地域のサッカー情報

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サッカー街クラブが目指す地方創生 地元企業・団体がタッグ

19・12・11
2020年は令和のスポーツ新時代へ

 新しい雇用の創出で地域の活性化を!


札幌青年会議所(JC)理事長
 株式会社アークネット代表取締役 石黒真司氏
 (右上段写真)


特定非営利活動法人SSSスポーツクラブ(SSS札幌サッカースクール)名誉会長
 株式会社スポトレンド代表取締役 柴田吉徳氏
 (右下段写真)



 (石黒)私がJC札幌の理事長を務めていた時、国連サミットで決まったSDGs活動を地元で草の根から進めたいと考え、NPO法人のSSSさんに相談したところ、思いが合致しスポーツを通じて共同で推進していくこととなりました。特にスポーツとエコの融合はSSSさんでは早くから掲げており、道内初の省エネ型LEDナイターや、クラブハウスの屋根に大型の太陽光パネルを設置し、使用する電力の一部を賄っていることも有名でした。

 その話し合いを進める中、SSSの育成の成果や、クラブ経営陣が掲げるビジョンは、街クラブ規模とは思えない魅力的な内容でしたので、私が直接関われない分、弊社(株式会社アークネット)で新たにサッカー出身の人材を雇い、SSSへ人材派遣としてご協力することとしました。

 これは、共に進めているSDGs活動、企業のCSR活動やスポーツを通じての社会貢献が、地方創生や雇用の創出につながるという仕組み作りでもありました。


 (柴田)国策としても、現在のスポーツ関連ビジネス5.5兆円規模から2025年を目途に15兆円規模への拡大を目指し、各種政策も進められています。

 記憶に新しい2019年ラグビーワールドカップの自国開催、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを経て、この機運を一過性のムーブメントで終わらせるのではなく、国民一人ひとりがスポーツとの関わり合いを楽しむことと併せ、健康に対する意識の変化から、健康寿命を延ばし、それが医療費の抑制にもつながることも期待されていると思います。これは、避けては通れない、少子高齢化社会に対する前向きなアプローチのひとつとも言えるでしょう。


 (石黒)また、各分野で導入され、その進化は留まることの無いAI、ロボット化により、効率化、自動化がますます追求され、働き方改革を越えるスピードで、仕事のあり方、もしかすると人のあり方まで問われるような時代の波の到来が予測されております。


 (柴田)その中、生き残るのは、今までは一見無駄と思われてきたような趣味や、余暇活動、スポーツなどの人間らしい行動がより重視され、経済活動と密接になっていくでしょう。もちろんスポーツの分析や、使用する用具、電子機器(ウェアラブル端末からインプラント機器へ)などの進化は除き、単純に考えても、自らの体を動かしてシンプルに楽しむこと、余暇や趣味などは、非効率で自動化の必要のない『楽しい・エンジョイする』という人間らしい行動です。

 この『無駄と思われるようなことを楽しむ』という部分は、今のところAIやロボット化の対極にあると考えています。ですが、楽しむ人間の相手のAI化、ロボット化はさらに進むでしょう。いずれは、インターネットの世界だけではなく、人とのつながりの部分や、人と話をしたり、人と対戦していると思っていても相手は自我を持ったAIロボットになるかもしれませんが・・・。


 (石黒)このような、ある意味SF的な話やスポーツビジネスの可能性を柴田さんからは20年程前からいつも聞かされていて、当時は理解できない部分があったのですが、国内・国際特許を取得した内容も含め、実現されてきたことを目の当たりにすると、今になって時代の流れや、自分の思い描くビジョンと重なってきたと実感しています。

 と、ここまでは少し硬い内容で話を進めてしまいましたが、私も社会人まで真剣にサッカーをプレーしてきまして、どんな形でもサッカーに関われることはうれしいことです。ずいぶんとプレーもしておりませんでしたが、SSSのエンジョイフットサルや、ミドル・シニア年代のサッカーにも、半ば強引に選手登録をされ、今では昔を思い出しながら楽しくプレーしております。この人を巻き込む強引さもSSSならではでしょうか(笑)。


 (柴田)そのサッカーつながりで私も石黒君と出会ったのですが、20代の頃から会う度にサッカーの話より、経済情勢やビジネスについての話しが多かったように思います。当時はお互い若く、どちらかというと周囲の優秀な人材は大企業、公務員に進む者が多く、突飛な話をする相手が近くにいなかったからかもしれません。

 まぁ今から考えても、プロクラブではない、いち街クラブが「サッカーグラウンドにフットサルコート、クラブハウスも、多目的に使える屋内施設も自前で作るぞー」と言っても、「えっそれが何のビジネスになるの? 軽く見積もってその10億あったら、まずは手堅く不動産でしょ」という時代でしたから。いや、これは今の時代も変わっていないと思いますが(笑)。

 その中、2019年にSSSが40周年となり、クラブの抜本的改革、そして新たなプロジェクトを進めるにあたり、数年前から水面下で人選を進めて参りました。単に優秀な人材は好条件のオファーで集まるかもしれませんが、やはりビジョンの共有や共感、そしてSSSに対して思いのある人間を集めたいと思っていました。その意味でも、石黒君と、新理事に就任した櫻井愛健君(株式会社タグタック代表取締役)は、2人ともサッカー出身で会社も経営しており、経験、人間性を含めピッタリの人材でした。


 (石黒)私も40代になり、稼ぐ為のビジネスから、稼いだものを何に還元していくかというフェーズに入って来たと自分でも感じており、企業のCSRや、SDGs活動を含め、社会貢献活動を進めるSSSとの連携事業は必然だったように思います。2019年だけでも、札幌市と連携しSDGsの認知につなげた全道規模の交流大会、モンゴルへのサッカー用具の寄贈、フィリピン・マニラへのシューズの寄贈、石狩市と連携した防災イベントの開催など、企画から実行まで、SSSは間違いなく一般企業以上のスピード感と実行力で応えてくれました。

 その中、柴田さんは私に「石黒君モンゴルへの出張お疲れさん。では、今度は皆さんから集まった200足をマニラにさっそく持って行ってね。なんとかなるっしょ」と、持ちきれない大きな段ボール4個分を前に笑顔で伝えられた時は、やっぱり柴田さんのやり方だなと(笑)。ですが、その際、お笑い芸人でクリエーターのキングコングの西野亮廣(吉本興業所属。にしの あきひろ)さんの活動ともつながり、マニラの子どもたちに絵本も一緒にプレゼント出来たのは、相乗効果もあって、とても良い機会になったと思います。その後、西野さんはSSSにビデオレターも送ってくれましたし、やはり、単純なお金という価値観より、共感することで動く感性が鋭いのでしょうね。


 (柴田)共感の声もいただいたSSSの書籍の通り、推し進めてきたプロジェクトの成果で、SSSが「街クラブ日本一の施設を持つ―」とハード面では評価が高まったのですが、スポーツ新時代に向けたクラブ改革と併せ、ソフト面の充実を図るべく、人材の育成と発掘に力を入れて行きます。私としても石黒君の会社を含めての連携は、社会的インパクト投資としても面白いものになると期待しておりますし、スポーツビジネスを通じて、新たな形態での雇用の創出から地方創生につなげていきたいと思っております。


―この続きは、本紙1月号で掲載予定です。また、SSS札幌ホームページでも情報が公開されております。ご興味のある方は、そちらもご覧ください。
編集部