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J1第33節(10月24日)、ホームでアビスパ福岡に0−0で分ける

21・10・28
 上写真/この日は、緊急事態宣言解除後最初のゲームで入場者数上限1万人だったが、9,392人が観戦、バックスタンドも熱気に包まれた

 (写真は10月24日、札幌ドーム、撮影・石井一弘)


 ドームのファンの前に「父に感謝」

  ミシャ64歳「ジェイ・深井頼む」


 北海道コンサドーレ札幌のホーム・札幌ドームに10月24日、「コンサドーレの父 石水勲 人生に歓びを与えてくれて有難う クラブの繁栄と共に石水勲の名は生き続ける」。令和3年9月26日77歳でこの世を去った「白い恋人の石水勲氏」の横断幕が応援団席の前に張り巡らされた。

 あの日は9月26日。J1リーグの対サンフレッチェ広島戦があり、ホーム・札幌ドームで行われた。親類縁者、どこまで石水氏の「死」を知らされたか? 「ホーム3連敗中の大事な試合」。気に病んで、気に病んで、亡くなった氏を思えば「誰も口にすることは出来なかった」。

 さらにミハイロ・ペトロビッチ監督がこの10月18日に64歳を迎えた。「トップのジェイに期待するとともに、けがの癒えた深井一希にも。この日の欠場者、宮澤裕樹とルーカス・フェルナンデスが居ない。難局を乗り越える力になってほしい」。

 今季5月以来となる「アウエーの応援席解放」が久しぶりに許された。まばらながら「太鼓を持って福岡から駆け付けた」応援団が散見された。入場者数9千392人との発表は「ほんまかいナ」と見えるほどの「寂しさからの解放」だった。

 14時03分、開始のホイッスルは小屋幸栄主審(40、兵庫県出身)だったが、この前に「石水氏の追悼の黙とう」が、ピッチ中央を挟んで行われた。厳かなものだったが、札幌イレブンの他、福岡にはキャプテンマークを着けた前寛之(26、札幌U−12から2018年まで在籍)と、奈良竜樹(28、北見市出身、札幌U−18から2015年まで在籍、川崎フロンターレなどで活躍、今季・福岡に移籍)らも「札幌の父」を偲んだ。

 試合は、初のJ1での2期連続残留を決めている福岡の余裕か、2年目の長谷部茂利監督(50、神奈川県出身)が6人の選手を入れ替えての3−4−2−1のミラーゲーム。

 札幌のスタメンはGK菅野孝憲、DF田中駿汰−高嶺朋樹−菅大輝。右のウイングバック、ルーカスフェルナンデスが前節の対マリノス戦でけが。代わりに金子拓郎が入り、反対側には青木亮太。中央にキャプテンマークの荒野拓馬と駒井善成。トップにFWジェイ。両シャドーは右に小柏剛、左チャナティップ。サブはGK中野小次郎、DF柳貴博、西野奨太、MF小野伸二、深井一希、FWミラン・トゥチッチ、ドゥグラス・オリヴェイラ。

 一方、福岡はGK村上昌謙、DF宮大樹−ドウグラス−奈良竜樹、MF志知孝明、キャプテン前寛之、湯澤聖人、カウエ、シャドーに渡大生、杉本太郎、トップにブルーノ・メンデス。控えに回ったのはMF金森健志、中村駿、FW山岸祐也、FWフアンマ・デルガドら。

 札幌はDF福森晃斗を累積警告で欠き、右のルーカスがけがで欠場、ホーム5試合連続無得点の悲劇と「勝てばJ1残留が決まる」。気持ち的には「福岡優位で、札幌は粘りどころ」。ゲームよりは「背後関係」で、「鳴り物と拍手が入り混じった」中にも「札幌に勝たしてやりたかった」。

 福岡とのJ1、J2、Jリーグカップでのこれまでの勝敗は札幌の15勝8分け13敗。今季はルヴァン杯以外では札幌が全て勝利している。しかし、勝たなくてはいけないゲームは、ほとんど負け、4年目の愛称ミシャ監督は「笛吹けど・・・」である。

 プレーヤーは、金子、田中、駒井は、まずまず。菅がDFとワイド(WDF)を掛け持ちでプレー、強烈なゴールは今季リーグ1得点。ジェイは居なくてはならない選手だが、アシストは光るが得点が今一つ。それぞれに「味のあるプレー」は、お預けの様だ。スコアも動かず折り返す。


【監督のハーフタイムコメント】
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「簡単なゲームではないが、ブレずに続けていこう」、「相手の逆を突いていこう」、「無駄なファールはしないように」

