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J1第6節(3月20日)、ホームで神戸に大逆転負け喫する

21・03・24
 上:上段写真/神戸戦の先発は左から、キャプテンMF宮澤(10番)、菅(4番)、DF福森(5番)、田中(2番)、MF金子(9番)、DFキム・ミンテ、MF駒井(14番)、ルーカス・フェルナンデス、チャナティップ(18番)、FWアンデルソン・ロペス(11番)、GK中野(34番)

 上:下段写真/試合開始早々の前半1分、ドリブルで左から中央へ切り込む神戸FW古橋(11番)とピッタリ並走する札幌DF田中(その右)、他の選手は左から神戸MFセルジ・サンペール(6番)、札幌MFチャナティップ、右端札幌DFキム・ミンテ(20番)。古橋は日本代表に選出されており、この試合が終わったら25日の韓国との国際親善試合のため代表チームに合流する。田中も東京五輪世代のU−24(24歳以下)日本代表に選出されている。

    (写真はいずれも3月20日、札幌ドーム、撮影・石井一弘)


 「杖は指揮棒にならず」孤独なミシャ

   選手は自分に負荷を「1日1善」


 札幌ドームが9千512人のサポーターで埋まった。2021明治安田生命J1リーグ第6節は3月20日午後2時から北海道コンサドーレ札幌とヴィッセル神戸の戦い。試合が始まると、まるでスペインの激しいカスタネットとアップテンポのような、ブラジル人選手のリズミカルなサンバの「ハットトリック」で札幌が優位。後半、札幌3点リードからアルゼンチンのタンゴのように「ゆったり」とした芝生を「優雅の極みのダンス」で終わるハズだった。

 しかし、神戸のオーナー格のM氏(プロ野球のマー君=北海道・駒沢苫小牧高出身を呼び返した男)の早わざは、「野球」と「スマホ」対決まで及んで九州の「白塗り」を席巻する勢いだった。どうも北海道にはこの「利器」が無い。「パッション」という言葉を頭と身体で「得とく」しよう。

 試合の方は札幌がPK・PK、「ロペス・ハット」で3−0。「安堵した」後半から始まった報復の追撃の場を、ホタルと石橋をたたいて渡る・古橋にやられた。札幌に「こんな選手が・・・」と、痛切に感じた。

 この試合、3枚のPKを判定したのは笠原寛貴主審(30=福岡県出身、2021年2月からプロフェッショナルレフリー、国際審判)で、14時3分、神戸のキックオフで始まった。ドームは気温22.1度、湿度29パーセント。観客席は、ひと椅子置きに空けていたので「赤黒のユニホーム」が「満開」のよう。

 ホーム2戦目の札幌はGK中野小次郎(前戦浦和レッズと0−0で活躍、連続スタメン)、DFは代わらず田中駿汰−キム・ミンテ−福森晃斗、MF宮澤裕樹・駒井善成(ボランチ)、右WBルーカス・フェルナンデス、左WB菅大輝、FWはトップにアンデルソン・ロペス、右に金子拓郎・左にチャナティップ(2試合ぶり復帰)のイレブン。対する神戸は、4−3−3の堅実型。左DFに酒井高徳−中央MFにキャプテン山口蛍−FWに古橋亨梧が陣取っていた。

 前日のJAPANのU−24の発表で札幌からDFの田中駿汰が新しく招請された。さらに神戸もGK前川黛也(26=広島県出身191センチ、86キロ、B型)が日本代表に選ばれたこともあり「見どころのある」華やかなゲームが期待された。

 試合は札幌が「ホームの優位さ」を生かして、神戸陣内になだれ込む。神戸は4バックにMFが大きな袋を造って札幌を「飲み込む」。前半は、両軍の攻撃の要・札幌の背番号9金子、神戸の背番号11古橋の動きが目立つ(23分飲水タイム)。

 札幌が優位な展開の中、右のルーカスからの突破を試みるが、神戸4バックの布陣は堅い。なんとなく攻めあぐんでいるようだが、札幌のチャンスが多い。44分、金子がペナルティーエリアに進入する右のルーカスにパス、相手DF酒井とマッチアップ。すり抜けた途端にⅯF佐々木大樹に後方から倒されPK判定。45分キッカーはAロペス。独特な間合いからAロペスの左足のシュートはゴール右隅に「IN」。GK前川は右に飛んでいた(アディショナルタイムは4分)。

 駒井−菅の切込みが盛んになる。50分は右サイドのルーカス側からのFK。ルーカスのキックに合わせるように福森がペナルティーエリア内に入り、相手DF山川哲史と接触(VAR判定)。結果はPKでAロペスが決めて2−0でリード。神戸は攻め手を探している状態で折り返す。


