サッカーアラカルチョ
一覧に戻るヨーロッパフットボール回廊『インターナショナル・ブレイクの話題』
24・11・17
ヨーロッパのフットボールシーズンも早や3か月が過ぎ、11月15日現在、この1週間はインターナショナル・ブレイクと称し、各国のリーグ戦は休止、それぞれの国代表がUEFAネーションズリーグを戦っている。その為、代表選手は引き続きプレーするので休む暇なき期間となっている。一方クラブ側はこの休止時期に前半戦の総括、不成績な結果を招いた監督の更迭交代を図る時期でもある。
◇マンチェスターユナイテッド(MU)監督問題
まずシーズン前からいつ更迭されるかと注目されたMUの監督エリック・テン・ハグが10月27日の対ウエストハム戦を1−2で敗戦、クラブ代表のジム・ラドクリフから更迭を言い渡された。オランダ・アヤックスを率いて定評のあった監督であったが、補強に3年間5.64億ポンド(約1千80億円)を費やすも、更迭時には屈辱のリーグ14位と結果が出ず、また選手の補強も彼のアヤックス時代息のかかった選手を集めたが結果が出せずに終わった。
世界のそしてMUの顔であったC・ロナウドからも「Respectがない監督」と烙印を押されサウジへ移籍された。イングランド代表FWサンチョは1軍への練習参加を拒否、さらにはマグアイアーをキャプテンから外しフェルナンデスにアームバンドを与えるなど選手のモチベーションを削いだ結果、伝統であった結束力を欠きリーグ下位に低迷、いつ更迭かと、ちまたでは噂されていた。
やっとクラブ代表も意を決して更迭に踏み切ったのである。そして後任が決まるまではテン・ハグ監督のアシスタントであるルード・ファン・ニーステロイを代理監督として任命。3勝1分けと明るさを取り戻した感があり、サポーターからは次期監督の声が高くなってきたがMU首脳陣は彼を監督にはしなかった。
後任にはポルトガル、スポーティングCPのルーベン・アモリム監督と契約し、このインターナショナル・ブレイク後の11月23日イプスウイッチ戦から指揮を執ることになった。アモリム監督はスポーティングCPを2021年に36歳の若手監督として19年ぶりにリーグ優勝させている。果たしてビッグクラブMUでの指揮はどうなるのか注目されている。
◇マンチェスターシティ(MC)が沈没か?
プレミアリーグでは、今シーズンも常勝マンチェスターシティが覇を遂げるのではと思われていたが、ここ4試合連続敗戦し、リーグ2位に落ち厳しい状況にある(トップのリバプールとは勝ち点5点差に開いた)。
10月31日 対スパーズ戦:1−2敗退(リーグカップ)
11月 3日 対ボーンマス戦:1−2敗戦(PL)
11月 6日 対スポーテイング・リスボン戦:1−4敗戦
(UEFA Champions League)
11月10日 対ブライトン戦:1−2敗戦(PL)
敗戦の原因の一つにはレギュラー選手の負傷が挙げられる。中心選手であった、中盤のロドリが今シーズン復帰は無理と診断され、センターバックのイングランド代表ストーンズ、そしてフォワード、フォーデン、ウイングバックのウォーカーも負傷欠場。さらにチームリーダーのデ・ブロイネ、イングランド代表のグレアリッシュも負傷リハビリ中で戦力ダウンとなっている。
これから年末年明けの過密日程の中、どうチーム編成するか監督グアルディオラの手腕にかかっており、このまま行けば今シーズンの優勝はなくなるかもしれない。現在リーグトップのリバプールがMCに代わって優勝する可能性も見えてきている。プレミアは歴史的に見てもクリスマス決戦を制したチームが覇者になるというジンクスがあるが、果たしてこれからの1〜2か月の冬の陣を勝ち取りリーグ優勝へ進むのはどのチームか、予断を許さない。
◇スペイン レアル・マドリッドの不調とバロセロナの復調
スペインリーグでも常勝レアル・マドリッドが低迷している。リーグ2位の座を堅守しているが、トップに返り咲いたバロセロナとは勝ち点で6ポイント差と離され、パリ・サンジェルマンからフリーで移籍したエムバペもまだ6得点と期待を裏切る働きで、今シーズンの覇権争いは厳しい状況にある。バロセロナは17歳の若手、至宝ヤマルの活躍もあってこのまま進めばリーガの覇権を勝ち取る可能性が高い。
