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J1第26節(8月25日)、ホームで名古屋に0−2で完敗

21・08・27
 上写真/選手入場を見てビックリ。キャプテン宮澤がいない。前節累積警告で出場停止だったが、今日いないのは? 撮影場所隣の“ペンカメ“氏の話では、前日練習でボールが頭に当たり脳震盪を起こした為、今日は出場できないのだという。左から宮澤の代わりにキャプテンマークを巻いたDF福森(5番)、田中(2番)、MF高嶺、青木(28番)、駒井(14番)、DF柳(3番)、MF金子(9番)、ルーカス・フェルナンデス(7番)、小柏、その後方FWジェイ、少し離れてGK菅野(1番)

  (写真は8月25日、札幌厚別公園競技場、撮影・石井一弘)


 ミシャ作戦は「進歩の段階」何か不足

  5フォワードの「決定力が課題」だ―


 「今の名古屋が2得点」特筆できる「進歩だ」。前節までで5位の名古屋グランパスが勝ち点43で、25得点20失点。得点も少ないが、失点の少なさはベスト3。トップの川崎フロンターレ失点16、次がサガン鳥栖の失点18で最少失点ランク2位だったが、今節第26節で鳥栖は横浜F・マリノスに0−4で敗れ、失点ランク4位、総合順位も6位に転落した。

 名古屋のマッシモ・フィッカデンティ監督が就任して3年目。イタリアのセリエA、Bで選手生活を送り、ポジションMFで活躍した。日本には2014年FC東京を振り出しに、鳥栖を経て2019年名古屋へ。このシーズンは、9勝10分け15敗で13位。得点45、失点50で「守備の重要性」に開眼した。GKランゲラックに楢崎正剛の背番号1を着けさせ、GK−DFの強化を図った。2020年には19勝6分け9敗で3位。得点45、失点28のベスト3に入り、2021年を戦っている。

 昨季1位の川崎は88得点、31失点。2位のガンバ大阪46得点、42失点。4位セレッソ大阪が46得点、37失点。ちなみに札幌は12位で47得点、58失点だった。

 「失点を少なくする方法」。2021年8月25日の事だった。「きょうは前半が勝負」。連戦の疲労を考えたからだ。我がペトロビッチ監督も「同様の感じ」だった。小雨の「聖地・厚別」に、スタメンが発表になった。名古屋はDFの欄に5人の「強者」が並び、FWのマテウス(26、ブラジル出身−3年目)が引き気味。新加入のシュヴィルツォク(28、ポーランド出身、同国代表経験)が、トップの位置で札幌の守備陣をかき回した。

 試合の方は、8月25日午後7時から、札幌市の厚別公園競技場で、小雨の中、4基の照明に照らし出され、仔馬の「チッチ」君の主催ゲームとして行われた。札幌地方は午後から降りしきる小雨。気温22.2度、湿度80パーセントのムシムシする天気。ベテランの家本政明主審(48、広島県出身)の笛で札幌が19時03分キックオフ。副審2人と第4に審判、ビデオ判定の2人。観衆は雨にもかかわらず3千106人が「赤のカッパ」を着て「手拍子」。中には大声を発する「輩」もおり、「和やか」。

 遠来の名古屋のフォーメーションから紹介しよう。前節から5人が変わり成瀬竣平、キムミンテ、長澤和輝、阿部浩之、柿谷曜一朗が外れ、GKランゲラック、DF中谷進之介、DF宮原和也、DF藤井陽也、DF森下龍矢、DF吉田豊、MF米本拓司、MF稲垣祥、FWマテウス、FW前田直輝、FWシュヴィルツォク。サブには金崎夢生、柿谷、長澤和輝らが名を連ねている。

 札幌は前節のメンバーから岡村大八、荒野拓馬、菅大輝が外れ、GK菅野孝憲、DF柳貴博−田中駿汰−福森晃斗、MF右ワイドにルーカス・フェルナンデス、MF左ワイドは青木亮太、ボランチ駒井善成と高嶺朋樹、FWはトップにジェイ、両サイドに金子拓郎と小柏剛。控えにはGK中野小次郎、DF岡村大八、MF荒野、小野伸二、FWドゥグラス・オリヴェイラ、菅、中島大嘉。キャプテンは中谷(名古屋)、札幌は福森。

