北海道コンサドーレ札幌ピックアップ情報

一覧に戻る

ルヴァンカッププレーオフステージ第1戦(6月6日)、1−1で横浜FMと分ける

21・06・11
 上写真/前半26分、札幌MF青木(右から2人目)の先制ゴールを喜ぶ選手たち、左からMF深井(8番)、DF福森(5番)、FW小柏(35番)、MF宮澤、駒井(14番)、荒野の各選手

    (写真はいずれも6月6日、札幌厚別公園競技場、撮影・石井一弘)


 PK荒野が全て「GKがうまかった」

  「1−1は小手調べ」F・マリノス強気


 第二次世界大戦が終わって、進駐軍が「本土」に駐屯しだした。小学校3年生のころ。運動会を米兵と一緒にやった。呼び物はグラウンドに「リンク」を造って「ボクシング」を見せた。アメリカは強い国を見せられた。

 私たちには「ポートボール」。運動場を6面に区切って1年生、2年生〜6年まで、6か所で紅白戦をした。一段高い「跳び箱の馬」のところが「ゴール」。背の高い人が選ばれた。味方が投げたボールを「受けた」時に点数が入る。当時でも「バスケットボール」のコートはあったが、2面程度。運動会の盛り上がりにはならない。

 国民学校から「6・3・3・4」の学年制が、今に及んでいる。私は背が高かったので跳び箱の上に乗り「ゴールキーパー役」。サッカーは、戦時中も流行っていた「スポンジボールを使ったストリートサッカー」は警報が鳴りやんだ頃にどこから出てきたか「選手」が集まった。戦後サッカーはあまり出来なかった。確か、サッカーの部活動は中学生から、だったろう。

 「文武両道」を旨とする「教育基本法」が公布され「右へ習え」。中学では「背が高い」のでバスケットボール部から勧誘があり「否応なし」に入部した。文化倶楽部の方は「絵画部」。

 何で、「今更」こんなことを思い出したか。6月6日、札幌市厚別公園競技場の2021YBCルヴァンカップ・プレーオフステージ第1戦北海道コンサドーレ札幌対横浜F・マリノス戦でのこと。

 札幌・荒野拓馬が前半42分・PKを任されたとき。「誰が蹴る。居ない。テンションが高いのは、病み上がりの荒野」。走馬灯のように「悪夢」が、子供のころからサッカーをやって「何が頼りになったか」を思い出させた。やっぱり、高校時代の先輩の「言葉」。窮地を救ってくれるのは「盲腸を手術して1週間でグラウンドに立ってくれた先輩」。「脚の骨折で、傘の骨を巻いてピッチに立ったチームメイト」。ゴールマウスを描いたボードに「裸電球の下」PKの練習をした男。

 荒野は「何を思ったか」聞きたい。「ナイスブロック」。PKの練習はしているか? いつしか札幌のゴール板がなくなった。現在は集中した2−3時間の全体練習だと思うが、「陰練習はしているのか」。プロは「ハートだよ」。

 試合の方は、ここ2、3日の好天で「暑い。気分が良い」。13時3分、鹿児島県出身の福島孝一郎主審(37)のホイッスルで札幌・FW小柏剛が横パスでスタートした。芝は厚く思えたが、水まきが丁寧にされてスリッピー。気温23.6度。湿度43パーセントで、はた目にはグッド・コンディション。観衆は3千814人。

 札幌は3−4−2−1のフォーメーション。横浜FMは4−3−3で、互いに前からの圧力を意識した布陣。2週間前にけがをしたアンデルソン・ロペスの姿がまだない。J1リーグの3位と11位の対戦で、これまでの結果(J1・Jリーグカップ)を見てもF・マリノスの18勝2分け5敗。  

