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プロカメラマン“石井一弘の目”番外編『厳選11シーンで2019振り返り』

20・02・11
 今回は昨シーズンの数ある写真の中から、『記憶に残った11(イレブン)の写真』を紹介致します。

 写真と共に振り返りながら、今シーズンはどんな活躍を見せてくれるのか、期待に胸を膨らませながら開幕を待っています。皆さんも一緒に楽しんでいただけたら幸いです(写真はいずれも撮影・石井一弘)。


 上:上段写真/3月からは別々に2枚。3月2日、埼玉スタジアム2002、J1第2節浦和戦での前半27分、札幌FW鈴木(9番)がMFチャナティップのスルーパスを左足で蹴り込み2点目を決める、左浦和DFマウリシオ。この日は鈴木があげた2ゴールで完封勝利した。

 上:下段写真/3月13日、札幌ドーム、ルヴァンカップグループステージ第2節長崎戦の後半44分、札幌GK菅野(1番)が長崎FW畑(29番)のPKを足先でスーパーセーブしチームを救う。中央は札幌MF檀崎(17番)。この試合は1−1で引き分けたが、このPKストップがルヴァンカップ快進撃のきっかけになったかもしれない。


 上写真/令和に元号が変わった初の試合は5月4日、札幌ドーム、J1第10節神戸戦。後半17分に元スペイン代表ダビド・ビジャにPKを決められた後の後半23分、札幌DF福森の右FKから神戸DF陣がクリアしたこぼれ球をDF進藤が見事なオーバーヘッドシュートを決め同点とする。
 左端神戸MF郷家(27番)、その右札幌MF深井(8番)、進藤の手前FW鈴木(9番)。この後鈴木の逆転弾が決まり、試合は2−1で終了。“令和初勝利”を華麗に決めた。


 上写真/6月1日、札幌ドーム、J1第14節広島戦の前半6分、GKからのロングボールをヘッドではね返す札幌MF荒野(27番)、右は広島FWドウグラス・ヴィエイラ。荒野は負傷した宮澤に代わってキャプテンマークをつけ、攻守に奮闘し4試合ぶりの勝利に貢献した。後半18分にはMF早坂が得点をあげ、1−0のスコアで終了。
 荒野は9月14日の第26節でJ1初ゴールを決めるなど、更なる成長を見せた1年だったように思う。


 上写真/6月26日、札幌厚別公園競技場、ルヴァンカッププレーオフ第2戦、ジュビロ磐田相手の前半10分、PKを決めて走り寄って来た札幌MFアンデルソン・ロペスを祝福するペトロビッチ監督(右)。この表情からふたりの信頼関係が垣間見られる。
 左後方早くも2失点に腕組みして渋い表情の磐田名波浩監督(当時)。試合結果は先に行われていた第1戦、この日の第2戦とも2−1で磐田に勝利し、ベスト8に進んだ。


 上:上段写真/7月20日、札幌厚別公園競技場、J1第20節湘南戦での後半39分、右サイドを駆け上がったMF白井からのクロスをチャナティップがシュート。一度はGK秋元(1番)がはじき、前にこぼれたボールを再びチャナティップが今度は「おなか」で押し込んでゴール。しかし、主審は「ハンド」と判断してノーゴールとなった。

 上:下段写真/これに怒った札幌側は、ペトロビッチ監督や選手たちが猛抗議。中村太主審がチャナティップ(18番)に左手を示して「ハンドだった」ということを一生懸命説明しているように見える。この後、主審と副審が協議し、結局判定が覆りゴールが認められた。

 上段の写真ではチャナティップの左手がボールに当たっているようには、どうしても見えない。判定が覆ったのは妥当な判断だったのではないかと思う。このようなシーンや判定が昨季までのJリーグで目立っており、2020シーズンからVARの前倒し導入となったのではないか。


 上写真/8月24日、札幌ドーム、J1第24節FC東京戦の後半2分、札幌MF菅(4番)が東京DF岡崎(29番)をかわして同点ゴールを呼ぶ絶妙のクロスを中央に入れる。この瞬間を見ると、菅の体の向きと目線のフェイントに相手DF岡崎が完全に引っ掛かり、足を出してしまっているのが分かる。
 菅は活躍が認められ、このあとの日本代表選出とU23東京五輪代表候補に選出された。


 上写真/9月4日、札幌厚別公園競技場、ルヴァンカップ準々決勝第1戦、広島との対戦で後半6分、広島DF荒木のハンドで得たFKを札幌DF福森(5番)が直接決め同点とする。この日は3−2で勝利し、続く9月8日アウエーでの第2戦は1−1で引き分けたが、準決勝に駒を進めた。今年も福森のFKはどの試合でも見逃せない。
 

 上:上段写真/10月26日、埼玉スタジアム2002、クラブ史上初のルヴァンカップ決勝対川崎戦の後半追加タイム5分、札幌右CKからMF深井(右から3人目の上の8番)が、ヘディングで延長戦に持ち込む値千金のゴールを土壇場で決める。120分の熱戦は3−3で引き分け、健闘むなしくPK戦で敗退した。

 上:下段写真/準優勝してあいさつする札幌の選手たちに、満員のスタンドのサポーターたちから感謝の声援が贈られた。大型の電光掲示板は皮肉にも優勝した川崎の選手たちの喜びの記念写真の様子を写し出していた。札幌の選手もサポーターも、またこの舞台に戻り、優勝カップを手にしたいと思っているのだろう―。
石井一弘