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ルヴァン杯(6月26日)、プレーオフ2−1で磐田に勝つ

19・06・28
最後まで「悠人」を走らせたミシャの心

PK失敗を取り返すチャンスだよ

 北海道コンサドーレ札幌は6月26日、JリーグYBCルヴァンカップ・プレーオフ第2戦を札幌厚別公園競技場で、薄暮から照明に照らし出された午後7時からジュビロ磐田と戦った。結果は第1戦同様2−1で札幌が勝ち、22年振りのベスト8に進出した。

 試合は、前半5分に鈴木武蔵がアンデルソン・ロペスのパスを受けて得点。さらに10分にPK判定でAロペスが決めて2点目。立ち上がりから磐田を突き離した。

 さらに19分過ぎ、再び札幌にPKのチャンス。Aロペスと武蔵らが決めた「白羽の矢」は背番号13のU−22代表選手の岩崎悠人(21=滋賀県出身)。結果はゴール右ポストにはじかれて「失敗」。この後23分に、今度は磐田にPKチャンス。FWロドリゲスが決めて2−1で、磐田・名波浩監督のジェスチャーが激しくなった。それにしても、PK判定が前半だけで3本は―お目にかかったことがない。

 主審は荒木友輔氏。国際審判(2018年)でこれまでのPK判定数は3回(23試合)と少ない方だ(レフェリー名鑑から)。

 前半を終わり、ペトロビッチ監督の選手や報道関係者へのコメントは「受けの姿勢ではなく、3点目を取りにいく姿勢で行こう。慌てずコミュニケーションをとりプレーしよう」だった。

 後半に入り磐田の勢いが増す。2−1の局面は同点、逆転のパターンが怖い点差。磐田が6割、札幌が4割の攻撃展開を繰り返す。一番怖い展開で、まず動いたのが札幌。17分に福森晃斗を石川直樹、Aロペスを金子拓郎の2枚代え。PKをミスった岩崎は右側サイドから何度も挑戦するが相手のサイドネットにシュートが当たる。終了間際の41分にやっと檀崎竜孔に代わった。

 磐田は攻めに攻めるが、シュートが単調。攻めあぐんだ形だが、19分に1人、30分台に2人を交代するが、札幌DF進藤亮佑、キム・ミンテらの好守、GK菅野孝憲の好捕に阻まれた。

 過去のベスト8は、1997年のウーゴ・フェルナンデス監督の「ヤマザキナビスコカップ」時代の準々決勝で鹿島アントラーズに第1戦は1−2、第2戦は0−7の連敗だった。

 今季の「ルヴァンカップ」の準々決勝は9月4日、同8日に行われるが、札幌とFC東京、ガンバ大阪、名古屋グランパスの4チームと「AFCチャンピオンズ・リーグ(ACL)」に出場した鹿島、浦和レッズ、川崎フロンターレ、サンフレッチェ広島の4チームで戦う。

 (写真はいずれも6月26日、札幌厚別公園競技場、撮影・石井一弘)


 上写真/磐田戦の先発、守備陣はベストメンバーが入り、FW鈴木のワントップ、両サイドを若い岩崎、けがから復帰のアンデルソン・ロペス、ボランチに藤村、中原、GKはベテラン菅野


 上写真/前半10分、FW鈴木は倒されて得たPKを譲り受けたMFアンデルソン・ロペス(11番)が決め、早くも2点目をあげる


 上写真/前半19分、札幌DF進藤のスルーパスに反応しゴール前に迫るMFアンデルソン・ロペス(11番)が磐田DF藤田(右)に倒されPKを得る、左森下(35番)


 上写真/前半20分、札幌MFアンデルソン・ロペスが得たPKを譲られて岩崎が蹴ったが、右ポストに当たり決まらず

■北海道コンサドーレ札幌の岩崎悠人選手のコメント
 「今日に関しては本当に申し訳なく思っている。PKを失敗したところは、自分としては狙いどおりのところに蹴ることができたのだが、バーに当たってしまった。試合前からチームメートみんなが「今日は点を取りたいね」と声をかけてくれたので、その期待に応えたかったのだが・・・。ただし、トゥーロン国際大会を経て、今日は仕掛けのところなどで思い切ってやれた。リーグ戦も天皇杯も続いていくので、今日の悔しさはなんとかそこで晴らしたいと思っている」


 上写真/前半23分、磐田FWロドリゲス(左端)にPKを決められ1点を返される。札幌GK菅野(1番)は左へ飛んだが、ボールは正面へ(MFムサエフの陰で見えない)


 上写真/後半8分、磐田MFアダイウトン(15番)の攻撃を札幌MF中原(6番)と早坂(26番)が囲むようにつぶす、右DF進藤(3番)


 上写真/後半17分から途中出場した札幌MF金子(30番)が、42分、磐田DFエレン(6番)と競りながらドリブルでゴール前に迫る


 上写真/後半追加タイム3分、札幌FW鈴木(左)のシュートは磐田DF森下(35番)にクリアされ追加点ならず


 上写真/前半10分、PKを決めて走り寄って来た札幌MFアンデルソン・ロペスを祝福するペトロビッチ監督(右)、左後方早くも2失点に腕組みして渋い表情の磐田名波浩監督

■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「われわれとしては良いゲームだったと思います。ただ、サッカーというのは危険なスポーツであることを再確認しました。サッカーではやってはいけないことがいくつかあります。

 私自身は前半パワーを持って入り、前半で試合を決められるだけの力を出せると予想して挑みました。連戦を考えて何人かの選手の交代を考えていました。やってはいけないことというのは、例えばPKを失敗することは起こり得る。でも、今日のメンバーでは鈴木(武蔵)か(アンデルソン)ロペスが蹴らなければいけなかった。2人は岩崎(悠人)にPKで点を取らせたかったのだろうが、それは相手にリスペクトを欠いたと思う。もちろんPKなので外れることはあるので外したことは悪いことではない。ですが、そうした判断が良くなかったですし、結果として、どちらに転ぶか分からない試合になりました。

 われわれのチームはまだまだそれだけのチームではありません。余裕を見せているチームではない。岩崎に点を取らせたい気持ちは理解するが、リスペクトを欠くし、そうした行為をすると罰が下るのはサッカーの常だと思います。もちろん、岩崎が蹴るべき場面もあるだろう。でも、今日はそうではなかった。そういう部分も含めてわれわれは成長しなければなりません」


■ジュビロ磐田の名波浩監督のコメント
 「180分間戦った中で、先に点を取られる厳しい試合が2試合続いてしまいました。今日も開始20分で2失点。このビハインドの中で、それをはね返すだけの得点力そしてパワーが足りないことは十分に分かっていたので、ゲーム前から70分、80分でもいいからとにかく先制をすることを選手に伝えていました。プラン通りいかなかったことが残念でした。

 われわれはこの2試合をプラスに変えてやっていきたいと思っていましたし、こういうゲームになっても自分たちの身となり血となっていると思っています。カップ戦は終わったので、気持ちを切り替えてやっていきたいと思います」

池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影