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J1第11節(4月24日)、厚別で仙台に2−1で逆転勝ち

21・04・27
 上写真/前半9分、仙台右CKからの攻撃を札幌DF田中(左端)がヘディングでクリアする、札幌の選手、右へDF福森、岡村(50番)、その奥GK菅野、FWアンデルソン・ロペス、MF宮澤、仙台の選手左からFW赤崎(11番)、西村(15番)、DF平岡(13番)。

 (写真はいずれも4月24日、札幌厚別公園競技場、撮影・石井一弘)


 ミシャ采配「3トップはいいね」

  「阿吽の呼吸」ジェイ・CK福森


 2021年J1リーグ第11節(4月24日)北海道コンサドーレ札幌はベガルタ仙台と対戦2−1で勝利、14位をキープした。

 FWジェイが、福森のCKを「阿吽の呼吸」で、決勝点を入れた。コンサドーレ札幌の25周年記念の「輝かしい聖地・厚別」は、我々を「見放しはしなかった」。「これからだ札幌」と思った。札幌には2007年、DFとして在籍したブルーノ・クアドロス・コーチ(6年目)がいた。西側のホーム応援席の前、右からのボールを右ゴール下に、転びながら1得点したのを「今でも覚えている」。この年J2で優勝、J1に昇格した。

 厚別には「ただいま」と入ると「お帰りなさい」と迎えてくれる「中華料理屋」がある。仙台に勝った夕、プロカメラマンの石井一弘氏(3月で80歳になったよ)と、ここで取材ミーティングをした。「監督は最初から、今日のような(FW)3トップを組むことを考えているのかね」、「きょうは、カメラマン席では、ナイジェリアからのFWガブリエルが来てるぞ」が話題になり、「それらしき人を撮ってあるよ」という。そういえば「報道関係者受付(マスク着用・体温検査・1週間以上の体温表・本人確認のモザイクロール)で、バズーカ砲様の望遠レンズとカメラを持った女性記者に会った」(通称ペンカメ=記事と写真を1人でこなす)。

 こんな話し合いは、コロナ前は試合がある日の「一連のコース」だった。札幌ドームでも、行き付けの「居酒屋」があり、客は「顔見知り」。試合前には「きょうは験(げん)がいい」と、常連たちと心置きなく楽しんでいたことも懐かしい。

 試合の方は、明治安田生命J1第11節北海道コンサドーレ札幌対ベガルタ仙台戦で4月24日午後1時から札幌市厚別公園競技場で行われた。

 天候は晴れ。気温19.9度、湿度23パーセントで、暖かい。Jリーグのスタンダードになった家本政明主審(47=広島県出身)が13時3分、札幌ボールでキックオフ。1989年の「はまなす国体」のメイン競技場としてオープンしたピッチは、緑の芝生がどっしりと選手を迎えた。観客は4千336人と発表になり、アウエーのスタンドには200人程度の黄色いユニホームを着た応援団が陣取った。

 札幌・宮澤裕樹、仙台・松下佳貴がキャプテンマーク。両者のJ1、J2の対戦成績は札幌の16勝12分け14敗。昨季は2−2、3−3の2戦引き分け。今季のJ1リーグ順位表では札幌が2勝2分け5敗。仙台が0勝3分け6敗。

 特に手倉森誠監督は2008年から6年間、仙台で監督。2014年から16年はU−23日本代表監督を務めた。その後は2019年から20年までJ2のV・ファーレン長崎で監督。12位から3位に上げて退任。今季から7年目の仙台監督を担っている。

 札幌の布陣は、前ゲームで「レッドカード」の3バック中央のキム・ミンテが外れ中央に田中駿汰、右に岡村大八−左は福森晃斗。GKは菅野孝憲。ボランチは宮澤と高嶺朋樹、ワイドの右・金子拓郎、左・菅大輝。トップはアンデルソン・ロペスで、シャドーは駒井善成とチャナティップ。Aロペスの10得点目を狙わせる布陣だった。

 仙台は、4月21日のルヴァンカップで今季初勝利のサンフレッチェ広島戦(1−0)の布陣から氣田亮真が外れMFマルティノスが入り、注目の加藤千尋(22=流通経済大)が、ルヴァンカップに続き得点を狙う。GKは、昨年のクラブ年間MVPを得て3年目だが自信をつけたヤクブ・スウォビィク。4−4−2のオーソドックスなスタイルだが、DF真瀬拓海、MFの松下、FW西村拓真が攻撃の中心になるだろう。札幌に所属していた札幌ユース出身の中原彰吾はベンチスタート。

 今季厚別でJリーグの戦いがあるのは、初めて。札幌のベンチをのぞくと、小野伸二をはじめ、FWのドゥグラス・オリヴェイラ−ジェイ。前日の道新で取り上げていた「2試合ぶりの小柏剛」。徐々に元気を取り戻した荒野拓馬、柳貴博。

