北海道コンサドーレ札幌は１０月１４日、ホームの札幌厚別公園競技場で柏レイソルと対戦。札幌が前半にＭＦ宮澤、ＦＷジェイのコンビで空中戦から２点を奪い先行。後半も開始早々に、ジェイがヘディングでこの日２点目を決め、３−０で３位の柏を寄せ付けず札幌が完勝を飾った。

　前節、残留を争っている勝ち点１差の広島とアウエーで対戦した札幌は先制を許したものの、追い付いてドローに持ち込んだ。勝ち点差を広げられなかったが、直接のライバルに勝ち点３を与えず、アウエーということを踏まえれば価値あるドローだったかもしれない。

　今節は、札幌にとって過去５戦で見ると、１勝（ルヴァン杯での勝利）４敗と分が悪く、上位に付ける強豪の柏だけに劣勢が予想されていた。しかし、これは良い意味で大きく予想を覆す展開となる。

　試合は、立ち上がりから柏のブラジルトリオ、ＦＷディエゴ・オリヴェイラ、ＦＷクリスティアーノ、ＭＦハモン・ロペスが躍動し、強引に押し込もうとする。対する札幌は、ＦＷ都倉、ジェイのツインタワーを起点としたシンプルな攻撃で得点の機会をうかがう。

　先にスコアを動かしたのはホーム厚別の特徴を知り尽くした札幌。前半１５分、柏陣内左サイド深くまで攻め込み、ＭＦの兵藤、石川、荒野のパス交換から、荒野がペナルティーエリア内にいたジェイへストレート性のクロスを供給。競り勝ったジェイが頭で折り返した所に宮澤が走り込みワンタッチシュートでネットを揺らす。札幌が流れるような攻撃で先制に成功した。

　虚を突かれた形の柏は、前半２１分の左ＣＫ。キッカーのクリスティアーノが右足でボールを入れると、最後はファーサイドでフリーになったディエゴ・オリヴェイラが強烈なヘディングシュートを放つも、札幌ＧＫクが左手一本でボールをかき出すファインセーブ。試合の流れを渡さない。

　すると前半３８分には札幌に追加点が生まれる。敵陣右サイド奥深くの札幌のスローインを受けた宮澤がＤＦを背負いながらも強引に中央へ高いクロスボールを入れる。これに柏ＧＫ中村が飛び出すも札幌ジェイが頭で競り勝ちゴール。聖地厚別の風をも味方に札幌が２−０とリードし試合を折り返す。

　柏の反撃が始まるかと警戒した後半だったが、札幌が早々に試合を決めにかかる。後半６分、敵陣深く左サイドで石川がドリブルで仕掛け、切り返しでＤＦを外した石川は右足でファーサイドのジェイへ絶妙なクロスを送る。柏ＤＦの背後のスペースにうまく走り込んだジェイが強烈なヘディングシュートを放つと、柏ＧＫ中村は瞬間的に左手で反応、セーブしたようにも見えたが、ラインを超えておりゴールの判定。ジェイの２得点目のヘディングでスコアを３−０とした。

　ここからゲームコントロールに入った札幌は、途中ヒヤリとさせられる場面もあったが、最後まで高い集中力を切らさず、柏の攻撃をシャットアウト。ジェイの３得点全てに絡む活躍もあり、どちらが上位か分からないような見事な試合運びで完勝。残留に向けて価値ある勝ち点３を獲得した。この勝利で札幌は勝ち点を３１とし順位を１３位と一つ上げ、降格圏との勝ち点差も４に広げた。
　
　次節札幌は１０月２１日にアウエーの味の素スタジアムで１１位のＦＣ東京（勝ち点３８）と対戦する。

　（写真はいずれも１０月１４日、札幌厚別公園競技場、撮影・石井一弘）

　上写真／前半５分、右サイドをゴールライン付近まで駆け上がった札幌ＦＷ都倉（上）が、柏ＤＦ古賀（２６番）の激しいタックルを受ける

　上写真／前半１５分、先制点を決めた札幌キャプテンＭＦ宮澤がアシストしたＦＷジェイと抱き合って喜ぶ、左ＦＷ都倉（９番）、右端ＭＦ兵藤（６番）

　上写真／前半２９分、札幌キャプテンＭＦ宮澤（１０番）がドリブルで持ち込み、走り出すＦＷ都倉（９番）との息もピッタリ。宮澤は先制点を決め、２点目をアシストするなど、キャプテンの重責を果たした。左端は柏ＤＦ古賀（２６番）

　上写真／前半３２分、柏のＣＫからの猛攻を懸命に守る札幌の選手たち、左からＤＦ横山（２番）、ＭＦ荒野（２７番）、ＧＫク・ソンユン（２５番）、ＭＦ石川、ＦＷ都倉（倒れている）、ＤＦ菊地（１５番）、福森（２４番）。柏の選手は左からＦＷディエゴ・オリヴェイラ（１１番）、ＤＦ鎌田（２番）、ＭＦハモン・ロペス（２０番）、キャプテンＭＦ大谷。ゴール裏札幌のサポーターの熱い視線が見守る

　上写真／前半３８分、札幌は右スローインからＭＦ宮澤のクロスにＦＷジェイ（左）が柏ＧＫ中村（２３番）も届かない高い打点のヘディングで追加点をあげる。中央はＦＷ都倉、右端柏ＤＦ鎌田（２番）

　上写真／後半６分、札幌ＦＷジェイ（中央）がＭＦ石川のクロスにヘッドで合わせて、自身２点目のゴールを決める。柏ＧＫ中村（２３番）、右奥に札幌ＭＦ早坂（２６番）

　上写真／上位の柏を３−０と破りハイタッチして喜ぶ札幌ＭＦ早坂（２６番）とチャナティップ、宮澤（１０番）とＤＦ菊地、ＦＷ都倉（９番）は両手を広げて、ゴール裏のサポ―ターにあいさつ。一方敗れた柏ＤＦ中谷（４番）とＭＦ伊東（１４番）はガックリ

　上写真／この試合のＭＶＰを受けるジェイ（４８番）の表彰に背番号７７番のノーザンホースパークのチッチも参加

　上写真／後半４３分、戦況を見つめる札幌の四方田修平監督（右）と、１点でも返せと言わんばかりに懸命に指示を出す柏の下平隆宏監督

※北海道コンサドーレ札幌の四方田修平監督のコメントは、本サイト左にある「コンサドーレ公式ホームページ」バナーから、「エンタメ」ページの「試合レポート」でご覧いただけます。

■柏レイソルの下平隆宏監督のコメント
　「結果、０−３ということで、痛い、大きな敗戦でした。試合はなかなかボールを持つ時間やペースを握れないまま、札幌の高さのある攻撃に苦しみました。後半もメンバーを入れ替えて戦ったのですが、そこでまた高さでやられてしまいました。サポーターも多く駆け付けてくれた中で、ふがいない戦いをしてしまいました。得点を取るという部分は最後まで諦めずに臨んだのですが、それが取れず残念です。今日は札幌の素晴らしいファイトを認めたいと思います」