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ルヴァンカップ準々決勝(9月2日)、横浜FMに1−1からPK負け

20・09・04
 上写真/前半7分、右CKから横浜FMのDFチアゴ・マルチンスの攻撃を身を挺して守る札幌MF荒野(右端)
  
 (写真はいずれも9月2日、札幌厚別公園競技場、撮影・石井一弘)


 ルヴァンカップはまたPK戦

  激突マリノスに「名手・福森」外す

 JリーグYBCルヴァンカップ準々決勝は9月2日午後7時から、札幌市・厚別公園競技場で北海道コンサドーレ札幌が横浜F.マリノスを招いての一戦。マリノスとは7月26日、Jリーグ第7節(札幌ドーム)では3−1で勝利、8月26日に同29節を前倒ししての試合をアウエーの日産スタジアムで戦い1−4の大敗に続いての対戦。前評判は、札幌がJリーグ12位で0勝2分け3敗で、ここ5試合勝ち無し。マリノスは3勝1分け1敗で6位と優位。しかし試合が始まってみると、「なんと札幌が押し気味」。

 試合会場の厚別公園競技場は小雨。気温22.1度、湿度81パーセントの東からの微風で過ごしやすい。観客は2千515人でまずまずの入り。午後7時3分、最近めきめき力を着けてきた国際審判の木村博之主審(38=千葉県出身)の笛。札幌のアンデルソン・ロペスのキックオフで始まった。

 札幌の布陣はA・ロペスをトップに右駒井善成―左チャナティップ。攻撃型の3トップを敷いてきた。中盤はキャプテンマークを付けた荒野拓馬と高嶺朋樹。右のワイドにルーカス・フェルナンデス、左は菅大輝。3バックは右・田中駿汰―キム・ミンテ―福森晃斗。GK菅野孝憲。

 マリノスの3トップは、このところ変わらない前田大然―ジュニオール・サントス―仲川輝人。この下にキャプテンマークを付けたマルコス・ジュニオールが、小柄ながら素早い動きを見せる。4バックはチアゴ・マルチンスを中心に、左の高野遼がしばらくぶりにスタメン。長身の畠中槙之輔、松原健とともに、札幌のドリブラー、ルーカスの足技を体で抑えた。GK朴一圭は、埼玉県出身で朝鮮大出身。アンジェ・ポステコグルー監督のお気に入りで、昨年FC琉球から入団した。ここ4試合負けなしもGK朴の存在が大きいといっても過言ではない。

 前半は、札幌GK菅野と、マリノス朴の互いの活躍で、両軍の攻撃をしのいでいたようだ。


 【監督のハーフタイムコメント】
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「いいゲームはできているが、最後の精度を上げていこう」、「もっと頭を使ってプレーしていこう」

■横浜F・マリノスのアンジェ・ポステコグルー監督のコメント
 「良いプレスをかけられている。続けよう」、「コンパクトに。セカンドボールを拾っていこう」、「もっとアグレッシブに。強さを出していこう」

 
 後半は、札幌が中盤からパス回しをはじめ、右サイドのルーカスが中央を狙う場面が多くなる。福森のCKをロペスがシュートするなどチャンスが続く。すると8分福森から駒井へ浮き球のパスを送り、ワンタッチでロペスにパス。力強く左足で放ったロペスのシュートをGK朴ははじき返したが、走り込んだ駒井がゲット、1−0と先手を取った。

 その後、札幌の交代が始まる。チャナティップに代わりFWドゥグラス・オリベイラ。(24分には飲水タイム)。その後も札幌が優位に ゲームを進めるが、マリノスは前田に代わっていたFWエリキ(ブラジル=2年目)が、32分ペナルティーエリアに進入。後方にいた仲川にパスし、落としたボールを松原がシュートを打つが札幌のGK菅野がはじく。こぼれたボールはマリノスMF扇原貴宏に代わっていたMF天野純が押し込み1−1の同点。

 札幌は34分、駒井に代わって宮澤裕樹、A・ロペスに代わって金子拓郎、ルーカスから進藤亮祐。さらに40分高嶺を中野嘉大に代え、決勝点を狙う。アディショナルタイムは4分。互いに攻防を繰り返すが1−1のまま試合終了。

 新型コロナウイルス対策で「延長なしのPK戦」
札幌が先行で開始。(コイントスの結果)

札 幌 D・オリベイラ〇 ― 〇横浜FM T・マルチンス
札 幌 荒野 拓馬  〇 ― 〇横浜FM M・ジュニオール
札 幌 キム・ミンテ 〇 ― 〇横浜FM J・サントス
札 幌 中野 嘉大  〇 ― 〇横浜FM オナイウ阿道
札 幌 福森 晃斗  × ― 〇横浜FM 松原 健

 この結果、札幌は1−1からのPK4−5で横浜FMに敗戦。ルヴァン杯準々決勝敗退が決まり、昨年の「忘れ物」を取りに戻ることは出来なかった。

 2020年明治安田生命Jリーグ第14節は9月5日午後2時から札幌市厚別公園競技場で北海道コンサドーレ札幌とサンフレッチェ広島戦が行われる。


 上写真/前半32分、札幌MF高嶺(31番)が横浜FMのMFマルコス・ジュニオール(右端)のマークをかわす、左端札幌MF荒野(27番)