■アビスパ福岡の長谷部茂利監督はチーム発表なし


 後半は選手交代から始まり、福岡がカウエOUT中村IN。杉本OUT山岸IN。さらに17分、メンデスOUTフアンマIN。渡OUT金森IN。

 札幌も17分、小柏OUT柳IN。30分にジェイが出てDオリヴェイラIN。ここで荒野に代わって深井が入った。腕章は深井に。ミシャ監督が「期待のかじ取り役」だ。ひざの故障は「入団当時から」。「何かが起きる」と期待したが、波は「押したり、引いたり」。

 44分、青木が、若手のFWトゥチッチと交代。期待の新人も「いまだ音無し」。

 押しては返す波のように「穏やかな」ゲームだった。0−0は、観客、選手、監督、コーチらに「勝敗とはなんだ」を叩きつける「無気力な」ものだった 。「石水さんごめんなさい」。

 シュート数は、札4―福11、CK札3―福4、FK札11―福12 、PKなし。

 2021明治安田生命J1第34節北海道コンサドーレ札幌(11位)対湘南ベルマーレ(16位)は11月3日午後4時から札幌ドームで行われる。


 上:上段写真/前半6分、ボールをキープする元札幌の福岡キャプテンMF前(中央)に迫り、GKへのバックパスをさせた札幌MF荒野(27番)、この日、宮澤の欠場でキャプテンマークを巻いた

 上:中段写真/前半34分、札幌MF小柏(中央)が左サイドのDF菅からのクロスに合わせようとするが、大きく外れる。右福岡DF奈良(39番)、左MF前(6番)


 上:上段写真/前半39分、札幌MF青木の左CKからDF高嶺(6番)が、福岡DF奈良(39番)とヘッドで激しく競り合う

 上:下段写真/前半追加タイム1分、札幌DF田中(左から2人目)がゴール前のFWジェイ(48番)にパスを出すが通らず。右福岡MF前(6番)、左端DF宮(5番)


 上:上段写真/後半2分、札幌MFチャナティップ(18番)が福岡DF奈良の守備をかいくぐってシュートするが、惜しくもゴール右に外れる、左DF湯澤(2番)

 上:下段写真/後半19分、福岡右サイドのFKからの攻撃を、直前に途中出場したばかりの札幌DF柳(左端)がヘッドでクリアする、その右福岡DF宮(5番)、右端札幌FWジェイ(48番)、その奥GK菅野


■北海道コンサドーレ札幌の菅野孝憲選手のコメント
 「試合前の予想では、僕らがボールを持つ時間が多く、その中で1、2本ほどのピンチがあると思っていて、実際にそういった展開になった。ただ、最後のクオリティーのところで相手を上回れず、引き分けに終わってしまい悔しい。得点は取れませんでしたが、守備でなんとか頑張れたことは良かったと思っている。得点が取れなかったところについては、少しのピースが合えば大量得点が取れるような試合を今季はずっとやれている。ただ、そこから『いつかは結果がついてくる』という意識でやっているようでは、状況は変わらない。今季の残り試合は少なくなっているが、一人ひとりが危機感を持たなければいけないし、僕らには消化試合なんていうものもない。『もっと上に行くんだ』というようなどん欲な姿勢を持って今後もしっかり準備していきたい」


 上:上段写真/後半26分、激しくマッチアップする札幌MF駒井(左)と福岡MF前、この場面は前がボールを奪った

 上:下段写真/後半35分、札幌MFチャナティップ(18番)が福岡DFドウグラス・グローリ(33番)、途中出場のMF金森(37番)に挟まれるようにボールを奪われる


■北海道コンサドーレ札幌のチャナティップ選手のコメント
 「今日は相手が深く守備を固めてカウンターを狙ってきた。その為、スペースがなく、なかなか良いプレーが出来なかった。今日もチームとして無得点に終わってしまったが、チャンスがなかったわけではない。あとはそれを決め切れるかどうかだと思っている。今日についてはビルドアップのところもうまくいっていなかったので、改善しなければいけない。

 自分的には、負傷から復帰して2戦目で、コンディションはかなり良くなってきている感触がある。残り試合は少なくなってきたが、やるからには勝利をしたいので全力を尽くしたい」


 上:上段写真/後半38分、札幌右MF駒井の大きなサイドチェンジを受けたDF菅(4番)がダイレクトでクロスを入れる、左福岡DF湯澤(2番)

 上:下段写真/後半38分、札幌菅のクロスはFWドゥグラス・オリヴェイラ(33番)には届かず、福岡GK村上(31番)にキャッチされる、右奥DF奈良(39番)


