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J1第34節(11月5日)、ホームで清水に4−3で競り勝つ

22・11・11
 上写真/前列左からMF小柏、ルーカス・フェルナンデス、菅、青木、FWガブリエル・シャビエル、MF荒野、後列左からGK中野(34番)、DF田中駿(2番)、岡村、福森、MF宮澤。GK菅野が負傷で、またMF金子が累積警告で先発メンバーにいない、高嶺もいないが理由はコロナか?

(写真は11月5日、札幌ドーム、撮影・石井一弘)


 ベスト3は横浜F、川崎、広島

  札幌は10位「終わり良ければ」


 北海道コンサドーレ札幌の10位以下が続き「降格ライン」もよぎったが、強豪相手の2試合に勝利、J1のままミハイロ・ペトロビッチ監督の「6年目」が「希望通り」迎えることが出来た。11月7日には「感謝会」が開かれ、これまで「中央の座席」に、白い恋人を「こよなく愛した」故・石水勲氏が構え「良くやった」と、微笑んでいた。

 J1リーグの第34節・今季最終試合は、11月5日午後2時、9試合が各地で一斉にスタートした。

 実は札幌は10月29日にこれまで1度もアウエーで勝った事の無い「優勝争いのかかったサンフレッチェ広島」と対戦2−1で勝利、「降格」がなくなっていた。

 これで広島は「優勝決定戦の臨みなし」。なぜかしらJリーグは最終節で優勝が決まることが多い。今回は「横浜F・マリノスと川崎フロンターレ」に絞られた。

 コンサドーレ札幌と負ければ降格が決まる清水エスパルス戦は、11月5日午後2時から札幌ドームで行われた。札幌のホームには2万3千3百30人の今季初の大入りの入場者。札幌サポーター席からは、赤黒の応援団、対面の清水応援席はオレンジ色のユニホームに太鼓や横断幕を敷き詰めた約8百人。さらにこの日は、12月の第101回全国高校サッカーに北海道代表として参戦する「北海高校の選手、チームメイト」が招待され、紹介されていた。
 
 試合の方は、室内23.4度、湿度27パーセントの会場に敷き詰められたグリーンの「ホバークラフトピッチ」。審判団は、45歳のベテランで年間9度のPKを取った今村義朗主審(愛知県出身)。副審は木川田博信、船橋昭次。第4の審判は柿沼亨。VAR小屋幸栄(主審格)、AVAR唐紙学志。

 審判団の紹介の後、選手のスタメンと控えの紹介(本誌面では交代者のみ、状況が分かりやすいタイムと名前OUT名前INで表す)。

 札幌はGK中野小次郎、DF田中駿汰、岡村大八、福森晃斗、WB右ルーカス・フェルナンデス、同左菅大輝、MF宮澤裕樹、荒野拓馬、シャドー右に小柏剛、左は青木亮太、トップにガブリエル・シャビエル。控えには、DF中村桐耶、FWキム・ゴンヒ、中島大嘉ら。

 清水がGK権田修一(W杯カタール大会日本代表)、DF片山英一、立田悠悟、鈴木義宜、山原怜音、MF松岡大起、ホナウド、中山克広、カルリーニョス・ジュニオ、FW白崎凌兵、チアゴ・サンタナ。控えには、DF岸本武流、MFヤゴ・ピカチュウ、FW鈴木唯人、ベンジャミン・コロリら。

 14時03分、キックオフは清水。攻める方向(陣地)はトスで勝った方が決める(風が強い会場のときは後半に風上を生かすことも。ドーム内は無風)。

 札幌のフォーメーションは3−4−2−1。新型コロナウイルス被患者7人が出たこともあり、前試合から4人が変更。中野、福森、荒野、小柏がスタメンに。清水は、4−4−2の布陣で前回から北川が外れ松岡が入る。

