サッカーアラカルチョ

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屋良っティーニの教えある記『実験』

10・10・11
 私の担当している少年サッカー雑誌のQ&Aコーナーに「お団子サッカーになってしまいますがどうしたらよいでしょうか?」というような質問がちょいちょいきます。
こんなとき・・・
 
 「ボールに“触りたい!!”という意識が強いからボールに群がる(お団子状態)のだから、良いのではないか。むしろ、ボールに行かない子を行くようにさせる方が大変ですよ。」
的なことや・・・
 
 「この年代は言葉で説明するよりも、コーチが工夫して、彼らが“この方がいいかも!?”と思ってやり出す様な練習方法を与えてあげてくださいね!」
といって・・・練習方法をいくつか紹介しています(なんとも、親切丁寧!!)。
 
 私自身、この年代のお団子サッカーはアリゴ・サッキがフリット、ライカールト、ファンバステンを要しても、90分間は持たず未完成に終わった“究極のゾーンプレス”だと思っているので、他のコーチが気にしているであろうことも全く気にせず、カワイ子ちゃんクラス(低学年)がボールに群がって砂煙をあげながら“究極のゾーンプレスサッカー”をやっているのをいつも笑って見ていました。
 
 でも、ある日。偉そうに(偉そうにはしていませんが…)Q&Aなんかで、「こんな○○な時はこんな練習はいかが?・・・」みたいにやってるんだから、今その練習方法を自分が実践して、たちどころに解決!!ってなんないと、偉そうなこと言えね〜な〜って思ったので、実験してみました・・・。
 
 両ゴールを反対向きに置き(ゴールエリアあたりで反対向きで設置)裏側からしかゴール出来ないようにして試合開始!
案の定お団子状態のまま。。。

そこで、ヒント1
 “味方がボールをもったら、他の奴らは前に行けばチャンスになるぞ!”って言うと・・・。みんなで、ワ〜ッと行ってしまい、奪われてカウンター受けてやられっぱなし(私としてはそのどんくささ大爆笑!!)

そこで、ヒント2
 “みんなで、ワ〜ッて行くのもどうかと思うよ〜”って言うと。。。
 気の利いた子がボールを持っている味方とゴールの間でポジションをとってヘイヘイ言い始めたんですね。この時点で、お団子状態は回避され、なんとなーく良いポジショニングになってきてましたね。
 
 しばらく、反対向きゴールゲームをやった後、元のゲームに戻したら、魔法が切れたせいか元に戻っちゃいましたけど、「さっきやったとき、どうだった?」で、修正されるようになりましたよ!!
 
 実験成功!?ってことで、“彼らの目で見てどうしたらいいか心”をくすぐるにはとってもいい機会になりましたし、Q&Aの答えもまんざら間違ってないようでした。

PS・今度は4ゴールゲームで横に広げてみましょうか。。。
 
  
◆筆者プロフィル
屋良 充紀(やら みつとし)
現役時代はブラジル、エクアドル、コロンビアでプレー、コロンビアではコーチも兼任。
帰国後、横浜FC泉Jrユースの監督として7年間指導。その後『JFAアジア貢献プロジェクト』で中東のシリアで未来のシリア代表選手を育成するべく、SFA(シリアサッカー協会)フットボールアカデミーを開校しヘッドコーチを務めた。アラビア語で『サッカー指導指針』をつくり、シリアは勿論のこと海を越えてアフリカ・スーダンでも高い評価を得ている。現在は横浜市でブラジルのストリートサッカーをヒントに遊び心をくすぐるサッカースクール、『エスコリーニャFC』に力を注いでいる。
 
ロベルト・屋良っティーニ