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J1第23節(10月18日)、札幌が鹿島に1−0で勝ち2連勝の快記録

20・10・21
 上写真/前半4分、鹿島左CKからFWエヴェラウド(9番)、DF犬飼(その左)の攻撃をかわして札幌GK中野が一瞬早くキャッチ、左DF田中(32番)、キム・ミンテと右端FW荒野

    (写真はいずれも10月18日、札幌ドーム、撮影・石井一弘)


 駒井=ミシャ「ブラボー」

  宮澤−荒野はコンサドの顔

 札幌ドームに久々の鳴り物が響いた。マーチングバンドの太鼓が無言の客席の拍手を先導した。この日は「祭りばやし入りの話題」もあった。コンサドーレの愛称・ミシャことペトロビッチ監督の63歳のバースデー。プレゼンターは2016年から一緒に歩んだ駒井善成(28=京都府出身)で、浦和レッズからの教え子。「5年目の恩返し」だった。

 この日は破竹の勢いの鹿島アントラーズを0−1で破りミシャの「お膳立てが的中」し、快適な「ブラボー」が、飛び交っていた。

 もう一件は、コンサドーレ一筋13年の宮澤裕樹キャプテン(31=伊達市出身)と「どこにも行きたくない」宣言のオールラウンドプレーヤー荒野拓馬(27=札幌市出身)。

 この日は守りの要・宮澤と、攻撃の要になった荒野だったが、ゴール前の絶好のシュートを外した「中盤の働き者」荒野が、何気なくチームをまとめていた―と思うのは私ばかりでは無いと思う。

 北海道コンサドーレ札幌と鹿島アントラーズの今季2戦目(第23節)は10月18日午後1時からコンサドーレのホーム札幌ドームで行われた。1戦目の第3節(7月8日)は、アウエーの札幌が2−0で勝利、この日も1−0で勝った。鹿島に、連勝は「初の出来事」。

 試合の方は、ドームにはアウエーの鹿島サポーター約1千人とコンサドサポーター合わせて5千359人が見守った。屋内のコンディションは気温21.7度、湿度46パーセント。お馴染みの木村博之主審(38=千葉県出身、国際審判)の笛で午後1時3分、鹿島のキックオフで始まった。

 札幌はFW荒野とMF金子拓郎−駒井の3人を攻撃陣にした「ミシャ特有の得点源の集団」と、鹿島の突破力を止める「失点防御専門職」の両WMFルーカス・フェルナンデスと菅大輝。MFのアタック役(防御を頭に入れた)に宮澤と高嶺朋樹。3バックは田中駿汰−キム・ミンテ−福森晃斗。GKは5試合目の中野小次郎。控えにはこのところ前線のキープ役兼得点源のFWアンデルソン・ロペスとドゥグラス・オリベイラ。それに左右の大外を攻められる白井康介らが入っている。

 鹿島は得点ランク2位(12得点)FWエヴェラウド(29=ブラジル出身、1年目)を中心に、お馴染みのレオ・シルバ、新監督ザーゴ(51=ブラジル出身)のお気に入りファン・アラーノ(24=ブラジル出身)。日本勢は三竿健斗キャプテン、FW土居聖真、ルーキー荒木遼太郎、DF小泉慶、杉岡大暉らがスタメンに顔をそろえた。道産子の奈良竜樹は、メンバーには入っていなかった。

 札幌は前節の名古屋グランパスとの一戦で0−3の大量失点で「守りから入る」を徹底してか、鹿島のエヴェラウドやファン・アラーノらのドリブル突破を警戒した布陣。3バックの中心のキム・ミンテの脇まで宮澤が下がったり、両サイドのディフェンス陣もルーカス、菅大輝をキープ役にドリブルで凌ぐ場面も見られた。

