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J1第25節(9月1日)、札幌がイニエスタ擁する神戸に3−1で快勝

18・09・03
 北海道コンサドーレ札幌は9月1日にホームの札幌ドームでヴィッセル神戸と対戦。前半、札幌はMF駒井からのクロスにFW菅が頭で合わせ先制。後半も札幌がFW都倉の4戦連続弾で2点リード。その後、神戸に1点返されるも最後はDF福森が直接FKを冷静に沈め3−1で勝負あり。ドームに駆け付けた32,475人の大観衆の前で快勝した。

 4位の札幌は前節、アウエーでの清水エスパルス戦を2−1の逆転勝利。主力選手を数名欠くなかでも2連勝と、勢いを持って大一番に臨む。対する5位の神戸は前節、横浜F・マリノス相手にチャンスは多く作ったものの0−2の完封負け。注目のMFアンドレス・イニエスタとFWルーカス・ポドルスキの2枚看板を前面に押し出すスタイルで、札幌に乗り込んで来た。

 試合は、ホームの大声援を受けた札幌が序盤からペースをつかむ展開となる。前半9分には、左からのCKを福森が左足で鋭くニアサイドへ蹴る。タイミング良くDFの前に入って来たMF宮澤がヘディングシュートを放つもGKに阻まれ得点にはならず。

 押し込む札幌は流れを生かして先制に成功する。前半11分、左から敵陣右サイド深くに斜めのロングボールが送られる。これをMF早坂がなんとかゴールライン際で追い付き、後ろの駒井へバックパス。駒井はドリブルで縦に運んでから正確なクロスを供給。これをファーサイドにいた菅が、ゴールまでの距離はあったが、勢いのあるヘディングで叩き込んだ。菅の嬉しい今シーズン初ゴールでチームを乗せる。

 勢いに乗る札幌は前半14分にも惜しいチャンスを演出。左サイドで菅がDFとの1対1をスピードに乗ったドリブルで縦に突破し、浮き球のクロス。大外から走り込んだDF進藤がヘディングでゴール前に落とすもDFの必死のクリアにあい得点には至らず。

 札幌が危なげなくゲームを支配していた前半終了間際、さらに追い風が吹く。神戸のスローインを受けたポドルスキが一瞬コントロールミスからMF深井にボールを奪われそうになり深いスライディングを見舞う(深井は瞬時に予期しけがをしないように体を浮かした。けがに泣かされてきた深井の大きな成長の証しだ)。この接触プレーに主審が迷うことなくレッドカードを提示。これで神戸は後半10人で戦うことに。

 数的優位を生かし札幌は後半の入りから一気に仕掛ける。後半5分、宮澤からパスを受けた福森がペナルティーエリア手前左から絶妙なクロスを左足で入れる。戻るDFが届かない位置にピタリと蹴られたボールにファーサイドで都倉が反応。都倉は的確に右足のインサイドでミートし逆サイドのネットを揺らした。都倉はこれでクラブ最多得点者(71得点)となり、札幌はスコアを2−0とする。

 ここまで一方的な展開となっていたが後半34分、神戸が一矢報いる。右CKからMF藤田が右足でカーブかけて蹴り込む。ペナルティーエリア中央でFW長沢がヘディングシュートを放つと、札幌GKク・ソンユンと菅がラインギリギリでなんとかかきだす。このこぼれ球を長沢が自ら強引に押し込み1点を返す。

 神戸が盛り返すかと思われたが、後半38分、福森のクレバーなプレーで嫌な流れを一蹴する。札幌がMFチャナティップのドリブルからペナルティーアーク手前でFKを獲得。何やらチャナティップと福森のやり取りが数秒ある中、神戸がゆっくりと壁を作る。主審の再開の笛が鳴るや否や、福森は素早く左足でシュート。左サイドにグラウンダーで飛んだボールは、神戸GKキム・スンギュが慌てて反応するも間に合わずゴールイン。冷静に相手の裏を突く(いや味方もだまされたか―)福森の一撃で試合を決めた。

 これで神戸の反撃の気持ちも断ち切った札幌は3−1のスコアで快勝。世界的な名手に注目が集まったが、札幌がチーム力で上回り、3万人を超えるサポーターと勝利を分かち合った。

 3連勝となった札幌は、勝ち点41に伸ばしたが、順位は4位と変わらず。しかし3位東京が引き分けた為、勝ち点差を1に縮め、ACL出場が現実味をおびてきた。
 
 次節札幌は9月15日にアウエーの等々力陸上競技場で2位の川崎フロンターレ(勝ち点46)と対戦する。

 (写真はいずれも9月1日、札幌ドーム、撮影・石井一弘)


