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J1第34節(12月7日)、ホームで川崎Fに惜敗。最終戦を飾れず

19・12・11
「3度目の正直」来季は実力だ

  18年夢中で4位、今季研究され10位

 北海道コンサドーレ札幌は12月7日、札幌ドームで川崎フロンターレと明治安田生命2019年J1リーグ第34節を行い1−2で敗れた。成績は13勝7分14敗の勝ち点46で10位。ペトロビッチ監督曰く「まあ、こんなもんでしょう」。リーグ戦で勝ったことのない川崎に今季も「やられた」。さらにルヴァンカップ準優勝だが、決勝の相手が川崎だけに「悔しいし、残念だ」。

 最終戦は7日午後2時から、ホームに2万6千399人の観衆を集めて行われた。相手川崎のサポーター席は3千人を上回るブルーのカラーで埋まった。ベスト3(ACL)入りが懸かり、昨季首位の意地が絡む。

 天候は屋内、無風、気温22.4度、湿度40パーセント。小屋幸栄主審(38=兵庫県出身)のホイッスルで午後2時03分札幌のFWのアンデルソン・ロペスのキックオフで始まった。

 コンサドーレはA・ロペスをトップに右に鈴木武蔵、左にチャナティップの2シャドー。ジェイはベンチスタート。いつもと違う。ボランチは荒野拓馬と深井一希。3バックはセンターに宮澤裕樹、右に進藤亮佑、左は福森晃斗。GKク・ソンユン。

 川崎はトップに小林悠。その下の右・家長昭博、中央に脇坂泰斗、左が阿部浩之、さらに田中碧らが加わる。川崎の得点源はこの5人と言っても過言ではない。そのリードオフマンは家長で、ライトからの攻めは常に相手に恐怖を感じさせる。この中で3人のトライアングルが見事に決まってしまった。DFの守田英正が駆け上がり、田中―脇坂とつなぎGK前をすり抜けたボールを小林が右足で決めた。開始48秒だった(記録は1分)。

 札幌は受け身で、立ち上がり、「まだ、ボーっとしていた」時間帯に見えた。

 落ち着きを取り戻した札幌だったが13分、川崎の攻勢が続く。左サイドのペナルティーエリアから荒野がボールを取りに相手MFを追う。切り返しで相手選手の足を止めた形。主審のホイッスル。FKを奪われた。札幌側ゴールからペナルティーエリアを5メートル超えた約30メートル付近。GKクからすると右45度くらいか。キッカーは背番号28脇坂。ゴールマウスに向かって左に位置したGKクの意表を突いた脇坂の右足キックは直接ゴールを狙った。ボールは右隅にカーブを描いて吸い込まれた。GKクはノータッチだった。

 0−2に引き離されたコンサドーレは、徐々にディフェンスからのパス回しを繰り返すようになり、「我に返った」様子。福森にエンジンが掛かったか左右に展開出来るようになった。得意のCKも増えたが、クリアされる。34分。左側からチャナチィップが攻め上がる。反対側のエンドラインにロングパス。その先に居たのがDFの中央に入っていたキャプテン宮澤。相手エンドラインぎりぎりまで走り込み、ヘディングで返す。待ち構えていたルーカスが頭で決めた。1−2で前半終了。
  

【監督のハーフタイムコメント】
■札幌・ペトロビッチ監督
 「前からもっとプレッシャーを掛けよう」、「1対2になってチャンスが多くなった。
  続けていこう」、「頭の回転を早くして、予測して動こう」

■川崎・鬼木達監督
 「守りは正しいポジションからスタートしていくように」、「攻めは距離感を大事に、
  シンプルにボールを運んでいこう」、「次の1点を積極的に取りに行こう」


 後半、札幌は荒野が、キム・ミンテに代わる。両チームともロングボールが多くなる。コンサドーレは福森の左足。川崎は、阿部がロングシュートを放つがGKクにつかまれる。10分経過したところでチャナティップが、FWジェイと交代。コンサドーレはトップにジェイを据え、ターゲットにする。川崎も14分脇坂と知念慶が代わり入る。

 札幌にアクシデントMF深井が動かない。足のけがでMF中野嘉大に交代。札幌は中野の交代で、攻撃の起点が出来たようだが、A・ロペスのシュートが川崎GKに阻まれる。後半40分過ぎに川崎の阿部が旗手怜央に交代。この辺りで札幌が、左の菅からジェイをターゲットにしてボールを送り込む。さらに福森とキム・ミンテのやり取りも盛んになるが、ミンテのシュートはバーを越える。

 アディショナルタイムは3分。ミシャ監督が「3分は短い」のジェスチャーだろう。反論するように川崎が最後の選手交代。トップの小林がレアンドロ・ダミアンと悠々の交代。最後は静かに終わった。

 元川崎の福森が、川崎の選手と握手会、それぞれの思惑が交わる結末だったのではないか。7月までコンサドの選手だった小野伸二選手(FC琉球所属)が見に来ていてあいさつして帰って行った。川崎の応援席前に元札幌の「奈良竜樹」の横断幕が掛かっていた。

 ―また来年会おう。

   (写真はいずれも12月7日、札幌ドーム、撮影・石井一弘)