 ゲーム展開は、仙台のGKヤクブ・スウォビィクの豪快なキックが目に付く。珍しく無風のピッチ。札幌ゴールエリアまでボールが届いてしまう。8分仙台がCK。マルティノスが左足で蹴ったボールははじき出されるが、松下が拾ってシュート。札幌DF福森に当たり、跳ね返ったボールをシュートしたが札幌GK菅野がはじき、再びCKを得たが得点には結びつかなかった。

 さらに16分、仙台MFマルティノスがFW西村にパス。低いクロスを上げるが、札幌が一度クリア。右サイドの仙台DF真瀬がボールを拾い、深い位置からゴール前に放り込むとMF加藤に渡り、右足で蹴り込む。先取点は仙台。加藤は21日のルヴァンカップに続く得点。札幌はどうしたのか真ん中ががらりと開く。背番号2の田中駿汰がやり難そう。札幌がなんか変だ(23分飲水タイム)。

 前半の残りを何とか乗り越えたという札幌の「バランスの無さ」。アディショナルタイムは2分。0−1で仙台のリード。


【監督のハーフタイムコメント】
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「後半勝負だ」、「慌てる必要はない。落ち着いてプレーしよう」、「アグレッシブに戦おう」

■ベガルタ仙台の手倉森誠監督のコメント
 「味方を押し出すチャンスを逃さないこと」、「失い方に気をつけること」


 後半は高嶺OUT小柏INから始まる。札幌が見違えるようなパス回し。チャナティップとAロペスのやり取りが「嘘のように」決まる。5分、7分と左の菅、右の金子と田中駿のやり取りが、仙台の攻撃意欲を「守りに」展開させた。

 10分、サポーター方向に攻める。チャナティップが相手選手からボールを奪い、センターサークル内から小柏にスルーパス。ドリブルの先にはAロペスが走る。防御陣はやはりAロペス重視。小柏はスピードに乗る。エリア内に入って右足シュート。ゴール右に決まった。特別指定選手の昨年から9試合目、やっと達成したゴールに背番号9金子が、Aロペスが、観衆が、祝福を送った。「この時ばかり」と、小柏のコブシは「高く、高く」。感動した(22分飲水タイム)。

 23分、札幌の菅OUTジェイIN。宮澤OUT荒野IN。岡村OUTオリヴェイラIN。3トップのAロペス−ジェイ−Dオリヴェイラの3人がそろった。多分今季初めてだろう。仙台はやはりAロペスの10点目が怖かった。ジェイ190センチ、Dオリヴェイラ188センチ、Aロペス185センチ、仙台としては1−1の引き分け狙いだったか。37分西村に代わって札幌出身の中原彰吾を入れてくれた(手倉森誠監督いいぞ)。

 この6分後の43分。金子がペナルティーエリア右からグラウンダーのクロス。クリアされたが右CK獲得。福森得意の左足のインカーブ。札幌の長身3人の位置は、右ゴールポスト側にDオリヴェイラ。その後ろにAロペス。ファーにジェイ。ジェイには仙台の新人でポイントゲッターの加藤と同じ流通経済大出身で同期のアピアタウィア久(22=愛知県出身)191センチが付いた。ジェイは難なく頭一つ出たヘディングでゴール右に決めた(Topページ写真)。

 アディショナルタイムは4分。47分チャナティップOUT柳IN。札幌は3勝2分け5敗、勝ち点11(得点17失点17)差0で14位(4節・G大阪戦は延期になっている)

 シュート数は、札14−仙9、CK札5−仙4、FK札5−仙7、PKなし。

 次の試合は2021JリーグYBCルヴァンカップで、4月28日午後7時から札幌ドームで北海道コンサドーレ札幌対アビスパ福岡戦を行う。

 2021明治安田生命J1第12節は5月2日午後3時から神奈川県のレモンガススタジアム平塚で、北海道コンサドーレ札幌対湘南ベルマーレ戦を行う。


 上:上段写真/前半16分、仙台右からの攻撃でDF真瀬のクロスにMF加藤(26番)が合わせて先制する、左札幌MF宮澤(10番)

 上:下段写真/前半16分、仙台MF加藤に先制ゴールを決められぼうぜんとする札幌MF宮澤(10番)、駒井、GK菅野、MF金子、DF岡村(50番)


 上:上段写真/後半10分、札幌MFチャナティップ(18番)が自陣でボールを奪い、ドリブルで駆け上がる、右は後半はじめから途中出場したMF小柏、中央仙台MF松下(8番)

 上:下段写真/後半10分、札幌MFチャナティップ(18番)がサイドを入れ替えて前を走る小柏(35番)へ絶妙なスルーパスを出す、中央仙台MF松下(8番)は追いつけず


 上:左側写真/後半10分、チャナティップのスルーパスを受けた札幌MF小柏が同点となるプロ入り初ゴールを決める

 上:右側写真/後半10分、札幌MF小柏(35番)が同点ゴールを決め拳を突き上げてサポーターにアピール。祝福する左からMF金子(9番)、DF田中、右FWアンデルソン・ロペス(11番)

