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J1第12節(9月16日)、鳥栖に完封勝利! 長いトンネル抜ける 

20・09・18
 駒井・Aロペスの2得点は見事

  コンサドーレ・10試合ぶりの勝利

 駒井が「クリスティアーノ・ロナウドの言葉に感動した」。ペトロビッチ監督は「チームを育てることは恋だ」。2人のエンターテイメントは、こんなところだろうか。北海道コンサドーレ札幌は9月16日、明治安田生命J1リーグ第12節を新型コロナウイルスの影響を受けたサガン鳥栖と、鳥栖のホーム・駅前不動産スタジアムで戦い、札幌が2−0で完封した。なんと10試合ぶりの勝利、4勝5分け8敗の勝ち点17で13位に順位を2つ上げた。

 得点はMF駒井善成とFWアンデルソン・ロペスで、満面の笑みを浮かべたのは2018年から札幌に着陸、「北海道から世界へ」を、積み重ねている愛称ミシャの笑顔―。

 試合は、曇り空、気温=24.2度、湿度90パーセント、蒸し暑い。入場者は2千592人。寡黙で実直なレフェリングと評判の福島孝一郎主審(36=鹿児島県出身)のホイッスルで午後7時33分、札幌・Aロペスのキックオフで開始された。

 札幌は1トップ・2シャドーの「ハイプレス」。GK菅野孝憲、DF進藤亮佑、中央にキム・ミンテ、左は調子を取り戻した福森晃斗。中盤はキャプテンマークの荒野拓馬と高嶺朋樹。両脇の攻撃型ウィングバックは右に白井康介、左は菅大輝。トップのAロペスの両脇は駒井善成とチャナティップ。

 控えはGKカウィン。DF田中駿汰、MF檀崎竜孔、中野嘉大、早坂良太、金子拓郎、FWドゥグラス・オリベイラ。鳥栖は9人が入れ替わったというが、3−4−3で、システム上はあまり変わりなく、GK守田達弥、DF小林祐三、宮大樹が1年生ながら脚光を浴びている。やはりルーキーのFW本田風智が注目される中、ベテラン豊田陽平はベンチスタート。  

 札幌は、鳥栖相手にJ1戦では5勝3敗で、昨年は3−1、2−0で連勝している。この日も自信を持ったパス回しで、夜間照明に「ビジターの白」のユニホームが乱舞する。しかし最初にチャンスを迎えたのは7分、鳥栖のGKからの長いパスがMF大畑歩夢に渡り、安庸佑がシュート、札幌ゴールを脅かせた。(23分飲水タイムあり)

 札幌は32分、Aロペス−駒井と渡りチャンスを迎えたが、駒井のボレーシュートは枠を外れた。シュートチャンスは、駒井、Aロペス、チャナティップにそれぞれあったが、鳥栖GKの好捕などで得点に結びつかなかった。


 【監督のハーフタイムコメント】
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメントはチーム発表なし

■サガン鳥栖の金明輝のコメント
「プラン通りにできているので続けること」、「苦しい時こそひとつギアを上げること」、「最後まで我慢強く戦うこと」


 後半は選手交代で始まった。札幌がチャナティップを金子拓郎に。鳥栖はMF中野が森下龍矢に。札幌は直後2分から3分にかけて、代わった金子から白井へのワンツーが冴える。トップのAロペスに展開しなかったが、攻撃態勢。鳥栖も森下、小林らが絡み札幌ゴールを狙う。両チームとも好機をDF、GKに止められるきわどい攻防。10分過ぎから札幌のCKで福森の出番が続き、荒野、金子がターゲットになるが、決まらない。

 16分。中央ライン付近でDF進藤がヘディングでロングパス。駒井に渡り、駒井は一回転、ペナルティーエリア手前の中央から右足でボールを蹴り抜く。アウトサイドにカーブするボールはGKから遠ざかるようにゴールに吸い込まれた。札幌待望の先取点。

 20分に菅とDオリベイラが交代。強力FWの2枚。中央突破とサイドからのセンタリング。攻撃パターンは札幌に優位。すると21分カウンターから2点目を奪う。センターライン付近でAロペスがワンタッチで前方にいるDオリベイラにパスを入れて突っ走る。受けたDオリベイラが鳥栖防御陣を切り裂くスルーパス。裏へ抜け出たAロペスはGK守田と1対1になったが、足元に飛び込んできたGKの上を通す絶妙のシュートで、ネットを揺らした。

 (24分飲水タイム)。28分までに鳥栖が3組交代。

 札幌は40分にFKを得て福森がキック、高嶺が狙うなど、一方的に攻め立てる。この後42分金子にイエローカード。(4枚目で次の試合出場停止)。札幌は45分にAロペスが早坂良太に代わり、そうこうしてるうちにアディショナルタイムは5分。鳥栖のベテラン豊田陽平の姿もピッチ上にあったが、札幌が完封勝利。鳥栖の夜は更けていった。

 巻頭の駒井選手の「ロナウドの名言」は「苦しみのない、栄光などはない」。さらにロナウドの負けず嫌いの一面。「卓球の試合に負けて、卓球台を買って練習して勝った」という話は有名。

 ミシャに捧げる名言は、フランスのアーセン・ヴェンゲル監督の言。「チームを指導することは、クラブと監督との恋を育むことと同じ。恋と同じように、その関係が続くと思っていても、突然明日には終わる可能性があるものです」。この名言は、A・P・マリーニョ氏+笠野英弘氏の著書「子どもにサッカーの“本質”が伝わる本」より。

 2020年明治安田生命J1リーグ第17節北海道コンサドーレ札幌対ガンバ大阪戦は9月19日午後2時から札幌市の厚別公園競技場で行われる。


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「9試合公式戦で勝っていなかったことで、我々としてはプレッシャーが試合ごとに増す状況でした。非常に厳しいゲームになると思っていたが、簡単なゲームではなかった。前半の立ち上がりに相手に決定機があったと思いますが、それを相手が外し、その中で我々が徐々のペースで試合を進めることが前半はできていたのではないか。ただ、やはり前半に関しては相手が引いた中でラストパスやシュートの精度、崩しのアイディアが若干、欠けるような展開だった」

 「今日のゲームに関して、選手たちは非常にプレッシャーがある中での試合でしたがしっかりと最後まで落ち着いてプレーしてくれたと思います。最近のゲームの中では勝ってもおかしくないゲーム、そのゲームの中で引き分けたり、負けてしまったり、そうしたゲームがこの9試合であった中でようやく自分たちのプレー、そして、内容が結果に結びついたゲームだったと思います」


■サガン鳥栖の金明輝監督のコメント
 「まず、このような日程にさせてしまった札幌さんに対して、しっかりと敬意を表したいと思います。ありがとうございました。ゲームはゲームでしっかり別の形で勝てれば良かったんですが、内容としても少し乏しい感じになってしまったと反省しています。思っていたようなシーンは何度か作れたんですが、相手の守備のタフさもあった。ゲームの中で内容含めて、札幌さんが上回った部分はあるんですが、個人的なスキル、チームスキルをもう1段階、2段階上げていかないと今日みたいなゲームは落としてしまう。応援してくれたサポーターに申し訳ない。次の試合に向けて切り替えてやっていきたい」
池田淳