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弊紙発刊の書籍が好評につき、販売店舗拡大中!【一部抜粋して紹介】

19・06・11
 上写真/コーチャンフォー新川通り店で、目立つコーナーに平積み販売されている「100万円も借りられなかったNPOが、街クラブ日本一の施設を造った奇跡の物語」。平積みされるのも注目の証し


 2017年、Amazon初登場でカテゴリー別4位、その後口コミで広まり、大型書店「コーチャンフォー」でも取り扱いが開始された書籍「100万円も借りられなかったNPOが、街クラブ日本一の施設を造った奇跡の物語」(出版元:北のサッカーアンビシャス、税込1,080円)が、全国のサッカー関係者から注目を集め、絶賛発売中だ。

 現在、道内でも問い合わせが増え、コーチャンフォー新川通り店、ミュンヘン大橋店、釧路店、北見店と、取り扱い店舗が拡大中(各店舗、売り切れの場合はご容赦を。その他の店舗では取り寄せ販売も可)。

 本紙では、本の中身を少しずつではあるが紹介している。19回目は第二十四の巻「クラブ理念と育成方針」を抜粋し、紹介したい(登場人物の所属、人数などは2017年出版時となります)。


【以下書籍より一部抜粋】

第二十四の巻「クラブ理念と育成方針」

 SSSは総合型地域スポーツクラブとして、サッカー・フットサルの他に、バドミントン、フィットネス、ピンポンコースが確立されている。この多種目、多世代、多志向(多様な競技レベル)に対応出来るクラブとなったのも、スポーツ振興くじ助成の力が大きい(クラブ基盤強化事業助成とクラブマネジャー設置事業助成を活用)。

 サッカー部門では、幼稚園年代からシニア世代までの活動となっており、フットサルでは、本格的な競技チームと、楽しむレベルのエンジョイコースに分かれている。バドミントンは、ファミリーでの参加も多く、本格的なトレーニングよりも参加者同士の交流試合を中心に活動している。フィットネスは、キッズ年代を対象に幼稚園の年中と年長グループの活動が主となっている。ピンポンは、クラブハウスでの開催となってから小・中学生の参加が増え、こちらも楽しみながらの交流試合を中心に行われている。

 加えて、新たな導入種目を検討するため、イベントなどを通じて試験的に行うスポーツもある(単発的な実施や遊びに近い運動)。一例としては、グラウンドゴルフ、ミニパットゴルフ、屋外バドミントン、フットテニス、大玉リレー、そして雪国ならではの雪中サッカーやそり遊び、歩くスキー、ミニスキーなどの冬季種目である。

 現在、スポーツ活動に参加している会員数は約600人。その他、クラブ活動を支援、応援する賛助会員、サポーター会員、ファミリー会員を含めると全体で約800人規模のクラブ体制となっている。

 地域性やクラブの内容によって規模の大・小はあると思うが、大きいクラブだから発展出来て、小さいクラブだから出来ないということでもない(当然SSSも最初は小規模であったし、全国展開のクラブから見ればまだまだ小さい)。特にスポーツ振興くじ助成金が導入され、めざましい発展をしているクラブも多く、地域スポーツの振興にも間違いなくつながっているだろう。

 SSSスポーツクラブの設立の目的とクラブ理念は「スポーツを通じての青少年の健全な育成と地域社会貢献活動」であり、自クラブだけの活動にとどまるのではなく、スポーツを通じて少しでも地域のために役に立てるような事業も継続している。

 北海道の育成サッカークラブとして一目置かれている指導理念を端的に説明すると、「世界を見据えた技術と個性を大切に、自立した選手の育成」となる。プロクラブではない、一街クラブが“世界を見据えて“というと大それたテーマのようでもあるが、SSSではブラジルとのパイプを生かし、中学生年代で過去19回のブラジル遠征を実施。現地では、サンパウロFC、SCコリンチャンス、SEパルメイラス、サントスFCなど、世界的に有名な超一流クラブとの対戦もあり、同年代とは思えないような、まさに世界トップレベルの技術を体験してきているのだ。

 校長の岩越は言う。「SSSでは、うまく、たくましい選手の育成を重視し、選手の欠点をフォーカスするのではなく、何か飛び抜けた光る個性を伸ばせるような指導を目指している。また当たり前のこととしてサッカー面だけではなく、学業との両立や、大人になる過程で人間性の部分も大切にしています」。

