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ヨーロッパフットボール回廊『W杯欧州POと日本代表英国遠征フレンドリーマッチ』

26・04・17
 
 北中米W杯(アメリカ、カナダ、メキシコの共同開催)を6月に控え、最悪の国際情勢(イラン対アメリカ・イスラエル戦争、ロシア対ウクライナ戦争)の中、果たして平和裏に開催できるのか今の所見通しは立っていない状況下、ヨーロッパ代表を賭けたW杯プレーオフが行われた。

 プレーオフ決勝戦の結果は下記の通りとなった。
*パスAのボスニア・ヘルツェゴビナ対イタリアは1−1の後PK戦でボスニアが4−1で強豪イタリアを下し、本選B組の出場権を得た。イタリアは2018年以来3大会連続でW杯UEFA予選で敗退、カルチョの国の低迷は続くことになった。ボスニアはジャイアントキラー国となった。

*パスBでは、バルセロナのストライカー、レヴァンドフスキを擁するポーランドに3−2と勝ったスウェーデンがW杯の切符を勝ち取り、日本と同組のF組に入った。

*パスCでは、コソボに1−0で勝ったトルコがD組での出場権を得た。

*パスDのプレーオフに勝ったのはチェコ。デンマークに2−2の同点後PK戦で3−1と破り本選A組での出場権を確保した。

 これでW杯の出場国は全て決まった。しかし開催は出来てもまだイランは参加しない方向であり、辞退した場合の代替え国をどうするのかは決まっていない。

 このW杯のプレーオフ時期、UEFAは各国のリーグ戦を休止し国際試合デーとしてW杯出場国同士のフレンドリーマッチを行った。

 その中で日本代表(FIFAランキング18位)は近代フットボールの起源でもある英国遠征を実施、W杯の前哨戦として3月28日スコットランド(FIFAランキング43位、北中米W杯出場国)戦を戦い、そして31日にはフットボールのメッカ、ロンドン、ウエンブレー・スタジアムでイングランド(FIFAランキング4位、北中米W杯出場国)戦を戦った。

 その結果は皆様御既承の通り、対スコットランド戦には、クイーンズパークFCの本拠ハンプデンコートで1−0と相手を寄せ付けず勝利、更に3月31日対イングランド戦も何と日本の1−0の勝利となった。

 日本代表チームは1998年フランス大会初出場して以来、ベスト16進出3回目、前大会のカタール大会では強豪スペイン、ドイツを破る金字塔を達成しており、今年日本で行われた対ブラジルとのフレンドリーマッチ戦にも2点リードされた終盤に3点を挙げ逆転勝ちを遂げて勝利、今や世界に通じるフットボール大国にのし上がってきている。

 歴史的勝利となった対イングランドでの日本代表の戦いの歴史を振り返ってみよう。

 過去日本代表チームのイングランド遠征は1983年に実施しているが、その当時、日本選手はアマチュアであったため、The FAはいわゆるフレンドリーマッチとしてイングランド代表とは対戦できなかった。当時リーグ2部のジリンガム(三浦アンジュン=江戸幕府の高官の生誕地)FCと試合を組んでくれ、結果は2−1で逆転勝ちした。当時の平原在日本英国大使も臨席の試合であったが観客数はわずか数百人であった。隔世の感あり。

 今回のウエンブレー・スタジアムでの日本の勝利はイングランドサポーターからも日本侮るべからず、然るにイングランドの熱のないお粗末な試合内容には多くの批判の声が起こっている。

 イングランド側から見たホームでの日本戦の総括は次のような批評が多かった。

◇「どこにもストライカーがいない」とストライカーの至宝ハリー・ケーンを負傷の為使えず「本来シャドー・ストライカーかウイングサイドで活躍しているマンチェスターシティのフォーデン、チェルシーのパーマーでは役不足。典型的センターフォワード、ケーン以外にも点取り屋が必要」

◇「バックス陣もコンサとグエリの2センターバックスでは弱い。なぜ後半途中までマグワイアーを使わなかったのか?」

◇「セットプレーでの戦略がない。アーセナルで多用しているCKからの得点パターン、ロングスローを多用するシステムコンビネーションを徹底すべき」

◇「アーセナルの右ウイング、サカ、中盤のライス(CKのスペシャリスト)がけがで出場できず、その穴を埋める選手がいない」

◇「監督がドイツ人のツッシェルだけに選手との英語でのコミュニケーションがうまく行っていないのではないか」

◇「ボール保持率が高いのは良いが結果的にはボール回しに徹しインパクトのある攻撃が出来ていない。もう少しプレミア並みの速い展開をすべき」

◇「三苫のシュートにつながったのはディフェンスしていたシャドー・ストライカーのパーマーのミスから生まれた。一つのミスから敗北することを念ぜよ」

 一方で「まだ練習試合の段階、選手の巧拙を見極める段階だ。先のカタール大会でも予選時にはアイスランドに敗退したが結局大会では決勝まで進んだ。今は選手の試用期間だ、本番に備えているだけだ」とまだ希望は捨ててはいない。

 ともあれ日本代表が自信を付けた事は確かであり本番に期待したい。


◆筆者プロフィル◆
伊藤庸夫(いとうつねお)
東京都生まれ
浦和高校、京都大学、三菱重工(日本リーグ)でプレー、1980年より英国在住
1980−89:日本サッカー協会国際委員(英国在住)
  89−94:日本サッカー協会欧州代表
  94−96:サンフレッチェ広島強化国際部長
2004−06:びわこ成蹊スポーツ大学教授
  08:JFL評議委員会議長(SAGAWA SHIGA FC GM)
伊藤 庸夫