 前半10分コンサドーレは右サイドの深い位置でFKを得て福森が前線の駒井にグラウンダーのパスを通すがシュートは大きく外れる。さらにそのあと荒野から金子へのスルーパスはオフサイド。2トップ気味の駒井、金子がトップでパスを受ける機会が多くなるが決定機にはならず、攻めあぐむ(24分飲水タイム)。今度は鹿島の三竿からエヴェラウド、ファン・アラーノらがゴールを狙うが、マウスを大きく外れるシュート。

 31分に右からルーカスがドリブル突破、ゴール前には駒井が走り込むが、パスは駒井の後方に流れ出る。駒井が相手DFと競り合うシーンが多くなる。

 40分ゴール前に上がったボールをGK小次郎が前に落としたハンブルには「度肝を抜かれ」そうになった。

 札幌唯一の得点は41分。宮澤が相手パスを中央でインターセプト、左から上がってきた福森に預け、前線の駒井に流す。駒井は相手DFと競り合いながら右足でゴールに流し込んだ。待望の得点に駒井は左手の薬指にキス、続いて白いリストバンド、最後に一本指を天に向かって差し上げた。アディショナルタイムは2分。この間にキム・ミンテにイエローカード。


【監督のハーフタイムコメント】
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「後半の入り方、引き締めていこう」、「ボールを失った後の切り替えを早く」

■鹿島アントラーズのザーゴ監督のコメント
 「自分たちのテンポを上げ、シンプルにプレーしよう」、「相手の背後のスペースを効果的に使おう」、「後半開始から圧力をかけて戦おう!」

 
 後半は鹿島の中央でのパス回しが増える。荒野のFWとしての役割はどこへやら。DF近くまで下がって、相手パスを奪いドリブルで持ち上がる。シュートまでいくシーンが幾つか。その中で10分ごろ福森の左からのダイレクトパスが相手エリア内の中央へ。荒野は右足で浮き球をシュート。力みすぎでボールはバーを越して、コンサドーレの応援席へ。

 後半10分ごろから選手交代が頻繁になる。札幌の金子がFWアンデルソン・ロペスへ。元気なロペスはワントップ気味に走り回るが、執拗なマークを剥がしきれない。しかし「攻撃は最大の防御」で鹿島は選手交代で「気力を持ち続ける」(26分飲水タイム)。

 31分に高嶺がドゥグラス・オリベイラに。ますます「防御を兼ねた攻撃」で、2トップの2人ははつらつ。

 鹿島は38分、浮き球を上げて攻めるがGK小次郎に阻まれる。40分に左サイドで鹿島FWエヴェラウドが中央にパスを入れると、札幌MF宮澤に当たりボールはゴールに迫っていた鹿島FW上田の前へ。そのままダイレクトでシュートしたが、ゴールポストに当たり難を逃れる。

 42分に菅が白井に代わり、互いに少し落ち着いた様子。アディショナルタイムは5分。

 札幌は49分FKのチャンス。福森はゆったりとした動作で、スタンバイ。近くの同僚にパスを出しタイムアップ。札幌の「堅守ぶり」を披露した。

 2020明治安田生命J1リーグ第24節は10月24日午後2時から札幌ドームで、13位横浜FCと14位の北海道コンサドーレ札幌の一戦がある。


 上写真/前半12分、札幌キャプテンMF宮澤(10番)が鹿島FW土居(8番)と激しくボールを奪い合う。後方DF田中、左端MF金子(30番)、右端鹿島MF荒木(26番)

■北海道コンサドーレ札幌の宮澤裕樹選手のコメント
 「前節は入りから内容が悪かったので、集中して入ろうと思っていた。そして良い形で入れたと思う。相手はオーソドックスな布陣で球際の強いチームなので、そこで負けないように意識をしてプレーをしていた。得点のところは中盤でうまくボールを拾えたのが良かったと思う。あのあたりをもっと落ち着いてやれていたら、もっと得点できていたと思う。守備のところも今日はしっかり体を張れていたり、前からのプレスもそうだし、引くところはしっかりと引くといったようなメリハリがついていたのが良かったと感じている。鹿島という伝統あるチーム相手に年間2勝できたことは自信になる。このような試合を続けていきたい。」