 清水は前節で鹿島に敗れた為J1残留には「勝つしかない」。過去の対戦成績はJ1、J2、Jリーグカップ含めて11勝3分け14敗で札幌が負け越し。直近5試合の成績は札幌が2勝2分け1敗。清水は0勝2分け3敗と分が悪い。

 2020年に札幌入団の田中駿はこの日100試合出場を記録した。キャプテンマークは札幌・宮澤、清水・権田。序盤は清水のキッカー背番号29山原のセットプレーが目立つ。6分右CK、8分FK、10分の左CKはニアサイドで札幌DFがクリア。この後、GK中野も参加しビルドアップ。流れから右シャドーの小柏がシュートまで持っていったがDFにブロックされる。

 13分に再び清水にCK。またも山原がキック。チアゴ・サンタナが頭で合わせるが枠外。今度は21分に札幌が攻撃、菅がシュートを放つも得点には至らなかった。

 29分、今度は札幌にCK。名手・福森が左足の妙技を見せるが、DFに大きくクリアされる。このあたりから札幌有利な展開。自陣からのビルドアップが続く。

 試合を動かしたのは札幌。41分、DF岡村が右側のつなぎからトップのシャビエルに渡り、相手DFのタイミングを外しシュート。ゴール左上に吸い込まれ均衡を破った。この後も札幌が優位に試合を進める。1−0。アディショナルタイム3分で前半終了。


【監督のハーフタイムコメント】
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「後ろのラインを下げすぎないようにしよう」、「スペースを空けないようにしよう」、「ビルドアップの精度をあげよう」


■清水エスパルスのゼ・リカルド監督のコメント
 「前半悪いゲームではない。後半シュートを仕留めること」、「ラインをあげて勝ちに点をとりに行こう」、「あと45分。時間は十分にある。落ち着いていこう」


 後半は、札幌ボールのキックオフ。交代は清水・松岡OUTベンジャミン・コロリIN。すると4分、清水が右サイドのパス回しから崩し、MF中山がクロスを入れる。札幌DFが一度クリアしたボールをFWチアゴ・サンタナが左足ボレーで捕らえ、ペナルティーエリア手前から豪快なミドルシュートを決めて1−1の振り出しとする。ペースは清水に。

 さらに2分後、トップの白崎がペナルティーエリアに進入、飛び出してきたGK中野の足の下をすり抜けたプッシュがネットを揺らし1−2の逆転。

 どこにいるのか「神出鬼没」の青木を探す。15分、荒野がペナルティエリア内の青木を見つけ、鋭い縦パスを入れる。トラップから青木のシュートをGK権田がはじくも、再び青木が右足で無人のゴールに流し込んだ。2−2の同点に追いつく。

 18分、「え、シャビエル交代」。思わず「叫びそう」。ミシャと杉浦大輔コーチの「決断」だろうな。シャビエルOUT韓国からのキム・ゴンヒIN。さらに26分、福森OUT中村桐耶IN。

 シーソーゲームは止まらない。32分、清水がFKを獲得、キッカーは大原。札幌ゴール前は清水に占有される。GK中野ガンバレ。33分山原のシュートをGK中野が一度は防ぐ。こぼれ球を清水10番ジュニオが浮き球のクロス。さらに逆サイドからDF片山が折り返し、最後はMFホナウドが押し込んだ。2−3で、再び清水が逆転。札幌DF陣はオフサイドを強調したが、VARチェック後にゴールが認められた。

 36分、菅OUT中島大嘉IN。「よーし頭で行け」。38分清水の2人交代。中山OUTMFヤゴ・ピカチュウIN。さらにジュニオOUT岸本武流IN。

 40分、清水守備陣「全員集合」。逃げ切りを選択したか。41分、交代で入っていたキム・ゴンヒが大仕事。小柏−田中駿がペナルティーエリア内でうまくつないでキムへ。大柄のキム・ゴンヒが、右足で3−3の同点打。

