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屋良っティーニの教えある記『すりこめ!』

14・05・11
 カラーコーン、マーカーを使ってドリブルテクニックの向上を目指すトレーニング!? 最近、よ〜くやっています。

 ホントは、『そのテクニックだけ』っていう『それだけ練習』は、あんまり好きじゃないんですけどね。

 なんでかって? サッカーのテクニックはそのボールを扱うことだけが目的ではないでしょ? 試合で生かすためには、スキルでなければ意味がない!

 例えば、リフティングがうまいからって、試合の中でそのリフティングで養ったボールコントロールが相手DFがボールを奪いに来る状況の中で、しかもタックルされてバランスを崩しながらも発揮できなければ意味がない。それが出来て初めて、リフティングで養ったボール扱いが試合で通用するスキルになったと言えます!!

 同じく、カラーコーンやマーカーでのドリブルテクニックもそれ自体が出来ても、今説明した試合の状況下で発揮できてこそ、生きるスキルなんです。

 こーゆートレーニングって、やってるうちに、器用にこなす子は多いんだけど、ちゃんと『何のために、どのように』をコーチが説明しながらやらないと、「僕、リフティング1,820回できま〜す! でも試合で、トラップできませ〜ん!」っていうのと同じになってしまいかねません。

 つまり、このカラーコーンやマーカーを使ったトレーニングも気を付けないと、『練習のための練習』になってしまうんです(だったら、やらん方がええやん!!)。

 そこで、単にこなすのではなく「無意識で出来るように、まずは意識的に・・・」ってことを伝えながらってのが、かなり重要になってくる。これを口を酸っぱくして、やり方やスピードその他、相手が奪いに来ることのイメージを持たせること。

 『ゆっくり → 大きなモーション → 大きくスムーズに → それらが出来たらスピードをあげる』ってな具合に・・・。

 ボクシングでいうシャドーボクシングになってないと、せっかくやってもスキルにはならんのです! もちろん、これをまずはミニゲーム(スパーリング)で発揮できるように、発展させていきますよ。

 ただやらせても、うまくなんかならないんです!

 むしろ、こんな風な練習をただやらせると「これが出来ればうまいはず!」って勘違いだけ起きて、「なのに、なんで試合では出来ないんだろ〜!?」ってなってしまうんです!

 これって、コーチのせいですよね。。。

 大事なのは『試合で、無意識にテクニックを発揮できるようにするための意識的トレーニング』。

 これをしっかりとコーチが見極めて必要なことを何回も伝えながら、“すりこむ”。そうしないと、いくらこんな練習しても試合では、使えないってことなんです!

 せっかくの練習が、『練習のための練習』になっていたら要注意ですよ!!


◆筆者プロフィル◆
屋良 充紀(やら みつとし)= ロベルト屋良っティーニ
現役時代はブラジル、エクアドル、コロンビアでプレー、コロンビアではコーチも兼任。
帰国後、横浜FC泉Jrユースの監督として7年間指導。その後『JFAアジア貢献プロジェクト』で中東のシリアで未来のシリア代表選手を育成するべく、SFA(シリアサッカー協会)フットボールアカデミーを開校しヘッドコーチを務めた。アラビア語で『サッカー指導指針』をつくり、シリアは勿論のこと海を越えてアフリカ・スーダンでも高い評価を得ている。現在は横浜市でブラジルのストリートサッカーをヒントに遊び心をくすぐるサッカースクール、『エスコリーニャFC』と、川崎市でジュニアユースチーム『リーベルプント』を設立し、力を注いでいる。また、本紙以外にも『ジュニアサッカーを応援しよう』のホームページで『やら・り〜の基礎サッカー講座』を掲載中。