 ゲームは札幌が中盤から名古屋陣内にボール回しをするが、名古屋の守備陣はゴール前に引いて、DF5人がずらりと並んで「陣を敷く」。静と動のぶつかり合い。札幌は中央の駒井が前後左右にボール回し、最後はジェイに放り込むが、押し返される。トップと小柏の間が、揺れ動いているが、ジェイが落としたボールに小柏が食らいつくという場面が多く、ゴールを狙うが、高かったリ、DFにはじき返されたりで、点にはならない。右の背番号9金子との小柏の「突進」は小柏の方が多いが「9番のシュートが見たい」。

 8割がた札幌の攻撃だったが、危険なのはカウンター。やっぱり締めは名古屋の背番号16マテウス。30分、米本からのパスを受けたマテウスが、札幌のエリア内にドリブル突破。守備陣3人を抜き去り、混戦からシュート。札幌DFが跳ね返すが、2列目からこぼれ球を拾いカットインした稲垣が、落ち着いて決め先制(最近のデータ管理は素晴らしい=名古屋は先制したゲームは92パーセント以上の勝率)。

 45分、注目のFWシュヴィルツォクがカウンター攻撃を仕掛ける。左サイドを抜け出した前田に素早くパス。札幌ゴール前にクロスを上げると、札幌DFと競り合い一歩先んじて「頭」で合わせた稲垣がGK菅野を「不動にして」ネットを揺すった。稲垣が2得点目だ。


【監督のハーフタイムコメント】
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「ボールの動かし方を工夫しよう」、「2−0は十分追いつける」、「チャンスは作れてる。落ち着いて必ず得点取れる!」

■名古屋グランパスのマッシモ・フィッカデンティ監督のコメントはチーム発表なし


 札幌がハーフタイム中に荒野をチーム控室に呼んだ。柳との交代を告げた。後半が始まり、札幌は9分、金子がDF2人を抜き去りシュート体勢。惜しくもGKラングラックに阻まれる。続く12分、左サイドの青木が鋭いクロスを右ウイングバックのルーカスに送るが、シュートは大きく外れた。ここで名古屋のFWトップにいたシュヴィルツォクが柿谷に交代した。

 さらに飲水タイム後に選手交代が両軍であり、札幌ジェイが菅に。名古屋・前田が長沢に。32分にルーカスがDオリヴェイラに。これで札幌3組、名古屋2組の選手交代が完了した。小雨降る中の試合だったので「交代も少なめ」だった。

 札幌最後のチャンスは44分。右CKをもらい福森がファーサイドに柔らかいクロスを送ったが名古屋DF稲垣にクリアされて、再度CK。札幌のDF田中が素早くリスタート、高嶺に送ったが「大きくゴールバーを越えた」。

 アディショナルタイムは3分も札幌の攻撃は実らなかった。今節、宮澤裕樹の欠場の影響もあったが、徐々に「若手の進歩」が見える。ミハイロ・ペトロビッチ監督も「前進している」と、「ACL 」を諦めない。

 シュート数は、札9−名8、CK札7−名0、FK札8−名14、PKなし。

 次の2021明治安田生命J1リーグ第27節北海道コンサドーレ札幌対川崎フロンターレ戦は8月28日午後2時から、札幌ドームで行われる。


 上写真/前半4分、名古屋FWシュヴィルツォク(左)と渡り合う札幌DF田中、後方に宮澤の欠場でCBに入った柳(3番)、右名古屋MF米本(2番)


 上写真/前半43分、札幌FWジェイ(中央)が名古屋DF宮原(6番)を抑えながらボールをコントロール、右MF青木(28番)、ジェイは4試合ぶりの先発とあって、気合は入っていたが得点できなかった


 上:上段写真/前半45分、名古屋MF稲垣(15番)が、FW前田の左からのクロスにヘディングで合わせ2点目を入れ、勢い余ってでんぐり返りする。左端札幌DF田中(2番)、その右GK菅野(1番)

 上:下段写真/前半45分、追加点を決めた名古屋MF稲垣(右から3人目)をたたえるFWシュヴィルツォク(その右)、MF米本(2番)、右端DF森下(17番)。隣にぼう然とする札幌MF小柏、左端GK菅野の手はゴールネットにかけているようだが、“お手上げ”のようにも見えた


