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福岡戦 プロカメラマン“石井一弘の目”「担架で手を振る」

13・07・18
 7月7日七夕の日、コンサドーレ札幌はアビスパ福岡と対戦し3−0と大勝した。この日、札幌のルーキー、U―18からの昇格組の一人、堀米悠斗がボランチとして初めて先発出場した。

 後半25分中央付近の混戦で福岡MF船山と接触して倒れた。起きあがれない堀米に走り寄ったMF荒野が堀米の両足を伸ばす。どうやらつったようだ。主審が担架を要求し、札幌のベンチは交代の準備で大わらわ。

 担架で運び出される時、スタンドから一斉に堀米コールが飛んだ。やおら担架の上で上半身を起こした堀米がゴール裏サポーターに向かって笑顔で手を振った。瞬間シャッターを切っていた。通常、負傷した選手が担架で運びだされる時、ほとんど写真など撮らない。

 72歳の老カメラマンは種目は違うが体育会系で育った。その眼には、この堀米の姿は“何か違う”と写ったのだ。こんな時「恥ずかしくて顔など上げられない」のが普通ではないか、と思ったのだ。そして考えた。これが現代っ子なのか? プロのサービス精神なのか? あるいは先発し70分間、目いっぱいやったという満足感があったのか?

 まあ、あまり堅いことは言わず、ともかく90分間走り切れる力はつけてもらいたい。そしてチーム一丸となってひとつでも上位を目指してもらいたい。こんなことを考えているうちに14日の東京ヴェルディとの対戦の日が来てしまった。1−2で敗れ、堀米は2戦連続ボランチで先発し後半31分、FW工藤と交代するまで頑張った。

石井一弘