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ルヴァンカップQF第1戦(9月1日)、厚別でF東京に2−1で逆転勝利

21・09・04
 上:上段写真/FC東京戦先発、左から脳震盪で2試合欠場から復帰の頼もしいキャプテンDF宮澤、福森(5番)、田中駿汰、MF駒井、菅(4番)、その奥高嶺、金子、FWジェイ(48番)、その陰にMFルーカス・フェルナンデス、荒野(27番)、GK菅野(1番)。ジェイは先発メンバー発表の時は名前がなかったが、チャナティップが試合前の練習で負傷、急遽試合開始からの出場となった

 上:下段写真/前半1分、急遽出場となった札幌FWジェイ(48番)のモチベーションはどんなもんだろうか、ボールをキープしながら出しどころを探る、その左MF菅(4番)、左手前駒井、東京の選手MF青木(21番)、左端FW高萩(8番)

(写真は9月1日、札幌厚別公園競技場、撮影・石井一弘)


 ルヴァンカップ準々決勝札幌が先勝

  FC東京に2−1宮澤復帰で余裕


 ペトロビッチ監督がこだわっている「ルヴァンカップ」。札幌で指揮を執って2年目の2019年、決勝で川崎フロンターレと対戦、延長の末PK戦で敗れた。さかのぼって13年前、サンフレッチェ広島のドン・今西和夫氏の誘いで2006年に来日、10年に「ルヴァン杯準優勝」。さらにACL出場など「記録を残して」12年から浦和レッズ。16年に「ルヴァン杯優勝」を手にして、2018年北海道コンサドーレ札幌に「飛び降り」、翌年に決勝進出。そして2021年の9月1日、前年の20年優勝のFC東京と準々決勝で対戦し2−1で勝利した。

 札幌は今季FC東京には「験(げん)が良い」。J1リーグ戦で8月14日のFC東京戦と、同9日の浦和レッズ戦に「連勝」した後の出来事だった。

 チーム編成をがらりと変え、「若手の登用と、素早い選手交代」が、かみ合ってきた。準々決勝第2戦は9月5日、アウエーFC東京の空の下で行われるが、「コンサドーレ好調のイレブン」が結実し、ここにきて「波乱万丈」の「のろし」が、上がりそうだ。

 試合の方は、9月1日午後7時から札幌厚別運動公園競技場で行われた。天候は晴れ、気温19.7度、湿度59パーセントの肌寒い中、3千204人の入場者を抱え、4基の照明塔が選手たちを「躍動」させていた。19時03分、今村義朗主審(44、愛知県出身)のホイッスルで、札幌のキックオフで始まった。

 Jリーグは2戦連続で「完封負け(名古屋、川崎)」した後でキャプテン宮澤裕樹が、復帰出来たゲーム。しかし試合前にアクシデント。FWの3トップに名を連ねていたチャナティップが、アップ中に「突然のけが」で欠場。トップ軍団にジェイが入った。

 これで札幌の先発メンバーは、トップ3に、ジェイ、金子拓郎、駒井善成。ボランチは荒野拓馬と高嶺朋樹。大外のウイングバックは、ルーカス・フェルナンデスと菅大輝、「新婚さん、そろそろ結果を」と言いたいところだが? 3バックは田中駿汰、「待ってました!!宮澤裕樹」、福森晃斗、GK菅野孝憲。サブにはGK中野小次郎、DF中村洞耶、柳貴博、岡村大八、MF田中宏武(立正大在学中、Jリーグ特別指定選手)、小野伸二、FWドゥグラス・オリヴェイラ。

 FC東京は、4−2−3−1の布陣。背番号11の永井謙佑が先発、田川亨介、高萩洋次郎を引き連れている。先発が多いFWレアンドロとアダイウトン、ディエゴ・オリヴェイラはベンチスタートになった。

 先取点は長谷川健太監督率いるF東京。14分に左サイド札幌陣内でFK。MF三田啓貴が左足で高いクロス、エリア内で荒野と競り合った渡辺剛がヘディング、これがゴール左に決まり「アウエーゴール」を獲得した。

 今度は札幌。18分ごろ宮澤が低い位置からロングボールを前線に供給する。19分F東京のDF岡崎慎が札幌の選手を倒しイエローカード。福森のキックははじき出されるが、右のルーカスが拾い、左の密集を狙う。これを田中駿が、頭で決めて「早い機会に(21分)」同点とする。

