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J1第15節(5月22日)、清水に2−0の勝利。12位に浮上

21・05・25
 上:上段写真/およそ1か月ぶり、ホームでのJ1リーグ戦の先発は次の通り。左からキャプテンMF宮澤(10番)、DF福森(5番)、田中、MF高嶺、駒井(14番)、金子(9番)、小柏、深井(8番)、アンデルソン・ロペス、FWジェイ(48番)、GK菅野(1番)

 上/下段写真/前半3分、札幌MF小柏(右)が左サイドをドリブルで駆け上がるが、清水DFヴァウドに体を寄せるように阻まれる

   (写真はいずれも5月22日、札幌ドーム、撮影・石井一弘)


 「たら・れば」が三つあった勝利

  ミシャ監督の笑みは「ブラボー」


 「あれっ? 清水の応援席が無い」。また、ホバークラフト式のサッカーグラウンドの「故障か」。コンサドーレの広報からの5月22日の会場案内には「スタジアムは復活しました」。

 サッカー事始めの地「埼玉」・「静岡」・「広島」の『地団駄』か。言わずもがなの「チーム対サポーター」のいさかい。J1リーグでは浦和レッズが8位、清水エスパルス16位、サンフレッチェ広島10位。予想だにしない清水の新監督ロッティーナ氏(63=スペイン出身)は、2勝6分け6敗で不振に悩んでいる。J1セレッソ大阪では2019年5位、20年4位の成績を収め、清水の監督に就任した今季のルヴァンカップはDグループの2位でプレーオフステージにコマを進めているが―。

 札幌ドームは、5月22日、記者席の通路を播戸竜二氏(41、NHKなどでサッカー解説者、兵庫県出身)が、札幌で選手時代(2000−01年)を経験した「あいさつ回り」をしていた。

 清水の応援については「特定の席ではないが−」と、この日の観客3千334人の中には、入っていたとか。

 試合は14時00分きっかりに、気温21.8度、湿度54パーセントの札幌ドームで、岡部拓人主審(39、福島県出身)のホイッスルで清水がキックオフした。

 札幌の布陣は3−4−3の、トップ3を意識した布陣。GK菅野孝憲、DF田中駿汰−宮澤裕樹−福森晃斗。右ワイドに金子拓郎、左ワイドに駒井善成を起用した。ボランチは高嶺朋樹と深井一希だが、深井が下がり目で4バックを形成する場面が多い。3トップはジェイとAロペスに小柏剛。フラットに見えるが、小柏が突っ込みトップに躍り出るなど、臨機応変。背番号35小柏の突っ込みに清水DFは「手を焼いた」ようだ。

 清水は、これまでの4−4−2の配置を3−4−3にしてきたが、トップからDFラインまでをコンパクトにした「守備的」布陣を取った。やはり札幌、特にFWにアンデルソン・ロペスのシュート力と、周囲のフォローアップを読んだ布陣。GK権田修一、DFヴァウド−鈴木義宜−片山瑛一、MFエウシーニョ−奥井諒。中位に宮本航汰と中村慶太、FWは背番号10カルリーニョス・ジュニオと中山克広−デュサロ燦シルヴァーノの3人で臨む。

 試合が始まる前に、札幌にショッキングなニュース。日本サッカー協会は20日、五輪代表やA代表候補を発表した。21日付け「北海道新聞」は、全容を掲載した。「コンサ(ド)から選ばれず」。(注=コンサはドサンコの逆読みの事=発案・当選者言)。2019年以降、五輪世代では札幌からDF田中駿汰FW菅大輝、MF高嶺、金子らが何らかの形で、呼ばれていた。22日のゲームでは、引っかかっていた選手がスタメン、控えでメンバーに入っていた。これが「引き金に、ならないはずがない」。

 前半は、ゆったりと厳かに入ったが、清水GK権田は、今季、3年間いたポルティモネンセ(POR)から1月に帰国したばかり。随所に好プレーを見せていた。主審を務めた岡部主審も飲水タイムを忘れる(失礼・試合の気の入りように思わず)程の熱戦を繰り広げた。前半30分に飲水タイムのためプレー中断」を採る羽目になった。スコアレスで後半へ。


【監督のハーフタイムコメント】
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「ピッチを広く使っていくこと」、「無駄なファールで相手にセットプレーを与えないこと」、「後半の入り、集中していこう」

