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ルヴァンカップ第2節(8月5日)、今季初の厚別で広島に2−1で勝利

20・08・11
 上:上段写真/8月5日、ルヴァンカップも再開、対広島戦の先発メンバー、左からキャプテンマークを巻いたMF深井、初出場のGKカウィン、DF田中、高嶺(31番)、MF金子(30番)、DFキム・ミンテ、進藤(3番)、復帰したFWアンデルソン・ロペス、MF白井、早坂(26番)、FWドゥグラス・オリヴェイラ

 上:下段写真/前半13分、札幌左CKからゴールを狙う札幌DF進藤(3番)、FWドゥグラス・オリヴェイラ(33番)、右端FWアンデルソン・ロペス(11番)、懸命に守る広島GK林(1番)、その右MF土肥(26番)

 (写真はいずれも8月5日、札幌厚別公園競技場、撮影・石井一弘)


 「ルヴァンカップあと1勝」

  広島に2−1で勝ち8強に王手

 2020年JリーグYBCルヴァンカップが再開した。8月5日午後7時、札幌市の厚別公園競技場は4基の照明がグリーン上に北海道コンサドーレ札幌とサンフレッチェ広島の選手らを照らし出していた。広島の「ドン今西和夫」(東京教育大の1年後輩)は来ていなかった。かつてのヤングGK林卓人(札幌に2005−09まで在籍)が今37歳、9日で38になる。「試合中に居眠りをした、ヤングGKを頼む」と言っていたことを思い出した。新型コロナウイルス禍で、再開されたのはよいが、個人のインタビューは「禁」、無言で卓人を見守っていた。

 試合は2−1で札幌が勝利「8強に王手」(2勝で勝ち点6)、次は「53歳カズのいる横浜FC(勝ち点3)」と次の水曜12日に札幌ドームで対戦する。

 明けて8月6日は「広島原爆の日」。戦後75周年の特別な日だった。選手たちは間に合ったのだろうか?。原爆の落ちた時間午前8時15分は黙とう。テレビで振り返りながら、昨夜の試合を書き始めている。

 試合の方は、コンサドーレの第2ゲーム会場。曇天で時折小雨がぱらつく。気温25.9度、湿度73パーセントの蒸し暑いコンディションの中で行われた。会場には1千572人と雨予報で少なめの無言のサポーター。審判団は4人。佐藤隆治主審(43=愛知県出身で国際審判)の下、午後7時3分、広島のキックオフで始まった。

 札幌の布陣はGK初登場タイのカウィン。DF進藤亮佑−キム・ミンテ−高嶺朋樹の3バック。MFはキャプテンマークの深井一希と田中駿汰が中央。白井康介と早坂良太が外側から、金子拓郎がFWのアンデルソン・ロペス(お帰りなさい)とルヴァンカップ初登場ドゥグラス・オリヴェイラの下支えになる布陣。

 広島は、GK林卓人、DF野上結貴・井林章や13年目の清水航平らベテランと新鋭が入り混じった布陣。特に1年目の浅野雄也は、元JAPANの「浅野拓磨」の弟で広島からレンタル先の水戸ホーリーホックなどで活躍していた。

 先手を取ったのは札幌。前半14分、左コーナーキック(CK)から、クリアされたボールをFWのDオリヴェイラが拾い、中央にリターン、相手ペナルティエリア外から金子が左足で合わせ約20数メートルのシュートをGK林の守るゴール左側に突き刺した。金子は今季入団以来2点目(7月26日横浜F・マリノス戦)で、スタメンでの得点は初めて。

 広島は、札幌の中央からのビルドアップが早くなった前半22分、DFキム・ミンテのあやふやなパスを「狙っていた」浅野がひっかけて、ペナルティーアーク付近から左足でゴール左隅に入れる。GKカウィンはなすすべがなかった。すぐに飲水タイムになった。

 その後、互いに攻防を繰り返すが、得点に結びつかない。


【監督のハーフタイムコメント】
■札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「プレーの判断を落ち着いてやろう」、「慌てないでプレーしていこう」

■サンフレッチェ広島の城福浩監督のコメント
 「守備はうまく機能している」、「攻撃は我慢強くボールを動かしていこう」、「スタートから出し切るぞ!」


 後半は、立ち上がりから札幌がメンバーチェンジ。深井に代えて菅大輝、進藤に代えてルーカス・フェルナンデス、Aロペスに代えて中野嘉大。3人を一発交代させた。一進一退の攻防が続くが、FWのトップラインにボールが入るようになった札幌に対し広島は右からの攻撃に絞ってきたようだ。中心は背番号50の藤井智也。

 今度は広島の交代。10分にゴールゲッターの浅野ら3人が変わった。この後、札幌の白井、ルーカス、Dオリヴェイラの攻撃が激しくなる。Dオリヴェイラのオフサイドの判定の後ゲームが動く。

 16分、始まりは広島のゴールキックから。ビルドアップしていくが背番号7野津田岳人のミスキックをDオリヴェイラが奪い取り、約25メートルからシュート。これが決まって札幌2−1とリード。広島は19分過ぎに2人を交代して反撃をするが、札幌ペース。この試合札幌は深井、高嶺、菅の3人がイエローカード。大会は違うが、この3人のカードが多い。要注意。