 1−1で(22分飲水タイム)。両者・中央ラインを挟んでのパスカットや宮澤の久しぶりのドリブル突破など、「慎重かつ大胆に」相手の「懐を探る」が、得点には結びつかない。アディショナルタイムは2分。


【監督のハーフタイムコメント】
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「疲れで判断力が落ちているが、集中してプレーしよう」、「プレースピードを上げていこう」、「相手の逆をつくこと」

■FC東京の長谷川健太監督のコメント
 「奪ったボールを大切にすること」、「相手を左右に揺さぶりながら仕掛けていくこと」
 
 
 後半はF東京のキックオフ。最初に選手交代をしたのはF東京で、13分に3枚替え。FWの永井・高萩洋次郎とMF三田の3人がレアンドロ、ディエゴ・オリヴェイラ、10番東慶悟に代わった。永井が代わって「私はホッとした」。

 20分過ぎ札幌も動き出した。菅OUTオリヴェイラIN。札幌は宮澤が右側に出てパス回し。荒野が下がって中央突破。さらに高嶺が、スイパー役・リベロの位置で「宮澤が前方へ」。荒野にトップからDFまで。宮澤−荒野−駒井の位置取りが大きく変わる。

 35分にF東京も田川OUTアダイウトンIN。このスキを突いて、札幌の攻撃。福森が縦パスをジェイに出す。ジェイはDFを背負ってボールを落とす。走り込んだのは荒野。右足でボールをプッシュすると、ボールは左ポストへ。内側に転がり込んで、ネットを揺らし逆転。確か後半の始めごろにも「ポストに当たる」現象はあったが「外にはじかれた」(多分2度目の正直だったと、思う)。

 もう両者「へとへと」。前半は金子−田中駿のコンビ。後半は宮澤−荒野で札幌の陣。さらに成長してほしい高嶺のリベロ。何かが見えるような気がした。

 冒頭に書いた「今西和夫君の事。東京教育大のCB。高嶺も筑波大出」。ミシャさん「なんか良いことが出来そうだ」。

 アディショナルタイムは5分。ジェイが岡村とチェンジ、F東京のDF1人が札幌の選手と接触し負傷、担架で運ばれる。交代選手は「もういない」10人でタイムアップ。

 シュート数は、札11−F東7、CK札5−F東5、FK札17−F東8、PKなし。

 次のYBCルヴァンカップ準々決勝第2戦は、FC東京対北海道コンサドーレ札幌で9月5日午後6時00分からレモンガススタジアム平塚で行われる。


 上:上段写真/前半14分、東京左CKからDF渡辺剛がジャンプ一番ヘッドで叩きつけて先制ゴールを決める、左へ札幌DF田中(2番)、GK菅野(1番)、DF宮澤(10番)、右端福森(5番)、左端東京DF岡崎(29番)、21番はMF青木

 上:下段写真/前半14分、キャプテンマークを巻いた東京DF渡辺剛がシュートの時よりも高いのではと思わせるジャンプで喜びを表現、その右MF青木(21番)、右端ぼう然とする札幌DF田中(2番)、その奥GK菅野。他の選手は左から東京DF岡崎(29番)、札幌MF菅(4番)、DF宮澤、東京FW高萩(8番)


 上写真/前半21分、札幌MF金子が倒されて得たFKを札幌DF福森(5番)が絶好の位置からFKを蹴る、これがDF田中(右)の同点ゴールの起点となった


 上写真/前半21分、同点ゴールを決めガッツポーズをする札幌DF田中駿汰(右)、左端MF駒井(14番)、その奥アシストしたルーカス・フェルナンデスも同様のポーズをしている。手前東京MF青木、中央安部


■北海道コンサドーレ札幌の田中駿汰選手のコメント
 「まずはしっかり逆転勝利できたことにホッとしています。先に失点したことは反省していますが、そこから逆転できたことにはチームの成長を感じています。自分の得点のところはFKからのこぼれだったが、ルーカス(フェルナンデス)からのワンタッチのボールが自分のところに来ると思っていたので、良い形で合わせることができた。守備に関しては、FC東京はカウンターが鋭いので、今日に関しては前に上がる頻度を抑えようという話は後ろの選手同士でしていて、メリハリをつけてやれていたと思っている」