■清水エスパルスのロティーナ監督のコメント
 「ボールの出し方を工夫すること」、「2ndボールに気をつけよう」、「集中力を切らさず走りきろう」


 後半は、札幌が「気合を入れた」。ペトロビッチ監督のロッカールームの気合の入った「文言」が、杉浦大輔コーチ兼通訳の日本語がひしひしと選手を「奮い立たせる」。四方田修平ヘッドコーチのパネルもいっぱいに描きつぶされる。

 札幌のキックオフ。立ち上がり6分、清水ゴール前ペナルティーエリア左外でFK。福森がゆっくりとセットアップ。ゴール前にはジェイ。中央左寄りにAロペス。福森の左足がジェイの頭を狙う。相手DFは1人。ジェイがかぶさるように、ヘッド。ボールはAロペスの前に落ちる。左足をスイング、GK権田は反応したが強烈なシュートは、ネットを揺らした(トップ画面に写真掲載。Aロペスは、まるで鶴のようにバランスを取っている)。前半攻めに攻めたFW小柏が、駆け寄って祝福。虎の子をむしり取った。

 さらに10分。左から福森のCK。中央に落ち、ペナルティーエリア内から右外に転がる。背番号9金子が拾いワンタッチドリブル。得意の左足で左ゴールポスト側にインカーブのシュート。2点目を挙げる。2−0とリード。札幌はこのゴールで通算400得点目をマークした。Jリーグ加盟25周年の記念ゴールだった。

 その後12分、清水の選手交代2人。19分Aロペスが青木亮太と交代。(25分飲水タイム)。26分高嶺OUT荒野拓馬IN。さらに駒井OUTルーカス・フェルナンデスIN。続く29分、清水の2人が交代。38分には清水5人目が交代。札幌も40分過ぎ金子OUT岡村大八IN、深井OUTキム・ミンテIN。

 アディショナルタイムは5分。最後の攻防が続くが、清水は47分、代わって入ったFW指宿洋史が札幌ゴール前で、キム・ミンテに倒される。キムにはレッドカードが挙げられ退場。判定をVARのチェックに任せた(PKかFK)が、判定はFK。清水のFKは、FW指宿が蹴ったが、壁の前の味方に当たりタイムアップ。札幌は今季初のゼロ封(2−0)でJリーグ12位。5勝3分け6敗の勝ち点18。21得点20失点で、得失点差+1。

 シュート数は、札10−清8 CK札4−清0 FK札14−清9 PKなし。

 2021明治安田生命J1リーグ第16節は5月26日午後7時から札幌ドームで、北海道コンサドーレ札幌対サガン鳥栖戦を行う。


 上:上段写真/前半19分、清水FWカルリーニョス・ジュニオの左サイドからのシュートを札幌GK菅野(中央奥)が左足でクリアして得点を許さず。菅野の左清水DF片山(7番)、中央手前FWディサロ燦シルヴァーノ(19番)、左端札幌MF高嶺(6番)、右端DF福森(5番)。このファインセーブをはじめ、菅野は完封勝利に貢献した

 上:下段写真/前半21分、札幌MF金子(左奥)の自陣からのパスを、FWジェイ(48番)が清水DF鈴木(50番)と激しく奪い合う、右奥MFアンデルソン・ロペス


 上:上段写真/前半追加タイム3分、MF小柏の左サイドからのマイナスのパスを札幌MF深井(8番)がシュートするが、GKの正面となり得点できず、左清水DFヴァウド(5番)、中央MF中村(20番)

 上:下段写真/後半6分、札幌DF福森の左サイドからのパスをFWジェイ(48番)が清水DF片山(7番)と競りながら、右足の太ももに当て落とし、MFアンデルソン・ロペス(右)の先制点となるボレーシュートを呼ぶ


 上写真/後半6分、先制点を決め雄叫びを上げる札幌MFアンデルソン・ロペス(右)に駆け寄って祝福する左へ小柏、アシストしたFWジェイ(48番)、MF深井(8番)


 上:上段写真/後半10分、得意の左足で開幕戦以来となるゴールをあげた札幌MF金子が、清水FWカルリーニョス・ジュニオ(10番)とDF鈴木(50番)の間を笑顔で走り抜ける

 上:下段写真/後半10分、追加点を上げた札幌MF金子(中央手前)を手荒く祝福する小柏(35番)、FWジェイ、右端走り寄るMF宮澤(10番)

