北海道コンサドーレ札幌ピックアップ情報

一覧に戻る

J1第9節(4月16日)、5位F東京にホームで0−0のドロー

22・04・18
 上写真/左からキャプテンDF宮澤、田中、MF菅(4番)、高嶺、深井(8番)、FWミラン・トゥチッチ、MFルーカス・フェルナンデス、青木(11番)、荒野、駒井(14番)、GK菅野(1番)

   (写真は4月16日、札幌ドーム、撮影・石井一弘)


 「スコアレス・ドロー」は大嫌い

   ミシャ、アルべル両監督の腹の内


 ミハイロ・ペトロビッチ監督は後半39分、青木亮太に代えてガブリエル・シャビエル、アルベル監督は13分エース永井謙佑をアダイウトンに代えた。ミシャ監督は1勝6分け1敗の12位。アルベル監督は4勝1分け2敗の5位。札幌にしてみればJ1通算100勝の記念すべき日を4月10日名古屋戦で達成。「ここから」に掛けた9試合目。FC東京のアルベル監督は「長友佑都―永井謙佑のJAPANクラスと、めんこい18歳室蘭出身の松本玖生(室蘭大沢FC−青森山田中−青森山田高卒)の札幌ドームデビュー。先輩にコンサドーレのキャプテン宮澤裕樹(32、室蘭大沢FC−室蘭大谷高出で15年目を迎え、FW−MF−DFを経験、2016年から7年背番号10のキャプテン)。

 こんな雰囲気の中、札幌ドームは9千667人の今季初の大入り。FC東京応援席がぎっしり詰まったマスクの中、引きも切らさず太鼓の音が鳴り続いていた。

 2022明治安田生命J1リーグ第9節北海道コンサドーレ札幌対FC東京は4月16日札幌ドームで開催された。

 ドーム内は22・1度、湿度33パーセント。国際審判は退いたものの16年のキャリアのある岡部拓人主審(40、福島県出身、Jリーグ通算300試合も間近か)。他の3審判とVARで厳しい判定。

 札幌のスタメンが発表になり福森晃斗と金子拓郎、ガブリエル・シャビエルの3人が抜けている。控えにはシャビエルが入っているが、2人は「軽いけが」。

 GK菅野孝憲、DF田中駿汰、宮澤裕樹、高嶺朋樹の3バック。WBには右ルーカス・フェルナンデス 左に菅大輝。中央に荒野拓馬、深井一希の久しぶりのボランチ。FWはトップのミラン・トゥチッチ。シャドー役は駒井善成と青木亮太。

 一方、前節の浦和レッズ戦をスコアレスドローで終わっているFC東京は、永井謙佑、長友佑都がおり、早い機会に得点が欲しい。GKヤクブ・スヴウォビィクは今季からベガルタ仙台(3年)を経て移籍したポーランド出身の190センチ、82キロ(初めて見たが、がっちりして力強そう)。DF長友佑都、木本恭生、森重真人、小川諒也の4人。MFの3人は、注目の18歳松木(背番号44)、青木拓矢、安部柊斗。3トップは背番号11永井謙佑・ディエゴ・オリヴェイラ、渡邊凌磨。CKは、全て背番号44の松木任せ。控えには、FWの3年目アダイウトンと紺野和也ら。

 キックオフはFC東京。最初の4分までは、札幌の左サイド菅から右サイドに展開してFK。ルーカスがキックするが実らない。今度は東京。CKを得て背番号44松木の出番。6分過ぎまでは、互いに攻守を切り返す展開。

 シュートらしいシュートは札幌が8分青木がミドルシュートを試みるが、相手DFのブロックに遭う。

 15分過ぎから交互にせめぎ合い。東京は長友が17分、札幌ゴールを目掛け、攻め込んだ小川にチャンスボール、シュートするが札幌DF陣にブロックされる。続けて19分永井が中央からシュートを試みるがGK菅野が好捕。長友が札幌のトップ、トゥチッチと接触、倒れ込む。両軍の攻防が激化して30分、森重が荒野にスライディングタックル、森重に「イエローカード」。

 35分過ぎから、FWポジションに入った駒井の動きが激しい。トゥチッチのガードが厳しく代わりに走り込むが、及ばない。今度は逆に東京・永井が走り込み札幌陣に強烈な「接触」。永井はピッチに倒れ込む。プレーが中断され、治療する場面もあった。0−0で前半終了。