 ペトロビッチ監督は、トップ3に荒野を配置、韋駄天の小柏と組ませ、駒井善成のチャンスメイクと、相手の対人&パスを防ぐ「防御陣」も構えた。GK菅野孝憲、3バック田中駿汰・宮澤裕樹・福森晃斗。右WB金子拓郎、左に背番号28青木亮太を配した。ボランチは深井一希&高嶺朋樹。控えにはGK中野小次郎、DFキム・ミンテら、MFルーカス・フェルナンデス、FWはドゥグラス・オリベイラと菅大輝。

 F・マリノスもトップクラスをそろえてきた。昨年は同じ場所で1−1PK5−4で勝ち上がり、ベスト4にと勝ち進んだ。4年目を迎えたアンジェ・ポステゴグルー監督(55、オーストラリア国籍)に「夢をもう一度」。

 メンバーはキャプテンのチアゴ・マルチンスやFW仲山輝人、すばしっこいFWエウベルやレオ・セアラ、マルコス・ジュニオールらブラジル選手が多い。

 先取点は札幌。左ウイングバックに入った青木亮太(背番号28)が前半28分、ペナルティーエリア(PA)外側からの右足のループシュート。ゴール右側に「カーブして入った」。5月5日のルヴァンカップ、対サガン鳥栖戦で札幌移籍「初得点」。感想「打てば入るぞ」。 

 次は荒野拓馬のPK失敗。前半42分。左サイドから進入した菅大輝(32分、深井けがのため交代)が、PA内で背番号13番Tマルチンスに倒されPKを得る。ペトロビッチ監督らが「この日のヒーローにしたい」と荒野登場。迷うことなく「ボールを保持」、GK高丘陽平を「見たのか?」。ペナルティーマークにボールを置き、右足の内側でキック。GKは右に飛んで「ジャッグル」をしながらも「押さえた」。何を考えていたのだろう。

 前書きで、新制中学に入って、勧誘されたバスケットボールを始めた。その時、中学のサッカー部のGKがけがで「お前やってみろ」と誘いがあった。それが「サッカーを始めた」きっかけだった。荒野が記者会見で「ナイスキャッチ」との言葉を残したという。

 その後、47分にマリノスFW仲川輝人に同点にされた。1−1、いいじゃないか。頭の中が70年前の「己の姿」とサッカーの尊い「思い出」に慕った。それでいいじゃないか。「荒野拓馬」ずっと「ナイスキャッチ」で、プレーしてほしい。

 シュート数は、札13−マ9 CK札4−マ4 FK札14−マ13 PK札1−マ0。

 次の試合は、2021JリーグYBCルヴァンカップ プレーオフステージ第2戦は6月13日午後5時から、横浜市のニッパツ三ツ沢球技場で、横浜F・マリノスと北海道コンサドーレ札幌戦を行う。


 上:上段写真/前半31分、札幌MF深井(8番)が負傷し退場、菅が入る

 上:下段写真/前半39分、札幌右CKからの攻撃でMF小柏(35番)がジャンプするが届かず、結局誰も触れずゴールラインを割る


 上:上段写真/前半42分、札幌MF菅(右奥)が荒野のヒールパスを受けてペナルティーエリアに突入するが横浜FMのDFチアゴ・マルチンス(13番)に倒されPKを得る、左小池(25番)

 上:下段写真/前半42分、札幌MF菅(右)の得たPKを荒野(27番)が蹴ったが、GKに止められ追加点を逃す、左端DFチアゴ・マルチンス(13番)

■北海道コンサドーレ札幌の荒野拓馬選手のコメント
 「負けなかったことは大きいと思っています。僕のPKが決まっていれば2−0になっていたでしょうし、失点がなければなとも思います。PKのところはナイスキーパーでした。

 試合の中身は前線でアクセントになれていたと思いますが、もう少しコンビネーションから得点できるチャンスは作れたのかなとも感じます。個人的には走り負けないところを意識していましたし、終盤は追加点を与えないところも重視しました。負傷交代もありましたが、出ている選手が戦っていかなければいけないですし、代わって入った選手も頑張っていました。それが札幌の強さだと思っています」


