サッカーアラカルチョ
一覧に戻るヨーロッパフットボール回廊『秋たけなわ、イングランド新監督決まる』
24・10・17
8月末から開幕したプレミアリーグは10月5日序盤を終え、インターナショナルブレークとなり一時中断。7試合を消化しリバプールが6勝1敗(勝ち点18)でトップに出ており、次いでマンチェスターシティとアーセナルが勝ち点17(5勝2分)で並んでいる。ヨーロッパチャンピオンズリーグ出場権内の4位にはチェルシーと最近躍進著しいアストンビラが勝ち点14でその権利を獲得すべく激しく追っている。
注目のマンチェスター・ユナイテッド(MU)は何と屈辱の14位(2勝2分3敗)。新任のオーナー・ラットクリフにとっては1.6ビリオンポンド(MU株式の27.7%=3,050億円)を投資したにもかかわらず期待を裏切る序盤戦となっている。更に選手強化のため移籍金総額182.5(百万ポンド)=350億円を投資しそのうち、センターバックのYokoを仏リールから52百万ポンド(=100億円)で獲得したが、デビュー戦のアメリカ遠征で負傷。今年度中は治療に専念となるなど、ちぐはぐな投資損は大きくスカウトの資質が問われている。
昨シーズンも成績低迷しリーグ8位の汚名を喫し、監督交代の声がMUのOB選手から、そしてサポーターからも出ていたが、最終戦となったThe FA Cupで宿敵マンチェスターシティ(MC)に勝利し栄冠を勝ち取ったことで、今シーズン続投となった。しかし補強すべきバック陣、ストライカーの獲得がうまくできず、結局テン・ハグ監督が良く知るアヤックス時代の選手を偏った補強として行った結果からチーム内の共同意識も無い。チーム戦術も前半2点取り好調の兆しを見せたラッシュフォードをハーフタイムに交代させるという愚策を呈し、その去就はリーグ再開後に掛かっている。
「Managerは選手の資質、性格をよくわきまえ選手に最大の能力を発揮させ勝負に勝つこと」とはMUの元監督ファーガソンの言葉であるが、テン・ハグ監督は選手の特徴を引き出すよりやる気を削ぐ措置を下すこと多く、選手に協調力が欠けチームがバラバラになってしまっている結果ではないだろうか。リーグ再開後の戦績次第で途中更迭もあり得る状況下にある。まさしくMUの危機到来であろう。
さてそのMUの監督候補としてシーズン前に有力視されていたドイツ人トッシェル元チェルシー監督が電撃的にイングランド次期監督になるとThe FAは発表した。
チェルシー時代にはチャンピオンズリーグ優勝、FIFAクラブW杯優勝、UEFAスーパーカップ優勝の栄誉を勝ち取った監督であり、ドイツブンデスリーグではバイエルン・ミュンヘン、ボルシア・ドルトムンド監督として手腕を発揮、フランスのパリ・サンジェルマンでもリーグ優勝を勝ち取った経歴があるヨーロッパの名監督の一人である。
The FAとしては現代理監督のリー・カースレイをこの秋のUEFAネーションズリーグ6試合を任せることにしていた。第3戦ホームのウエンブレーでのギリシャ戦では、カースレイ代理監督はストライカー、ハリー・ケーンをけがで欠き、ストライカーを敢えておかず、若手の将来を背負って立つ逸材パーマー(チェルシー)、ゴードン(ニューキャッスル)、ベリンガム(リアルマドリッド)、フォーデン(MC)をフォワードとして配置し敢えてストライカーを置かず対戦。
結果、相手ギリシャのディフェンスを崩せず1−2で敗戦を喫した。それまでThe FAはカースレイ代理監督がこのグループで全勝すれば監督就任を示唆していたが結局センターフォワードを敢えて置かなかった戦術を採った事での敗戦となり任せる事は無理と判断し、トッシェルをあと2試合アイルランド、ギリシャ戦後監督就任とすることを決定した。
一方、カースレイ代理監督は元U21代表監督として若手の指導には定評があったが、勝負という時の戦術、システム作り及び選手の選抜に今一つの感があったこともあり、The FAとしては監督交代を敢えて前広に公表したのであろう。
あと2試合を残しカースレイ代理監督はまた元のU21イングランド代表ヘッドコーチに就任すると見られている。トッシェルが監督になればプレミア、ブンデスリーグでの手腕を遺憾なく発揮し新生イングランドの新監督としてUEFAネーションズリーグ、そして26年のアメリカ・カナダ・メキシコ3か国共同開催のW杯での指揮を執ることになる。乞うご期待のニュースである。
◆筆者プロフィル◆
伊藤庸夫(いとうつねお)
東京都生まれ
浦和高校、京都大学、三菱重工(日本リーグ)でプレー、1980年より英国在住