 上写真/後半27分、札幌MF荒野のロングフィードに反応しルーカス・フェルナンデスがシュート、この後、GKランゲラックに正面でクリアされ、こぼれたボールを詰めた小柏がシュートを打つも上に浮かせゴールならず


 上:上段写真/後半36分、札幌MF小柏(中央)が高嶺からのロングフィードを受けて、途中出場のFWドゥグラス・オリヴェイラ(その左)と共にゴール前に迫るも名古屋MF吉田(23番)やDF中谷(右端)らに囲まれるように阻止される

 上:下段写真/後半36分、札幌MF小柏(左端)が攻めきれなかった後も、懸命にボールに食らいつこうとするドゥグラス・オリヴェイラ(33番)と体を寄せて防ぐ名古屋MF吉田(その左)


 上:上段写真/後半41分、名古屋MF長澤(5番)と吉田(右手前)の間に割って入ってボールを奪いに行く札幌MF荒野、左端MF金子(9番)、右後方DF田中

 上:下段写真/後半追加タイム1分、札幌MF荒野(左端)が名古屋MF稲垣と競りながらゴール前に走り込んでいる青木にパスを出す、右端DF福森、左手前名古屋MF米本(2番)


 上:上段左側写真/札幌を2−0で破った瞬間、ハイタッチで喜ぶ名古屋GKランゲラック(1番)、MF米本(2番)、稲垣(15番)、長澤(5番)

 上:上段右側写真/タイムアップ後、札幌GK菅野が勝利を喜ぶ名古屋FWマテウス(右)とDF森下(17番)らに視線を向ける、菅野の左MF小柏(35番)とFWドゥグラス・オリヴェイラ(33番)

 上:下段写真/0−2と完敗ながらゴール裏の赤いレインコートのサポーターから札幌の選手に温かい拍手が送られた


 上:上段写真/前半18分、札幌、名古屋のFW同士、ジェイとマテウスのマッチアップがあり、両手を掲げる名古屋のマッシモ・フィッカデンティ監督、なぜかピッチのMF稲垣も同様のポーズ

 上:下段写真/前半35分、札幌MF菅(左)が名古屋陣内に切れ込む、その後ろでペトロビッチ監督も一緒にプレーしているように体を動かしている


 上:左側写真/前半25分、飲水タイムの時、しゃがみこんでDF森下(17番)、MF稲垣(15番)らに指示を出す名古屋のマッシモ・フィッカデンティ監督、この直後に稲垣のゴールが生まれた。どんな魔法をかけたのやら?

 上:下段写真/後半8分、札幌DF福森がボールを奪われた時、ペトロビッチ監督が頭を抱えた


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督(一部抜粋)
 「敗れた試合ということで残念な思いはある。しかし、決して下を向く試合ではない。アグレッシブな姿勢を選手は見せてくれたし、狙っていた攻撃も出せていました。しかしその中でアイディアなどが欠けていたと思います。そして先に失点をしたところが痛かった。1点目はマテウス選手に個人で打開され、2点目もカウンターから決められましたが、それ以外のところでは形を作らせずケアできていたと思います。

 選手たちは後半もよく戦ってくれました。得点機会もありましたが、なかなかこじ開けることができませんでした。相手は人数を割いて守ってきて、そこを崩せず敗戦となってしまいましたが、選手たちには下を向かないでほしいと思います。今日の試合でチャナティップらがいれば、狙いを持ってゴールに迫れる展開を作れたかもしれません。が、足りない選手のことを言っていても仕方がないので、こうした試合から学びながら戦っていきたいと思います」


■名古屋グランパスのマッシモ・フィッカデンティ監督のコメント(一部抜粋)
 「今日は、チーム事情でスタメンも、ベンチ入りメンバーも、戦術面も、どう戦うか大きく変えないといけなかった。それにプラスして札幌は独特なので、それに合わせた部分でも対応しないといけなかった。攻撃は[4−4−2]をベースに、サイドからの攻撃をしっかりやっていこうと考え、選手たちはその狙いをしっかりと理解して、「前半のうちにリードできたら」という部分でもしっかりとやってくれた。

 この日程で戦っているので、後半は疲れが出るだろうと考え、もちろん追加点を狙える場面もあったが、チーム全体としてまず守るということを優先した。選手も状況に合ったプレーを判断してやってくれたと思う。

 普段出ていない選手がとても良いプレーをしてくれたので、今後に向けてとても明るい材料になったと思う」

池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影