7月撮影)

 上:下段写真/人工芝工事の様子。ゼブラ模様の人工芝を採用することで、デザイン性だけではなく、公式試合時のオフサイドラインの見極めや、指導時のミニコートやグリッドの作りやすさなどの利点もある(2013年8月撮影)


 上:上段写真/2013年9月8日、日本中が2020年東京オリンピック・パラリンピック開催決定に沸いたその日にグラウンドオープンイベントを開催

 上:下段写真/オープンイベントに集まった約500人の子どもたちは真新しい人工芝の感覚を踏みしめながら、初めてのホームグラウンドでサッカーを楽しんだ


 ―この続きにご興味のある方は、ぜひ本書でお楽しみください。通常版はAmazonかコーチャンフォー(道内一部店舗)で、特装版はAmazonでのみ販売しております(Amazonサイト内で本のタイトルか、「SSSNPO100万円」で検索するとトップページに表示されます)。

 「あなたも奇跡と呼ばれたプロジェクトの証人となる!?」


【書籍情報】
題 名:「100万円も借りられなかったNPOが、
     街クラブ日本一の施設を造った奇跡の物語」

著 者:北のサッカーアンビシャス編集部
    協力SSSドリームプロジェクト特命チーム
    イラスト担当スエリス

発行所:北のサッカーアンビシャス

形 式:A5版300ページ
   (カラー8P、モノクロ292P内イラスト20P)

価 格:クラブ40周年記念誌(カラー20P)付きの特装版は1,210円
    通常版は1,100円(ヤマトDM便での発送)

販売先:特装版はAmazonでのみ取り扱い中
   (本のタイトルか、「SSSNPO100万円」で検索)
    通常版はAmazonとコーチャンフォーで取り扱い中
   (道内一部店舗)
編集部