 上写真/前半11分、札幌右サイドからMF駒井の上げたクロスにヘッドで合わせて今季初ゴールとなる先制点を決めたFW菅(左から2人目、38番)、神戸GKキム・スンギュ


 上写真/前半19分、神戸のMFイニエスタ(8番)がドリブルでボールを運ぶ。この日、世界的スーパースターのプレーを見ようと札幌ドームに32,475人もの観客が押し寄せた


 上写真/前半44分、神戸MFイニエスタ(8番)を札幌DF進藤(35番)、MF深井(8番)が挟み込むように潰す、右端MF宮澤(10番)


 上写真/前半追加タイム2分、神戸FWポドルスキ(10番)が札幌MF深井を後方から襲って倒し、レッドカードで一発退場となった


 上写真/後半5分、追加点を上げた札幌FW都倉(左)が、ベンチから飛び出してきたGK菅野(中央)、MF小野(右)の祝福を受けた後、ゴール裏サポーター席に向かって、「どうだ!」と言わんばかりに見栄をきった。いつもはほとんど入らないバックスタンドもいっぱいだ


 上写真/後半21分、神戸中央からFKの攻撃でFWウェリントン(17番)と競り合う札幌DF進藤(35番)、GKク・ソンユン。GKクが進藤の頭をパンチしているように見えるが、ボールはウェリントンの頭に当たってゴール上を越えた。左端札幌MF宮澤(10番)、その右神戸DF渡部(3番)、右端MF藤田(14番)、その左札幌FW宮吉(31番)


 上写真/後半34分、神戸右CKからの攻撃でFW長沢がヘッドでシュートしたボールを札幌GKク・ソンユン(25番)がはじき、こぼれたボールを走り込んだ長沢(GKの右、50番)が右足で押し込んで一点を返す、ボールがネットに突き刺さっているように見える。左手前手を上げているのがFWウェリントン(17番)、その右、札幌FW菅、右へDFキム・ミンテ(20番)、MF深井(8番)


 上写真/後半38分、1点返された札幌はFWチャナティップ(右)が得たゴール正面のFKをDF福森(5番)がちょこっと蹴る意表のシュートで決め3点目を上げる


 上:左側写真/後半14分、札幌FW都倉(9番)に指示を出すペトロビッチ監督、怒っているような表情にも見える
 上:右側写真/前半追加タイム2分、一発退場となった神戸FWポドルスキ(10番)を横目に、ボードを持ったままぶぜんとした表情の吉田孝行監督


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「難しいゲームになると思っていました。しかし、立ち上がりから前からプレスを掛けるアグレッシブな試合ができました。そこで先制し、後半にもチャンスをいくつも作っていました。前半の終わりに相手に退場者が出て、後半も良い入りができて、そこで2点目を取りました。数的優位に進めていく中で、若干、選手たちが慎重になっていたと思います。ただ、そこから選手たちは落ち着いて戦ってくれました。後半に関しても、もう1、2点取れるチャンスはあったと思います。ただ、2点リードした状況では3、4点目を狙って欲しかったのですが、(2点リード後)日本での典型的な試合をしてしまったと思います。しかし、選手はよく戦ってくれました。

 今日のゲームというのは非常に大きな勝利でした。なぜならば3万人超のサポーターが詰めかけた中で勝利ができたというのは、応援してくれる人の期待に応えることができたと思います。普段から素晴らしい後押しをしてくれているサポーターに感謝をしています。チームからは、何がなんでもホームで勝つという気持ちを感じましたし、サポーターにも感謝したいと思います」

■ヴィッセル神戸の吉田孝行監督のコメント
 「残念な試合になったと思います。立ち上がりからもう少しファーストディフェンスを強めて相手の対角線のボールをケアしたかったのですが、そこが緩く、大きく振られて、そこからクロスを上げられて何度もピンチを招いて、そこでリズムがおかしくなったと思います。

 徐々に試合も慣れてきて、自分たちのリズムでいけるかな、と思った矢先に退場者が出てしまいました。後半は10人になったので、そこからいろいろシステムをいじりながらやりましたが、残念な結果になりました。また、レッドカードのシーンも、もしかしたらイエローカードではないかとも見えたのですが、僕も映像を見ていないので何とも言えません。

 あと、3点目に関しては笛が鳴って主審がプレーを止めた。相手が水を飲んだり、ウチのGKも壁を作っている段階で始めるというのは、ルール上はOKかもしれないけど、今までに見たことがないシーンだと思います。再開を早くするというのは、あまり見たことがない。そこはどうなのかなと思います」

編集部 写真はいずれも石井一弘撮影