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【再掲】ルヴァンカップ第5節(5月5日)、2−1で鳥栖に勝利し、次ラウンドへ

21・05・11
 上写真/ルヴァンカップグループステージ第5節鳥栖戦先発メンバーは左からMF宮澤、DF田中(2番)、GK大谷(22番)、DF高嶺、MF金子(9番)、深井(8番)、小柏(35番)、MF柳(3番)、MF青木、荒野(27番)、FWドゥグラス・オリヴェイラ(33番)

      (写真はいずれも5月5日、札幌ドーム、撮影・石井一弘)


 青木が札幌で「冬眠から覚めた」

  「名古屋J2降格」を味わった男


 月刊「コンサドーレ」の4月号。チャナティップがフロント写真で踊っている。小さな見出しで「ミックスゾーン 青木亮太」。確か流通大柏の高校サッカー隆盛時代、東京ヴェルディジュニアユースからユースへの昇格をせず、流通大柏高サッカー部を選択し2014年名古屋グランパスエイトに入団した。16年のリーグを終えて「名古屋が初のJ2降格」。17年にシモビッチのチーム内年度別最多得点18に次ぐ11得点を挙げ名古屋はJ2で3位になり、昇格プレーオフを制し、J1に1年で復帰した「話題の男」として「覚えている」。

 本来の「ミックスゾーン」は記者が囲み取材をするところ。月刊コンサドーレの「ミックスゾーン」に登場するプレーヤーは「期待の選手」。いつか出ると思っていたら、4月号。さらに5月5日の2021年JリーグYBCルヴァンカップで、2−1で勝利する決勝点を挙げ、ヒーローインタビュー。25歳になったか。174センチ、68キロ(これより少し太った感じ)、A型。26.5センチの右足から、サガン鳥栖のGK守田達弥を釘付けにする右カーブのシュートを決めた。さすがの守田も手も上げられなかった。

 試合の方は、札幌ドームで14時3分キックオフ。村上伸次主審の笛、札幌ボールで始まった。入場者数は7千507人。鳥栖の席には20人ぐらい。場内は気温22.9度、湿度38パーセント。太鼓と手拍子、札幌は赤のハンドライトを振って選手入場を盛り上げていた。札幌のスタメンはGK大谷幸輝、DF田中駿汰−宮澤裕樹−高嶺朋樹。右のワイドが柳貴博で左が青木亮太。中央のMFは荒野拓馬と深井一希。トップのドゥグラス・オリヴェイラに金子拓郎と小柏剛がシャドー役になってのゲーム展開。

 鳥栖は、前節から2人が外れた―としているが、詳しくルヴァンカップメンバーを見ると、J1リーグ・メンバーでは、出場機会の少なかったプレーヤーがほとんど。毎回見るのは「大御所」FW豊田陽平(36=石川県出身、2004年名古屋入団、2010年から鳥栖に移籍。12年目の今は副キャプテン)、さらに最近トップチームの出場機会が減ったが、「ルヴァン」ならと出てくるMF高橋義希(36=長野県出身、18年目のホームグロウン登録選手)。この日、高橋は先発だったが、豊田はサブで後半登場した。

 鳥栖は1997年設立。翌年までJFLに所属し、J2に昇格。Jリーグへは1999年加盟で、札幌(1996年)より遅くスタート。2012年からJ1昇格、以来10年・降格は無い。両者のこれまでの対戦成績はJ1・J2・Jリーグカップ含め札幌の22勝7分け18敗。

 開始直後から札幌の攻撃が目立つ。3分、金子がドリブルでチャンスボールを右サイド前方に出すがDFに防がれる。さらに荒野が前のDオリヴェイラにキラーパスを送るがカットされるなど10分ぐらいまでは札幌ペース。

 10分過ぎ深井にイエローカード。これを転機に高嶺−青木の左サイドからの攻撃が見られる。さらに荒野から小柏へのスルーパスなど多彩な攻撃が見られた。一方、鳥栖は左サイドのDF大畑歩夢からMF高橋へのパスがゴール前に通り、GK大谷に阻まれるなど21分過ぎまで鳥栖ペース。

 しかし24分、札幌は鳥栖ペナルティーエリア内でPKを得る。荒野―小柏のコンビがパス交換、小柏に鳥栖DF兒玉澪王斗(ルーキー)が後方からタックルし反則。ふとアンデルソン・ロペスが浮かんだが登録外。Dオリヴェイラが「当然のごとく」ボールを持ったが、ちょっぴり不安。ゴール右を狙った低いボールはコースが甘くGK守田達弥にはじかれた。跳ね返ったボールはキッカーも面食らう「真正面」。難なく決めたが「オーノー」の先取点だった(26分飲水タイム)。

