地域のサッカー情報

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サッカー街クラブが目指す地方創生 地元企業・団体がタッグ(後編)

20・01・11
2020年は令和のスポーツ新時代へ

 新しい雇用の創出で地域の活性化を!


札幌青年会議所(JC)理事長
 株式会社アークネット代表取締役 石黒真司氏
 (右上段写真)


特定非営利活動法人SSSスポーツクラブ(SSS札幌サッカースクール)名誉会長
 株式会社スポトレンド代表取締役 柴田吉徳氏
 (右下段写真)



―ここから12月号の続きになります。ご興味のある方はバックナンバーでどうぞ―


 (石黒)新たな形態での雇用の創出では、スポーツ現場にも積極的に女性の登用も後押ししていきたいと考えております。SSSさんでも20年以上前から女性の指導現場への登用や、過去には外国籍のスタッフも複数いたりと、その当時は言葉も浸透していなかったダイバーシティ(多様性)の先駆けだったと思います。これはサッカーというスポーツが国境を越えてワールドワイドなことも関係しているのでしょうが、SSSが40年も前からそのような理念でクラブ運営をされていたのには改めて驚かされます。


 (柴田)良いものは何でも受け入れる道民性や、サッカー先進国でもあり多民族国家のブラジルからの影響も強いかもしれません。SSSのスーパーバイザーのアデマール・P・マリーニョさんも、「ブラジルの寛容さは北海道と似ている」と、言っていましたね。ですが、寛容が過ぎて、個性的な人材に偏ってしまったかもしれません(笑)。サッカーと同様、個性的なチームを束ねるのは一筋縄ではいかないのですが、今ではありがたいことに、ボランティアを含め約30人のスタッフがクラブに関わってくれる規模となりました。これからは個性と組織の融合を深めつつ、改革・改善を推し進めるためにも新たな人材が必要と考えていますし、今回の連携事業での雇用の創出が第一歩目となります。


 (石黒)私は日本青年会議所の委員長も務めていたこともあり、全国で700人ぐらいの企業家と合ってきている中、もちろんビジネスとして直接的な比較はできませんが、先見性や理念、ストーリー性を含めてNPOのSSSの方が面白さや、可能性があると感じる部分も多く、この度の連携事業につながりました。


 (柴田)非営利団体のSSSは、当然稼ぐ為のビジネスモデルではありませんが、クラブ理念に基づいた育成を継続的に行っていくためにも、ビジネスの感覚を持ったクラブ運営は欠かせません。このような流れは、スポーツ庁が創設され、これまでの「体育」という教育の視点から、「プレーする、見る、支える、楽しむ」という本来スポーツの持つ関わり方と併せ、スポーツビジネスとして地域経済の活性化も政策のひとつに掲げられています。


 (石黒)そのスポーツビジネスの観点から新たな展開を実行するにしても、人材は欠かせないと思います。これからの時代、今までのように「単に稼げる=優秀」という捉え方だけではなく、特に子どもの教育に関わる現場では、他者に対しての思いやりや、仕事に対しても共感のある人材が必要になるでしょうし、それがこれからの働き方の大事な部分になるのではと予想しています。もちろんビジネスの世界では「稼げる」ということが大事な要素ではありますが、フィンテック(ファイナンス+テクノロジーの造語)が代わりの役割を担うかもしれません。


 (柴田)既にその流れとなってきているでしょうし、ますますインターネット上の世界に関わる割合が増えていくでしょう。だからこそ、今の子どもたちには人と向き合ったコミュニケーションや自らの体を動かす実体験を大切に、不確かな未来を生き抜く為の人間力を養って欲しいと思います。それには、学校の教育だけに押し付けず、家庭でのしつけと、地域活動(スポーツクラブ)などバランスの良い連携で、様々な体験を通して学んで欲しいと願っています。


 (石黒)私も、次世代を担う子どもたちに対し、どのような環境を提供していくかは大人の責任であると思っています。時代の変化は間違いなく起こることですので、それをネガティブな部分だけで捉えず、ホジティブな要素として考えたいですし、まさにスポーツの持つ力は大いに期待されることだと思います。そういう意味でもSSSとの連携は、私にとっても明るい話題ですし、様々な分野で協同していきたいと思っています。


 (柴田)今回の話だけではなく、石黒君のバイタリティーと多方面に亘る活躍は、私にとっても刺激を受ける存在でもあります。これまでは、互いのビジネスが交わる機会も少なく、違う道を歩んで来たのですが、想いや目指すところは共有していたと思います。共に進めているSDGs活動やスポーツを通じての社会貢献、そして地方創生に関わる雇用創出への取り組みなどが、子どもたちの未来につながるものと信じ、活動を継続して行きたいと思っております。
編集部