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J1第32節(11月23日)、J1残留に執念燃やす磐田に敗れる

19・11・27
第32節はハートとハートの戦い

 ミシャ「アリガトウ」磐田に光り

 ペトロビッチ監督がホーム札幌戦を終わって取材記者に「アリガトウ」と言って会見室を去った。

 明治安田生命J1リーグ第32節は11月23日午後2時から、札幌ドームで最下位のジュビロ磐田と対戦した。負けたらJ2降格が決まる磐田は「必死の立ち上がりで1点を先取した」。愛称ミシャのハーフタイムコメントは「焦らないこと」。後半1−1の同点に追いついたが90分+7分にPKを献上、「決められて」1−2で敗れた。何が「アリガトウ」なのか? タイ出身のチャナティップが「なまらうまい」を連発、「タイの人は日本語がうまい」と言っていた。「ブラボー=アリガトウ」になったようだ。

 会場の札幌ドーム内は気温24.0度、湿度41パーセント。良芝・乾燥、入場者数は1万9千785人。飯田淳平主審(38=神奈川県出身、国際審判、昨年のPK判定数は9回=多い方、一番は〇〇主審の12回)。

 試合の方は札幌の鈴木武蔵が午後2時03分キックオフ。3バックの中央に宮澤裕樹が入り、進藤亮佑と福森晃斗が両サイド。WBに白井康介と菅大輝。中央に荒野拓馬と深井一希。トップが武蔵で両シャドーにアンデルソン・ロペスとチャナティップ。GKク・ソンユン(どっきり報告=スタメンを見て、警告3枚が進藤、宮澤、白井、深井、荒野、サブのキム・ミンテ)。結果を先に報じておきます。この試合札幌に警告者なし。磐田の松本昌也と藤川虎太郎が1枚目。PKを取られたのは進藤だったがおとがめなし。

 ゲーム展開は札幌が、自陣からビルドアップして攻めるが、磐田ペナルティーエリア前には5、6人の守備陣がきれいに並んで防御、シュートチャンスが無い。武蔵とA・ロペスが並んでトップに入って行くので、最後のキラーパスが「お見合い」になってしまう。

 チャナティップと菅、右の白井が2トップの先にボールを出すが、どん詰まりでトラップもできない。「チャナ・シュート」。「菅打て」、「白井逆まで」。何度も「叫んだ」展開だった。

 前半26分、右サイドからコンサド・サポーター席に向かっての磐田の攻め。右のMF松本昌也が走りながらの早いクロス。このボールにMF藤川がワンタッチで流す。逆サイドまで転がったボールを詰めていた背番号15アダイウトンが難なく決めた。DF進藤はその前のプレーで相手と交錯し倒れており「ファールがあった」と審判に詰め寄ったが、聞き入れられず。きっと「4枚目」が気になったのか?


【監督のハーフタイムコメント】
■札幌・ペトロビッチ監督
 「焦らないこと」、「中と外をうまく使い分けよう」

■磐田・フェルナンド・フベロ監督
 「前からのプレッシャーを継続していこう」、「入れ替えを早く、シュートで終わらせよう」


 後半、札幌はWB菅に代えてルーカス・フェルナンデス。磐田は、DF大井健太郎に代えて大南拓磨をピッチに送った。

 試合の方は札幌が早めのパス出しでペースをつかむ。6分過ぎにDF福森からの球をペナルティーエリア内で受けたA・ロペスが相手DFを押さえシュート。ネットを揺らしてサポーターの乱舞を受けたが、副審がA・ロペスの磐田DFへのファールを取り、ノーゴールの判定。この試合札幌の初めてのクリーンシュートだったが、判定は覆らなかった。

 後半12分に札幌はこの日3本目のCK(コーナーキック)を得るが、実らない。ピッチ脇にFWジェイの姿。14分にA・ロペスと交代、ジェイがトップに武蔵が右シャドー。この後両チームとも選手交代。札幌は白井からMF中野嘉大に。磐田は藤川から荒木大吾、FWルキアンから川又堅碁。互いに3人ずつの選手交代を完了する。後半の27分までに両チーム交代を完了するのは珍しい。

 同点を狙う札幌はトップのジェイにボールを集める。31分にはチャナからのパスをジェイがシュート。相手に当たり外れるが、このあたりからGK八田直樹の足が動かなくなる。ふくらはぎを押さえて倒れ込む。すでに後半40分。

 右サイドを攻めるルーカスがエンドライン際で相手に当てて右CKを得て、福森が蹴ったボールは磐田のクリアに遭い、今度は左CKを得る。43分、この日5本目のCKである。福森のキックはゴール中央の赤黒の集団の中央に。ヘディングでネットを揺らし、高々と手を挙げたのは、深井だった。

 今季リーグ2点目。あのルヴァンカップ決勝で見せたような、「涙の一撃」だった。

 アディショナルタイムは5分。磐田の猛攻が続く。勝つしか後がないない磐田の根性を見た。右サイドから攻め、川又に合わせる。札幌ゴール左までボールが転がる。DF進藤と磐田・荒木が競り合う。主審のホイッスル。PKマークを指さす。キッカーは荒木。GKクの右足に当たったが、ネットを揺らした。良かったなー磐田。札幌もこんな勝ち方をしたい。

 この結果、札幌は磐田に敗れはしたものの、勝ち点43で順位変わらず8位。一方、勝利した磐田は勝ち点28になったが最下位のままで残り2試合を戦う。

 次戦の第33節は11月30日午後2時から、現在14位のサガン鳥栖のホーム、駅前不動産スタジアムで行われる。

    (写真はいずれも11月23日、札幌ドーム、撮影・石井一弘)


