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J1第9節(4月23日)、ゴール取り消しに泣き福岡とドロー

23・04・27
 上:上段写真/福岡戦の札幌先発メンバーが記念写真から気合を入れてピッチに向かう、前列左からDF菅(4番)、MF浅野(18番)、青木(11番)、ルーカス・フェルナンデス(7番)、駒井、荒野(27番)、後列左からGK菅野、DF田中駿(2番)、MF福森、DF岡村(50番)、MF金子。GK菅野は開幕戦以来の先発となった

 上:下段写真/前半5分、札幌MF金子(9番)が右サイドを駆け上がり、福岡MF小田(16番)をかわしてクロスを入れ、相手DFに当たって荒野の先制ゴールにつながる

 (写真は4月23日、札幌ドーム、撮影・石井一弘)


 ミシャ監督 うっぷん晴らし イエローだ

  福岡=前と奈良 道産子根性 2−2

 九州の福岡県、太宰府天満宮は「菅原道真を祀る神社」として知られる。「七重八重花は咲けども山吹の実の一つだに無きぞ悲しき」。子どもの頃、この句を「暗唱して」、何という奥ゆかしい事だろうと思った(我が家には雨を凌ぐものもない)。

 この福岡のサッカーチーム、1995年JFL加入と言うから「コンサドーレ札幌」より1年先輩。試合で何が起きたかと言うと、前半2得点の札幌、後半2得点福岡。九州から北海道、桜前線も「今年はスピードアップ」したらしい。2−2の引き分け合戦、追い付かれた札幌の方が「惨め?」。

 4月23日の午後2時、明治安田生命J1第9節北海道コンサドーレ札幌対アビスパ福岡戦は札幌ドームで行われた。入場者は1万2千495人と発表され、日曜日の開催としては少ない。遠来の福岡はビジター席に150人ほど。屋内は気温22度、湿度34パーセントと、いつもより低温・低湿度。

 審判団は、木村博之主審(41、千葉県出身で、カタール大会を最後に勇退した佐藤隆次主審の後任としてJの顔に)。副審は大塚晴弘、武田光晴。第4の審判は関谷宣貴。VAR先立圭吾(主審級)AVAR武部陽介。

 14時03分、白いユニホームの福岡のキックオフで始まった。札幌は3−4−2−1で、GK菅野孝憲とルーカス・フェルナンデスが久々の先発。スタメンはGK菅野孝憲、DF田中駿汰、岡村大八、菅大輝、WB金子拓郎(右)とルーカス・フェルナンデス(左)、ボランチは荒野拓馬と福森晃斗、FWはトップ駒井善成に両サポートは右・浅野雄也と左・青木亮太。控えはGK大谷幸輝、DF馬場晴也、西野奨太、MF宮澤裕樹、スパチョーク、FWキム・ゴンヒ、ミラン・トゥチッチ。

 一方の福岡は、GK村上昌謙、DFドウグラス・グローリ、奈良竜樹、三國ケネディエブス、MF湯澤聖人、紺野和也、中村駿、前寛之、小田逸稀、FWルキアン、山岸祐也。控えはGK永石拓海、DF前嶋洋太、MF城後寿、田邊草民・金森健志、FWウェリントン、鶴野怜樹(道産子の2人、昨年は前がキャプテンマークをつけていたが、今年は奈良がつけることが多い)。

 4年目を迎えた長谷部茂利監督(51、2020年から福岡。当日4月23日が誕生日)。対戦成績は札幌の15勝10分け14敗と札幌リード。しかし昨季は1分け1敗。直前5試合は札幌が2勝1分け2敗。福岡は2勝2分け1敗。

 両チームのキャプテンマークは札幌が荒野、福岡は奈良。荒野が同期ながらリーグデビューは1年先輩で2010年から、奈良が2011年から14年まで「同僚」。

 開始からホームの札幌が金子、浅野、福森の動きが目立つ。5分、左のDFに入った菅が右の金子までロングパス。金子はドリブル&フェイントでペナルティーエリアに進入。相手DF奈良に当たるが、走り込んだキャプテン荒野がダイレクトでネットを揺らした。幸先良く札幌先制で1−0。

 さらに札幌は、自陣の3バックからの展開、トップの駒井の中央への走り込みを考えての配球が「功を奏し」、金子に前後して青木、浅野のリズムの違った動きが際立ってきた。

 「また金子の出番かな?」と思った13分。今度は自陣から背番号18浅野が持ち上がる。浅野−青木にパス。なんか初めてお目にかかった光景に左のWBに入ったルーカスがフリーで中央に折り返す。ゴール前に走り込んだ浅野が右足で流し込み追加点。2−0と優位に立つ。