1980−89:日本サッカー協会国際委員(英国在住)
89−94:日本サッカー協会欧州代表
94−96:サンフレッチェ広島強化国際部長
2004−06:びわこ成蹊スポーツ大学教授
08:JFL評議委員会議長(SAGAWA SHIGA FC GM)
注目のマンチェスター・ユナイテッド(MU)は何と屈辱の14位(2勝2分3敗)。新任のオーナー・ラットクリフにとっては1.6ビリオンポンド(MU株式の27.7%=3,050億円)を投資したにもかかわらず期待を裏切る序盤戦となっている。更に選手強化のため移籍金総額182.5(百万ポンド)=350億円を投資しそのうち、センターバックのYokoを仏リールから52百万ポンド(=100億円)で獲得したが、デビュー戦のアメリカ遠征で負傷。今年度中は治療に専念となるなど、ちぐはぐな投資損は大きくスカウトの資質が問われている。
昨シーズンも成績低迷しリーグ8位の汚名を喫し、監督交代の声がMUのOB選手から、そしてサポーターからも出ていたが、最終戦となったThe FA Cupで宿敵マンチェスターシティ(MC)に勝利し栄冠を勝ち取ったことで、今シーズン続投となった。しかし補強すべきバック陣、ストライカーの獲得がうまくできず、結局テン・ハグ監督が良く知るアヤックス時代の選手を偏った補強として行った結果からチーム内の共同意識も無い。チーム戦術も前半2点取り好調の兆しを見せたラッシュフォードをハーフタイムに交代させるという愚策を呈し、その去就はリーグ再開後に掛かっている。
「Managerは選手の資質、性格をよくわきまえ選手に最大の能力を発揮させ勝負に勝つこと」とはMUの元監督ファーガソンの言葉であるが、テン・ハグ監督は選手の特徴を引き出すよりやる気を削ぐ措置を下すこと多く、選手に協調力が欠けチームがバラバラになってしまっている結果ではないだろうか。リーグ再開後の戦績次第で途中更迭もあり得る状況下にある。まさしくMUの危機到来であろう。
さてそのMUの監督候補としてシーズン前に有力視されていたドイツ人トッシェル元チェルシー監督が電撃的にイングランド次期監督になるとThe FAは発表した。
チェルシー時代にはチャンピオンズリーグ優勝、FIFAクラブW杯優勝、UEFAスーパーカップ優勝の栄誉を勝ち取った監督であり、ドイツブンデスリーグではバイエルン・ミュンヘン、ボルシア・ドルトムンド監督として手腕を発揮、フランスのパリ・サンジェルマンでもリーグ優勝を勝ち取った経歴があるヨーロッパの名監督の一人である。
The FAとしては現代理監督のリー・カースレイをこの秋のUEFAネーションズリーグ6試合を任せることにしていた。第3戦ホームのウエンブレーでのギリシャ戦では、カースレイ代理監督はストライカー、ハリー・ケーンをけがで欠き、ストライカーを敢えておかず、若手の将来を背負って立つ逸材パーマー(チェルシー)、ゴードン(ニューキャッスル)、ベリンガム(リアルマドリッド)、フォーデン(MC)をフォワードとして配置し敢えてストライカーを置かず対戦。
結果、相手ギリシャのディフェンスを崩せず1−2で敗戦を喫した。それまでThe FAはカースレイ代理監督がこのグループで全勝すれば監督就任を示唆していたが結局センターフォワードを敢えて置かなかった戦術を採った事での敗戦となり任せる事は無理と判断し、トッシェルをあと2試合アイルランド、ギリシャ戦後監督就任とすることを決定した。
一方、カースレイ代理監督は元U21代表監督として若手の指導には定評があったが、勝負という時の戦術、システム作り及び選手の選抜に今一つの感があったこともあり、The FAとしては監督交代を敢えて前広に公表したのであろう。
あと2試合を残しカースレイ代理監督はまた元のU21イングランド代表ヘッドコーチに就任すると見られている。トッシェルが監督になればプレミア、ブンデスリーグでの手腕を遺憾なく発揮し新生イングランドの新監督としてUEFAネーションズリーグ、そして26年のアメリカ・カナダ・メキシコ3か国共同開催のW杯での指揮を執ることになる。乞うご期待のニュースである。
◆筆者プロフィル◆
伊藤庸夫(いとうつねお)
東京都生まれ
浦和高校、京都大学、三菱重工(日本リーグ)でプレー、1980年より英国在住
1980−89:日本サッカー協会国際委員(英国在住)
89−94:日本サッカー協会欧州代表
94−96:サンフレッチェ広島強化国際部長
2004−06:びわこ成蹊スポーツ大学教授
08:JFL評議委員会議長(SAGAWA SHIGA FC GM)
伊藤 庸夫