北海道コンサドーレ札幌ピックアップ情報

一覧に戻る

J1第4節(7月30日)、厚別でG大阪に0−2の完封負け

21・08・03
 上:上段写真/左からキャプテンマークを巻いたMF荒野、福森(5番)、田中(2番)、MF高嶺(6番)、金子(9番)、FWジェイ(48番)、MFルーカス・フェルナンデス(7番)、チャナティップ(18番)、(44番はエスコートキッズ)、右端手前DF駒井(14番)、後へ小柏、GK菅野

 上:下段写真/前半5分、札幌MFチャナティップ(18番)がDF田中からのロングパスをFWジェイに向け折り返す、左ルーカス・フェルナンデス(7番)、左端G大阪DF三浦(5番)、右端高尾(27番)

(写真は7月30日、札幌厚別公園競技場、撮影・石井一弘)


 ガンバに0−2「厚別神話が泣く」

  「前半ホーム側に攻め」は酷だ


 北海道コンサドーレ札幌は7月30日、札幌厚別公園競技場で、上昇機運のガンバ大阪と対戦した。札幌は荒野拓馬がキャプテンマーク。ガンバは三浦弦太主将が「試合前のトス」をした。ガンバが勝ち「厚別神話1996年から97年にかけて21勝0敗」を記録した「厚別を聖地にするのは俺達だ」のスローガンのある西側にGK東口順昭を配した。この結果、札幌は前半にホーム側に攻める形になった。まれである。東側はアウエーの席だが、この日は「応援席はない」。遠路駆け付けた「ガンバサポーター」は、スタンド左側の一般席に「潜り込んでいた」。

 2021明治安田生命J1リーグ第4節北海道コンサドーレ札幌対ガンバ大阪戦は「18時03分」ホイッスルが鳴った。池内明彦主審(37、広島県出身)と3人のレフェリー、VAR福島孝一郎、アシスタント(A)三上正一郎で行われた。日中は30度を超す「真夏日」だったが、西日が傾いたピッチ上は気温25.1度、湿度65%。たっぷりとスプリンクラーなどで水をまき「ベストコンディション」。観衆は3千845人と発表になった。

 札幌のフォーメーションは3−4−2−1。GK菅野孝憲、DFは右に駒井善成、中央は田中駿汰、左は福森晃斗。右ワイドの金子拓郎、左はルーカス・フェルナンデス。ボランチに荒野拓馬と高嶺朋樹。トップは久々のジェイ。小柏剛とチャナティップが、トップ下。キャプテン宮澤裕樹が控えメンバーにもなし。次の浦和レッズ戦(8月9日=札幌ドーム)への温存か。だが1週間もあり、心配だ。

 一方、ガンバは、5月に宮本恒靖監督が更迭され、2012年のG大阪監督・松波正信氏(2014−15年、J3ガイナーレ鳥取監督)が招聘された。さらにガンバ自体の「新型コロナウイルス発症」などで「休部」。最近、中2,3日での試合が多く、苦戦が続いていた。この日は、前節からのスタメンを5人代えての「脱出」で挑んできた。

 試合の方は、荒野のキックオフで始まり、FWジェイにボールを集め、チャナティップから、小柏の突進で得点を狙うが、不発に終わる。守備の要DFの中央に入った田中は、中央から駒井とのパス、金子とのやり取りと「センター」としての攻守のバランスは、出来ていたようだ。

 ちょっと気になったのは、右側のCKをほとんどルーカスが蹴っていたこと。背番号5福森はFK・CKのトレードマークのようだったが「ちょっと疲労」の様子か、それとも人材育成の「試練の場」を考えての事か。いずれにしても「要」らしいプレーを見せてほしい。ジェイのトップと得点演出組(荒野・高嶺・小柏)プラス、チャナティップの得点力の「形」だけは見えてきたようだ。

 札幌の前半の失点は、29分、ゴール左側からのガンバMFウェリントン・シウバのセンタリングをゴール前の矢島慎也(27、埼玉県出身=北浦和SSS−浦和ユース出)が走り込んでゲットした。矢島はJ1通算100試合出場に花を添えた。