 39分、福岡の攻撃の中枢MF中村の動きが変だ。倒れ込んでしまい担架で運び出された。中村OUT田邊IN。札幌ペースのまま、アディショナルタイム4分。この後、福岡DF三國が札幌の浅野を倒して「イエローカード」。札幌2点リードで後半戦へ。


【監督のハーフタイムコメント】
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「もっとシンプルにプレーしよう」、「逆のサイドを意識する事」、「バイタルエリア内でのプレーをもっと工夫しよう」

■アビスパ福岡の長谷部茂利監督のコメントはチーム発表なし

 
 後半は札幌のキックオフ。ハーフタイムの交代は札幌ルーカスOUTキム・ゴンヒIN。福岡は三國OUT金森IN。後半の始まりに福岡は守りにDF4人、中盤4人、FW2人にシステムを変えて来た。札幌は韓国からのキムをトップに入れ「マイナーチェンジ」。さて後半は、いかに?

 すると6分、今度は福岡が1点目。中盤の取締役MF前が起点。パスを受けた紺野は札幌のゴールへ向かうクロスを上げ、FWの山岸がヘディングシュート。札幌GK菅野の頭上を越し得点。2−1と福岡が詰め寄る。

 8分に札幌自軍でキムが相手のボールを奪い、前方の浅野にパス。相手GKはゴールを空け前進していた。これを察知していた浅野は約50メートルのロングシュート。見事ゲットして3−1に―。しかし主審がVARとやり取り。その前に「札幌ゴールエリア内でMF青木がハンドの反則」。2−1に得点は戻され、後半13分、福岡にPKが与えられた。キッカーはFWルキアン、ゴール中央に流しこみ2−2の同点。

 13分、札幌は駒井OUT宮澤IN。ここから約30分間。試合は続けられたが、両軍とも「覇気なし」。記録に残るものだけを拾っておく。

 23分福岡の小田OUT前島IN。25分、札幌は福森OUTスパチョークIN。29分、福岡のMF湯澤にイエローカード(札幌MF金子を倒す)。35分、福岡は山岸OUT鶴野IN。35分、福岡のルキアンOUTウェリントンIN。38分、、札幌の荒野OUT馬場IN。同、浅野OUTトゥチッチIN。

 アディショナルタイムは6分。50分ペトロビッチ監督がピッチ内へ入り判定に抗議。ベンチ前で抗議した荒野とともにイエローカード。後半54分 、2−2で試合終了。

 シュート数は、札10−6福、CK札5−4福、FK札17−8福、PK福岡1。

 2023明治安田生命J1第10節横浜FC対北海道コンサドーレ札幌戦は、4月29日午後2時から横浜市のニッパツ三ッ沢球技場で行われる。


 上:上段写真/前半5分、札幌MF荒野が先制ゴールを決めドヤ顔を見せる、右サイドの金子の崩しから相手DFに当たってこぼれたボールを豪快に右足で振りぬいた、左福岡FW山岸(11番)

 上:下段写真/前半5分、先制点を決めた札幌MF荒野(左から2人目)と抱き合って喜ぶ左から青木(11番)、浅野、DF田中駿


 上:上段写真/前半13分、札幌MFルーカス・フェルナンデス(右)が浅野の追加点をアシストする絶妙のクロスを入れる、左元札幌の福岡DF奈良(3番)

 上:中段写真/前半13分、札幌MF浅野(右端)が自らのドリブルから青木、ルーカス・フェルナンデスとつなぎ、返ってきたボールをシュートし2点目を決めた、その左駒井、福岡の選手はDF奈良(下)、ドウグラス・グローリ(中)、後方MF湯澤(2番)

 上:下段写真/前半13分、札幌MF浅野(右から2人目)がDF岡村と抱き合って喜ぶ、MF福森(左端)がアシストしたルーカス・フェルナンデス(7番)をたたえる、他の選手は左から駒井、青木(11番)、DF田中駿(2番)、右端菅(4番)


 上:上段写真/前半19分、福岡左サイドのFKからの攻撃を札幌DF岡村がヘッドでクリア、左からGK菅野、DF田中駿、菅(4番)

