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ヨーロッパサッカー回廊『フットボールは90分?』

09・05・11
 フットボールの試合時間は90分と規定されているが、果たして実質90分闘っているのだろうか。
 先日過去に英国で生活した連中が集まってパブでパイントを楽しんだ。その時の一番の話題は「試合は90分?」であった。
 
 実質プレー時間を90分としていながら実際にはプレーしている時間は少ない。FIFAも実質時間を限りなく90分に近づけるため、規則を改正してきた。曰く、ゴールキーパーの保持時間は6秒までとか、外に出たボールを早くオン・プレーにするためマルチボールとかいろいろオンプレー時間を多くする工夫をしている。しかし、実際に調査してみると驚くべき数字が出てきている。
 
 例えば、日本のJ2では39分とか、J1でも54分とかといわれている。一体どうしてなのか。試合時間の半分以上止まっている状態ということになる。フットボールはエキサイテイングで激しく速い、だから野球に比べてスピード感があり目が離せず面白いのだといわれていたが、これでは面白いわけがない。
 
 何故か?まず第一にスタジアムが陸上競技場の場合、ボールがピッチ外にでたら例えボールパーソンがいても、もたもた時間がかかる。勝っているチームの選手はスローインをゆっくり行う。ゴールキックをゆっくり蹴る。ポイントを間違えるとレフリーは元に戻す。これだけでも時間がかかる。
 
 そして第2に、レフリーがむやみに笛を吹く。ファール!ピー!選手が倒れる。試合を止める。何でもないのにドクターを呼び、もたもたした担架が入る。ファールで倒れた選手(実際に怪我で動けない選手は別として)もドクターが来れば起き上がりすぐに、何事もないようにプレーをする。時間稼ぎとしか言いようがない。何故レフリーは50:50のチャレンジはほっとかないのか。倒れた選手を保護する必要はない。弱いから倒れるのだ。その弱い選手に利するFKを取ることはない。プレーオン!!というべきだ。世界のトップ選手は決して倒れない。強い選手を育成するには少々のことで倒れる選手はほっておく必要もある。レフリーがフットボールの常識からジャッジすることも必要である。規則(紙に書いたもの)通りに、実態のプレーとかけ離れてトップレベルの試合でキッズ並みのジャッジをするのは頂けない。
 
 そして多いのは特にリーグが下がるに従い(J1からJ2、JFL、大学、高校)規則に忠実なレフリングが多く、時間を消費していく。そしてポイントにうるさいレフリングも興ざめである。少々のポイント違いは無視しても良いはず。フットボールのフローを阻害することの方が多くなり、時間を浪費し、試合が面白くなくなる。
 
 そして選手の意識も重要である。90分闘う中で、如何に効率よく闘うか、時として上記のような状況下で時間をもてあそぶことでチームの勝利に繋がるという意識を変える必要がある。あと25分2−1で勝っている、攻めずに守るのも良いが、時間を稼ぐ為にボールを外に出し続けるというプレータクテックはやめてもらいたい。攻撃が守備であるということを忘れないで欲しい。
 
 上記のようなことが50%でもなくなれば実質39分とか54分とかの試合はなくなって行くだろう。
 
 因みにプレミアリーグではどうか。約65分といわれている。それでも25分はデッドボールの時間帯があるのだ。せめて90分のうち60分以上はオンプレーであって欲しい。英国でポピュラーなファイブアサイド(フットサル)は周囲に壁があり、壁もオンプレー場である。15分ハーフは実質15分である。極端なことをいえば105mX68mのピッチのラインに壁を作れば90分は90分オンプレーになるのだろうか。
 
 余り遊びの時間があるようであるなら、壁を作っての実質90分の試合をやってもよいのではないだろうか。
 
 
伊藤 庸夫