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J1第4節(3月12日)、昨季王者横浜FMに2−0で快勝

23・03・15
 上写真/前列左から、MF小柏、菅、浅野、小林、荒野、後列左から、GKク・ソンユン(25番)、DF福森、田中駿、MF金子、DF岡村(50番)、MF宮澤

 (写真は3月12日、札幌ドーム、撮影・石井一弘)


「ミシャ勝った 新オノマトペだぞ ブラボーは」

  札幌ドームで2−0 まさに飛ぶ鳥横浜FM落とす


 5・7・5の見出しを登場させ4試合目。俳句・川柳「何でもあり」。北海道コンサドーレ札幌は、3月12日ホーム札幌ドームでJ1リーグ昨季チャンピオンの横浜F・マリノスと対戦、期待の小柏剛と小林祐希の得点で2−0として今季初勝利。1勝2分け1敗の勝ち点5で11位にランクされた。

 札幌ドームは日曜日とあって1万7千5百9人の入り。ちょっと少ないがゴール裏サポーター席は満員。一方、マリノス応援席は満席の4百人に及ぶ熱気。

 ドームは気温23.1度、湿度24パーセント、絶好のコンディションの中で行われた。福島孝一郎主審(39、鹿児島県出身、笛を吹くのが少ない審判)。副審は西尾英朗、道山悟至、第4の審判は平間亮、VAR判定は岡部拓人(主審格)、AVARは浜本祐介の審判団。

 札幌の布陣はいつもと少し違いトップのFWを置かない変則の3−5−2のシステム。GKク・ソンユン、DF田中駿汰、岡村大八、福森晃斗、WBの右は金子拓郎、左に菅大輝、MF宮澤裕樹、荒野拓磨、トップ3は浅野雄也を引き気味に小柏剛−小林祐希。控えはGK大谷幸輝、DF西大伍、馬場晴也、中村桐耶、MFスパチョーク、FWミラン・トゥチッチ、中島大嘉。

 一方のマリノスは3−4−2−1で、GK一森純、DF上島巧巳、畠中槙之輔、角田遼太郎、小池裕太、MF渡辺皓太、喜田拓也、西村拓真、FW井上健太、アンデルソン・ロペス、エウベル。控えは、GK飯倉大樹、DF實藤友紀、エドゥアルド、MF藤田讓瑠チマ、FWマルコス・ジュニオール、水沼宏太、ヤン・マテウス。

 両者の対戦成績はマリノスの19勝5分け6敗で昨季はアウエーで0−0、ホームで1−1の2引き分け(2021年は札幌2敗。20、19年は1勝1敗)。

 試合は15時05分、横浜F・マリノスのキックオフで開始。札幌は宮澤、マリノスは喜田がキャップテンマークを着けた。前半2分から5分にかけてマリノスがCKを連続して取るが札幌ク・ソンユンがはじき返す。

 8分GKクがマリノス陣内のDFラインまで届くロングフィード。反応したのがウイングバックの金子。相手GKの一森を引き出して横パス。前線の小柏が左足で合わせて先制した。期待の小柏のゴールに、スタジアムが湧いた。1−0で札幌が先制。

 その後もGKクのロングキックが「見どころになる」。4年前より「飛ぶような気がする」。

 マリノスは、トップのロペスとエウベルが攻撃の中心。なぜか安心してDF岡村、田中が止める。札幌から移籍していったロペスの得点力は増したが、「一緒にやった仲間」のガードはばっちりだった。

 だが34分、相手FWエウベルの突進をタックルで止めたDF田中駿にイエローカード。その後も2人のマッチアップが続く中、アディショナルタイム1分経過し、前半終了。1−0の札幌リードで折り返す。


【監督のハーフタイムコメント】
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「良いプレーができている。このままのペースを維持しよう」、「このペースで全力で戦おう」、「後半の始まりが大事だ。集中していこう」

■横浜F・マリノスのケヴィン・マスカット監督のコメントはチーム発表なし


 両チームともハーフタイムの選手交代はない。相変わらずコンサドーレはGKからの展開を狙い、マリノス守備陣は、GKクのロングキックに手を焼いている様子。マリノスの攻撃はロペス−エウベルの「力の突破」を狙うが、追い込まれてパンク。

 札幌は後半7分、福森の右CKから宮澤のヘディングはバーを越える。マリノスは9分にフリーキックを獲得。DF小池が左足で直接狙うも枠外。ホームの札幌がリードを生かし、優位に運んでいるように見える。