 35分には、チャナティップがガンバDF高尾にタックルを仕掛け、イエローカード。高尾は足を痛めて試合を続行することが出来ず、DF黒川に交代。


【監督のハーフタイムコメント】
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「この試合負けるのはもったいないぞ」、「落ち着いてプレーしよう」、「残り45分走って戦い抜くぞ」

■ガンバ大阪の松波正信監督のコメント
 「ボールへのプレッシング、その後のプレスバックをしっかりと」、「相手のプレスがない時は後ろからしっかりつないでいこう」、「0−0だと思って全員で集中して後半スタートしよう」


 札幌はハーフタイムにルーカスが菅大輝に交代。ガンバは交代はなし。後半からは、ガンバ・ベテランGK東口(元日本代表)のロングキックが札幌のDF陣をペナルティーエリア内に下がらせる。仕切り直して、札幌はパス回しを試みるが動きが重い。

 すると8分、ガンバが難なく追加点。DFの黒川圭介が左から浮き球を中央のFWペレイラに入れると、ヘディングシュート。GK菅野が対応するが、はじかれたボールにペレイラが反応、2点目。札幌ベンチは動かざるを得なかった。15分、福森に代わって深井一希。19分ジェイに代わって青木亮太。荒野OUT柳貴博IN、キャプテンマークは、深井に。

 札幌はボランチの深井が中心になってボールを回すが、決定機とはならない。得点を狙って長身のドウグラス・オリベイラを小柏に代えて投入するが、見るべき成果は無し。45分左の菅からの中央へのパスがオリベイラに入るが、シュートまでは至らなかった。

 アディショナルタイムは5分。中央から背番号9・金子が最後の力を振り絞ってシュートをするがDF陣に阻まれた。0−2の完敗。ずっしりと重い気持ちで帰途へ。

 東京五輪の「なでしこ」は、ダメ。帰りのタクシーの中で運転手さんが、教えてくれた。7月31日にはU−24がグループトップで「決勝ラウンド進出」。「久保建英躍動」、「三好康児」らの名が躍動する。森保一監督の指導の先には「我がペトロビッチ監督」がいるが、気持が重い「夜食になった」。

 シュート数は、札15−G大阪7、CK札10−G大阪2、FK札12−G大阪14、PK無し。

 札幌の次戦、2021明治安田生命J1第23節北海道コンサドーレ札幌対浦和レッズ戦は8月9日午後3時から札幌ドームで行われる。


 上:上段写真/前半10分、G大阪左からMF小野瀬のセンタリングを札幌DF駒井(14番)がクリア、札幌の選手左からGK菅野(1番)、DF田中、福森。G大阪の選手は左からMFウェリントン・シウバ(28番)、MF矢島(21番)、FWレアンドロ・ペレイラ

 上:下段写真/前半28分、ドリブルでボールを保持する札幌DF田中(2番)が後方から襲いかかるG大阪MFウェリントン・シウバ(28番)を巧みにかわす、その後ろはMF金子


■北海道コンサドーレ札幌の田中駿汰選手のコメント
 「今日の試合、入りは悪くなかったが、2失点とももったいない軽い失点だった。また、前半も後半も決定機がありましたが、そうしたものを決め切れないと、苦しくなる。今日はリベロでプレーした中で、ポゼッションのところは左右にドンドン出していこうと思っていた。結果につなげられなくて悔しい。今日みたいな試合は落としてはいけないものだった。応援に来てくださった方々のためにも、次の試合ではしっかり勝ちたいと思っている」


 上:上段写真/前半29分、G大阪MFウェリントン・シウバ(28番)が矢島の先制点を呼ぶクロスを入れる、左MF小野瀬(8番)、右札幌DF駒井(14番)

 上:下段写真/前半29分、G大阪MF矢島(左端)が先制ゴールを決め、両手を上げて喜ぶDF昌子(3番)とFWレアンドロ・ペレイラ(9番)、カバーが一歩及ばなかった札幌DF福森(ピッチに倒れている)と悔しがるGK菅野(右端)、6番はMF高嶺。矢島はJ1での100試合出場の節目を飾った