 上写真/前半48秒、川崎のエースFW小林にあまりにも早い先制点を決められぼう然とする札幌の選手たち。アシストしたMF脇坂に絶妙のパスを出した田中(25番)が拍手しながら笑顔で走り抜ける。左からMF荒野(27番)、ルーカス・フェルナンデス(7番)、FWアンデルソン・ロペス、MF宮澤(10番)、GKク・ソンユン(25番)、DF進藤(3番)

■北海道コンサドーレ札幌の宮澤裕樹選手のコメント
 「立ち上がりの失点の場面は、しっかりと守備の人数をそろえていたにもかかわらずやられてしまった。パスが動いている中で、後方から飛び出してくる選手のところをうまく捕まえることができなかった。後半はオープンな展開に持ち込み、そこで同点にするチャンスもあったとは思うのだが、もっとチームとして余裕を持ってプレーをするべきだったとも感じる。ただし、今季はルヴァンカップの決勝もそうだし、今日のような、7位を目指す試合も経験することができた。いろんな経験が来季につながっていくと感じている」


 上写真/前半6分、札幌MFチャナティップ(18番)が川崎MF田中(左)と家長(41番)の間をドリブルで突進する


 上写真/前半13分、川崎MF脇坂が左サイドからのFKを直接決め2点目を上げる。札幌GKク・ソンユンが一瞬、体を左に動かしたためか、飛びついたが及ばなかった

■川崎フロンターレの脇坂泰斗選手のコメント
 「立ち上がりから、自分たちらしいサッカーが出せていたと思う。しっかりとパスをつなぎながら、相手ゴールに迫ることができた。先制点を引き出したところは、やはり前に入っていくプレーが相手チームもイヤだろうし、自分たちの良さでもある。狭い局面から突破していく良さも出せていた。

 自分の得点のところは、相手GKも自信を持ってあのポジションを取っていたと思うので、狙う素振りは出さず、ギリギリのところでコースを狙った。入って良かった。

 反省点としては、長いボールを蹴られたあとになかなかディフェンスラインを押し上げられなかったところ。ただし、そこも試合の中で修正することができていたと思う」



 上写真/前半34分、札幌MFチャナティップからのロングボールを宮澤がヘッドで折り返し、ルーカス・フェルナンデス(中央右)が決めて1点を返す。アシストした宮澤(10番)、起点となったチャナティップ(右)が走り寄る、11番はFWアンデルソン・ロペス


 上写真/後半15分、札幌MF深井が負傷し、タンカに乗せられて退場、代わりに中野が入った


 上写真/後半35分、札幌FWジェイ(48番)がアンデルソン・ロペスのクロスに反応してゴール前に迫るも、川崎DF山村(34番)に一瞬早く体を入れられてクリアされる


 上写真/後半40分、札幌MFルーカス・フェルナンデス(7番)が、川崎DF車屋(7番)、FW旗手(33番)の間をドリブルで抜ける。ルーカスはこの日、今季2点目となるゴールを決めるなど健闘した



 上写真/最終戦で川崎に1−2と敗れ、ルヴァンカップ決勝戦の雪辱ならず、ガックリとピッチ上でと尻をつくFWアンデルソン・ロペス(11番)とひざに手をやるDF福森(右奥)。川崎の選手は、MF大島(10番)とFW小林に代わってキャプテンマークを巻いたDF谷口(5番)

■北海道コンサドーレ札幌の鈴木武蔵選手のコメント
 「ルヴァンカップの決勝で敗れた川崎にリベンジを果たして今季の最後を締めくくりたかったので、それを果たせなかったことがすごく残念に思っている。今日の試合は自分が得点を取って勝つつもりでいたので、それも果たすことができなかった。立ち上がりから相手のテンポについていくことができず、そこでやられてしまったのは残念だし、反省点。それ以外の時間帯はハードワークもポゼッションもできていたので、0−0の時間帯をもっと増やせていれば、という思いが強い。今季は自分にとって想像以上の1年となったが、来季は今季以上のものにしなければいけないと思っているし、それを周囲からも求められると思っている」



 上:左側写真/前半24分、大声で指示を出す札幌のペトロビッチ監督、手前は川崎MF阿部(8番)、札幌MFルーカス・フェルナンデス(7番)

 上:右側写真/前半43分、川崎MF大島(10番)に指示を出す鬼木達監督

■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「川崎という良い相手に対して、早い時間に失点したことで苦しい試合になりました。しかし、選手たちはその後、しっかりと取り組んでくれました。0−2から1−2になってから良い時間帯になりましたし、その後の展開は自分たちのイメージどおりに表現できていたと思っています。後半は互いに攻め合うチームなので、良い意味でオープンな展開になりましたが、そこで得点できていれば、と思っていますし、後半に関しては満足のいくコントロールができたと思います。

 最終戦ということでたくさんのサポーターに良い雰囲気を作ってもらいました。ですので、なんとか追いつきたかった。そこはとても残念です」


■川崎フロンターレの鬼木達監督のコメント
 「アウェイまで多くのサポーターが駆けつけてくれ、力になってくれました。その思いを最後まで受け止めて、選手も戦ってくれました。立ち上がりから自分たちらしく戦って得点できましたが、あの時間を長くできるようにできればと思います。難しい時間帯もありましたが、サポーターと一体となって戦って勝利を収められたことに関しては、みんなに感謝しています」
池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影