 上写真/前半追加タイム2分、札幌MF金子(9番)が横浜FMのDFティーラトン(5番)とMF渡辺(26番)の間を割って入るようにボールを奪いに行く


 上写真/前半追加タイム2分、同点ゴールを決めてガッツポーズする横浜FMのFW仲川(23番)、左ガックリする先制ゴールを決めた札幌MF青木(28番)


 上:上段写真/後半15分、札幌DF福森が2分前に味方同士のMF高嶺と激突、口を押えたままなかなか立ち上げれない、周りが心配そう

 上:下段写真/後半15分、ようやく札幌DF福森(左端)が立ち上がったとおもったら、タンカが来た、福森の為かと思ったら、何とMF小柏が乗ってる、「何だ、どうしたんだよ?」といった感じ、左奥MF駒井が心配そう、結局2人とも交代


 上:上段写真/後半29分、右サイドから札幌MF金子のクロスにFWドゥグラス・オリヴェイラ(左)が飛び込むが触れず、ボールはゴールラインを越える。右横浜FMのDF小池、その後チアゴ・マルチンス、その左札幌MFルーカス・フェルナンデス

 上:下段写真/後半36分、横浜FMのMF水沼のシュートをGK菅野がはじき、MF宮澤(左)がヘッドで菅野に戻そうとしたボールが高くゴール方向に行き、危なくジャンプしてキャッチして事なきを得て苦笑いする菅野


 上:上段写真/後半38分、横浜FMの右CKからのボールにFWオナイウ阿道(45番)が札幌FWドゥグラス・オリヴェイラ(その左)とジャンプして競り合う、後ろに札幌GK菅野、中央MF宮澤、左端横浜ⅯのDFチアゴ・マルチンス(13番)

 上:下段写真/後半追加タイム3分、札幌右CKからの流れで、MF高嶺が出した縦パスは横浜FMのGK高丘(1番)にキャッチされる。飛び込んだFWドゥグラス・オリヴェイラ(中央)やMF青木(右端)が悔しそうな表情、右手前荒野


 上:上段写真/熱戦は1−1の引き分けで終わり、横浜FMのGK高丘(左端の1番)と札幌GK菅野がタッチしてあいさつ、お互いの健闘をたたえあう。札幌のMF駒井(14番)、横浜FMのFWエウベル(7番)は共にフル出場で疲れ切った様子

 上:下段写真/引き分けに終わりあいさつに来た札幌の選手たちに温かい声援を送るゴール裏のサポーターたち


 上写真/後半36分、札幌MF菅と競り合った横浜FMのMF水沼がファールをとられ、思わず頭に手をやる横浜FMのアンジェ・ポステコグルー監督(左)と、手を振り上げ選手を鼓舞する札幌のペトロビッチ監督(右)

■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント(一部抜粋)
 「洗練された攻撃的な相手に対して、良いゲームができたと思います。我々は攻撃的な選手をケガで欠く中で、前線の3人が良い守備の連係を見せてくれたと思います。前半は前からボールを奪ってチャンスも作れて、得点もできました。PKが入っていれば、展開は我々に傾いていたでしょう。ただ、そうした中で決められないでいると失点をしてしまうのがサッカー。内容を見れば、前半の1−1は望む展開ではなかった。負傷者によって3つの交代を使ってしまい、苦しい展開になりましたが、その中で選手たちは最後まで走ってくれて1−1で終えることができました。

 良いゲームをしながらも勝ち越せなかった。それが今日の試合だったと思います。この第1戦は良い方向性を示せたと思っていますし、2戦目で勝ち上がれる手ごたえを得た、そういう試合だったと思います」

■横浜F・マリノスのアンジェ・ポステコグルー監督のコメント(一部抜粋)
 「難しい試合だったことに間違いはありません。特に前半は風の影響もあり、自分たちのリズムをつかむことができませんでした。すごくチャレンジングな内容になってしまいましたが、後半は自分たちがゲームをコントロールし、チャンスを作りました。同点にしてのドローは自分たちにとって価値があります」


池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影