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J1第17節(5月29日)、ミシャとネルシーニョの対決は2−1で札幌に軍配。

21・05・31
 「勝ったぞブラボー」ペトロビッチ監督

  ネルシーニョ監督「負けてもオブリガード」


 『墺太利(オーストリア)−伯刺西爾(ブラジル)』=『オーストリア(ドイツ語)−ブラジル(ポルトガル語)』。選手たちよりも長いことJリーグで戦っている両監督に「ご苦労さん」と言いたい。1996年から「コンサドーレとともに、」JFL−Jリーグにペンとカメラで「汗と涙、そして天を仰いだ」監督・選手・サポーター・善男善女・読者諸氏に感謝して、この「戦評」を送りたい。多岐にわたって活躍・ネルシーニョ監督に感謝。互いにJAPAN・SOCCERに携わってくれてありがとう。

 2021明治安田生命Jリーグ第17節の北海道コンサドーレ札幌対柏レイソルの試合、5月29日午後7時から千葉県柏市の三協フロンテア柏スタジアムのゲームと両監督の「日本における、ご指導に感謝を込め・・・」。

 先陣は1994年来日のネルシーニョ監督(70、ブラジル出身)。今年で足掛け27年になる。ミハイロ・ペトロビッチ監督(63、セルビア生まれ、オーストリア国籍)は2006年来日、足掛け15年。これからのJAPAN森保一監督をサンフレッチェ広島時代にコーチとして迎え、「選手の育成の仕方」を伝授した。さて、この2人が、この試合をいかに導いていくか、見どころである。

 試合は19時3分、上田益也主審(38、愛知県出身)のホイッスルで札幌のキックオフで始まった。入場者数は4千270人、1人おきの席はマスク姿でほぼ埋まった感じ。晴れで気温21.8度、湿度69パーセントで4基の照明が映える。

 札幌のスタメンは、GK菅野孝憲、3バックは田中駿汰をセンターに右・岡村大八、左・福森晃斗で福森が腕章をはめていた。右WB(ウイングバック)は懐かしいと言ってはいけないがルーカス・フェルナンデス。左が青木亮太。ボランチは荒野拓馬と高嶺朋樹。前線の「得点源」は、中2日の日程にもかかわらずFWの小柏剛と1試合前にフル出場したジェイ、駒井善成が入った。「控え」には、MF宮澤裕樹、金子拓郎、深井一希、菅大輝、小野伸二、DFの柳貴博、GKの控えは大谷幸輝。連戦の影響を踏まえ、かなり「練りに練った」布陣だ。

 一方の柏は、背番号9クリスティアーノを中心に、得点力を期待してアンジェロッティを起用してきた。さらにネルシーニョ監督が、「得意の4−2−3−1の布陣」を「点を取る」4−1−2−3に変えてきた様子。両者のこれまでの対戦成績は、J1・J2・Jリーグカップ戦含め、ホーム柏の15勝3分け9敗となっているが、ネルシーニョ監督の記憶に残っている「大変身」は、一度目の09年から14年までの間の10年J2優勝、11年J1優勝の「快挙」。

 試合が始まると、札幌が優位に攻撃気味。ネルシーニョ監督はベンチ前に立ち70歳とは思えない「ゲキ」の飛ばし様。札幌は、福森−田中駿のキープからの攻めに青木が加わったりのフォーメーションに柏ベンチは5−3−2の形で守り切っている。

 札幌の攻撃が、下がった荒野から始まる「ビルドアップ」を演じてくる。19分、左CK(福森がキック)から、こぼれ球を拾った高嶺が左の青木にパス。ペナルティーエリアの中央に流したボールは柏GKとDFの間を通ってゴール前の小柏へ。難なく右足で押し込み「待望」の先取点(27分飲水タイム)。

 30分、今度は柏のトップ・クリスティアーノが「エンジン全開」。右サイドからエリア内にいる高橋峻にパス。札幌・青木が相手ともつれながら対応し、ゴールにはならない。この直後、主審がVARの判定を聞く。VARの主任は今村義朗氏(2004年1級審判登録)「結果はPK」。クリスティアーノが決めて1−1。

 40分、札幌がCKを得る。キッカーは福森、ターゲットはファーサイドにいるジェイ。一度はクリアされるが、札幌・岡村が、拾ってシュート。柏のDFに当たってゴールイン。今季札幌入りした岡村の初得点。と思いきやバックスタンド側の副審が「オフサイドをフラッグで表示」(ジェイの位置)。またまたVARのご厄介。今村主任は「オフサイドに当たらない」(遠いか、関与しない位置)。「オウンゴールか?」も分からない。オンフィールドレビューの結果、岡村のゴールが認められて2−1。