 上:下段写真/前半追加タイム4分、札幌MF青木(右)が元札幌の福岡MF前(6番)とマッチアップ


 上:上段写真/後半6分、福岡FW山岸にシュートを決められ悔しがる札幌GK菅野(中央)、他の選手は左からMF駒井(14番)、荒野、DF岡村、MF福森(5番)

 上:下段写真/後半6分、福岡FW山岸(11番)がMF紺野のクロスをヘッドで合わせてゴールを決めDF奈良(3番)とタッチ、左端後半開始から途中出場したMF金森(7番)、右後方札幌MF浅野


 上:上段写真/後半8分、札幌MF浅野(左から2人目)がセンターライン付近からのロングシュートを決め荒野と抱き合い、金子も飛びついて喜んだ、FWキム・ゴンヒ(13番)、DF岡村(50番)も駆け寄る。右端前半から途中出場していた福岡MF田邉(19番)も渋い顔。ところが少し前のプレーで札幌MF青木のハンドがあったとして取り消しとなり幻のゴールとなった

 上:下段写真/後半10分、木村主審がVARを確認中、元札幌の福岡の2人の選手MF前(右端)とDF奈良(3番)が札幌MF荒野(27番)、金子と話し合う、左端で浅野がゴールが取り消されるのか厳しい表情


 上:上段写真/前のプレーで札幌MF青木にハンドがあったとして後半13分、福岡FWルキアン(9番)がPKを決め同点となる、札幌GK菅野、手前は札幌MF駒井(14番)。3−1になったと思ったのが逆の2−2の同点となり札幌にとっては厳しい判定となった

 上:下段写真/後半13分、PKを決め同点とした福岡FWルキアン(9番)、右端札幌GK菅野とその左MF福森


 上:上段写真/後半追加タイム2分、懸命にゴール前に迫る札幌MFスパチョーク(左から2人目)、DF宮澤、FWキム・ゴンヒだがシュートまでは行けず、福岡の選手MF前(6番)、途中出場のDF前嶋(29番)

 上:下段写真/後半追加タイム4分、右サイドを駆け上がる札幌DF菅は福岡FWウェリントンにファールで倒される、左端DF奈良(3番)、右端MF田邉。菅が自らFKを蹴ったがゴールにはつながらなかった


 上:上段写真/2−2の引き分けに終わり納得がいかないといった表情の札幌の選手たち、左からDF宮澤(10番)、GK菅野(1番)、その後方DF田中駿、MF青木、金子(後ろ向き)、DF菅(4番)、MFスパチョーク、馬場、DF岡村(50番)、FWミラン・トゥチッチ。左端福岡MF前(6番)とその右DF奈良は元札幌の選手。札幌FWキム・ゴンヒは終了と同時福岡ゴール前で倒れ込みタンカで運び出され、ここにはいない

 上:下段写真/札幌に対して厳しい判定となりサポーターから審判にブーイングが飛んだ


 上写真/後半追加タイム4分、札幌が左サイドから攻撃を仕掛けていたが、直前のプレーの反則を取り、審判が笛で試合を止めたことに札幌ペトロビッチ監督が激昂してピッチ内に入り抗議、杉浦コーチが懸命に止める。左後方で福岡の長谷部監督がアピール、結局ペトロビッチ監督にイエローカードが出された


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「2−0でリードしたところから引き分け。非常に残念な結果です。ただし、前半は非常にテンポの良い、アグレッシブな戦いをして、そして素晴らしい形で得点を取れました。後半は少し走れていない選手がいて、やはり負傷明けの選手はなかなかコンディションが戻っていないように見えました。そして1点差とされ、選手交代もして盛り返そうとしましたが、私の40年以上のキャリアの中で、自分たちが得点を取ったのに、逆に、自分たちがPKを取られて失点をするという非常に稀なことが起きました。

 選手たちは最後まで戦ってくれたが、最終的には追加点が取れず、引き分け。応援してくれた方には申し訳ない。ただ、ケガ人が多いシチュエーションの中で、うまく選手起用をし、戦える選手でやっていくしかない。ケガ人が戻ってくれば、上を目指す戦いができると思っています」


■アビスパ福岡の長谷部茂利監督のコメント(一部抜粋)
 「立ち上がりに2失点し、自分たちの形どころか、自分たちの戦い方にさえ、持っていけなかった。さすが札幌、警戒してはいましたが、攻撃の上手なチームだと感じました。プランも大きく崩れた中、形も変えたり、人も変えたりしながら追いつくことができました。終盤はどちらが勝ってもおかしくない状況になりましたので、アウエーで五分五分に持っていくことが出来たと思います」

池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影