 上写真/後半8分、札幌FWアンデルソン・ロペス(11番)がシュートを放つ、この後、GKがはじいたボールをMF駒井が決める、左横浜FMのDFチアゴ・マルチンス(13番)


 上:上段写真/後半8分、札幌MF駒井(左から2人目)に先制ゴールを決められ、ガックリの横浜FMのDF畠中(44番)、高野(16番)、右端GK朴一圭

 上:下段写真/後半8分、先制ゴールを決めた札幌MF駒井に手荒い祝福をする菅(4番)やルーカス・フェルナンデス(7番)、右後方はベンチ前でDF進藤(3番)、MF宮澤(10番)が笑顔で待ち受ける。手前うなだれる横浜FMのDFチアゴ・マルチンス

■北海道コンサドーレ札幌の駒井善成選手のコメント
 「(得点シーンは)背後を狙っていた中で福森(晃斗)から良いパスが来て、それを(アンデルソン)ロペスが合わせてくれて、良い得点が取れたと思っている。また、チームとしても素晴らしいポゼッションサッカーをするマリノスを相手にプレスを仕掛け続けることができていて、良い戦いができていたと思う。それだけに悔しい。PK戦は仲間を信じることしかできなかったので、あそこに立てていなかったことは、他人任せになってしまって申し訳なく思っている。あらためて、チャンスはたくさん作れていたので、フィニッシュのところの意識のすり合わせなどをして、2点、3点取れるようなチームになっていきたいと強く思っている」


 上写真/後半13分、ドリブルで突進する札幌MF駒井(14番)、左横浜FMのMF扇原(6番)、右喜田


 上写真/後半30分、札幌MF菅(右)がシュートを放つも、横浜FMのDFチアゴ・マルチンスにブロックされる


 上写真/後半33分、横浜FMの途中出場したMF天野(39番)がDF松原のシュートを札幌GK菅野(左端奥)がはじいたのを見逃さずシュートし同点とする。札幌の選手左からDF田中(32番)、高嶺(31番)、キム・ミンテ(20番)、37番は横浜FMのFWジュニオール・サントス

■北海道コンサドーレ札幌の菅野孝憲選手のコメント
 「良い内容の試合だったので勝ち切りたかった。それだけにこの敗戦は残念に思っている。特に後半は相手に2本以上パスをつながせなかったし、自分たちがやろうとしているサッカーはできたと考えている。ただ、PK戦とはいえ負けは負け。結果がすべてだし、特にトーナメントでは負けたら何も残らない。記録と記憶に残るのは1チームだけ。タイトルを獲ったチームのみが残るものだと肝に銘じたい」


 上:上段写真/試合は1−1で分けてPK戦となり、5人目となった札幌DF福森(5番)のPKは横浜FMのGK朴一圭(左)にはじき出される。この後、横浜FMの5人目のDF松原に決められ準決勝進出はならなかった

 上:下段写真/PK戦で5人目の札幌DF福森(左)のPKを阻止して「どうだー!!」と言わんばかりの横浜FMのGK朴一圭、二人の表情が対称的だ

■横浜F・マリノスの朴一圭選手のコメント
 「(PK戦で5人目をストップした場面は)無心でした。変に考え過ぎてあまり良くなかったので、何も考えず、ボールを見て反応しようと対応しました。(PK戦で敗れた2月の)FUJI XEROX SUPER CUPではPK戦の経験が自分になかったので緊張したのですが、大舞台を経験したことで落ち着いていて、決められても慌てずに集中して対応できました」


 上写真/PKを外しピッチから立ち上がれない札幌DF福森(5番)を慰める横浜FMのMFマルコス・ジュニオール


 上:左側写真/後半23分、飲水タイムにFWドゥグラス・オリベイラ(左)に指示を伝える札幌のペトロビッチ監督

 上:右側写真/後半18分、自分の所に飛んできたボールを、マルコス・ジュニオール(右)にうながされるように手渡す横浜FMのアンジェ・ポステコグルー監督


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「今日のゲームは先週敗れた相手との試合で、そういう中でもしっかり立ち上がりからプレスをする戦いをしてくれた。相手は洗練されたパスサッカーをするチームだが、選手たちはうまく対応してくれた。そうした中で最終的にPK(戦)で敗れたのは残念。負けに値するゲームではなかった」

 (−昨季の決勝同様にPK戦での敗退だったが?)
 「PKに関しては昨年の決勝もそうですが、私自身はPKの戦いで負けが多い。欧州ではよく言いますが、運がある人、不運がある人がいる傾向があるのは確かであり、私は不運な監督であることは間違いない。オーストリアのカップ戦で2度、(浦和時代の)ACLのFCソウルでの戦いでもそう。そうした不運な宿命を選手に背負わせてしまって申し訳なく、何かを変えなければいけないと思っている」


■横浜F・マリノスのアンジェ・ポステコグルー監督のコメント
 「ノックアウト方式のカップ戦らしい試合でした。両チームともアグレッシブに戦い、0−1となり難しい展開にもなりました。その中で選手たちがハードワークをしたことで同点に追いつき、勝利することができました」
池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影