 アディショナルタイムは10分。札幌・四方田修平ヘッドコーチに「イエローカード」(監督・通訳のほかに長時間コート内に居座った?)。


【監督のハーフタイムコメント】
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「中をコンパクトにしていこう」、「後半の入りに集中していこう」、「もう2点、3点を取りに行くぞ」

■柏レイソルのネルシーニョ監督のコメント
「相手のロングボールをしっかりけん制すること」、「後半最初から、アラートに入ること」


 後半は、柏のキックオフで始まった。FWアンジェロッティら柏の2人が交代。3分、福森が相手に足をかけて「イエローカード」。柏の攻勢が続く。札幌も勢いを失いそうになるが何とか「持ち直す」。

 21分、札幌絶好のチャンス。駒井から、左サイドを使った攻撃の展開。ペナルティエリアにカットイン、ジェイへ展開、さらに青木までつながり、青木がGKと1対1。右足シュートを放つが、枠の外にはずれた。

 23分に札幌が選手交代。LフェルナンデスOUT金子IN、福森OUT宮澤IN、荒野OUT深井INの3枚代え(25分飲水タイム)。37分、GK菅野にイエローカード(遅延行為)。直後の38分に札幌の青木OUT柳IN。さらに42分、宮澤にイエローカード(足を引きずり遅延行為)。柏の必死の追撃と札幌の「逃げ切り」。

 アディショナルタイムは5分。45分+4分小柏OUT菅IN。最後は柏のFK。背番号9のエース、クリスティアーノ登場。浮き球を札幌ゴール前に出すが反応は薄い。これで札幌がアウエーで2−1の勝利。11位に浮上し、ペトロビッチ監督は、ご満悦。「これからだ」とネルシーニョ監督も最後は笑み。

 シュート数は、札8−柏7 CK札4−柏4 FK札16−柏22 PK札0−柏1。

 2021明治安田生命J1リーグ第18節は6月19日午後2時から札幌市の厚別公園競技場で、北海道コンサドーレ札幌対大分トリニータの試合が行われる。

 また、2021YBCルヴァンカップは6月6日午後1時から厚別動公園競技場でAグループ2位の北海道コンサドーレ札幌とDグループ1位の横浜F・マリノス戦を行う。


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント(一部抜粋)
 「非常に難しい試合になると思ってた。相手の柏は今季、非常に良い戦いをしながらもなかなか結果が伴わない試合が続いており、今日のホームゲームは何がなんでも勝ちにくるだろうと思っていました。そしてそのとおり柏は気合いが入った試合をしていたと思います。

 しかし我々の選手は相手の勢いに押されることなく冷静にハードワークをしながらボールを動かしてチャンスを作っていました。前半は複数得点していてもおかしくないようなシーンがあったと思います。後半に入っても選手たちは落ち着いてゲームを進める中で、最後は相手のパワープレーに少し押し込まれた感もありましたが、そこは連戦の疲労もあったと思います。そういう中でしっかり自陣でブロックを固めながら、時として前にプレッシングをしてボールを奪いにいくという姿勢を見せてくれましたし、ボールを奪ったらゴールを目指すという姿勢も見せられたと思います。

 後半についても得点するチャンスは二度ほどあったかと思います。選手たちは非常に厳しいなかしっかりと走り、戦い、規律を守るという自分たちの大原則を守りながら、狙いとするサッカーを表現してくれたと思います。勝利に値するプレーを見せてくれたと思います」


■柏レイソルのネルシーニョ監督のコメント(一部抜粋)
 「前節に引き続いて今日敗戦を喫してしまったわけですが、同じ敗戦でも前節とは内容がまったく違ったと。選手が非常に自信を持ってやってくれていたと思いますし、ボールの支配率も序盤からウチが優位にゲームを進められていたんじゃないかと。後半に入ってからも相手陣地に押し込む時間帯が長く持て、相手がなかなか出てこられないような状況を作れたと思います。

 ただ、2失点したことでひっくり返すことが難しい展開にはなりましたけど、その中であった決定機をなかなか仕留め切れないと、ここ最近言っていることではあるんですけども、ゲームの流れをこちらに持ってくるのは非常に難しいのかなと。ただ、今日の試合は選手一人ひとりが終始戦う姿勢を貫いてくれたと思っています」
池田淳