 上写真/前半24分、札幌左CKからの攻撃で、FW鈴木(中央右)、MFアンデルソン・ロペス(同左の11番)がジャンプして飛び込むが、磐田GK八田(1番)にパンチングでかわされる、左端DF進藤(3番)も上がっていた


 上写真/前半26分、磐田右サイドを駆け上がったMF松本がゴロのクロスを入れ、札幌DFがこぼしたボールをMF藤川が左サイドに流し、角度のないところからMFアダイウトンがシュート。ボールは札幌GKク・ソンユン(25番)の頭上を越えゴールに吸い込まれ先制点となる。左磐田FWルキアン(39番)、その手前札幌MF白井(19番)、中央左すべり込んでいるのはDF宮澤


 上写真/前半追加タイム2分、磐田左CKからの攻撃を札幌GKク・ソンユンがジャンプしてキャッチ
 

 上写真/後半32分、札幌FW鈴木(9番)がドリブルで突破を図るが、磐田DF大南(25番)、藤田(33番)に挟まれるように倒される

■北海道コンサドーレ札幌の鈴木武蔵選手のコメント
 「今日のチームとしてのパフォーマンスは決して悪いものではなかった。そうしたことを考えると、やはり勝たなければいけない試合だったと思っている。先制点を与えてしまえば相手の守備が堅くなることも分かっていたので、それを与えてしまったことももったいない。こちらも決めるべきところで決めていれば違う結果にできていたと思う。本当に強いチームは今日のような試合でもしっかり勝点3を取ると思うので、まだまだ自分たちには力が足りないし、もっとレベルアップしなければいけない」


 上写真/後半35分、ボールをキープした札幌MFチャナティップ(18番)がパスの出し所を探すが、磐田DF大南(25番)、MF松本(14番)に挟まれるように阻止されて出せず


 上写真/後半追加タイム4分、札幌ゴール前に迫った途中出場の磐田MF荒木(左倒れている)と 同じく途中出場のFW川又(20番)が、大きく手を広げて札幌DF進藤(中央右でひざをついている)のプレーがPKだ、とアピール、GKク・ソンユンはまだ懸命にボールを追っている、左端札幌MF荒野(27番)、右端DF福森(5番)、その左MFチャナティップ(18番)


 上写真/後半追加タイム7分、倒された磐田MF荒木(27番)がそのままPKを蹴り、札幌GKク・ソンユン(25番)が足に当てたものの、ボールは上のゴールネットを押し上げて決まり、これが決勝点となった。右端札幌MF深井(8番)、中央宮澤(10番)、手前磐田MF上原(30番)

■ジュビロ磐田の荒木大吾選手のコメント
 「ここ最近は自信を持ってやれているので、札幌も上位のチームでしたけど、自信を持って挑むことができた。勝っている状況だったので、無駄なことをせずに守備をしっかりとやろうと監督から言われたことをやっていたんですが、失点してしまい、相手も前掛かりにきた。今度はこっちが勝たなければいけない状況になったので、勝ちにいくために相手よりも走ろうと思っていました。良い流れでカウンターができたので、あとは松本 昌也から絶対ボールが来ると思って信じて走っていた。みんなでつかみ取った1点だと思う」


 上写真/1−2で勝利した磐田はこの試合でのJ2降格を免れ、MFアダイウトン(15番)が札幌FW鈴木と健闘をたたえ合ってタッチ、左端磐田MF山本(23番)は力を出し切ったのかひざをついたまま。他の選手は右に札幌MF深井(8番)、FWジェイ(48番)、MF中野(23番)、ルーカス・フェルナンデス(7番)


 上写真/後半25分、大きなジェスチャーで選手を鼓舞する磐田のフェルナンド・フベロ監督(左)と札幌のペトロヴィッチ監督


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「今日の相手の磐田は負ければ降格。モチベーション高く挑んでくるのは分かっていた。難しいゲームになることも分かっていた。結果は良くなかったですが、試合はコントロールできていたと思う。意図的にチャンスを作るところまではできていた。その中で疲労の色が濃かった選手がいたことも確か。代表選手に関しては蓄積疲労、移動による疲労なども見えた試合でした。ただし、チャンスは十分に作れていました。その中でラストパス、シュートの精度、そこに対する集中力が足りなかったと思います。一度追いついて、なんとか勝ちにもっていきたいという思いを持って戦いましたが、PKを取られる前のプレーで決め切っていればわれわれが勝利していたと思います。そこで決め切れず、われわれが敗れた試合でした。

 代表選手が抜けていたり、天候によって練習試合ができなかったこともあり、そうした現実もありましたが、それらは言い訳にはなりません。そうした中でも勝点を取っていかなければなりません。内容に関しては悪くなかったので、それを結果に持っていくことができませんでした。磐田は一度のチャンスに決めて、後半もPKのみだったと思います。そうした試合はサッカーではよくありますが、そうした試合でも結果につなげていかなければなりません。2万人近いサポーターに勝利を届けられなかったことは申し訳ないと思っています。そうした中でも勝利を目指して戦ったことは見て分かってもらえたと思います」


■ジュビロ磐田のフェルナンド・フベロ監督のコメント
 「われわれは非常に良い入りができたと思います。その中で前半のうちに先制点も決められた。前半はわれわれが思い描いたようなプレーで終えることができたと思います。後半に入って、札幌が攻勢に出てうまくやったと思います。特に相手は同点、もしくは逆転するために攻撃的な選手を次々と注ぎ込んできて、われわれはそれを受けなければいけなかった。

 ただ、後半も引き続き選手は集中してDFをやってくれたと思います。残念ながらCKから同点にされてしまいましたが、われわれはアディショナルタイムのラストプレーともいえる場面でPKを獲得して、それを決めて勝ちに結びつけることができたゲームだったと思っています」
池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影