 上写真/前半39分、札幌MF駒井(14番)が東京DF鈴木(28番)をかわしてパスを出す、右端菅(4番)、左端東京DF渡辺剛(4番)、その右MF青木(21番)


 上:上段写真/後半4分、札幌MF荒野(左)が東京MF青木をかわしてクロスを入れる。荒野はこの日、前半14分に東京DF渡辺剛に競り負け先制ゴールを献上したが、後半35分には逆転ゴールを決め汚名を返上した

 上:下段写真/後半12分、札幌FWジェイ(左)が右からのMFルーカス・フェルナンデスのクロスにゴール前で東京DF渡辺剛と競り合う


 上:左側上段写真/後半35分、逆転ゴールを決めた札幌MF荒野(27番)が途中出場したFWドゥグラス・オリヴェイラ(33番)に抱えられるようにベンチ方向に走り出し、MF金子(右端)が笑顔でたたえる、左端FWジェイ(48番)

 上:左側下段写真/後半35分、逆転ゴールを決めた札幌MF荒野(27番)が控えのMF小野(右端)と抱き合って喜ぶ、ベンチは入り乱れて歓喜の渦、左からFWドゥグラス・オリヴェイラ、MF金子、DF田中(2番)ら

 上:右側写真/後半35分、逆転ゴールを決めた札幌MF荒野(27番)がピッチに戻って仁王立ち


■北海道コンサドーレ札幌の荒野拓馬選手のコメント
 「得点に関しては、ジェイに入ったときに前向きにサポートできたのが良かった。試合全体については、一番ミスをしてしまって個人的には苦しい時間、プレーが続いてしまった。ただ、結果だけを見れば勝利に貢献できたので、そこは良かったと思っている。そしてホームで勝ってアウェイに挑めることは非常に良いことだと思っている。
 
 僕のミスをみんながカバーしてくれた試合だったので、次はチームメートのミスを自分がカバーできるようにしたい。またこの大会で決勝の舞台に立ち、カップを持ち帰りたいと思っているし、2年前に決勝で敗れた悔しさは自分たちだけでなくサポーターにもあると思うので、それを晴らせるように頑張りたい」


 上:上段写真/後半37分、ボールを持った東京MF青木(21番)に激しく詰め寄る札幌MF荒野(左)

 上:下段写真/後半42分、途中出場の東京FWレアンドロ(20番)に襲い掛かる脳震盪での欠場から復帰した札幌キャプテンMF宮澤、左手前駒井


 上:上段写真/FC東京に2−1と逆転で先勝しサポーターへのあいさつに向かう札幌の選手たち、FWジェイ(48番)とMF小野がにこやかに話し合っている

 上:下段写真/逆転勝利し、ゴール裏サポーターにあいさつする札幌の選手たち。右端ヒーローインタビューで遅れて来た逆転ゴールのMF荒野(27番)をルーカス・フェルナンデスとFWドゥグラス・オリヴェイラが手を上げて迎える、スタンドから温かい拍手が送られた


 上:左側写真/後半42分、大きなジェスチャーで選手を鼓舞する札幌のペトロビッチ監督

 上:右側写真/後半追加タイム2分、最後の最後まで選手に激を飛ばすFC東京の長谷川健太監督


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント(一部抜粋)
 「非常に厳しいゲームでした。10日間で4試合目というタイトな日程の中でケガ人も多い状況。本当に難しいゲームでした。ただ、その中で選手は自分たちの勝ちたい気持ちを前面に出して戦ってくれましたし、ベストを尽くした結果が勝利につながりました。ただし、勝利はしましたがまだ前半が終わっただけ。勝ち上がるには第2戦で結果を出さなければいけません。次の試合に向けてできるだけ準備をしていきたいと思います」


■FC東京の長谷川健太監督のコメント(一部抜粋)
 「最終的には逆転されてしまいましたけど、なんとか次につながる結果は持ち帰ることはできたと思います。ただ、この状況からひっくり返すことは難しいと思いますので、3日間しっかりと準備してホームで勝ってこの状況をひっくり返して次のラウンドに進んでいけるようにしていきたいと思います」

池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影