 上写真/前半39分、G大阪GK東口からのボールにジャンプして競り合うFWレアンドロ・ペレイラ(9番)と札幌MF高嶺


 上写真/後半1分、札幌DF福森の自陣左からのロングパスを受けたFWジェイ(48番)がG大阪DFキム・ヨングォンと競りながらシュートするがゴール上に外し、同点のチャンスを逃す、左MF小柏


■北海道コンサドーレ札幌のジェイ選手のコメント
 「前半は悪くなかったと思っているが、やはり長い期間、公式戦がなかったため、相手のほうが試合のテンポは良かったと感じている。個人的にはチャンスは作れていたし、立ち位置も悪くはなかったが、今季は90分間通してのプレーがまだあまりできておらず、そうした部分が影響したと思うので改善しなければいけない。自分は何度かチャンスで得点を奪えなかった場面があったが、チームとして考えれば、いくつものチャンスを作れたということ。次の場面ではしっかり決めたいと思っている」


 上写真/後半8分、G大阪FWレアンドロ・ペレイラのシュートを札幌GK菅野(右奥倒れている)が一度はクリアしたが、はじいたボールをボレーで決められ天を仰ぐMF菅(左)、中央は先制点を決めたG大阪MF矢島(21番)、右札幌DF福森(5番)


 上:上段写真/後半20分、札幌MF菅(4番)がG大阪MF矢島(左)と小野瀬(8番)に挟まれるように突破を阻まれる、この後、熱くなった菅と矢島が小競り合いした

 上:下段写真/後半28分、札幌DF駒井(14番)とG大阪DF三浦(5番)が激しくマッチアップ


 上写真/後半38分ごろ、聖地厚別のカクテル光線の中、熱戦を見つめる札幌サポーターたちのマスクが浮かび上がる


 上:上段写真/後半追加タイム4分、札幌MF金子はG大阪MF奥野と競りながらシュートするが、G大阪DF陣に阻まれ、24歳の誕生日ゴールはならなかった。G大阪の選手左からDF昌子(3番)、FW宇佐美(39番)、右端DF三浦(5番)

 上:中段写真/G大阪に0−2と敗れガックリとひざに手をやる札幌DF柳(左端)、右へFWドゥグラス・オリヴェイラ(33番)、DF田中、MF深井(8番)

 上:下段写真/G大阪に敗れしょんぼりと引き上げる札幌の選手たち、左から途中出場でキャプテンマークをつけたMF深井、駒井(14番)、チャナティップ(18番)、FWドゥグラス・オリヴェイラ(33番)、MF菅、GK菅野(1番)


 上:左側写真/後半40分、交代したMF小柏(35番)をねぎらう札幌のペトロビッチ監督

 上:右側写真/前半34分、DF高尾の負傷で急遽出場する黒川(右)に入念に指示を出すG大阪の松波正信監督


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督(一部抜粋)
 「難しいゲームになるとは思っていたが、選手はベストを尽くしてくれた。前半の入りが良く、開始20分までに大きなチャンスがあった中で決め切れず、相手の少ないチャンスをモノにされてしまった。ああいった決定機を決めて先に得点を奪えていれば別の展開になっていたと思う。後半はリスクをかけて攻めた中で、相手GKの正面にシュートが飛んだり、相手GKが大きなセーブをしたり、そうした中で2点目を奪われてしまった。こうした展開の中では、チャンスを決めるということができなければ難しくなる。こうした試合というのはサッカーではよくある展開。選手たちはよく戦ってくれたが、チャンスを得点にする割合を上げていかなければ勝利をするのは難しいと思います」


■ガンバ大阪の松波正信監督(一部抜粋)
 「(札幌は)完成度の高いチームで攻撃的なチームでもありますし、(その相手に対して)しっかり守備をした中で攻撃に出るというところは狙いを持った試合展開だったと思います。良い時間に得点もできましたし、最後押し込まれる時間が長かったですけども、皆我慢強く戦ってくれたなというふうに思います」

池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影