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ヨーロッパフットボール回廊『FIFAワールドカップ組合せとUEFAクラブ大会の決戦迫る』

22・04・16
 
 4月1日カタールドーハにて、2022FIFAワールドカップ(W杯)の組合せ抽選会が行われた。

 しかしまだ3か国が未決定のまま29か国が決まった。今年勃発したロシアによるウクライナ侵攻により、当事国のロシアはFIFAにより出場停止となり、最終戦ポーランドとの戦いに参加できず失格となり出場は出来なくなった。

 もう一方のウクライナもこの紛争当事国として、取りあえず6月(日程は未定)にヨーロッパ代表のプレーオフ戦にてスコットランドに勝てばウエールズとのプレーオフが待っておりいまだ決定していない。

 また、アジアAグループ3位のUAE及びBグループ3位のオーストラリアとのプレーオフも6月に行われる予定であり、その勝者は南米5位のペルーとプレーオフし勝てば決まる。この試合も同じく6月に予定されており、いまだ決まっていない。

 更にオセアニアの勝者ニュージーランドと北中米4位のコスタリカとのプレーオフが待っており、これらW杯プレーオフ勝者3か国が決定するまでは日程組み合わせが確定しない異例のワールドカップ予選となってしまった。これもウクライナとロシアによる紛争の為せる業である。

 上記をさておき抽選会でW杯予選の組み合わせが下記に決定した。

A:(1位、2位抜け予想)セネガル、オランダ
  (3位、4位予想)カタール、エクアドル
    
B:(1位、2位抜け予想)イングランド、ウエールズ/スコットランド/ウクライナの勝者
  (3位、4位予想)イラン、USA
    
C:(1位、2位抜け予想)アルゼンチン、ポーランド
  (3位、4位予想)サウジアラビア、メキシコ    

D:(1位、2位抜け予想)フランス、デンマーク
  (3位、4位予想)チュニジア、UAE/オーストラリア/ペルーの勝者
    
E:(1位、2位抜け予想)スペイン、ドイツ
  (3位、4位予想)日本、コスタリカ/ニュージーランドの勝者

F:(1位、2位抜け予想)ベルギー、クロアチア
  (3位、4位予想)カナダ、モロッコ

G:(1位、2位抜け予想)ブラジル、カメルーン
  (3位、4位予想)セルビア、スイス

H:(1位、2位抜け予想)ポルトガル、ウルグアイ
  (3位、4位予想)ガーナ、韓国

 一見して「死の組」はどこであろうか?

 英国のブックメーカーの予想では、ブラジル450、フランス550、イングランド550、スペイン800、アルゼンチン900、ドイツ1,100、ベルギー1,200、ポルトガル1,200、オランダ1,200、デンマーク2,800と続いている。

 日本は25,000で22位の予想である。そして残念なことにイタリアが予選で北マセドニアに思わぬ敗戦をし、出場出来ない。ユーロ2020で優勝していたのに―と思わざるを得ないが勝負は勝負で致し方なし。

 私見ながら予想してみよう。上記国の1位、2位抜け予想チームが予選グループ突破しベスト16へ行くのではないかとみているが、カタールという特殊な狭い国、そこへどれだけのサポーターが押しかけられるかにもより、番狂わせも出てくるのではないかと予想される。

 「死の組はE」という人もいるとは思うが、やはりドイツ、スペインが突出しており、日本は得点力という点でもの足らず、大穴狙いしかないのではと予想している。キーポイントは得点力あるフォワードを擁している国とみています。イングランドはハリー・ケーン、フランスのエムバッペ、アルゼンチンのメッシ、ブラジルのネイマール、ポーランドのレワンドウスキー、ベルギーはルカク、ポルトガルのロナウドなどなど、日本にストライカーはいるのか? 釜本以来誰が?

 森保! スペインに一泡吹かせてみて! 皆様も予想してみてください。

 さて既に4月なかば過ぎ、ヨーロッパでは、それぞれのクラブチームが優勝をかけ、激しい順位争いが起こっているが、その中でヨーロッパを制するのはどこの国のどこのチーム?

 4月に入ってヨーロッパUEFAの3大リーグの準々決勝戦が行われた。英国勢が他を圧して勝ち進んでいる。

 まずヨ−ロッパチャンピオンズリーグの準々決勝戦の結果はマンチェスターシティ(MC)がアテレチコ・マドリーをホーム&アウエー1−0で勝ち準決勝へ進んだ。この試合は荒れに荒れ、MCのキーマン、デ・ブルイネとテイラーが前半けがで交代、後半入ったフォーデンも相手選手に頭を割られけがしながら耐えてアウエーで勝ち準決へ駒を進めた。またリバプールもベンフィカ・リスボンに3−3の引き分けながらトータル6−3で準々決勝に進出した。

 イングランドチェルシーはレアル・マドリーと対戦、初戦ホームで3−1と惨敗したお返しを3−2と勝利したが、トータル5−4で惜敗、準決勝進出はならなかった。バイエルンはビリャレアルに1−1と引き分け、トータル1−2で敗退。この結果、英国勢のMCはレアル・マドリーと対戦、リバプールはビリャレアルとの対戦で英国対スペイン戦となった。

 一方、ヨーロッパリーグの準々決勝はウエストハムがフランスリヨンにトータル4−1と勝ち、46年振りにヨーロッパ主要大会での準決に進出した。準決の相手はフランクフルトと対戦する。

 もう一つの準々決勝はスコットランドのグラスゴーレンジャーズがポルトガルのスポーテイングにトータル3−2で勝利し準決に進出、英国勢2チームが残っている。

 そして、今季から新設されたヨーロッパ3部ともいうべきヨーロッパ・カンファレンスリーグ準々決勝にはレスターシティがPSVアイントフォーフェンにトータル2−1で勝ち準決で、かのモリーニョ監督率いるローマと当たる。ヨーロッパのベスト3リーグの準決勝進出12チームのうち、5チームが英国勢となった。

 さて前号に記したチェルシーのクラブ売却の行方はどうなっているのか? 4月18日の週には最終的に決定されるというのが現況であり、4グループが競っている。その4グループ全てアメリカ系資金の投資会社の手に委ねられており、チェルシーファンはマンチェスターユナイテッドの二の舞にならないか、いぶかっている。

 いずれにせよロシアマネーからは脱出できるが、金に物を言わせて一般大衆のスポーツフットボールに金まみれの富豪が出てくるのが良いのか英国では問われている。


◆筆者プロフィル◆
伊藤庸夫(いとうつねお)
東京都生まれ
浦和高校、京都大学、三菱重工(日本リーグ)でプレー、1980年より英国在住
1980−89:日本サッカー協会国際委員(英国在住)
  89−04:日本サッカー協会欧州代表
  94−96:サンフレッチェ広島強化国際部長
2004−06:びわこ成蹊スポーツ大学教授
  08:JFL評議委員会議長(SAGAWA SHIGA FC GM)
伊藤 庸夫