 上写真/後半45分、途中出場した札幌FWミラン・トゥチッチ(左)と福岡DFドウグラス・グローリ(中央)がボールを奪い合うが、グローリのファールとなり札幌がFKを得る、右途中出場したFWドゥグラス・オリヴェイラ(33番)


 上:上段写真/後半追加タイム2分、札幌DF田中の右サイドからのクロスに飛び込むFWミラン・トゥチッチ(中央右)と久し振りにピッチに戻り途中出場したMF深井(8番)だが、福岡DFドウグラス・グローリ(右から2人目)らの堅守にシュートまで行けず

 上:下段写真/後半追加タイム4分、札幌FWドゥグラス・オリヴェイラが自陣からのロングパスを福岡DF奈良のマークをかわして受ける、この後ドリブルでゴール前に迫るもシュートまでは行けず


 上:上段写真/スコアレスドローに終わりガックリの札幌DF高嶺(左端)、右へMF深井(8番)、小屋主審、ひざに手をやるMFチャナティップとDF菅(右端)、9番は途中出場した福岡FWファンマ・デルガド

 上:下段左側写真/この試合、5月以来のアウエーサポーター入場が認められ、遠来の福岡サポーターが選手たちの健闘をたたえた

 上:下段右側写真/試合終了後、元札幌の福岡DF奈良(右)とMF前が札幌ゴール裏のサポーターへあいさつした、二人は福岡の中心選手として札幌を苦しめた


■アビスパ福岡の前寛之選手のコメント(一部抜粋)
 (−久しぶりの札幌ドームでの試合について)
「育成組織から育ててもらって、プロになってからもここでプレーさせてもらって、またプロに入る前の小学生の頃からこのドームで観戦していたことを思うと、うれしい気持ちでいっぱいです」


■アビスパ福岡の奈良竜樹選手のコメント(一部抜粋)
 (−久しぶりの札幌ドームでの試合について)
 「僕のキャリアがスタートしたクラブですし、お世話になったクラブ。昔ホームだったスタジアムで試合をすることは不思議な感覚がありました。その中で試合前も試合後もサポーターの皆さんから温かいアクションを示していただいたことはありがたいことですし、何が恩返しなのかは分かりませんが、勝って恩返しが出来れば良かったなという思いはあります。今季は札幌には勝てていなくて、今日も勝利を目指しながらそれがかなわなかったことは残念ですが、こうして札幌ドームに帰ってきてプレー出来たことは、すごく幸せな90分だったなと思っています」


 上:左側写真/前半19分、札幌MF金子が福岡FWブルーノ・メンデスに対して行ったプレーに福岡の抗議が長すぎると、再開を促す札幌のペトロビッチ、左は福岡MF志知(13番)

 上:右側写真/前半18分、福岡FWブルーノ・メンデスに対する札幌MF金子のプレーに対し「見ていたか?」と言わんばかりのジェスチャーで主審に抗議する福岡の長谷部茂利監督、左は札幌DF田中(2番)


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント(一部抜粋)
 「予想どおりの展開でした。相手の布陣を見ても守備的で、前線の外国籍選手に長いボールを入れてのカウンター、そしてセットプレーから相手は得点を狙ってきた。難しいゲームになりました。ボール際の激しいハードな内容でもありました。その中で我々が本来持っているようなパスの展開からのキレイな崩しは出せませんでしたが、球際でのプレーは素晴らしく、締まった試合を見せてくれました。

 負傷や出場停止で宮澤裕樹ら何人もの選手を欠きましたが、しばらく先発から離れていたジェイらをはじめ、良い戦いを見せてくれた。深井(一希)がけがから戻ってきたことも良かったです。相手の守備的な戦いに対して、選手たちはよく体を張って戦ってくれたと思います。この勝点1でJ1残留はほぼ手中に収めたと思います。残り試合は若い選手も使いながら、未来に向けた戦いをしていきたいと思います」


■アビスパ福岡の長谷部茂利監督のコメント(一部抜粋)
 「自分たちが出来ることは精一杯やれた。それは立ち上がりから終わりまで、少し形を変えながら自分たちの長所を出しやすく、また相手の長所を消しながら、というところで、うまく対応出来たのですが、大きなピンチはそんなになかった中で、自分たちのチャンスで点数を決めていれば勝てた試合に持っていけたんじゃないかなと思いました。ただ、そこは我々の課題である質のところ。強度のところは良かったと思うので、質のところをもう1回意識して高められるように努力していきたいなと思います」


池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影