【監督のハーフタイムコメント】
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメントはチーム発表なし

■ヴィッセル神戸の三浦淳寛監督のコメント
「ボールを持った時に慌てない」、「前線で同じラインで並ばない」、「メンタルを下げない。点を取りに行く」


 後半は札幌のキックオフ。Aロペスのバックパスは宮澤からキム・ミンテにつなぎ、前線左サイドの菅に蹴り込む。一度は跳ね返されたボールを「左足の名人」福森がチャナテッィプにダイレクトパス。チャナからAロペスへ渡り、右サイドを走り上がったルーカスへ。受けたルーカスは中央のAロペスへクロスで戻す。棒立ちの神戸陣をすり抜けたボールは、相手に一回も触られずにAロペスがゲットした。「ハットトリック」(これで今季5点目だナーと私は思った)。

 後半が始まったばかりの得点。もう「勝ったような」喜びようだった。札幌がものすごく「強くなっていく」のを感じた。

 だが神戸は、後半の失点を踏まえて反撃に移った。DF酒井−ホタル(山口)−古橋が、新旧JAPANの「貫録を見せだした」。8分福森の前でホタルがゲットした。さらに10分札幌DF田中が「チョンボ」。GK小次郎へのバックパスを古橋にかっさらわれ、GKまでも抜かれ、「夢の始まり」に。さらに22分。小次郎が遅ればせに出た先にいた佐々木を倒しPK。あれれ? 笠原主審の1試合で3つ目のPK判定に驚いた。彼の実績は「PK判定6」(年間)だったのに。古橋が入れて3−3の同点(22分飲水タイム)。

 後半の勢いは、一気に神戸。17分札幌はチャナティップに代え高嶺朋樹、34分菅OUT青木亮太IN。22分神戸は古橋、39分増山が交代。

 札幌の魔の時間は41分。ついに逆転タイムがやって来た。MF佐々木大樹がドリブル突破。シュートかと思わせてバックパス、ここに頼りがいのある「ホタル」がいた。GK小次郎も裏を突かれて、なすすべがなかった。

 シュート数は、札13−神10。CK札3−神4。FK札6−神21。スコアは札3−神4とダメージの大きい逆転負けで終わった。

 次の試合はJリーグYBCルヴァンカップグループステージ第2節3月27日午後2時から、北海道コンサドーレ札幌対サガン鳥栖戦で、佐賀県鳥栖市の駅前不動産スタジアムで行われる。

 次の2021明治安田生命J1リーグ第7節北海道コンサドーレ札幌対アビスパ福岡戦は4月3日午後2時から、福岡県のベスト電器スタジアムで行われる。


 上:上段写真/前半43分、札幌センターサークル付近からMF金子が右に大きく展開、受けたルーカス・フェルナンデス(7番)がペナルティーエリア内に突進、遅れた神戸MF佐々木(22番)が後ろから倒しイエローカード、PKとなる。右端FWアンデルソン・ロペス(11番)、3番は神戸DF小林

 上:中段写真/前半45分、札幌MFルーカス・フェルナンデス(後方右端)がもらったPKをFWアンデルソン・ロペス(11番)がゴール右に決めて先制する、後方左起点となったMF金子(9番)

 上:下段写真/前半45分、PKを決めた札幌FWアンデルソン・ロペス(左端11番)の所に集まって喜ぶ選手たち、右へMF金子(9番)、チャナティップ(18番)、宮澤(10番)、ルーカス・フェルナンデス


 上:左側写真/後半追加タイム8分、札幌DF福森が得たPKを決め2点目を上げたFWアンデルソン・ロペス、左端MF金子、右端神戸DF酒井

 上:右側写真/前半追加タイム8分、2点目のPKを決めお馴染みのポーズを披露する札幌FWアンデルソン・ロペス(11番)、私のカメラポジションからはまたしても後ろ向きだ


 上:上段写真/後半1分、札幌FWアンデルソン・ロペス(中央)がMFルーカス・フェルナンデスの右からのクロスに合わせてハットトリックを達成、ベンチ方向へ走り出す。左端起点となったMFチャナティップ(18番)、神戸の選手は左DF山川、右小林(3番)

 上:下段写真/後半1分、ハットトリックとなるゴールを決め、指を3本示してサポーターにアピールする札幌FWアンデルソン・ロペス。この時点で「神戸にこんな勝ち方もできるんだ」、と(不覚にも)思ってしまった、まさか逆転負けが待っていようとは・・・

■北海道コンサドーレ札幌のアンデルソン・ロペス選手のコメント
 「非常に立ち上がりからハードなゲームになっていました。自分たちが良い入りをして、良い内容の前半を終え、後半も立ち上がりは良かったのですが、3点目が入ってから神戸のプレッシャーを受けて自分たちのプレーができず逆転されてしまいました。

 ハットトリックについてはうれしいですが、チームの結果に結びつかなかったのは悔しい。前半は完璧に近いような内容だったと思う。ボール保持もできていたし、自分たちの形を数多く作れていた。チャンスも多かったです。先ほども言いましたが、やはり後半は自分たちの戦いができませんでした。頭を下げず、落ち込まず、今後は勝ち続けていきたいと思う」