■北海道コンサドーレ札幌の金子拓郎選手のコメント
 「開幕戦以降、得点が取れていなかったので、ここで1点取れたことはホッとしています。あそこの場所は得意としているので、迷うことなく足を振れたことが得点につながったと思っています。権田修一選手という素晴らしいGKから得点できたことも良かったと思う。開幕戦以降はなかなか得点が取れず焦りもあったが、ここからコンスタントに取れるようにしていきたい。サイドからの突破のところは出来ているとは思うが、そこからの得点、アシストというものはまだまだ足りていないので、増やしていきたいと思う」


 上写真/後半29分、清水右CKからの攻撃で、DFヴァウド(5番)と競りながら札幌DF田中(2番)がクリアする。左端DF福森(5番)、札幌GK菅野(1番)、右へ清水MF福森(29番)、札幌FWジェイ(48番)


 上:上段写真/後半追加タイム3分、札幌ゴール前に突進する途中出場の清水FW指宿(27番)を札幌DFキム・ミンテ(右)がGK菅野の目前で倒し、一発レッドカードで退場、左清水MF中村(20番)

 上:下段写真/PKかFKかでもめてVAR判定に長い時間を要したが結果はFK。後半追加タイム7分、清水FW指宿(27番)のFKを壁を作って守る札幌の選手たち、左からMF宮澤、FWジェイ(48番)、DF田中(2番)、MF岡村(50番)、DF福森(5番)、MF荒野(27番)、GK菅野、MFルーカス・フェルナンデス(7番)。壁の手前では清水の3選手がうずくまり、壁の後方の下では札幌MF小柏が横たわっており面白い。指宿のFKは壁の前の味方に当たった。


 上写真/後半追加タイム9分、清水GK権田が札幌陣内まで上がって蹴ったボールをGK菅野がキャッチしたところで試合終了の長い笛、この試合を象徴しているようだ。左から清水MF中村(20番)、DF片山(7番)、菅野の右手前MF宮澤(10番)、その奥MF岡村、右端DF田中(2番)、田中の奥、清水FW指宿


■北海道コンサドーレ札幌の菅野孝憲選手のコメント
 (今季初の無失点勝利について―)
 「今季はGKとしては残念な試合が続いていた。しかし、前節(川崎F戦)からみんな球際で戦えていて、その試合では川崎Fに負けはしたものの、みんなに自信がついたのではないかと思っています。あの試合はどっちに転んでもおかしくなかった展開で、結果としては負けだったが、つかんだものは勝ち以上のものがあったと僕は思っていたので、その次の試合でこうして勝てたのは大きかったと感じている。やっていることは間違っていないし、続けてきたことが結果につながったと思っている。次節まで中3日だが、良い準備をしていきたい」


 上:上段写真/後半22分、2−0と試合を有利に進める札幌が、FWジェイが倒されてFKを得た好機に、ゴール裏熱烈サポーターのボルテージはいやがうえにも燃え上がる、太鼓と手拍子で熱い声援を送る

 上:下段写真/清水戦勝利をかみしめながらサポーターに応える札幌の選手たち、左から笑顔を見せるMF荒野、DF福森(5番)、MF小柏(35番)、ルーカス・フェルナンデス(7番)、DF田中、その奥にMF岡村、FWジェイ、右端ホッとしたようなGK菅野の顔が半分見える


 上:左側写真/後半10分、札幌MF金子のゴールに拍手するペトロビッチ監督

 上:右側写真/前半45分、選手に指示を出す清水のロティーナ監督

■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント(一部抜粋)
 「今日の試合は難しくなると思っていました。なぜならば、相手も我々も勝利が欲しいゲームでしたので。相手が自陣に9〜10人帰って守りを固めるのは予想していました。その中で選手たちがナーバスにならずに試合を進めてくれたと思います。焦れずに我慢した中で、試合を進めたことで後半に2点を奪えたと思います。走る、戦うということができていましたし、選手たちを称えたいと思います」

■清水エスパルスのロティーナ監督のコメント(一部抜粋)
 「前半は良い出来だったと思います。攻撃でもチャンスを作れていましたし、守備でもほとんど問題がありませんでした。ただ、後半開始早々にセットプレーからのロングボールで、そしてまたCKから失点して難しい試合になりました。そのあと1点を返すことができればまだ分からない試合でしたが、それもできませんでした。後半の最初の2失点が重くのしかかったと思います」

池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影