 18分からは選手交代。まずマリノスが西村OUTジュニオールIN。エウベルOUT永沼IN。

 札幌は22分、浅野OUT馬場IN。どうもトップグループに入った浅野が「行き場所」が無い。まだ浅野の動きが「自分から動いた様子が見えない」。突如現れるミシャ采配が「選手を悩ませる」。

 続いて24分、マリノスの井上OUTヤン・マテウスIN。喜田OUT藤田IN。札幌は宮澤、荒野、福森らに疲労の色。ペトロビッチ監督の采配を待つコーチ陣がベンチ前を動き回る。マリノスのケヴィン・マスカット監督らの動きも「目ざわりになるくらい」。

 32分、相手ゴール前でジュニオールがバックパス。ここからパス回しと思いきや、GK一森が自軍選手にフィードするボールを、コンサド先陣の小林がブロック。ゴール前に転がるボールを「誰もいない」ゴールにシュートし追加点。マリノスは自滅的に「相手にやった」失点。

 2−0とした札幌、33分から選手交代。福森OUT中村IN。小柏OUT中島IN。トップに中島を入れて「走るわ・走るわ」マリノスもあっけにとられるぐらい。

 終盤に入った42分、宮澤OUT西IN。小林OUTトゥチッチIN。アディショナルタイムは5分。キャプテンマークは荒野の腕に。やっぱりコンサドーレは「宮澤、荒野、福森、田中駿、金子、菅」を中心に、西、伸二や今期入団の5人が融合すれば、サポーターの「モノになる」気がする。試合はこのまま2−0で札幌が危なげなく勝利した。

 シュート数は、札15―5横 CK札7―3横  札14−19横 PKなし。                               
 
 2023明治安田生命J1リーグ第5節ガンバ大阪対北海道コンサドーレ札幌戦は、3月18日午後3時からパナソニックスタジアム吹田で行われる。


 上:上段写真/前半8分、札幌MF金子(9番)がGKク・ソンユンからのロングボールを右サイドで横浜FM小池裕をかわして受け、中央の小柏へアシストとなるパスを出す

 上:下段写真/前半8分、札幌MF小柏が先制ゴールを決め雄叫びを上げガッツポーズ


 上:上段写真/前半11分、ボールを受けた横浜FMのエースFWアンデルソン・ロペス(右)に対し札幌DF岡村がしっかりとマークする、左MF喜田(8番)

 上:下段写真/前半16分、札幌左CKから中央にこぼれたボールをMF菅がミドルシュート、相手選手に当たって右サイドに流れたボールをDF田中駿がシュートするが、GK一森にクリアされる。結果的に菅がシュートした時の小柏の位置がオフサイドとなった。田中の右から横浜FMのDF畠中、札幌MF小柏(19番)、荒野(27番)、左端MF渡辺(6番)


■北海道コンサドーレ札幌の岡村大八選手のコメント
 「自分個人の評価というのはとても難しいが、今日の試合に関しては攻撃力のあるチームを無失点に抑えることができたので、当然ながら満点ではないものの、良い得点をつけていいと思っている。そしてチームとしても良い戦いができていたことはうれしく思っている。

 立ち上がりから積極的に挑んでいった中で、ボールを取り切ることが出来ていたり、敵陣で相手ボールを引っかけることができたりしていたので、そうした中でプレスのメリハリをつけ、体力の消耗を軽減することが出来た。それが終盤になっても守備がしっかりやれていた要因だと思っている。今日のような試合を続けていきたい」


 上:上段写真/前半21分、札幌MF小林(99番)がボールをキープしMF渡辺(6番)と競りながら中央へパスを出す、左端DF小池裕(26番)

 上:下段写真/前半40分、札幌MF小柏のクロスを受け浅野(左)がシュートするが、横浜FMのDF上島のスライディングが気になったのかゴール右に惜しくも外す。ボールがGK一森の背中にあるのが面白い


 上:上段写真/後半10分、横浜FMのエースFWアンデルソン・ロペス(左端)のヘディングシュートを札幌GKク・ソンユン(右奥)が抑えゴールを割らせず、札幌の堅守が際立つ。札幌の選手左からDF岡村、MF浅野、宮澤(10番)、右端菅(4番)、横浜FMの30番はMF西村