 アディショナルタイムは7分の表示。青木はどこだ。相手も混乱。敵のマークが定まらず「自由だ」(なんだか川崎戦で書いたみたい)。

 47分、ルーカスが右サイドから、中央のキム・ゴンヒに。キムは、ペナルティーエリアでフリーな青木に。青木は冷静にワントラップから右足を振り抜いた。土壇場で青木の2得点目で4−3の大逆転勝利でゲームセット。代表のGK権田でも止まらない4ゴールにドームは沸きに沸いたが、「代表? 大ジョーブかな」。

 シュート数は、札16−11清、CK札5−8清、CK札10−14清、PKなし。

 
 上:上段写真/前半6分、札幌GK中野(34番)が清水MF山原のシュートを横っ飛びでクリア、正GK菅野の代役を立派に果たした、手前は札幌MF小柏(19番)、清水MF中山(11番)

 上:下段写真/前半10分、清水のFWチアゴ・サンタナ(9番)、白崎(18番)、MF中山(11番)らの攻撃に対応する札幌の選手たち、左からDF岡村、MF小柏、宮澤(10番)、菅


 ■北海道コンサドーレ札幌の中野小次郎選手のコメント(一部抜粋)
 「とにかく勝つことができて本当に良かった。チームメートに助けてもらいながら、なんとか勝つことが出来たと思っている。そして、サポーターの皆さんの声援にも本当に助けてもらったと思っている。90分を通して力をもらい続けていた。チームとしても、失点したあとに崩れなかったり、逆転に持ち込むことが出来たのも、サポーターの皆さんの声援があってこそだったと心から感じている」


 上:上段写真/前半41分、札幌FWガブリエル・シャビエル(中央奥)がDF岡村のスルーパスを受け、清水DF立田(2番)をかわしてゴール左に絶妙の先制ゴールを決める、右に札幌MFルーカス・フェルナンデス(7番)、清水DF鈴木(50番)

 上:下段写真/前半41分、先制ゴールを決めた札幌FWガブリエル・シャビエルがMF荒野(27番)と抱き合って笑顔を見せる、左端MF小柏、右宮澤(10番)


 上:上段写真/後半4分、清水右サイドからMF中山のクロスを札幌DF田中駿がクリア、中央に流れたボールをFWチアゴ・サンタナ(9番)が豪快に決めて同点とする。札幌GK中野(34番)が体をエビのようにして飛んだが及ばず、左DF岡村(50番)、右端福森(5番)

 上:下段写真/後半4分、同点ゴールを決めた清水FWチアゴ・サンタナ(9番)が、MFカルリーニョス・ジュニオ(10番)、FWベンジャミン・コロリ(32番)に祝福され笑顔を見せる。札幌のMFルーカス・フェルナンデス(7番)、DF田中駿(2番)は渋い表情。結果的に清水はJ1から陥落したがサンタナは得点王に輝いた


 上:上段写真/後半4分、サンタナの同点ゴールに「ミラクルを起こせ・・・!」の横断幕の後方で大喜びの遠来の清水サポーターたち

 上:下段写真/後半6分、清水FW白崎(左端)が逆転ゴールを決める、札幌GK中野(中央)はぼう然、右端後半から投入された清水FWベンジャミン・コロリ(32番)


 上:左側上段写真/後半15分、札幌MF青木(11番)が荒野のスルーパスを受けて、シュートをするがいったんは日本代表の清水GK権田(右)に止められる、左端DF片山(7番)

 上:左側下段写真/後半15分、札幌青木のシュートはGK権田(中央)がはじき、ボールがこぼれたのを見て再度ボールに向かう

 上:右側写真/後半15分、青木が落ち着いて同点ゴールを押し込む


 上:上段写真/後半33分、清水MFホナウド(左から4人目、3番)がゴール前混戦の中、ゴールを決めて再びリード、しかし札幌DF田中駿(2番)、GK中野(その奥)、DF中村(右から2人目)がオフサイドをアピールしている、VAR判定に長い時間を要したがゴールは認められた

