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J1第38節(12月4日)、アウエーで横浜FCに1−0で最終戦を飾る

21・12・07
 宮澤復帰の2連勝「リベロ」だ

  ミシャ監督「有終の美の勝利」


 北海道コンサドーレ札幌の「集大成」が、今季の長かったJ1リーグを物語っていた。2020年に「新型コロナウイルス」発生で世界にまん延した。J1の入れ替え戦をしないまま2021年を迎え、20チーム総当たりの38節。その他カップ戦、天皇杯、ACLとルヴァンカップ。プロ選手にしては、かつてない「ビジーなシーズン」を戦ったことになる。札幌は、早々と目標にした「ルヴァンカップとACL」、「天皇杯」は、敗退した。

 日本に足跡を残したミハイロ・ペトロビッチ監督としては、「一つぐらいは最後まで―」と思っていたが、「天災」には、勝てなかった。

 愛称・ミシャ監督の名前も考えつかなかった2016年、四方田修平監督がJ2からコンサドをJ1に引き上げた。2017年にあれよ、あれよと、言っている間に「浦和レッズを追われた」ペトロビッチ監督に「鉾先」が、向けられた。さよならゲームが札幌ドームでの「あの一戦だった」。

 振り返ると1999年から2001年まで「日本初のワールドカップ監督・岡田武史氏」が、札幌をJ2から引き上げJ1在籍3年滞在が、J1の座に居たコンサドーレの「歴史」。ペトロビッチ監督の4年が過ぎ、5年目に向かう―最終戦の相手は横浜FC戦。札幌が10位、横浜Cは20位で降格決定。ここで見つけた「良いところ、悪いところ」を、お伝えしよう。

 試合は12月4日。なんとこの日は、2021明治安田生命J1リーグ第38節は全10試合が午後2時から同時スタート。北海道コンサドーレ札幌は、アウエーのニッパツ三ッ沢球技場で横浜Cと対戦。天候は晴れ、気温17.1度、湿度33パーセント。会場には6千762人の観衆。札幌のウエアーをまとった赤黒の群も陣取った。

 中村太主審(43、埼玉県出身)のホイッスルで横浜Cがキックオフ。札幌との初戦は2月27日札幌ドームで行われ札幌が5−1で勝利している。

 札幌のGK菅野孝憲がスタメンで、横浜FCでプロ生活をスタート。この試合でJ1リーグ300試合出場を果たす為、「地元ファン」も多い。

 札幌のメンバーは、キャプテン宮澤裕樹がけがで11月20日まで休場。復帰2試合目。3−4−2−1の3バックのセンターだが、引き気味の4枚の防御の時は自在に「リベロ」の動きを「身に着け」てきた。DF右に田中駿汰、左に福森晃斗。中央のMF駒井善成−高嶺朋樹のボランチの「出入りのタイミングも宮澤と連動する」。ワイドの右は金子拓郎、左に菅大輝。FWトップはミラン・トゥチッチ。ブラインドに小柏剛とチャナティップ。37節柏レイソルでは、2得点のトゥチッチに期待がかかる。

 横浜Cは、GKスベンド・ブローダーセン、DF岩武克弥−韓浩康−袴田裕太郎の3バック。MF前嶋洋太−高木友也がワイドで、瀬古樹と安永玲央が中央。トップは渡邊千真。前のゲームから5人を入れ替えている。ベンチには中村俊輔の背番号10も。

 監督も下平隆浩監督から早川知伸監督に代わり、2年目で降格が決まった。この日の試合もベンチから大声で指示するが、札幌の展開が勝る。

 6分、札幌が左サイドから展開。高嶺が相手ゴールライン際から、内側のチャナティップにパス。チャナティップはシュートするが、右サイドにそれる。このボールに右サイドにいた小柏が追い着きシュート。相手DFに当たってゴールネットを揺らした。

 これで札幌は生き生き。主導権を握って、攻め立てる。だが、42分、トップのトゥチッチが、右足を痛めスタッフに抱えられてピッチ外へ。前ゲームから3点目を期待したが、荒野拓馬と交代した。


【監督のハーフタイムコメント】
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「落ち着いてプレーしよう」、「連動した動きをしよう」、「3人目の動きをもっと意識していこう」

■横浜FCの早川知伸監督のコメント
 「奪った後にカウンターを、守備はこのまま続けていこう」、「ボールをもっと早く動かし、相手を動かすこと」、「残り45分、すべて出し切って絶対勝とう」


 後半も札幌が攻めるが得点のチャンスまでは「届かない」。なぜ? 相手がかなり引いて守っているから。さらに、横浜Cのチャンスボールが札幌陣内に入るが、「突進」が少ない。というのは失点を恐れ「引きが早い」。GKにバックパスのタイミングを狙っての「突っ込みがない」。

 札幌GK菅野の「好捕」で何本かチャンスは見えたが、FWに入ったクレーべやフェリベ・ヴィゼウらの体やひじを使った「反則」があり、得点に結びつかなかった。

 ここで「野球はキャッチャーのサインからスタート」。サッカーはGKのパスから―という「格言」を思い出した。なぜ、菅野にキックやロングパスを出されるか? 敵のトップや両サイドの詰めが見られないから。「自由にパス」がGKから送り出されるのを「自陣や相手へのパスを防御」する役を担う前に「GKに自由にキック&パス」を出させないように―が課題の様だ。

 「これは両軍に言える事」。進歩したサッカーを見てきて、次を見渡す「知恵」。札幌のペトロビッチ監督の「オールプレス」。スキの出来ない「マーク&プレス」を進展させたいものだ。

 試合は1−0のまま札幌の完封勝利。最終順位10位でシーズンを終えた。

 シュート数は、札12−横C10、CK札8−横C2、FK札8−横C18、PKなし。


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント(一部抜粋)
 「予想どおり難しい試合だった。横浜FCはJ2降格が決定してしまいましたが、シーズン途中から非常に力のある選手を補強し、徐々にチームとして成長し強くなっていったように私からは見えた。そしてこの試合ではホームのサポーターに勝利を届けたいという相手の強い意思を感じた。試合自体はお互いが五分に渡り合う展開でした。勝って終わりたいという気持ちがぶつかり合う素晴らしい試合でした」


■横浜FCの早川知伸監督のコメント
 「0−1での敗戦になり、本当に残念です。選手たちは最後まで戦ってくれました。最後のワンプレーまで惜しい場面も作ってくれたことは評価したいし、感謝したいと思います。しかし結果は勝てなかった。そこにはいろいろなものがあると感じた最後のゲームでした。最後の最後まで応援してくれたサポーターの皆さま、サポートしてくれているスポンサー企業の皆さま、本当にたくさんの人が応援してくれた1年だったとあらためて感じております」

池田淳