 この後、鳥栖・ベテランMF高橋の展開やFWドゥンガのスピードを見せつけられるが、札幌が試合を優位に進め1−0とリードで折り返す。


【監督のハーフタイムコメント】
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「集中力を切らさずに戦おう」、「相手FWに対してのケアをしていこう」

■サガン鳥栖の金明輝監督のコメント
 「もっと臨機応変に対応するように」、「相手のミスを待つのではなく自分たちで仕掛けていこう」、「チャンスはある! ここから返していこう」
 

 後半は、反撃を狙う鳥栖のキックオフ。鳥栖のFWオフォエドゥOUT酒井宣福IN。オフォエドゥはナイジェリアから来たばかり。おもしろい選手になりそう。しばらく鳥栖のペースで試合展開。10分荒野が動いた。左サイドを行き来していたワイドの青木を使った。背番号28、私の目にはじめて入った青木だったが、タッチが大きくゴールラインを割った。

 札幌の3バックは田中駿汰と中央に宮澤と右は高嶺。あまり田中駿から直接トップ(Dオリヴェイラ)に放り込むプレーは見ないが、12分、この日はベストタイミング。相手GK守田がびっくりして飛び出したほどだ。

 直後の14分。札幌左からの攻撃。小柏が左の青木にパス。受け取った青木が2、3歩中央に切り込む。鳥栖ペナルティーエリア手前から、右足を振り抜いた。ボールはかなりインカーブ、ゴール右側のネットを揺らした。GK守田はどこにいたの?(試合後・守田に聞いてみたかったが、新型コロナウイルスまん延の折「ミックスゾーン」での記者会見は現在禁止)。2−0と札幌リード。

 この後19分、豊田陽平が登場―FWドゥンガと交代。兒玉OUT湯澤洋介IN(26分飲水タイム)。27分、金子OUTジェイIN。31分あたりから豊田を中心に鳥栖の反撃ムード。38分鳥栖ベテラン高橋が札幌ペナルティーエリア手前からゴール前へ蹴りこむ。DFに回っていた宮澤が一度クリアした後、鳥栖の湯澤が反応したがジャストミート出来ず、絶好の得点機を逃した。

 41分過ぎから両チーム選手交代。札幌FWのDオリヴェイラに代わって小野伸二登場。さらに2点目を挙げた青木OUT来季加入内定で立正大在学中の田中宏武IN。43分鳥栖も交代。札幌3人、鳥栖5人交代が終了、アディショナルタイムは4分。

 この後、鳥栖の現在J1リーグでベスト3の「強さのおおもと」4年目の意地、金明輝監督(40=兵庫県出身)の「教え」が披露された。46分、札幌のクリアミスに乗じて、MF湯澤洋介が強烈なミドルシュートを決めた。湯澤はこの日3度目の「正直」だった。しかし時すでに遅し、2−1でホーム札幌が勝利、グループステージ突破を決めた。

 シュート数は、札6−鳥4 CK札2−鳥1 FK札16−鳥19 PK札1−鳥0。

 次の試合は、2021明治安田生命J1第13節北海道コンサドーレ札幌対徳島ヴォルティス戦は5月9日午後3時から徳島県の鳴門・大塚スポーツパーク ポカリスエットスタジアムで行われる。


 上写真/前半19分、鳥栖左サイドからのクロスにMF高橋(右上)がヘディングシュートするが外れる、その下札幌DF高嶺、中央GK大谷(22番)、左手前鳥栖FWドゥンガ、中央にオフォエドゥ(25番)


 上:上段写真/前半24分、札幌MF荒野(右から3人目)が前方の小柏(左手前)にスルーパスを出すと、右鳥栖DF兒玉が小柏を倒しPKを誘発する、左奥DF田中

 上:下段写真/前半24分、札幌MF荒野(左奥)のスルーパスを受けた小柏(手前)が鳥栖DF兒玉(その後方)に足を引っかけられPKとなる


 上:上段写真/前半26分、札幌MF小柏が得たPKをFWドゥグラス・オリヴェイラ(右から2人目)が蹴り、いったんはGK守田(左)に止められたが、こぼれたボールを自ら押し込み先制点をあげる。守田の右、札幌MF柳、右端鳥栖FWオフォエドゥ

 上:下段写真/前半26分、先制ゴールを決めた札幌FWドゥグラス・オリヴェイラ(左端)がMF金子とハイタッチ、その間にPKを得た小柏(35番)、右へ小柏へのスルーパスを出した荒野、柳