 後半のアディショナルタイムタイムは4分。今季初となった「厚別の空は終了時にはすっきりと晴れ渡っていた」。

 ルヴァンカップグループステージ第3節は8月12日午後7時から札幌ドームで、カズこと三浦知良(53=静岡県出身)のいる横浜FCと対戦する。


 上写真/前半14分、札幌MF金子(右)がFWドゥグラス・オリヴェイラからのパスを受けて先制ゴールを決めて走り出す、左笑顔の早坂

■北海道コンサドーレ札幌の金子拓郎選手のコメント
 「得点はCKのこぼれ。力まず狙ったコースに蹴ることが出来た。ドゥグラス(オリヴェイラ)が良い落としをしてくれて、左足のシュートには自信があった。プレー全体としては久しぶりのスタメンだったが、前半はあまり良くなく、後半はオープンな展開になったのでドリブルがある程度生きたと思っている。連戦の疲れはあまり感じてはいないが、久しぶりに先発して、最後に足をつってしまったのでまだまだ甘いなと思っている。次節も厳しい試合になると思うが、チーム一丸となって戦いたい」


 上写真/前半22分、広島MF浅野(29番)が札幌MF深井(8番)を追い抜くようにドリブルで持ち込み同点ゴールを決める


 上写真/前半27分、先発に起用された札幌FWアンデルソン・ロペス(11番)が広島MF野津田(7番)とDF井林(3番)に挟まれながらも巧みなボールさばきを見せる。ロペスはコロナ騒ぎでブラジルに一時帰国、日本に戻ったものの2週間の隔離を余儀なくされチームに戻って日も浅くコンデションが懸念されていたが、健在ぶりをアピールした


 上写真/今季新加入した札幌のGKカウィン(29番)が初出場初先発した。後半2分、広島の攻撃をかわしてロングボールを蹴り出す。1点は入れられたものの堅実な守りを見せた、右はDFキム・ミンテ(20番)と田中(32番)



 上写真/後半16分、札幌のFWドゥグラス・オリヴェイラ(33番)が広島のミスを見逃さず嬉しい初ゴールを決め、ピッチにひざをつき両手を高々と突き上げた。このゴールが決勝点となりこの日のヒーローとなった

■北海道コンサドーレ札幌のドゥグラス・オリヴェイラ選手のコメント
 「点を取れたことがうれしく思う。同時にチームも勝つことが出来て良かった。チームとしての選手層の厚さをこのカップ戦で示すことが出来たと思っている。個人的な内容に関しては今までで一番良かった。ここ最近は得点出来ない焦りからかナーバスにもなっていたので。ただし、日に日に自分の成長を感じているし、今後もっと良くなると信じている。今後も引き続き、内容よく勝ち続けていきたいと思っている。ルヴァンカップで優勝して昨年のリベンジを果たしたいし、リーグ戦でも勝てるように力を合わせたい」


 上写真/後半29分、札幌FWドゥグラス・オリヴェイラ(33番)は広島DF清水(16番)をかわして突進する。この日先発に起用されたオリヴェイラは、決勝点となる初ゴールを決め、MF金子の先制点をアシストするなど大暴れしヒーローとなった


 上写真/後半39分、札幌MF金子は広島DF清水(16番)をかわしてドリブルで前進する


 上:上段写真/後半追加タイム5分、広島右CKからの攻撃で、ヘディングシュートをはずしたDF野上(2番)顔を覆って天を仰いだ瞬間、試合終了の笛が鳴った。右へMFハイネル(44番)、頭に手をやるMF柴崎(30番)、DF井林(3番)、札幌の選手は左から早坂(26番)、笑顔を見せる途中出場したFW藤村(16番)、ガッツポーズのDF田中(32番)、MF白井(19番)は吠えているようだ、右端FWドゥグラス・オリヴェイラ

 上:下段写真/広島を2−1と破り、決勝点となる初ゴールを決めたFWドウグラス・オリヴェイラ(33番)、健在ぶりを見せたアンデルソン・ロペス(11番)を中心に、初出場したGKカウィン(左端)ら札幌の選手がサポーターに勝利を報告する




 上:左側写真/後半41分、選手の負傷で試合が中断した時、水を飲みに来た広島MF森島(10番)の頭をなでる札幌のペトロビッチ監督

 上:右側写真/前半24分、給水タイムの時、選手に指示を出しボードを持ったまま厳しい表情を見せる広島の城福浩監督


■北海道コンサドーレ札幌のミハイロ・ペトロビッチ監督のコメント
 「非常に気温が高く湿度も高い中、中2日ということで難しかった。選手を多く入れ替えることも出来ず総力戦だった。前半はビルドアップでバタつきがありながらも、よく選手が我慢して自分たちのプレーをしてくれた。強い広島に対し、自分たちが勝ち上がるんだという気持ちを出して戦ってくれた。全体を通してみればわれわれが勝利に値する試合をしたと思っている」


■サンフレッチェ広島の城福浩監督のコメント
 「ルヴァンのグループステージを抜けるには、札幌戦を乗り越えないといけないという強い気持ちを持って臨みました。広島で応援してくださる方々はルヴァンカップにも期待していただいていたと思いますし、われわれもカップのタイトルを目指していたので、今日の負けは非常に痛いなと思います。ただ可能性のある限り、他力になるかもしれませんけど、グループステージの最後の試合を勝って可能性を追求したいなと思います」


池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影