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J1第20節(6月27日)、アウエーで鹿島に0−4の完敗

21・06・30
 「Aロペスと荒野」違いは4失点

  ミシャ監督「鹿島一枚上だった」


 「誰が鹿島に4失点すると思っただろう」。暗雲が立ち込め、北関東独特の「今に何かが来る」の天気予報。鹿島アントラーズのホーム・勝ちに飢えた茨城県立カシマサッカースタジアムは、「台風」の予想もあったが、マスク姿の観客7千953人が詰めかけた。

 札幌はFWアンデルソン・ロペス(27、ブラジル出身)が、「中国チームへ移籍」が取り沙汰されての6月ラウンド、コンサドーレはJリーグ、ルヴァンカップ、天皇杯を戦い3勝1分け1敗の成績を残し、J1リーグ11位、ルヴァンベスト8、天皇杯3回戦進出の「やればできる」の印象。

 それでは「なぜ?」をめぐる「喜怒哀楽」をお届けしよう。

 試合は6月27日の2021明治安田生命J1リーグ第20節鹿島アントラーズ対北海道コンサドーレ札幌戦。18時33分、福島孝一郎主審(37、鹿児島県出身)のホイッスルで札幌のキックオフ。案の定、天候は雨、気温22.5度、湿度69パーセント。悪天候とはいえ鹿島ファンにとって7月は五輪で会場になり、「ほとんどカシマの試合は無い」。

 鹿島のフォーメーションは4−5−1。前節からスタメンを6人代え、4月に2年目のザーゴ監督(52、ブラジル出身)から引き継いだコーチだった相馬直樹監督(49、静岡県出身)の采配で、ここ5試合は1勝2分け2敗。札幌は5月以降1敗のみと好調。互いの対戦成績は鹿島16勝5分け3敗と、「後半から(Jリーグの2巡目)順位を上げるチーム」として、「定評」がある。

 札幌は、3−4−3の基本フォーメーションのトップ3枚は1トップ2シャドーに分割。「韋駄天の小柏」がけがで欠場以来、と言おうか「鈴木武蔵・Aロペスの移籍」で、1トップは定まらず「トップ3の固まり」になっている。今回は、トップに荒野拓馬を配置しているが「彼の持ち味」を無くしている―と感じる。

 札幌のフォーメーションは前節と同じでGK菅野孝憲、3バックは田中駿汰−宮澤裕樹−福森晃斗。右のウイングバックにルーカス・フェルナンデス、左は青木亮太。中央で采配を振るうボランチ(舵取り)は、駒井善成と高嶺朋樹。FWトップは荒野。シャドー(影武者)は金子拓郎とチャナティップ。遠慮しないで「日の当たる得点者」になってほしい(前試合・大分戦では金子が2得点)。

 ゲームは札幌優位でスタートしたが、前半10分、鹿島がCKを得る。札幌ゴールに向かって左サイドから鹿島・MF荒木遼太郎が右足でキック。中央に重なっていた鹿島の赤系のユニホーム2人のうちDF犬飼智也(183センチ、77キロ)が頭を右に振って、ゲットした。札幌のGK、DFとも身動き出来なかった。

 これで鹿島が軌道に乗った。札幌は右側のルーカスに球を集め、高嶺−駒井、高嶺−金子の横パスは広がるが、トップの荒野に収まらない。

 左の青木−福森のロングフィードが、逆サイドに抜けていくなど、ターゲットが定まらない。右シャドーの金子が、前試合の2得点を「非常に」ケアした鹿島の守備陣だった。前半アディショナルタイムは2分。ホームの鹿島1点リードで折り返す。
 

【監督のハーフタイムコメント】
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「最後の精度を上げていこう」、「シンプルにやれる事はシンプルにやろう」、「リスク管理もしっかりとやろう」

■鹿島アントラーズの相馬直樹監督のコメント
 「ボールを奪ったあとのプレーをもっと正確に」、「動いたあとのスペースをもっと有効に使おう」、「最後の部分で積極的に仕掛けていこう!」