【監督のハーフタイムコメント】
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「もっとシュートを打っていこう」、「攻撃のバリエーションを増やしていこう」、「守備の形はできているので継続していこう」、「後半の入りから集中して1点を取りに行こう」


■FC東京のアルベル・プッチ・オルトネダ監督のコメント
 「前線からもっと守備に行く回数を増やしていこう」、「2列目からの飛び出しを増やそう」


 後半は右サイドの田中駿からの攻めが見られた。いつもは金子の出番のところに上がる勢い。ワイドに入っているルーカスと距離が離れる。5分過ぎ田中駿からのセンタリング気味のボールがトップのトゥチッチに向かうが、相手DFの絡みが厳しくシュートが出来ない。さらに逆サイドの菅までのロングボールも「阻止」され、攻めあぐむ。

 後半7分、札幌のトゥチッチが忙しくなる。高さ(トゥチッチ186センチ、77キロ)を利用してボールを集めるが、相手のブロックの方が早い。「図体ばかりでかくて・・・」、何か粘りがない。そうこうしている間に、相手のペース。長友がサイドのスペースを生かしてクロスボール。永井につながり、折り返したが、誰もいない。お互い「ばて気味」。13分永井OUTアダイウトンIN。15分から18分に互いに攻め合いが1度づつ。GK菅野と東京GKヤクブの好捕の前に「力足らず」。18分に札幌・駒井OUT中島IN。

 東京もFWオリヴェイラにボールを預けるが札幌DF田中駿が「しつこく」マーク、最後は接触しピッチ上に倒れ、医療スタッフが出てピッチ外へ。

 22分、元気のよい中島が、松木にチャージ、イエローカード。さらに25分、宮澤が走り込んできたDオリヴェイラを体で止め(ファール)イエローカード。疲労困憊に見えた。31分、渡邊OUT柑野IN。33分、菅にイエローカード(相手の足を引っかけた)。34分、深井OUT西IN。

 36分に「決定打か?」、右から田中駿が左にクロス。走り込んだのが「頭の名人」中島。ヘディングをGKヤクブが好捕。やっとのことで札幌の攻撃を阻止する。今度はチャンスが東京に。CKをお決まりに松木がキック。森重がヘッドで折り返したが、ボールがゴールポスト手前でエンドラインを割っており、ゴールキック。

 アディショナルタイム4分。49分に中島の「頭」に、35分に動員されたシャビエルがナイスボールを上げるが、ヘディングシュートは、そのままゴールラインを割った。試合は0−0で引き分けに終わった。

 シュート数は、札12−5東、CK札2−東3、FK札14−東20 、PKなし。
                                 
 札幌の次戦、JリーグYBCルヴァンカップグループステージ第3節(3月26日延期分)北海道コンサドーレ札幌対京都サンガF.C.戦は、4月20日午後7時から札幌ドームで行われる。


 上:上段写真/前半11分、札幌MF荒野(右)が東京MF安部を体を反転させて振り切り、ボールを前線に運ぶ、左端DF田中

 上:下段写真/前半12分、札幌MFルーカス・フェルナンデス(7番)が右サイドからクロスを入れるが、東京DF森重(3番)にブロックされる、右手前木本(30番)


 上写真/前半13分、ボールを保持する東京MF安部(31番)に果敢にアタックする札幌DF宮澤(右)、左はMF荒野(27番)


 上写真/後半10分、札幌MF菅(4番)が東京DF長友(5番)を振り切ってクロスを入れる、左DF木本(30番)


 上写真/後半17分、東京FWディエゴ・オリヴェイラ(9番)が右からのクロスに合わせて、札幌DF田中(2番)、宮澤(10番)と競りながらヘディングシュートをするがGK菅野(1番)の正面となる


 上:上段写真/後半21分、途中出場の札幌FW中島(右)が東京MF松木(左)を後方から倒してしまう、手前MF青木(11番)、後方DF田中

 上:下段写真/後半22分、札幌FW中島(右端)が東京MF松木(44番)を倒して岡部主審からイエローカードを提示される、中央MF青木(11番)、左端DF田中


 上:上段写真/後半35分、札幌FWミラン・トゥチッチ(32番)、中島(45番)が東京MF青木(16番)、松木(44番)と激しくボールを奪い合う、右端東京DF森重(3番)

