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高校選手権道大会・札大谷が5年ぶり全国へ

20・11・11
 上:上段写真/前半3分、旭実FW安藤(10番)の突進を懸命に防ぐ札大谷MF鈴木(左端)とFW山崎(15番)、安藤が負傷で前半で退いたのが旭実としては誤算だった

 上:下段写真/前半5分、札大谷FW伊東(左)、旭実DF長代、共にキャプテンで2番同士が懸命にマッチアップ

 (写真はいずれも10月25日、札幌厚別公園競技場、撮影・石井一弘)


 強豪・旭実のおごりが仇

  札大谷・選手起用が的中

 味のある戦いだった。第99回全国高校サッカー選手権大会・北海道大会決勝は10月25日、札幌市の厚別運動公園競技場で行われた。高校蹴球児のあこがれの場、文字通り「高校サッカーの頂点」を目指す地域代表決定戦。北海道大会は常連・旭川実業高校と5年ぶりに日の目を見た札幌大谷高校の対戦。バックスタンドには両校の応援団が詰めかけた。公式記録の専門部の発表では天候曇り、風・強、芝・良好、観衆400人。試合は40分ハーフの合計80分、延長10分ハーフの合計20分。それでも勝者が決まらない場合はPK戦。前後半の中間に飲水タイムが設けられた。

 試合は午前11時45分、長谷拓主審(38=北海道出身)のホイッスルで、旭実のキックオフで始まった。今年の北海道高校サッカー界は、旭実が大会を総なめ、この大会も2年ぶり7度目の代表権が懸かっている。一方、札大谷は5年ぶり3度目で、監督の田部学先生が奉職してからの記録。昨年は北海高校が道大会を制し11年ぶりの全国に臨んだが、1回戦を突破出来なかった。

 この状況下では旭実の攻勢が予想され、チームをずっと見てきた富居徹雄先生(教頭のポジション)も今年こそは「3回戦まで勝ち進んだ」第91回大会(2012年)越えも視野に。「生徒は3年間、監督としては第95,96,97回大会の3年連続出場の経験もある」。
 
 ゲーム展開は、旭実が細かいパスを繰り返し、札大谷守備陣を揺さぶる。左右にオーソドックスな展開で相手のゴールを狙うのは旭実で、中盤から一発でシュート体制に入る大谷。なんとなくちぐはぐな展開になる。

 両軍のGKの防御が目立つが、キラーパスが無い。こんなことを繰り返すうちに前半は、旭実、大谷ともにシュート数は3本ずつで終わる。

 後半は、攻撃に出る旭実のFW安藤が負傷によりFW鈴木颯人と交代。開始10分までにそれぞれ1人。旭実が先手を取っている。しかし大谷が16分にFWを代えた直後の18分に旭実陣内に入ったMF鈴木浩人の約20メートルのミドルシュートがネットを揺らした。その後、旭実の必死の反撃は実らずシュート4本を打ちながら、後半は大谷・鈴木のシュート1本に負けた。大谷は後半終了までに5人の選手交代、田部監督の細心の選手起用に「やられた」感じだ。

 なぜか前日の24日、北海道コンサドーレ札幌が横浜FCに3−0で勝った試合がオーバーラップしてきた。ペトロビッチ監督が、ハーフタイム終了後、ピッチで、四方田修平ヘッドコーチ、杉浦大輔コーチ兼通訳とボードをのぞき込み、「決定した」ジェイと田中駿汰の選手交代。四方田コーチは田部・札大谷監督の筑波大の先輩。選手を動かすボードの大切さを知っていた。方や富居・旭実監督はベンチの鉄枠に寄りかかって腕組み姿、きつい様だが「負けていたよ」。

 札幌大谷高校は12月31日から東京・駒沢競技場を中心に関東一円で行われる全国選手権に出場する(組み合わせ抽選会は11月16日に行われる)。

(池田 淳)


 上:上段写真/後半11分、札大谷DF藤本(左から2人目)の突進を旭実FW渡邊(18番)、河合(15番)が挟み込むように阻止する

 上:中段写真/後半18分、札大谷MF鈴木(5番)が先制ゴールを決める、結果的にこれが決勝ゴールとなった、右端は旭実GK松下

 上:下段写真/後半18分、先制ゴールを決めた札大谷MF鈴木(5番)がチームメイトに祝福される。中央はガックリの旭実FW渡邊


 上:上段写真/後半追加タイム、旭実FW鈴木(9番)の攻撃を札大谷GK渋井(中央右)が一瞬早くキャッチ、勝利に導く。手前5番が先制ゴールを決めた札大谷MF鈴木

 上:下段写真/1−0と強豪旭実を破りスタンドと一緒になって優勝を喜ぶ札大谷の選手たち。対してしょんぼりと引き上げる旭実の選手たち、明暗がはっきり分かれた
池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影