 上:上段写真/前半37分、札幌MF柳(右から2人目)が右サイドを駆け上がる、左鳥栖MF相良(27番)、右端FWドゥグラス・オリヴェイラ

 上:下段写真/前半41分、鳥栖右FKからの攻撃を札幌GK大谷がキャッチ、右端鳥栖FWドゥンガ(33番)


 上:上段写真/後半13分、鳥栖右FKからの攻撃で札幌MF柳(右端)が鳥栖FWドゥンガ(33番)、酒井(15番)と競りながらヘッドでクリアする、左端札幌MF宮澤

 上:下段写真/後半14分、札幌MF小柏(35番)が金子のタテパスに飛び込むが、一瞬早く鳥栖GK守田(1番)にキャッチされ、ジャンプして避ける、後方鳥栖DF大畑


 上:上段写真/後半14分、札幌MF青木(28番)が小柏が出したスルーパスを受け、左サイドをドリブルで駆け上がり、右足で初ゴールとなる決勝ゴールを決める、右鳥栖DF松本(39番)

 上:下段写真/後半14分、札幌MF青木(右端)が札幌へ加入後の初ゴールとなる決勝ゴールを決め、深井(その左)、アシストした小柏(35番)に祝福され笑顔を見せる、FWドゥグラス・オリヴェイラ(33番)も駆け寄る

■北海道コンサドーレ札幌の青木亮太選手のコメント
 「得点のところは『やっとチームの力になれたかな』と思います。グループステージ突破も決めたいと思っていたので、それが形になって良かったです。今日は突破を決めるために戦おうと思っていましたし、得点が決まったときもうれしかったですが、それよりも突破を決めることが出来てホッとしています。ただ、リーグ戦ではまだ得点が取れていないので、そちらでも結果を出せるようにやっていきたいですし、この勢いでリーグ戦も波に乗れるようにやっていきたい」


 上:上段写真/後半45分、札幌DF田中(左端)と競り合った鳥栖FW豊田(倒れている)のこぼれ球をMF深井が前線にパスを出す、18番は鳥栖FW和田

 上:中段写真/後半追加タイム1分、鳥栖左サイドのクロスからの攻撃で札幌DF田中がクリア、そのこぼれ球を途中出場した鳥栖MF湯澤(32番)が豪快にシュートを決め1点を返す。札幌の選手右からDF田中(倒れている)、MF田中宏(30番)、MF深井(8番)、GK大谷、左端MF柳(3番)、このゴールで準備をしていた札幌の新外国人選手FWガブリエルの出場はとりやめになった

 上:下段写真/後半追加タイム3分、ゲームをこのまま終わらせるべく、途中出場した札幌MF小野(中央右)が鳥栖MF高橋(14番)と駆け引きする。右端小野と一緒に途中出場した来季加入内定で立正大在学中の田中宏武


 上:上段写真/鳥栖を2−1で破りホッとした表情を見せる札幌の選手たち、左からMF田中宏(30番)、DF高嶺、MF小野、小柏(35番)、FWジェイ、DF田中、MF柳、GK大谷(22番)、MF深井、右端キャプテンMF宮澤、この勝利で札幌はグループステージ突破を決めた

■北海道コンサドーレ札幌の宮澤裕樹選手のコメント
 「まずはグループステージ突破が出来たことをうれしく思います。(ルヴァンカップ第4節・)福岡戦で逃してしまったので、今日は達成するという気持ちでチームとして挑んだ。それを達成出来て良かったです。自分としては90分間、集中を切らすことなく出来ていたし、ビルドアップのところも良いプレーが出来たと思っている。そして、今日の試合を次のリーグ戦につなげていくことが大事。けが人が多い中ではあるが、なかなか結果が出ない苦しい状況を一人ひとりが頑張って、なんとかしていければと思っています」


 上:左側写真/後半26分、これから投入する札幌FWジェイ(右)に入念に指示を出すペトロビッチ監督

 上:右側写真/後半32分、自分のところに飛んできたボールをスローインする鳥栖DF今掛(28番)にパスする金明輝監督

■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント(一部抜粋)
 「立ち上がりから、今日の試合で(グループステージ)突破を決めるという強い気持ちを選手は見せてくれた。試合をコントロールして、ボールを支配する中でチャンスを多く作れました。相手にもチャンスらしいチャンスを与えませんでしたし、まずはグループステージ突破を達成出来たことは良かったと思います。今日はしっかりと自分たちのサッカーをする中で、勝利を収めてくれたと思います」

■サガン鳥栖の金明輝監督のコメント(一部抜粋)
 「選手は力を出し切ってくれたと思います。敗退が決まりましたが、僕自身のマネジメント不足。申し訳ない気持ちでいっぱいです。選手たちは与えられたタスクをやってくれたと思います」


池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影