 上:下段写真/後半36分、札幌FW中島(右)が右サイドのDF田中からのクロスに、東京DF木本と競りながらヘディングシュートをするが、惜しくもGKに好捕される


 上写真/後半38分、東京左CKからの攻撃で札幌DF西(右から2人目)がクリアするが、その前に東京の反則がありゴールキックとなる、中央東京FWディエゴ・オリヴェイラ(9番)、その右札幌GK菅野(1番)


 上:上段左側写真/後半39分、浮き球に札幌DF西(右)が飛びついてボールを前線に送る、左東京FWディエゴ・オリヴェイラ

 上:上段右側写真/後半45分、札幌FW中島(右)が東京DF木本と競り合いながら突進する、迫力満点だ

 上:下段写真/スコアレスドローに終わり両チームの選手は疲れ切った表情、左から札幌MF荒野(27番)、東京MF松木(44番)、札幌MFガブリエル・シャビエル、DF宮澤、FW中島(45番)、東京FWディエゴ・オリヴェイラ、DF森重(3番)、両チーム期待の若手の対戦は痛み分けに終わった


 上:左側写真/後半45分、腰をかがめ懸命に選手を鼓舞する札幌のペトロビッチ監督

 上:右側写真/前半5分、主審の判定に対し、副審に抗議するFC東京のアルベル監督


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント(一部抜粋)
 「多くの方は「また引き分けだ」と思っているのではないでしょうか。しかし、Jリーグでは稀に見る非常にインテンシティーの高い素晴らしいゲームだったと思います。勝利までには至りませんでしたが、素晴らしいゲームを選手たちは展開してくれたと思います。FC東京のほうがやはり個の能力が優れ、組織的に攻撃を仕掛けてくるチーム。そうした相手に立ち上がりからプレスをして、ほぼ相手にボールをつながせることなくゲームができました。相手が後ろからビルドアップをした中で攻撃を仕掛けてくる場面はほとんどなかったと思います

 もちろん前からプレッシングに行けば後ろに大きなスペースが生まれる。FC東京にはスピードのある選手がいますが、そうした相手に対しても選手たちは前からプレスを続けてくれたと思います。相手は背後へのボールが多かったが、3バックが安定しており、サイドの選手も含めて守備への貢献度が非常に高かったと思います。

 前半はボールを奪ってからゴール前まで行きながらも、相手を崩してシュートというところまでは至らなかった。自分たちが思うような展開ではありながらも、精度やアイディアが足りていなかった。後半に入っても、相手ゴールに迫るところは出せていたと思います。中島(大嘉)が入って、クロスからのシュートというところでの迫力も増したと思います。その意味では引き分けに終わってしまいましたが、我々札幌が勝利に近かったのではないかと思います

 今日はケガで出られない選手がいる中で、なかなか攻撃的なカードを切りながらシフトをしていくことが難しい試合ではありましたが、選手たちはFC東京という相手に対して、勝ちにいく戦いを見せてくれたと思います。選手がそろわない中でも十分に自分たちの戦いを出してくれたと思う」


■FC東京のアルベル・プッチ・オルトネダ監督のコメント(一部抜粋)
 「試合をご覧になった方々にとっては、とても見ごたえのある攻撃的なゲームを両チームが見せたと思います。ともにアグレッシブなハイプレスを掛け、ともに攻撃的に戦いました。我々が支配した時間帯、された時間帯がありました。後半、どちらにも決定的なチャンスがありました。試合というのはやはり得点を決めるかどうかで結果が変わります。0−0という試合結果だけを見ると、消極的なプレーをしていたかと思う人もいるかもしれませんが、今日はそうではありませんでした。唯一、足りないのはゴールだけでした。

 試合を重ねるごとにチームは改善できています。まだ3カ月ほどのチームですので、その短期間の中で成長したことは評価できると思います。勝負にこだわる選手の姿勢にも満足していますし、相手チームも称えたいです。偉大なペトロヴィッチ監督と対戦できたこともとても誇りに思います。私はプロの監督という職に就いてから時間が短く、まだ学んでいる最中です。引き続き学ぶことが私にとっては重要です。

 そして遠くから応援に来てくれたサポーターにも「ありがとう」という気持ちを伝えたい。と同時に札幌のサポーターも拍手をくれました。感謝したいです。素晴らしい人々だということが伝わってきました。新潟県にせよ、日本の北側に住む人々は良い人が多いのかな、と今日感じました」

池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影