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J1第5節(7月18日)、ベガルタ仙台と2−2で価値あるドロー

20・07・20
荒野が32分で一発退場の可否
札幌10人で仙台と2−2の意味

 2020年の明治安田生命J1リーグ第5節は7月18日、北海道コンサドーレ札幌は、午後6時から宮城県仙台市のユアテックスタジアム仙台でベガルタ仙台と対戦2−2で引き分けた。これで仙台とのJ1リーグ対戦成績は札幌の3勝2分け6敗になった。

 札幌は前半23分仙台に先制され1点ビハインド。さらに32分MF(ボランチ)の荒野拓馬が相手MFと競り合った後、足を蹴り上げ「一発退場」のレッドカードを受けた。前半は0−1で終わったが、この後のコンサドーレの戦いぶりが見事。10人とは思えない攻撃で、相手をかく乱、一時0−2と水を空けられたが、チャナティップ、田中駿汰の得点で2−2の引き分けとした。

 試合の経過は、札幌がこれまで2勝1分け1敗で8位。仙台が1勝2分け1敗で11位。札幌は昨季2連敗した相手。曇り空の中、気温21.4度、湿度90パーセントの中、3密をクリアした2千597人の観客で行われた。

 主審は飯田淳平主審(38=神奈川県出身、国際審判、年間PK6はワースト10)で、午後6時3分キックオフの札幌は2月16日に着用してから5か月ぶりの黒に近いアウエーユニホームで臨んだ。

 コンサドの布陣は、GK菅野孝憲、3バックは進藤亮佑、宮澤裕樹、福森晃斗。ボランチは荒野拓馬−深井一希。ウイングバックは、白井康介と菅大輝。トップ下に駒井善成−チャナティップ。トップは初出場のドゥグラス・オリベイラ。

 仙台は新監督・木山隆之氏(48=兵庫県出身、2008−10年水戸ホーリーホック、12年ジェフユナイテッド千葉、15−16年愛媛FC、17−19年モンテディオ山形で采配)で、18歳新加入の小畑裕馬(183センチ=B型、仙台ユース出身)が今季2節目から連続登場している。陣形もDF4・MF3・FW3の好守のバランスを考えた布陣だが、これまで4得点4失点と、得点力がもう一息。右のジャーメイン良(25=神奈川県出身、182センチ、A型)が2得点目を挙げ頑張っている。

 札幌はジャーメインに前半23分に決められ、32分にはMF荒野が退場。駒井が中盤で深井と共に相手の3トップへの配球を防いできた。特にDF福森がジャーメインをマーク、前向きを取れないように激しい動き、好フィードが出ないのが気掛かりになった。

 【ハーフタイムの監督コメントは無し。23分に飲水タイムあり】

 後半の札幌は、白井とルーカス・フェルナンデス、深井と田中駿汰の2人が交代して始まる。田中は駒井−チャナティップと連携を取りながら、中央でFW陣への配球を心がける。しかし後半15分、DF福森の自陣からのパスがカットされ、相手MF椎橋慧也が約20メートル強のロングシュートをGK菅野の右ポストギリギリに決め2点アヘッド。

 今度は札幌が右サイド攻撃をかける。17分に右WBに入ったルーカスが相手陣内深い位置からセンタリング、相手ゴール前へ走り込んだチャナティップがヘディングで決めた。これで1−2。18分に福森が交代、高嶺朋樹が入る。

 23分飲水タイム後、札幌陣営の動きが活発になる。切り札FWジェイの登場、25分トップのオリベイラに代わって前線へ。さらに32分にはう菅に代わって金子拓郎が入り、「3銃士(田中・高嶺・金子)」がそろう。ジェイへのボールはひっきりなしに入るが押し返される。前後半90分が終わり、アディショナルタイム6分。

 90分+2。最後の最後で札幌がCK(コーナーキック)を得る。名手福森は居ない。決まって蹴るルーカス。左コーナーキックは「インサイドアウト」に出るボール。ゴール中央にはジェイ、進藤、チャナティップ、田中らの姿が見える。ルーカスのボールはジェイ狙い。仙台DFと競り合ってボールが落ちたところにいた田中に触れてゴールへ。2−2のまま終了。

 この試合、荒野のレッドに始まり、警告は菅、チャナティップ、進藤、宮澤。これだけの苦境を乗り切ったコンサドーレの戦いを讃えたい。荒野の悔しさが「乗り移ったようなゲームだった」。決して審判を批評しているのではない。こういう心理的なものが、アスリートの己を鍛える一助になっていることは、言うまでもない。DAZNの試合前のイントロでサッカーのみならず、幾多の英雄たちが「言の葉」を残している。「自分を強くする言葉」。最後はそこに落ち着くのであろう。

 座禅で「己を鍛える」岡田武史。この岡田の弟子「四方田の分析力」、荒野はユース時代から四方田ヘッドコーチに指導を受けた。もうすぐ結果を残すだろう。宮澤は道産子魂から北海道を引きずっている。みな何かを求めてサッカーをしている。

 凄く気になっていること。荒野は違う世界を見て欲しい。「今治に行って四国八十八箇所めぐり」はどうだろう。

 我が時代は、けがをした先輩に「試合を見に来て」。あなたがそばにいるだけで「心が強くなる」。病でもグラウンドに来てくれる人。靴のベロに「おじいちゃんの名前を書いて」、一本指を空に向かって挙げる選手。

 次節、明治安田生命J1第6節は7月22日に行われる。北海道コンサドーレ札幌は午後7時から札幌ドームで、トップ街道を目指すFC東京(2位)と対戦する。

 まだ、入場制限があり「新型コロナウイルス」ぶり返しの時。十分気を付けて。


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「ミスからカウンターをくらって先に取られる展開になってしまい、そのあとにレッドカードがあって1人少ない中でしたけれども、試合の展開は我々が1人多いような展開を作れました。そういう中で最後に2−2というスコアで終わりましたけれども、われわれは1人多いかのような展開で、引き分けでしたが、我々が勝ってもおかしくない展開は十分作れたと思います。

(−『1人多いような展開を作れた』理由は?)
 1人退場者が出て、なかなか簡単ではない状況でしたが、ハーフタイムには選手たちに1人少ない中でどういう戦いをするかというところを、守備と攻撃を含めて指示を出して、選手たちは後半にそれをしっかり実行してくれたと思います。

 今日のゲームは選手たちが1人少ない中で良い戦いを見せてくれましたけれども、結果だけは私自身、不満足です」


■ベガルタ仙台の木山隆之監督のコメント
 「選手たちは本当に立ち上がりから攻守で良いプレーをしていたと思います。それに得点もついてきて、リードする形で試合を進めていました。ただ、結果として1人多い状況で追いつかれているので、そこは少しゲームの運び方、いろいろなことを含めてまだまだ甘さがあるなと思います」
池田淳