■北海道コンサドーレ札幌の小柏剛選手のコメント
 「得点のところは、これまで何試合が出た中でチャンスがありながらも決められず、今日は決まってホッとしている。ここ最近勝利がなく、チーム状況としては苦しい中で、自分のプレーで勝利に貢献したいと思っていたので良かったと思っている。負傷をしていた左肩に痛みなどはなく、試合でも怖さがなかったので大丈夫。この試合をターニングポイントにして、上に行くには連勝が必要だと思うので、ここからそれを果たせるように頑張ってやっていきたい」


 上:上段写真/後半12分、札幌DF田中(2番)がドリブルで駆け上がるが、仙台MF松下(8番)に倒される、左端先制ゴールした仙台MF加藤、右奥札幌DF岡村(50番)

 上:下段写真/後半18分、札幌MF宮澤(10番)が仙台FW赤崎(11番)に猛然とタックル、4試合勝ちなしの札幌のキャプテンとして闘志を見せた


 上写真/後半27分、札幌MFドゥグラス・オリヴェイラ(33番)が左サイドを駆け上がりクロスを入れる、左仙台DF平岡(13番)


 上:上段写真/後半43分、札幌FWジェイが決勝ゴールを決めゴール裏サポーターにアピール、駆け寄ったMFチャナティップが本当に嬉しそう

 上:下段写真/後半43分、札幌FWジェイ(左)が決勝ゴールを決め、CKを蹴ったDF福森(右)に祝福されて笑顔を見せる、中央奥はMF小野

■北海道コンサドーレ札幌のジェイ選手のコメント
 「自分のゴールの場面は、私が入ったあとに相手の長身選手が投入された。私をマークするためだと感じていたので、より早くジャンプをしようと意識をしていて、あの場面ではそれができていた。チームの勝利につながる得点が取れて非常にうれしく思っている。ここ最近、試合内容が良くても勝点3が取れない試合が多かった。でも、今日は後半にみんなの気持ちが高まった。私が得点できたのも、そうしたみんなのおかげだと思っているので感謝している」


 上:上段写真/後半追加タイム3分、仙台左からロングスロ―の攻撃を札幌MF金子(9番)がヘッドでクリア、左へDF福森(5番)、GK菅野(1番)、FWジェイ(48番)、仙台の選手、右からFWFW皆川(19番)、MF上原(6番)、中原(18番)、左端DFアピアタウィア久

 上:下段写真/2−1と5試合ぶりに勝利して札幌のペトロビッチ監督とMF菅が喜ぶ(右奥)、手前でリーグ戦10試合勝ちなしにガックリの仙台DF蜂須賀(左)と吉野(16番)


 上:上段写真/久しぶりの勝利にサポーターへのあいさつに向かう札幌の選手の表情は明るい、左からFWアンデルソン・ロペス、MFチャナティップ、同点ゴールを決めたMF小柏、DF岡村(50番)、MFドゥグラス・オリヴェイラ、DF福森(5番)、FWジェイ、DF柳(3番)

 上:下段写真/聖地厚別で久しぶりに勝利した札幌の選手たちに温かい拍手を送るサポーターたち、右端決勝ゴールを決めたFWジェイらが手を振って応える


 上:左側写真/後半10分、札幌MF小柏が同点ゴールを決めた後、コーチ陣と話し合うペトロビッチ監督(左)

 上:右側写真/前半16分、仙台MF加藤の先制ゴールにコーチ陣と喜ぶ手倉森誠監督


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント(一部抜粋)
 「両チームともに勝利が欲しいという状況でのゲームだった。勝たなければいけないゲームというプレッシャーがあったのか、どこか本来の調子が出ない前半だった。動きも少なく判断も遅かった。前へのアグレッシブさも出せず、そうした中で先に仙台に点を奪われてしまった。仙台は先制するに値する前半だったと思う。後半の選手は前半よりもギアを上げてスムーズにボールを動かせるようになってきた。しかし、引いて守る相手に対して崩し切れないという展開。その中で小柏(剛)が決めてくれて、何がなんでも勝利したいという思いで強さのある選手を前に入れ、よりリスクのある戦いを選択した。そして自分たちのそうした姿勢を表したかのように、最後にセットプレーから得点できたのだと思う。勝たなければいけないというプレッシャーがある中で選手が最後まで戦ってくれたと思います」

■ベガルタ仙台の手倉森誠監督のコメント(一部抜粋)
 「まずはうまく相手の攻守に対して準備どおりに進めて、最初に点を取れたゲームでした。先制点を取ったあとに、札幌も少し攻勢を強めたことに対して、ラインを下げさせられる状態にもありながら、前半はしっかりしのげました。チャンスで2点目も取れていれば、という結果にはなってしまいました」


池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影