 上:上段写真/前半41分、札幌DF福森(5番)がMF駒井(その左)の先制点のアシストとなる絶妙のパスを出す。右端鹿島DF小泉(37番)、左端犬飼(39番)

 上:中段写真/前半41分、札幌MF駒井(右)はDF福森のパスを受けて先制ゴールを決め雄叫びを上げる。左手前無念そうな鹿島DF関川(33番)

 上:下段写真/前半41分、札幌MF駒井(右)の先制ゴールに、鹿島GK沖とDF関川(33番)がオフサイドをアピールする

■北海道コンサドーレ札幌の駒井善成選手のコメント
 「前線からアグレッシブな戦いを仕掛けていったが、後ろも安定して守ってくれていた。その中で先制点を取れて、粘り強く戦えて勝てたので良かったと思う。相手の間でパスを受けるプレーなどで攻撃に動きをつけてほしいと指示を受けていた。得点のところはルーカス(フェルナンデス)が仕掛けたところでクロスを待っていたのだが合わず、そこで味方がしっかり切り替えてくれて、すぐにまた攻撃ができて、良いパスが来たところを流し込むだけだった」


 上写真/後半16分、先制点の札幌MF駒井(右)が、鹿島MFレオ・シルバ(4番)に厳しくチェックされる、これはシルバのファールとなった


 上写真/後半21分、札幌DF田中(32番)と鹿島DF犬飼(39番)が激しくボールを奪い合う。左端札幌FW荒野(27番)、中央鹿島MF三竿(20番)


 上写真/後半22分、鹿島右サイドのFKからの攻撃を札幌GK中野がジャンプして守る、手前36番は鹿島FW上田


 上写真/後半44分、ボールを保持する鹿島DF関川(33番)に途中出場した札幌FWドゥグラス・オリベイラ(33番)がスライディングで奪いに行く闘志を見せた


 上写真/強豪鹿島を1−0と破った札幌のペトロビッチ監督は、この日が63歳の誕生日とあって、コーチ陣、選手たちと一緒に満面の笑み(左から3人目)


 上:上段写真/この日から鳴り物入り応援が解禁、勝利のあいさつに来た選手たちに太鼓が打ち鳴らされた

 上:下段写真/強豪鹿島を1−0と破りゴール裏サポーターたちにあいさつする札幌の選手たち、右端荒野、左端虎の子の一点をたたき出したアシストのDF福森と得点したMF駒井、中央GKの中野は勝利を土産に大学へ戻る


 上:左側写真/後半26分、飲水タイムに選手に指示を伝える札幌にペトロビッチ監督

 上:右側写真/後半14分、交代する選手に指示を出す鹿島のアントニオ・カルロス・ザーゴ監督、3本の指は三枚代えの印か?


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「今日は非常に難しいゲームだった。良い結果を残せていない中で、前節も攻守がうまくできていなかった。今年は波のあるシーズンになっている。その中で気持ちがぶつかるハードな試合だったが、内容としては勝利に値するものだったと思っている。1−0だったが、追加点のチャンスもあった。難しい試合だったが、選手は走り、戦い、アグレッシブなサッカーを見せてくれたと思う」

■鹿島アントラーズのザーゴ監督のコメント
 「非常にきっ抗した試合になることは予想していました。細かいところのミスをしなかったチームが試合を制するというところで、残念ながらわれわれにボールを奪い返したあとからのミスがあって、そこで相手に得点を許してしまいました。後半もわれわれにはポストに当たった1本のシュートがありましたけど、自分たちがやってきたことがなかなか表現できませんでした。今日の試合は細かいミスが少ない方、あるいはしない方が試合を制するところであり、そこを相手が突いてきたのではないかと思います。次の試合に向けてまずリカバリーを考えて、選手たち、チーム状態を良くして次の試合に臨みたいと思います」

池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影