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大津一貴のエンジョイフットボールライフ『2020年モンゴルリーグ終了』

20・10・11
 上写真/最終節のスタメンの集合写真。FCウランバートルは最終節で勝利し、3位から2位に逆転した


北のサッカーアンビシャスをご覧の皆さま、こんにちは。

 2020年シーズン、私が所属していたモンゴル1部リーグは9月27日に今季のリーグ戦全日程が終了しました。今年は、新型コロナウイルス感染対策の影響により、6月上旬から9月末までの3ヶ月間にリーグ戦の開催期間が縮小されました。また、国外からモンゴルへの渡航制限が2020年1月より開始され、この記事を書いている10月現在も継続されております。その為、2020年シーズンにモンゴルのチームと契約したすべての外国人選手は、リーグ戦開催中にモンゴルへ入国することが出来ず、1試合もプレーすることなく今年のシーズンを終える事となってしまいました。

 私自身も例外ではなく、今年は一度も公式戦のピッチに立てないまま、ましてやチーム練習にすら参加出来ないままシーズンが終了してしまい、とても悔しい気持ちでいっぱいです。本来であれば、今年こそ優勝トロフィーを掲げて、皆さまに良いご報告をする姿だけを思い描いておりました。しかし、それが現実になることはなく、10月を迎えております。正直、一人のサッカー選手として難しい状況にあるのが素直な心境です。ただ、私だけに限らず、世界中の多くのサッカー選手が同じような境遇に立たされております。日本のJリーグや欧州の主要リーグは観客の動員人数をコントロールしながら、なんとか無事にリーグを再開しておりますが、なかなかメディアに取り上げられず、運営体制もまだまだ整っていない国のリーグなどに所属する選手たちは、今もなお大きくコロナウイルスの影響を受けております。

 北海道のサッカーリーグや各カテゴリーの大会も、今年は期間が大幅に短縮されており、サッカーがプレー出来る期間が限られています。しかし、1分たりともプレー出来なかった私からすると、とても羨ましく感じます。プロ、アマチュア、大人、子ども、カテゴリーに関係なく、サッカーがプレー出来る環境にある選手の人たちには、「試合が出来ることが当たり前ではない」ということを頭の片隅に置きつつ、全力でサッカーを楽しんでいただいきたいです。

 さて、前振りが長くなりましたが、前述した通り今年のモンゴルリーグは外国人選手がプレー出来ない状況だったので、プレーした選手はすべて現地のモンゴル人選手でした。特殊な環境の中で開催された2020年リーグは、アスレティック220FCという新興チームの優勝で幕を閉じました。2017年シーズンに初めて1部リーグに昇格し、そこから常に上位を争ってきた力のあるチームです。昇格初年度から毎年多くの日本人選手がプレーしてきており、本来であれば今年も4人の日本人選手がプレーする予定でした。

 そして、残念ながら首位に勝ち点のポイント差「2」で、2位となったチームは私が所属するFCウランバートルです。私が過去にプレーした3シーズンのうち、リーグ戦の順位が2位だったことが2回。私自身プレーしておりませんが、今年を合わせると3回目の2位という順位でした。チームメートの頑張りや、スタッフ陣の奮闘は、毎試合ネット中継されていた試合の映像を通じて、日本に滞在している私にもひしひしと伝わってきました。そのチームに少しでも力になりたいという想いから、開幕戦の直前に入国出来なかった他の外国人選手(日本人選手)たち4人で協力し、ムービー動画を撮影して激励のメッセージを送ったり、チームの全員が参加しているグループチャットで応援の連絡を入れたりと、自分なりに出来ることを行動に移しておりました。ですが、自分がピッチの上に立って、苦しいときにチームを助けることが出来なかったのは、やはり悔しい気持ちが強いです。

 
 上写真/ゴール後、ひじタッチで喜ぶFCウランバートルの選手たち(青色ユニホームはアウエー用)


 3位となったのは、ハンガリットFCというチームです。このチームは、モンゴル1部リーグ10チームの中で、唯一「エルデネト」という地方都市から参戦しているチームです。他の9チームはすべて首都の「ウランバートル」を拠点にしているチームなので、ほぼ毎試合ウランバートル・ダービーが開催されております。ハンガリットFCはリーグ開幕から勝利を重ね、残り3節までずっと首位を走り続けておりました。しかし、残り3試合で勝ち点を伸ばすことが出来ず、2チームに順位を追い越されてしまう展開で、悔しいシーズンだったと思われます。ちなみに、ハンガリットFCも今年は2人の日本人選手がプレーする予定でした。

 このように、多くの日本人選手がプレーする予定だった今年のモンゴルリーグ。たらればを言うのであれば、上位3チームの優勝争いの中、各チームの外国人選手が対決していたはずで、おそらく今年のモンゴルリーグを日本人選手たちで大いに盛り上げていた事でしょう。今年は実現しませんでしたが、来年こそはそれが現実になるといいですね。

 ちなみに、例年であればリーグ戦と並行してカップ戦(日本の天皇杯のような大会)も行われるのですが、今年は新型コロナウイルスの影響により大会自体が中止となりました。その為、2020年のモンゴルリーグの公式戦はリーグ戦のみとなり、現地の選手たちは早くもシーズンを終えた状況となっております。来年に関しては、リーグの運営や開催期間など未確定の要素が多く、私自身の去就も未確定なままです。モンゴル政府がいつまで入国制限を継続するかも不透明なままであり、現地に置いてある私物の自転車やフライパンなどの調理器具、生活用品などは果たして無事なのか分かりません…(笑)。

 国をまたいで活動してきた私にとって、新型コロナウイルスの影響は私自身の活動にも直結するので、一刻も早い収束を願うばかりです。そして、もう一度ピッチの上で思いっきりサッカーが出来る日が来ることを願うばかりです。モンゴルに居るチームメートやスタッフ陣との再会、そして、私が乗り回していた自転車と無事に再会することを切に願っております(いや、自転車は最悪もう要らないです。長年一緒にプレーしてきたチームメートと早く再会したい!)。


◆大津一貴プロフィル◆
少年時代は、札幌山の手サッカー少年団とSSSサクセスコースに所属。中学校時代はSSS札幌ジュニアユース。青森山田高校から関東学院大学へ。卒業後は一般企業へ就職。
2013−2014年は、T.F.S.C(東京都リーグ)
2015年FCウランバートル(モンゴル)
2016年スリーキングスユナイテッド(ニュージーランド)
2017年カンペーンペットFC(タイ)
2018年からは再度FCウランバートル(モンゴル)でプレーし、優秀外国人選手ベスト10に選出された。
2019−20年もFCウランバートル所属

 上写真/国内選手のみで戦った2020シーズンも終了し、今季2位となったFCウランバートルの表彰式の様子
大津 一貴