 上:下段写真/後半19分、札幌右スローインの流れからMF小柏(19番)が前にいる浅野へパスをつなぐ。後方荒野、その中間は横浜FMのMF喜田、4番はDF畠中


■北海道コンサドーレ札幌の宮澤裕樹選手のコメント
 「良い形で得点を奪えたことも良かったが、チーム全体として攻守ともに良いプレーを出せていたと感じている。自分個人としても中盤の底などで最終ラインとうまく連係をとりながら守れていたし、バランスも保てていたと思う。マンツーマンディフェンスをする中でも、要所でカバーの意識も持ちながら危険な場所を消すことができていた。チームみんなが球際で戦えてもいたし、今日のような戦いを継続してやることができれば、もっと良いチームになっていけると思う」


 上:上段写真/後半32分、札幌MF小林が無人のゴールに流し込み、移籍後初ゴールを決めサポーターにアピール。このシーン、横浜FMのMFマルコス・ジュニオールがGKへバックパス、GKが前に蹴ったボールが猛然と駆け上がって来た小林に当たり、そのままゴール前に運び押し込んだ

 上:下段写真/後半32分、移籍後初ゴールを決めた札幌MF小林(右から4人目)が、ベンチから飛び出して来たFWミラン・トゥチッチ(右端)やDF西(右から3人目)をも含めたチームメイトから手荒い祝福を受けもみくちゃになった。左からMF金子(9番)、菅(4番)、荒野(27番)、右から2人目は宮澤


 上:上段写真/後半37分、途中出場したDF中村からのパスをヘッドで前方に出す、途中出場したFW中島(右から3人目)、札幌の選手左からMF宮澤(10番)、馬場(3番)、横浜FMの選手右からDF上島、MF水沼(18番)、渡辺(6番)

 上:下段写真/後半37分、猛然と駆け上がる札幌MF馬場(3番)と宮澤(10番)、横浜FMの選手、左MF藤田(16番)と渡辺(6番)


 上写真/後半追加タイム4分、途中出場したFWミラン・トゥチッチ(32番)がゴール前に迫りシュートしたが、横浜FMのDF角田(左)にクリアされCKとなる、右後方中島


 上:上段写真/昨年のJ1覇者横浜FMを破って今季初勝利をあげた札幌の選手たちに、温かい祝福を送るサポーターたち

 上:下段写真/今季初勝利と「ススキノへ行こう」の解禁で笑顔がまぶしいMF西、FW中島、GKク・ソンユンら札幌の選手たち


 上:左側写真/後半追加タイム3分、札幌DF中村の突進がファールの判定、興奮したのか、ペトロビッチ監督が握りしめたペットボトルから水が噴出した

 上:右側写真/後半3分、「ファールだろう!」と猛抗議の横浜FMのケヴィン・マスカット監督


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント(一部抜粋)
 「それほど多く語る必要はないだろう。札幌が横浜FMに勝利した。その結果が、多くを語っていると思う。横浜FMは質の高い選手がそろい、彼らが役割を持って全うする。危険で手ごわい相手。リーグの中で最も洗練され、レベルの高いチームである。私自身が分析をした中でやはり攻撃はストロング。ただし、ウィークがあるとすれば守備。そう事前に分析していました。そしてそこをしっかり突いていきたい。それを考えた中で戦略を練った。

 前からボールを奪いにいく。それが機能すれば、アドバンテージとなり、主導権を握ることができる。前線に(アンデルソン)ロペス、西村(拓真)、井上(健太)ら個の高い選手がそろうマリノスに対して、個の戦いになるとリスキーである。ただし、そのリスクをとってでも前から行く姿勢を見せ、それがうまくいった試合だったと思う。

 今日もたくさんのサポーターが応援してくれました。その後押しが大きな力になったと思います。選手たちはそのサポーターに素晴らしいサッカーを見せることができた。勝利が出来てうれしく思う」


■横浜F・マリノスのケヴィン・マスカット監督のコメント(一部抜粋)
 「スタートのところはポジティブに出来たんじゃないかと思いますし、自分たちも前から行き、相手にロングボールを多用させた。失点してから、相手のやりたいようにやられてしまったのもあるが、相手がどうこうよりも自分たちが攻撃に入ったときに、後方ではボールを握れるが、攻撃に入ったときに前方向にどうやって向かっていくのか。そういったところの質を伸ばしていかなければいけない。そしてそれは攻撃陣だけではなく、チーム全体としてやっていかなければいけない」

池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影