 上:上段写真/後半8分、神戸MF山口(5番)が後半から出場したFW中坂の左からのマイナスのパスに右足で合わせてゴールを決める、札幌DF福森(右)が足を懸命に伸ばすも一瞬及ばなかった。左へGK中野、DFキム・ミンテ(20番)、MF金子(9番)、大逆転劇の幕開けだ

 上:下段写真/後半8分、神戸MF山口(右端)が決めたゴール内のボールを拾い上げて脇に抱えてセンターサークルへ急ぐFW古橋。ぼう然とする札幌の選手たちは、左からDF田中(2番)、GK中野、MF金子(9番)、DFキム・ミンテ、座り込んでいる福森


 上:上段写真/後半22分、対峙した札幌GK中野の手の先を抜け、神戸FW古橋(11番)が同点となるPKを決める。中央はMF山口(5番)、この二人にやられたようなものだ

 上:下段写真/後半22分、同点となるPKを決めた神戸FW古橋(11番)が「どうだ!」と言わんばかり、札幌GK中野(34番)は苦笑いか? 右DFキム・ミンテ(20番)

■ヴィッセル神戸の古橋亨梧選手のコメント
 (―1得点目は相手のバックパスを狙っていた?)
 「狙っていました。その前にビッグチャンスを外してしまっていたので、何がなんでも決めたいと考えていて、しっかり決めることができて良かった」

 (―2得点目のPKは佐々木大樹選手から譲られた?)
 「今年は自分で蹴りに行くと決めていたので、(山口)蛍さんにも蹴れと言ってもらったので蹴りに行きました」


 上:上段写真/後半41分、神戸MF山口(5番)が佐々木のパスを受けて逆転のゴールを決める。札幌GK中野が長身をいっぱいに伸ばしたが及ばなかった、左端MF金子、28番は途中出場したMF青木

 上:下段写真/後半41分、神戸MF山口に逆転ゴールを決められぼう然とする札幌の選手たち、左からGK中野(34番)、DF田中(その奥)、MF金子、宮澤(10番)、駒井(14番)、青木(28番)

■ヴィッセル神戸の山口蛍選手のコメント
 (―前半うまくいかなかった理由は?)
 「前からプレスでボールを取りにいくところを心がけて試合に入った中で、相手にうまくはがされて押し込まれる展開が長くなってしまった。ボールを持っているときにあまりにも慌てすぎて、ボールを失うことが多かったですね。もう少し落ち着いてやれば全然できたし、前半は自分たちからリズムを悪くしてしまったと思う」

 (―後半はうまく修正出来た?)
 「ボールをつなぐところは、そんなに後半でうまくいったかというと前半ほどはひどくはなかったと思いますけど、前からプレスに行くことに関しては、そのプレスから得点も生まれましたし、ハーフタイムに修正できたなと思います」


 上:上段写真/大逆転勝利を喜ぶ神戸の選手たち(右)を横目に、ガックリと尻をつく途中出場した札幌MF高嶺と肩を落とす青木(28番)

 上:下段写真/屈辱的な逆転負けにしょんぼりとサポーターへのあいさつに向かう札幌の選手たち、左からキャプテンMF宮澤(10番)、DFキム・ミンテ(20番)、MF青木(その後方)、GK中野、MF菅(その後方)、小野(44番)、最後尾右端ハットトリックでも勝てなかったFWアンデルソン・ロペスが寂しげ

■北海道コンサドーレ札幌の宮澤裕樹選手のコメント
 「前半は良かったが、3点目を取ってからの試合運びは反省する部分が多い。こういう試合をしていてはいけない。攻撃のところではシャドーをつなぎながらサイドを有効に使う場面が前半はありましたが、最後のところでの課題はあったと思います。二度とあってはいけない試合運びだったので、こういう試合を次に生かしていかなければいけない。

 後半については、中盤のプレー強度が落ちたことによって、相手に前を向かれてしまった。局面で勝負にこだわるところだったり、今日もバタバタした場面もあったので、上を目指していくからには改善していきたい。しっかり勝点につなげていくところにこだわっていきたい」


 上:上段写真/敗戦後ゴール裏サポーターに頭を下げる、手前からMFルーカス・フェルナンデス、高嶺(6番)、金子(9番)、FWアンデルソン・ロペス(11番)、MFチャナティップ、小野(44番)ら札幌の選手たち

 上:下段写真/いつもなら温かい声援を送る札幌のゴール裏サポーターたちも、何か放心状態


 上:左側写真/後半24分、直前にPKで同点とされ、飲水に来た札幌MF高嶺(6番)と駒井(右)の間で「さて、どうしたものか」といった感じペトロビッチ監督

 上:右側写真/後半41分に逆転ゴールを決めた神戸MF山口(5番)を笑顔でたたえる三浦淳寛監督


池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影