◇密になった日程の合間でのUEFAネーションズリーグ、そしてチャンピオンズリーグも目を離せない。
このインターナショナル・ブレイクに行われたUEFAネーションズリーグでの話題としては、イングランド対ギリシャ戦が注目であった。10月10日、ホームのウエンブレーでの対戦でイングランドは1−2と敗れ、この敗戦によって代理監督カースレイの続投は消え、THE FAはドイツ人コーチ、元チェルシー監督であったツッシェルを来年1月より代表監督とすることを決めている。
その中で、対ギリシャ戦アウエーのアテネでの試合が11月14日に行われた。カースレイ監督は9名にも上る代表選手がけが等で代表辞退する中で若手有望選手をピックアップしはつらつとした新人を起用。キャプテンのケインを外し、ワトキンス(アストンビラ)をストライカーとして抜擢した。
期待に応えたワトキンスが開始3分に待望の先取点を挙げ勢いに乗り、後半77分にはRマドリッドのベリンガムがシュート、ゴールポストに当たり跳ね返ったボールが相手GKに当たりオウンゴールとなり2−0。更に83分にはリバプールの若手ジョーンズが決め3−0と圧勝。リーグBのグループ2トップに返り咲いた。
カースレイ代理監督はあと1試合、11月17日ホームでのアイルランド戦を残し退陣する。ドイツ人ツッシェルが1月より指揮を執るが、イングランド代表の監督として適任であるのか。第2次世界大戦でドイツとの熾烈な戦いを強いられたイングランド人の中にはドイツ人を国民スポーツの指揮者として迎え入れることに抵抗感を覚える者もいるようだが、スポーツは結果勝負、2026年のW杯で勝てばわだかまりも無くなるであろう。
◆筆者プロフィル◆
伊藤庸夫(いとうつねお)
東京都生まれ
浦和高校、京都大学、三菱重工(日本リーグ)でプレー、1980年より英国在住
1980−89:日本サッカー協会国際委員(英国在住)
89−94:日本サッカー協会欧州代表
94−96:サンフレッチェ広島強化国際部長
2004−06:びわこ成蹊スポーツ大学教授
08:JFL評議委員会議長(SAGAWA SHIGA FC GM)
◇マンチェスターユナイテッド(MU)監督問題
まずシーズン前からいつ更迭されるかと注目されたMUの監督エリック・テン・ハグが10月27日の対ウエストハム戦を1−2で敗戦、クラブ代表のジム・ラドクリフから更迭を言い渡された。オランダ・アヤックスを率いて定評のあった監督であったが、補強に3年間5.64億ポンド(約1千80億円)を費やすも、更迭時には屈辱のリーグ14位と結果が出ず、また選手の補強も彼のアヤックス時代息のかかった選手を集めたが結果が出せずに終わった。
世界のそしてMUの顔であったC・ロナウドからも「Respectがない監督」と烙印を押されサウジへ移籍された。イングランド代表FWサンチョは1軍への練習参加を拒否、さらにはマグアイアーをキャプテンから外しフェルナンデスにアームバンドを与えるなど選手のモチベーションを削いだ結果、伝統であった結束力を欠きリーグ下位に低迷、いつ更迭かと、ちまたでは噂されていた。
やっとクラブ代表も意を決して更迭に踏み切ったのである。そして後任が決まるまではテン・ハグ監督のアシスタントであるルード・ファン・ニーステロイを代理監督として任命。3勝1分けと明るさを取り戻した感があり、サポーターからは次期監督の声が高くなってきたがMU首脳陣は彼を監督にはしなかった。
後任にはポルトガル、スポーティングCPのルーベン・アモリム監督と契約し、このインターナショナル・ブレイク後の11月23日イプスウイッチ戦から指揮を執ることになった。アモリム監督はスポーティングCPを2021年に36歳の若手監督として19年ぶりにリーグ優勝させている。果たしてビッグクラブMUでの指揮はどうなるのか注目されている。
◇マンチェスターシティ(MC)が沈没か?