 上:下段写真/後半40分、最終戦とあってバックスタンドも観客でビッシリ


 上:上段写真/後半41分、札幌右スローインからの流れで、MF小柏(中央右)が密集の中を突進、ワンタッチパスを手前のDF田中駿(2番)の出しキム・ゴンヒの同点ゴールにつなげる、右端清水DF山原(29番)

 上:下段写真/後半41分、同点ゴールを決めた札幌FWキム・ゴンヒがベンチ前でDF福森(5番)、控えGKベンマムン・アミン(中央)らに手荒い祝福を受ける、左端MF荒野、右端通訳と肩を組みながらMF小野も笑顔


 上:上段写真/後半追加タイム2分、決勝ゴールを決めた札幌MF青木(11番)がガッツポーズで走り出す、右日本代表に選出された清水GK権田が悔しそう、左DF鈴木義、立田、片山が天を仰ぐ

 上:下段写真/最終戦を劇的な勝利で飾り称え合う札幌MF宮澤(10番)とDF田中駿(2番)、ピッチにへたり込んだ清水FWベンジャミン・コロリ(32番)を引っ張り上げるMF荒野(右端)、左端DF中村


■北海道コンサドーレ札幌の青木亮太選手のコメント
 「点の取り合いになり、本当に難しい試合だったと思う。清水には能力の高い選手がたくさんいて、そうした相手の良さを出させてしまったようなところもあり、それもまた試合が難しくなった理由だと感じている。ただし、その中でしっかりと粘り強く戦い勝ち切ることが出来たのは、スタジアムの雰囲気のおかげでもあったと思う。今季、自分はチーム内得点王になることができて、そこについてはうれしく思う。良いイメージでオフに入れるので、しっかりと良い準備をして来季は2ケタ得点ができるように努力していきたい」


 上:左側写真/後半追加タイム2分、札幌MF青木の決勝ゴールに叫ぶペトロビッチ監督

 上:右側写真/後半追加タイム2分、札幌青木のゴールにぶ然とした表情の清水ゼ・リカルド監督


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント(一部抜粋)
 「今日のゲームも厳しいものになった。残留を懸けて清水は挑んできた。彼らは何がなんでも勝たなければいけない。ただし、我々も最後のホームゲームに勝ってサポーターに勝利を届けたい。そうした両者の思いがぶつかった。そういうゲームでした。

 試合のほうは、清水がいかに質が高いチームであるかということが、あらためて分かった。立ち上がり、なかなか自分たちのペースに持ち込めず、かといってチャンスも与えない。そうした中で中盤で守備がハマったときにはチャンスを作れて、そうした展開から我々が先に得点が出来た。

 後半、相手が非常に勢いを持ってきた中で、我々はそれにのまれるような形で逆転をされてしまい、難しくなった。1−2になってからは、落ち着きを取り戻し同点としたが、そこでまたリードを許した。ただし、選手たちの『勝ちたい』という思いが同点、逆転につながった。ただ、後半を振り返ると、波のある試合だった。力を出せる時間帯もあれば、相手の勢いにのまれる時間帯もあった。

 最後、勝利出来たのはやはりサポーターの応援のおかげだと思っている。声援が力を与えてくれました。今日の大観衆の後押しが、勝利をつかみ取らせてくれました」


■清水エスパルスのゼ・リカルド監督のコメント(一部抜粋)
 「サポーターの皆さんだけでなく、清水エスパルスに関わるすべての人々にとって受け入れがたい、難しい瞬間になってしまったと思います。ペトロヴィッチ監督の作るチームは非常に良いチームということは覚悟していましたが、その相手に対して強い姿勢で臨み、最後まで勝てる可能性を追いかけながら戦いましたが、悔しい結果になりました。言葉にするのは難しいです」

池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影