 後半は、最初から札幌のペースが上がる。雨も少し強くなったようだ。札幌は、右のルーカスの攻めが光る。3分過ぎにはペナルティエリア内でシュート、鹿島GK沖悠哉のセーブに遭う。この後、札幌GK菅野が中央にフィード、これを鹿島DF犬飼が頭で跳ね返し、うまくFW9番エヴェラウドが持ち込みGKと1対1。逆サイドのMFディエゴ・ピトゥカに渡り、追加点を入れた。0−2で札幌を突き放す。

 後半11分、荒野が33番ドゥグラス・オリヴェイラと交代。さらに高嶺OUT深井一希IN。

 札幌は15分CKを得て福森がキックするが、クリアされる。再度得た右CKは鹿島DFにしっかり対応される。さらにCKのチャンスを得るが、今度はGK冲に防御される。

 この後18分、鹿島のチャンス。札幌ゴール前で中央突破。札幌MF青木が戻りなんとか触るが、こぼれ球を常本に押し込まれて3点目。

 さらに23分鹿島はCKを得て、一度は金子がクリアするが、FW9番エヴェラウドのシュートがGK菅野の体に当たってネットを揺らした。

 一矢報いたい札幌の選手交代は後半20分にルーカスと菅大輝、同41分にチャナティップと中島大嘉、深井とDF岡村が交代。

 しかし、24分の給水タイムまでに「4点差」をつけたカシマサッカースタジアムは大いに沸き、そのまま0−4スコアでタイムアップとなった。

 シュート数は、札11−鹿14 CK札11−鹿6 FK札9−鹿10 PKなし。

 次の試合は、2021明治安田生命J1第21節の北海道コンサドーレ札幌(11位)対徳島ヴォルティス(15位)戦を7月4日午後1時5分から札幌厚別公園競技場で行う。

 (追伸)コンサド4番菅大輝が結婚。クラブを通じて以下のコメントを発表した。「6月15日にお付き合いしていた女性と入籍しました。これからはお互いに支え合い、サッカーもサッカー以外の所でも成長出来るよう頑張ります。引き続き応援宜しくお願いします」


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント(一部抜粋)
 「前半の入りも悪くなく、自分たちの狙いとする形からチャンスを作れてはいたが、その中でCKから先に失点をしてしまった。その後は相手が守備を固めて速攻を狙ってくる中で、自分たちはボールを動かしながら相手ゴールに迫る形は作れていたと思う。リードされる展開ではあったが、決して悪くない前半だったと思う。ただ、後半で先に2点目を取られて難しくなった。その中で、0−2になってからも攻撃的な姿勢を見せたが、今日はチャンス手前までは行きながらも、それをモノにするところまではもっていけなかった。それに対して、鹿島は非常に効率的な戦いをして4点を取った。

 リーグ戦を戦う中でもちろんこういう試合もある。自分たちがやろうとしていた戦いはしていたし、選手が最後まであきらめずに戦ってくれた姿勢も悪くはなかった。0−4で敗れた試合の中で、前向きなところを見つけるのは難しいですが、私自身は悪い戦いをしたとは思っていません。効率よく得点を重ねた鹿島が勝利をした、そういうゲームだったと思います」


■鹿島アントラーズの相馬直樹監督のコメント(一部抜粋)
 「まず、我々鹿島としては、東京五輪の関係で間が空いてしまう。ここ(ホーム)で戦うことができない。そういった意味では1カ月以上空いてしまう。そういう状況での最後の試合になったんですけど、雨が降っていた中、多くのサポーターに集まっていただきました。選手たちにもそういう話をしましたけど、ホームに集まってくれるサポーターの前で自信を持った、そして自分たちが奪いにいく姿を見せようと。勝点3を一緒に喜ぼう、と。そういう姿を見せることができ、一緒に勝点3を喜ぶことができました。ありがとうございました。サポートしてくれる方にもそうですし、一緒に喜べることをうれしく思っています」
池田淳