プレミアリーグでは、今シーズンも常勝マンチェスターシティが覇を遂げるのではと思われていたが、ここ4試合連続敗戦し、リーグ2位に落ち厳しい状況にある(トップのリバプールとは勝ち点5点差に開いた)。
10月31日 対スパーズ戦:1−2敗退(リーグカップ)
11月 3日 対ボーンマス戦:1−2敗戦(PL)
11月 6日 対スポーテイング・リスボン戦:1−4敗戦
(UEFA Champions League)
11月10日 対ブライトン戦:1−2敗戦(PL)
敗戦の原因の一つにはレギュラー選手の負傷が挙げられる。中心選手であった、中盤のロドリが今シーズン復帰は無理と診断され、センターバックのイングランド代表ストーンズ、そしてフォワード、フォーデン、ウイングバックのウォーカーも負傷欠場。さらにチームリーダーのデ・ブロイネ、イングランド代表のグレアリッシュも負傷リハビリ中で戦力ダウンとなっている。
これから年末年明けの過密日程の中、どうチーム編成するか監督グアルディオラの手腕にかかっており、このまま行けば今シーズンの優勝はなくなるかもしれない。現在リーグトップのリバプールがMCに代わって優勝する可能性も見えてきている。プレミアは歴史的に見てもクリスマス決戦を制したチームが覇者になるというジンクスがあるが、果たしてこれからの1〜2か月の冬の陣を勝ち取りリーグ優勝へ進むのはどのチームか、予断を許さない。
◇スペイン レアル・マドリッドの不調とバロセロナの復調
スペインリーグでも常勝レアル・マドリッドが低迷している。リーグ2位の座を堅守しているが、トップに返り咲いたバロセロナとは勝ち点で6ポイント差と離され、パリ・サンジェルマンからフリーで移籍したエムバペもまだ6得点と期待を裏切る働きで、今シーズンの覇権争いは厳しい状況にある。バロセロナは17歳の若手、至宝ヤマルの活躍もあってこのまま進めばリーガの覇権を勝ち取る可能性が高い。
◇密になった日程の合間でのUEFAネーションズリーグ、そしてチャンピオンズリーグも目を離せない。
このインターナショナル・ブレイクに行われたUEFAネーションズリーグでの話題としては、イングランド対ギリシャ戦が注目であった。10月10日、ホームのウエンブレーでの対戦でイングランドは1−2と敗れ、この敗戦によって代理監督カースレイの続投は消え、THE FAはドイツ人コーチ、元チェルシー監督であったツッシェルを来年1月より代表監督とすることを決めている。
その中で、対ギリシャ戦アウエーのアテネでの試合が11月14日に行われた。カースレイ監督は9名にも上る代表選手がけが等で代表辞退する中で若手有望選手をピックアップしはつらつとした新人を起用。キャプテンのケインを外し、ワトキンス(アストンビラ)をストライカーとして抜擢した。
期待に応えたワトキンスが開始3分に待望の先取点を挙げ勢いに乗り、後半77分にはRマドリッドのベリンガムがシュート、ゴールポストに当たり跳ね返ったボールが相手GKに当たりオウンゴールとなり2−0。更に83分にはリバプールの若手ジョーンズが決め3−0と圧勝。リーグBのグループ2トップに返り咲いた。
カースレイ代理監督はあと1試合、11月17日ホームでのアイルランド戦を残し退陣する。ドイツ人ツッシェルが1月より指揮を執るが、イングランド代表の監督として適任であるのか。第2次世界大戦でドイツとの熾烈な戦いを強いられたイングランド人の中にはドイツ人を国民スポーツの指揮者として迎え入れることに抵抗感を覚える者もいるようだが、スポーツは結果勝負、2026年のW杯で勝てばわだかまりも無くなるであろう。
◆筆者プロフィル◆
伊藤庸夫(いとうつねお)
東京都生まれ
浦和高校、京都大学、三菱重工(日本リーグ)でプレー、1980年より英国在住
1980−89:日本サッカー協会国際委員(英国在住)
89−94:日本サッカー協会欧州代表
94−96:サンフレッチェ広島強化国際部長
2004−06:びわこ成蹊スポーツ大学教授
08:JFL評議委員会議長(SAGAWA SHIGA FC GM)
伊藤 庸夫