 ちなみに、岩越の出身でもある国立大の北大サッカー部は、2016年度の天皇杯北海道予選の決勝に進出。惜しくも敗れはしたが、SSS卒業生6人がサッカー部に在籍していた。おそらく一つの国立大のサッカー部にこれだけまとまって卒業生を送り込んでいるクラブは少ないだろう(北大に進みサッカー部に在籍していない卒業生もいる)。また、その他の道内、道外の国立大や有名私立大に進んでいる卒業生も増えているという。SSSはサッカーの育成で注目されることも多いが、学業との両立という面からも道内で評価が高いのもうなずける。

 設立当初からの育成方針で、小・中学生の身体的成長を見越して、多くても週4回の活動を基本とし、その他の曜日は勉強を優先させてきた。これは「運動と脳の関係性が非常に重要である」という最新の医学的研究でも証明されてきている。“文武両道“は、人間の生理学的観点からも理にかなっているということなのだろう。

 また近年、特に教育現場での悩みの一つとして、保護者の過剰な口出しや、理不尽な要求なども問題として挙げられている。これは義務教育だけではなく、各種の教育にかかわる現場でも同様かもしれない。

 SSSでは、時代背景による変化も多少考慮する部分もあるが、保護者からの我が子のみを見た主張や、要望は頑として受け入れない姿勢は昔から変わらない(我が子の学年だけや所属コースのみを考えた主張も同様)。それはクラブが常に全学年、全コース、全会員を分け隔て無く見ていることからの裏返しでもある。

 我が子可愛さのあまり・・・という気持ちも分からなくもないが、全ての親から我が子を中心とする意見を聞いていては、クラブや組織としてもまとまらないし、育成理念をぶれずに貫くことも出来ない。

 もちろん我が子だけではなく、クラブ会員全てを我が子のように考え、クラブ愛があるからこその貴重な意見は取り入れる。クラブとして一種の線引きに基づく、毅然とした対応がクラブ運営では重要と考えている。よって、子どもに対しても保護者に対しても、近すぎず、遠すぎずの距離感を見極めながら、より良い育成のために、厳しい対処をすることもあるという。

 クラブの姿勢や対応が一貫していると、育成方針に対する理解や共感を得やすく、協力的に対応してくれる保護者の方が多い。子どもたちを想う気持ちは一緒なのだ。

 「SSSが育成や整備された施設で評価されるのはうれしいことですが、私たちはその評価にあぐらをかいているわけでもありません。育成にゴールはないですし、世界のサッカーもどんどん進化しています。私たちも本道サッカーのレベルアップに貢献し、日本サッカー界の土台となる育成の一端を担えるようにと、これからも精進していきたいと思っています」。最後に岩越が固い決意でまとめた。


 上写真/国の厳正な審査を通過し、札幌市で唯一平成23年度「スポーツコミュニティの形成促進」平成24・25年度「地域スポーツとトップスポーツの好循環推進プロジェクト」の事業を3年間、文部科学省より受託。地域の子どもたちを対象に「多世代スポーツ交流イベント」を開催した。さらに、小学校体育活動の環境向上のため、体育授業へコーチの派遣も実施。国費による3年間のモデル事業終了後も文科省と小学校側からの要望に応え、地域社会貢献活動の一環として、本事業を継続して行っている。このようなクラブ外の幅広い活動も、SSSが対外的に評価を受けるひとつだろう


 上:上段写真/黄色と青色のクラブカラーで塗り分けられたクラブハウス。中央には「KATSU」と書かれた育成方針の看板が掲げられている
 上:下段写真/「かしこく、アグレッシブ、つよく、すばらしい、うまい」選手を目指そうと頭文字をとって「KATSU」とした。“スポーツを真剣に取り組むことで人間力を育む”というクラブの育成理念が込められている


―この続きにご興味のある方は、ぜひ本書でお楽しみください。店頭でのご購入はコーチャンフォー(新川通り店、ミュンヘン大橋店、釧路店、北見店で取り扱い中。他店舗はお問い合わせください)か、Amazonでも送料無料で販売しております(Amazonサイト内で、「SSS札幌」、もしくは「SSSサッカー」で検索するとトップページに表示されます)。

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編集部