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J1第16節(6月22日)、札幌が厚別で鳥栖に3−1と快勝

19・06・25
 北海道コンサドーレ札幌は6月22日にホームの札幌厚別公園競技場でサガン鳥栖と対戦した明治安田生命J1リーグ第16節。札幌は前半CKからDF石川が合わせ先制。追加点もCKからで今度はFWジェイが決めて2−0。後半、鳥栖FW金崎が1点返すも、カウンターから札幌MF鈴木がゴールを奪い、札幌が3−1で勝利した。これで札幌は、8勝3分け5敗の勝ち点27で、順位を5位に上げている。

 当日の厚別は雨で20.1度、涼しい中ではあったが、札幌はルヴァンカップから中2日ということもあり、ターンオーバー制で臨む。一方の鳥栖は監督交代後に3連勝と波に乗りかけた後に2連敗。最下位に沈むチームの浮上を懸けて乗り込んできた。

 試合は前半、ハードワークが売りの鳥栖が強固な守備ブロックを敷く。対する札幌は濡れたピッチも手伝いボールを速く動かしながら攻め手を探る。しかし鳥栖のブロックは簡単には崩せないと見ると、定石通りにセットプレーから札幌が試合を動かす。

 前半19分、相手陣内に押し込んで札幌が得た右CK。キッカーのルーカス・フェルナンデスが右足で、GKが触れないボールを蹴ると、大外でフリーとなっていた石川へ。目の前でバウンドする難しいボールを石川はスライディングしながら左足でうまくミートし、札幌が先制。

 流れをつかんだ札幌は前半31分、またもCKから追加点をあげる。今度は左CKをルーカス・フェルナンデスが右足のインスイングで入れる。これをジェイが相手DFを無力化する高い打点から強烈なヘディングシュートを叩き込み、札幌が2点リード。ジェイの高さだけに目が行きがちだが、相手と競り合う瞬間の反則にならない左手の使い方(ラグビーで言えばハンドオフのような)が、巧みだった。

 反撃に出たい鳥栖のチャンスは前半32分。ハーフウェーラインからペナルティーエリア内へ一気のロングフィード。抜け出した途中出場の鳥栖FW小野がなんとか頭で折り返すと、FW趙東建が浮き球を右足でワンタッチシュート。ボールは弧を描きゴールの右ぎりぎりへ向かうも札幌GKク・ソンユンが伸びきった右手一本でわずかに触り、ゴールを死守。そのまま2−0で試合を折り返す。

 後半に入り、アウエーの鳥栖がまずは1点と、攻撃に人数をかける。札幌はその裏を狙い、後半11分には自陣中央からロングフィードでカウンターを仕掛け、左サイドで受けたチャナティップが中央の鈴木へ横パス。鈴木は寄せきれない鳥栖DFを見るとペナルティーエリア手前から低い弾道のシュートを放つが、相手GK高丘にはじかれ得点とはならず。

 すると後半25分、鳥栖が1点を返し反撃体制に入る。右サイド深くでFW安がボールを持ち、横にいたMF原川へ短いパス。原川は狭いスペースで前を向くとペナルティーエリア内で横パスを狙う。振られた札幌DFが慌ててボールに触れるも不完全なクリアとなり、こぼれ球をDF小林が中央へパス。これが途中出場のFWビクトル・イバルボを経由し、最後は金崎が右足を振り抜きゴールイン。スコアを2−1とした。

 1点差となり、鳥栖の流れになりかけたが、札幌は相手を突き放す追加点で試合を決める。後半39分、鳥栖が敵陣深くからロングスローでボールを入れるも札幌がヘディングでクリア。鳥栖がこのセカンドボールの対処を誤り、大きなバックパスのような形で、裏へ走り込んだチャナティップにボールが渡る。スピードに乗ったチャナティップはドリブルで鳥栖陣内に入り、上がってきた鈴木へ横パス。ペナルティーエリア前で受けた鈴木は切り返しで相手をはがし、左足で巻いたシュートをサイドネットに沈めゴールゲット。的確な攻めで要所を締めた札幌が、そのまま3−1で快勝した。

 札幌の次の試合は6月26日、札幌厚別公園競技場でジュビロ磐田とJリーグYBCルヴァンカップ プレーオフステージ第2戦を行う。

 (写真はいずれも6月22日、札幌厚別公園競技場、撮影・石井一弘)


 上写真/前半19分、札幌MFルーカス・フェルナンデスの右CKからDF石川(2番)が先制ゴールを決め、FWジェイ(48番)、MF鈴木(9番)に祝福を受ける。鈴木の左MFチャナティップ、鳥栖の選手左MF原川(4番)、右DF高橋秀(36番)


 上写真/前半31分、札幌MFルーカス・フェルナンデスの左CKからFWジェイ(48番)が頭で叩きつけて追加点をあげる。それにしてもジェイのジャンプの高さが凄い、鳥栖の選手は、MF原川(4番)、DF高橋祐(3番)


 上写真/前半31分、札幌FWジェイ(48番)が追加点を上げ広告のスタンドに腰かけてご満悦、左DF石川(2番)、中央MF鈴木(9番)、結果的にくしくもこの日の3点を上げた選手が並んだ


 上写真/後半9分、鳥栖左CKからDF高橋祐(3番)がエビ反りになりながらシュートするもはずれる。札幌の守備陣、左からDFキム・ミンテ(20番)、石川、MFチャナティップ(18番)、白井(19番)、GKク・ソンユン(25番)、DF進藤(右端)


 上写真/後半25分、鳥栖FW金崎にゴールを決められ1点差となりガックリする札幌GKク・ソンユン(25番)、MF白井(19番)、深井(8番)、DF石川(右端)。途中出場して金崎のゴールをアシストした鳥栖FWビクトル・イバルボ(中央)がボールを拾ってセンターサークルへ急ぐ


 上写真/後半32分、札幌左CKからの混戦でFWジェイに代わって途中出場したFWアンデルソン・ロペス(11番)が押し込もうとするが、鳥栖GK高丘(手前)に阻まれCKに逃げられる。ロペスの後方DFキム・ミンテ、右鳥栖DF高橋祐(3番)、FW小野(40番)


 上写真/後半39分、結果的にダメ押し点となったゴールを決め雄叫びを上げる札幌MF鈴木(9番)と喜ぶイレブン、左からFWアンデルソン・ロペス(11番)、MFルーカス・フェルナンデス(7番)、チャナティップ(18番)、鈴木の方を抱くキャプテンマークを巻いたMF荒野、深井(8番)、DF進藤(3番)


 上写真/今季限りでの引退を表明した鳥栖のFWフェルナンド・トーレスが、試合前入念にシュート練習をしていたが、出番はなかった


 上写真/前半9分、選手を鼓舞する鳥栖の金明輝監督、右後方札幌のペトロビッチ監督


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「Jリーグの戦いは毎試合が重要であり難しい。特に今日は重要度が高く、今日勝てれば順位の方向性を示すことができる。そういう試合でした。ただし、水曜日にもカップ戦があって中2日であり、なかなか難しいタイミングでの試合でもありました。そうした意味でわれわれにとって難易度の高い試合であったことも間違いありません。加えて鳥栖は監督交代後にチーム状態が良くなっている。以前からの強さであるハードワークが戻ってきていました。前節も内容的には浦和を上回る部分が多かったです。そうしたことからも難しくなると思っていました。

 前半は比較的試合をコントロールし、セットプレーから得点を取ることができました。後半に入って相手は圧力を掛け、リスクを負って仕掛けてきました。そうした中でわれわれはケガ人が多く、ケガ明けの選手もいました。そうしたこともあって運動量が落ちてきたことも、相手に試合をコントロールされた要因だと思います。2−1になってしまうと難しくなってしまう。それがサッカーです。われわれにとって流れの悪い展開になりました。ただし、ボールを握られる中でもカウンターを常に狙っていこうと選手には話していました。そしてその形から3点目を得ることができました。そこからは落ち着いて守り切ることができました。

 勝利をもぎ取ってくれた選手を褒めたいと思います。ケガ人が多い状況の中でも選手たちは自分たちの戦い方を頭に入れて、規律を守って献身的に戦ってくれました。昨季も粘り強く多くの勝利を得てきましたが、今季はチームが若返った中でもそうしたことができていますし、安定感が出てきたという意味でも成長が見えていると思います」


■サガン鳥栖の金明輝監督のコメント
 「遠くまでサポーターが来てくれた中で無様な試合を見せたことを、本当にお詫びしたいと思います。セットプレーは札幌のストロングポイントではありましたが、その対策をしてきた中で、僕自身の準備不足があったとも思いますし、選手たちにもしっかり対応してもらいたかったとも思います。前半は少し後ろかがみになって前に出られませんでしたが、後半にあれくらいできるんだったら、もっと早くにエンジンをかけられれば良かったなと思います。先制点、そして2点目が重くのしかかりました」
編集部 写真はいずれも石井一弘撮影